サイラオーグside
昨日、俺はサーゼクス様のもとを訪れていた。
コンコンッ
サーゼクス「どうぞ」
サイラオーグ「失礼します」
サーゼクス「やあ、サイラオーグ、母上の様子はどうだい?」
サーゼクスは笑顔で俺を迎えてくれ、母を気にかけてくれた。
サイラオーグ「はい、未だに目を覚ましませんが、お陰様で危険は無くなりました」
サーゼクス「そうか、それは良くは無いが良かった」
母は未だに目覚めてはいないが、確かに母を害そうという気配は消えた。
俺がそう言うとサーゼクス様は複雑そうにそう言った。
サイラオーグ「はい、本当にありがとうございました」
サーゼクス「ああ、気にしなくて良いよ、僕はただシトリーとの仲介をしたに過ぎない、だから何もしてないのと変わらない」
サイラオーグ「それでもです」
俺はお礼を言うもサーゼクス様はそう言った。
そんな事はない、あのままであれば母は必ず害されていたのだから。
だから無礼を承知で俺はそう言った。
サーゼクス「ありがとう、それで?今日はどうしたのかな?」
サイラオーグ「母上の事にお力を貸していただいてから、間もないのに烏滸がましいのですが⋯相談したい事があるのです」
サーゼクス「サイラオーグ、前にも言ったと思うが、遠慮などする必要はないんだ、将来有望な者の相談に乗るのは大人の務めみたいな物だからね、構わないよ、言ってみると良い」
サイラオーグ「はい、実は⋯」
サーゼクス様はお礼を受け取ってくれ、そう聞いてきた。
俺が目的を言い淀んでいると、サーゼクスがそう言ってくれたので、俺はここに来る前に思っていた事をサーゼクス様に全て話した。
サーゼクス「そうか⋯僕に出来るのは君の師匠になり得る人物を紹介する事くらいだね」
サイラオーグ「よろしいのですか?」
俺の話しを聞いたサーゼクス様は腕を組み、少し考えた後にそう言ってくれた。
サーゼクス「もちろん、本当なら母親の為に頑張ってる君には、僕が助けてあげたい気持ちがあるんだけど⋯流石にそれは出来ないからね」
それは当然だ、俺の様な者にサーゼクス様が自ら動けば周りが黙ってなどいないだろう。
サイラオーグ「無論です、紹介して頂けるだけでも恐れ多いと言うのに⋯」
サーゼクス「気にする事は無い、そうだな⋯僕に紹介出来るとすれば⋯セラフォルーの女王のレイ君⋯後は⋯「レイ殿ですか!」おや?知っているのかい?」
サーゼクス様がまたも思案に入り出てきた名に、俺は無意識に前のめりになり食い付いていた。
だが、それも当然だろうなんせその方は―――
サイラオーグ「もちろんです、セラフォルー様の女王ともなれば、知りたくなくても噂くらいは聞こえて来ます。
最初に聞いたのは⋯失礼ながら"無価値"と言う話しでした。
その時、俺は彼に親近感を覚えたのです、俺もまた⋯"無能"と呼ばれていましたから⋯」
サーゼクス「サイラオーグ⋯」
サイラオーグ「ですが⋯レイ殿は俺とは違いました⋯
俺は⋯母から「魔力が足りないなら、それ以外の力を身につけて補いなさい」そう言われるまで、何も出来ず、してこなかった。
ですが、レイ殿は違った、周囲からなんと言われようとも、セラフォルー様の為どこまでも強く、気高く生きてきた。
それは、俺には⋯決して一人では出来なかった生き方です。
私は、自分に魔力が無いのが恥ずかしく、それで母に迷惑を掛けた上、何もせずにただ⋯泣いていただけ⋯
なのに、歳が一つ下のレイ殿は歩き続けた、そして⋯今もなお歩き続けている。
俺は、努力をし始めてから、レイ殿の話しを聞くたびに彼への尊敬の念が膨れていきました。
そして、それと同時に恥ずかしくもなった。
だから、俺は彼に憧れました。
そして今、俺は⋯レイ殿を心より、尊敬しています」
俺が最も尊敬し目標としている方の一人なのだから!!
