タイムスリップ令和ジャパン   作:QgkJwfXtqk

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39.1936-13 シベリア独立とその周辺余波

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 3ヶ月に及んだ戦争は、その最後の戦いの場所であるノヴォシビルスクにて講和条約が結ばれた。

 内容はオビ川以東をシベリア共和国の地として認め、オビ川以西をソ連の地として認める相互承認と、不可侵条約の締結であった。

 全くと言って良い程、良い所の無かったソ連は、この後、スターリンが国内引き締めの為の粛清を強化していく事となる。

 

 

――シベリア共和国

 独立に成功したシベリア共和国は、その存続の為に日本とアメリカとの間に様々な条約を締結する事となる。

 安全保障条約は東ユーラシア安全保障協定として、シベリア共和国とフロンティア共和国、そしてユダヤ人の自治国であるパルデス国(※1)を日本とアメリカが保証するものとなった。

 これは、同時に日本とアメリカの公式な同盟関係の始まりともなった。

 不足する食料や各種物資の供給に関しても、この安全保障協定の中で解決する事となる。

 その上でシベリア共和国は、民主主義国家として成り立って行く為の試行錯誤を続けていく事となる。

 経済的には、当面は日本とアメリカの企業活動による雇用が主的なものとなり、民族資本の涵養が遅れる事に関しては目を瞑る事となった。

 その代わり日本とアメリカに対しては、シベリア共和国内での経済活動の自由を与える対価として、法の遵守を厳格に行う事を要請する事となる。

 

 

――日本/シベリア共和国・国防交渉

 シベリア共和国から日本は戦車や航空機の売却要請を受ける事になる。

 当然、シベリア独立戦争の際に高性能を見せつけた10式戦車やF-5戦闘機を念頭に置いた要請であった。

 この交渉の場で日本は素直に10式戦車やF-5戦闘機はその調達コストや運用コストを開示し、それでも欲しいのかと尋ねた。

 シベリア共和国側は、その余りの高コストさに衝撃を受けて、謝辞する事となる。

 とは言え、国防にその2つが欠かせない事もあり交渉を重ねる事となる。

 31式戦車ですら、シベリア共和国からすれば高性能ではあるが高額過ぎる為、数を揃える事が難しかった。

 この為、シベリア共和国は戦車に関しては当面はアメリカ製のM2戦車を導入する事で対応する事となった。

 同時に、日本政府に対して廉価な戦車と航空機の開発を要請する事となった。

 日本としても簡単に供給できる戦車などの重要性が認識された為、第3国向け装備の開発が行われる事となる(※2)。

 又、戦車等の戦闘用のみならず、トラック等も大量に日本から購入する事となる。

 この為、自動化と言う意味ではG4を除く国家としては1番先進的な軍隊へと成長する。

 又、この影響によってシベリア共和国内で自動車の運転能力、機械に触れた人間が劇的に増えた事が、シベリア開発への機械力の導入を簡単にした側面があった(※3)。

 

 

――パルデス国

 ユダヤ人のユダヤ人によるユダヤ人の国家として、建国された。

 その建国に関してはアメリカ内のユダヤ系財閥のサポートもであるが、ブリテンの支援も大きかった。

 世界大戦に於いて発行した空手形を、回収する為、全力で支援していた。

 とは言え、立地的には同盟関係にあるフロンティア共和国とシベリア共和国に囲まれている為、安全無比であり、心配は無かった。

 只、産業が乏しい為、主要産業は近隣諸国への出稼ぎ状態であった。

 乏しい財政の中、東ユーラシア安全保障協定に戦力を抽出している。

 

 

――アメリカ・フロンティア共和国

 シベリア独立戦争が終結した為、それまでは後回しにされていたフロンティア共和国内でのチャイナ共産党対策である。

 又、チャイナ共産党に扇動された一部のチャイナ人である。

 アメリカ政府は、シベリア独立戦争に投入していた各部隊をチャイナとの国境線に配置し、チャイナ人のフロンティア共和国への流入を阻止する事とした。

 この為に、日本に対して航空機による支援(※4)を要請する事となる。

 又、アメリカはフロンティア共和国-チャイナ間の国境線に関して、2km程の有刺鉄線による侵入禁止地帯を設置し、その地帯に入った者は不法入国者及び不法入国手配者として処断する事とした。