サーゼクス「そうか⋯彼の友人として言わせて貰うと、僕は嬉しいよ。
彼を見下し、貶める者は数多く見て来たが、君の様な考えの持ち主もいてくれた事がね」
サイラオーグ「ありがとうございます、それにしても⋯友⋯ですか」
俺の言葉にサーゼクス様は嬉しそうにそう言った。
そして、俺もまたサーゼクス様のその言葉に驚いた。
サーゼクス「もちろんだ、彼がどう思ってるかは解らないが、少なくとも僕はそう思っているんだ。
それこそ、リアスを託せると思う位には、ね」
俺がそう聞くと、サーゼクス様は笑顔でそう言った。
サイラオーグ「なんと!!あれ程にリアスを溺愛してるサーゼクス様が⋯そこまでですか⋯」
サーゼクス「ああ、もしもリアスが彼を落とせれば、必ず幸せになれるだろうからね」
サイラオーグ「それ程までに⋯」
サーゼクス様のその言葉に俺は更に心底驚いた、だがそれも仕方無い事だろう、サーゼクス様のリアスへの溺愛していることは悪魔ならば誰もが知っている周知の事実なのだから。
だからこそ、皆揃ってリアスに気に入られ様とする。
だが、リアスはそれを心底嫌がっている、なのに⋯サーゼクス様の今の口振りからするに、リアスはレイ殿を嫌っていないらしい、それどころか好意を抱いている様だ。
もちろんそれはソーナも同じだ、だがソーナが公の場に出て来る際は、必ずと言って良い程にレイ殿が側に居る。
だから、周囲の者達⋯特に何かしらの下心を持っている者達は決して近寄らない。
その理由はただ一つ、レイ殿を恐れているからだ。
あれは数年前の事だった。
一度だけ見た事がある、普段は俺がパーティー等に連れていかれる事など殆ど無かったのだが、それには父上では無くお爺様が呼ばれていた事もあり、お爺様より「お前も来なさい」と言われ共に行ったパーティー。
俺はレイ殿に会えるかも知れないと思い、いつもとは違い勇んで向かった。
そこで、おそらくはセラフォルー様へのパイプを作るだろう、ソーナに執拗に近付き付き纏う者がいた。
その時レイ殿はセラフォルー様の元に居た、ソーナも適当にあしらっていたが、その男は余りにもしつこく、次第にソーナは恐がり、離れようとしたら腕を捕まれ、最終的に泣いてしまった。
俺を含め周りの者達は不憫に思いながらも見ている事しか出来なかった、何せその男は成人していて、レーティングゲームにも参加し勝っている相手だからだ。
それでも、リアスが居れば止めに入ったのだろうが、生憎リアスは居なかった。
そんな状態でも男は構わずにソーナに話し掛け続けていた⋯その時―――俺は背筋が凍る様な殺気を感じた。
俺は⋯いや、男以外のその場に居た者全てがその殺気の方向を見ると―――そこに居たのは、冷たく、間違っても人を見る目では無い、そんな目をしたレイ殿が居た。
相手は貴族、そして成人の純血悪魔、だが、レイ殿は一直線にその男に向かって行き「おい」と恐ろしく低い声で言い、男が振り向くと同時に⋯男の側頭部に向かって蹴りを放った。
男は吹っ飛び壁に激突した、レイ殿はソーナに対して「少し待ってろ」そう言って、吹っ飛んだ男に歩を進めた。
男はよろけながらも何とか立ち上がり「ふざけるな、転生悪魔ごときが!」などと叫び魔力を高め、その魔力を打ち出した。
誰もがヤバいと思った、だが⋯レイ殿は手に持っていた刀でその魔力を真っ二つに切り裂いた。