 物理的に、フロンティア共和国への窓口を絞る政策に出たのだ。

 この政策に対し、チャイナからはチャイナ人の蔑視政策であると強い反発が出たが、アメリカは不法入国を図る犯罪人に掛けるべき情けは無いと相手にもしなかった。

 又、フロンティア共和国内部での戸籍制度を厳格化する事とチャイナ共産党の情報に懸賞金を掛ける事で、チャイナ共産党のあぶり出しにも努める事となった。

 一連の政策は、フロンティア共和国内のチャイナ人も反発する事ともなった。

 だが、フロンティア共和国は、この政策に非難をした人間に厳格な対応を行い、力任せで沈静化させた。

 声を上げた人間は等しくチャイナ共産党関係者であるかと疑われ、最悪の場合には一族郎党が皆、フロンティア共和国から追放される憂き目にあうのだ。

 そんな状況下で声を上げ続けられる人間など居る筈も無かった。

 又、フロンティア共和国内でのチャイナ共産党の破壊活動の被害はチャイナ人にも等しく訪れており、同時に、被害にあった他民族人から白い目で見られる状況が続いた為、最終的にはフロンティア共和国で一番にチャイナ共産党を嫌うのはチャイナ人となった。

 

 

――ソ連

 大幅に国土を失ったソ連、スターリンはその元凶をソ連赤軍の不甲斐なさであると断じ、軍への粛清を強行した。

 だが同時に、尉官級より下の人員に対しては手厚い対応を行った。

 又、持ち帰れた少なく貴重な戦訓を元に、戦車や航空機の開発を進める事となった。

 戦車は、自信を持って送り出した筈のKV-1が惨敗に終わった為に力を入れて開発が行われる事となった。

 機動力よりも攻撃力と防御力とを優先して日本戦車部隊と正面から戦える重戦車と、快速をもって日本戦車部隊を迂回突破して後方を破壊出来る機動戦車の2種類の開発を推し進める事となる(※5)。

 

 

――ドイツ・イタリア

 義勇部隊はごく一部しか生還しなかった。

 装甲車両は全て失われた。

 この為、得られた戦訓は、現有の戦車では日本の戦車に全く歯が立たないというだけであった。

 イタリアは重工業の限界から、ソ連に共同での機動戦車の開発を持ちかけた。

 ドイツは、10式戦車の延長線上にある31式戦車を100両保有する事となるフランスの存在に恐怖した。

 この為、本格的な50t級重戦車の開発に邁進する事となる。

 

 

 

 

 

(※1)

 パルデスとはヘブライ語で楽園の意味であり、この建国がユダヤ人にとってどれほどの願いであったかが良く判る命名となっている。

 当初はユダやジオン、イスラエルなどの名前も候補に挙がっていたが、最終的には中東に戻れた場合に使う名前として残された。

 

 

(※2)

 安価である事と、同時期の諸外国装備に優越する事が重視されている。

 同時にネットワーク戦非対応と、過度の先進技術(主に電子機器)を投入しない事も定められた。

 先ずはシベリア共和国向けに戦車と、足回りを共通化させた装甲車の開発が決定した。

 航空機はコストの面からエンジンの新規開発は行わず、アメリカから1000馬力級空冷エンジンを輸入し、それを再整備して採用した防空戦闘機の開発が決定した。

 只、航空機エンジンに関して購入相手の都合を考える上で水冷エンジンも選択肢に含める事を一部のメーカーが主張した為、別個に開発する事となった。

 2機種の並列開発に関しては、航空機開発技術者の養成を兼ねる面があり、若手主体で行われた。

 これは同時に、ベテランが関わっている戦略爆撃機開発が大詰めを迎えている事も原因であった。

 又、実戦投入されたAP-3制圧攻撃機の不具合 ―― 105㎜砲の反動の大きさに機体の構造へ過度の負担が掛かってしまった為、シベリア独立戦争後半で飛べる機体が半減してしまった事への対応にベテラン勢の手が掛かっているのも大きい。

 AP-3はシベリア独立戦争で大なる戦果を挙げている為、今後とも運用していく為に不具合の解消と共に様々な改良がおこなわれる事となっている。

 

 

(※3)

 農業に関して、日本が関与した事で農作物の品種改良を推し進める事となり、西シベリア低地での開拓事情が本格化していく事となる。

 昔ながらの村ではなく、企業化された大規模開拓事業団の様な村が幾つも西シベリアに出来る事となる。

 簡単に成功する訳では無いが、営々と努力が続いていく事となる。

 

 

(※4)

 日本に要請したのは空中からのセンサーによる不法入国者の捜索であった。

 日本はAP-3と、無人偵察機を派遣する事となる。

 この対価として1000馬力級エンジンのアメリカ国内向け価格での提供と、自由な改造を認める破格の権利をアメリカは日本に提供したのだ。

 

 

(※5)

 機動戦車開発に関する判断は、ソ連軍が10式戦車の情報を上手く得られなかった事が大きい。

 遠距離から一方的に殴殺された為、10式戦車の能力を図りきれなかったのだ。

 

 

 

 

 

 




2019.06.12 表題のナンバリング修正

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