そして一瞬で相手との間合いを詰め、そのままその男の両腕を斬り落とした、その瞬間を俺は全く見えなかった。
そしてレイ殿は、腕を斬られのたうち回っている男の頭を踏みつけ、こう言った「お前が何者かは知らないし興味も無い、だがな⋯ソーナを泣かせる奴は⋯身分も、立場も、関係無く―――殺す!」恐ろしい程の声色でそう言ったレイ殿はその男を思い切り蹴り上げた、当然男は宙高く上がる。
すると、その男の周りを金色の何かが覆い、そこから無数の剣が現れ、そしてそれは男に向かって放たれ―――男は空中で串刺しになった。
その光景を気に止める事無く、レイ殿はソーナの元に歩き出し、それと同時に男に刺さった無数の剣が消え、男は満身創痍で地面に叩き付けられた。
辛うじて生きてはいた、恐らくだが、レイ殿はギリギリ理性を保ち手加減したのだろう。
その時に周囲の者は大人も子供も、皆が理解した、レイ殿には本当に身分も立場も関係無ければ、そんな物は意に介さないのだと。
ソーナ、セラフォルー様、そしてシトリー家に何かすれば―――容赦無く潰されるのだと。
あの時のレイ殿は終始恐ろしかった、普段はレイ殿を貶めてる者達もその光景に、そしてそれをしたレイ殿に、何も言わない⋯いや、言えなかった。
ここで口を出せば、今度は自分だという事を本能で理解したのだろう。
だが、俺は⋯おそらくその場で俺だけだろうが、俺は恐怖など一切感じてはいなかった。
それどころか俺は⋯自分でも分かる程に憧れの様な目を向けていた。
まあ⋯俺達が何より怖かったのはセラフォルー様だ。
レイ殿がソーナを慰めていると、そこにセラフォルー様を含めた魔王様方が入って来て、その光景見て驚いていた。
だが、誰よりも早く動いたのはセラフォルー様だった、すぐに泣いてるソーナを見つけ、駆け寄りソーナを抱きしめ事情を聞き。
その後、レイ殿を抱きしめ「ソーナちゃんを守ってくれたんだね☆ありがとうレイ君☆」と言った。
そしてその時、セラフォルー様はソーナとレイ殿以外の者達に対し、笑顔のままでとてつもない殺気を出していた、それは俺も、他の魔王様方も例外じゃない。
その殺気には2つの意味があった、怒りと牽制。
俺達に向いていたのは怒りの殺気、なぜもっと早く助けなかった?と言う殺気。
そしてもう一つ、魔王様方に向けられていた牽制の殺気、もしもこの件でレイ殿に何か罰を与えるのなら―――殺す⋯と言う様な殺気だった。
サーゼクス「うん、でも⋯リアスにはもう婚約者が居るからね⋯それを考えると頭が痛いよ⋯」
サイラオーグ「それは⋯何と言うか⋯」
リアスは幼い頃から「政略結婚はしない、私は私の好きな人と結婚するの!」と言っていた。
そして、先の話しを聞く限り、リアスはレイ殿にご執心の様だ。
こうなれば、リアスは絶対に結婚を嫌がるだろう事が目に見えている、サーゼクス様も、ジオディクス殿も、さぞ大変だろう。
サーゼクス「それと、君には言うまでも無いと思うけど、彼に修行を付けて貰いたいなら、それ以外に余計な下心は持たない事だ。
彼はそう言う感情にはとても敏感で、それらを感じ取った時点で君との交流を全て絶ち切るだろう」
サイラオーグ「はい、ですが⋯それは当然では?」
サーゼクス様の言葉に俺は首を傾げる、相手が年下だろうと身分が下だろうと、こちらが頼むのだからそれはそうだろう。
サーゼクス「ハッハッハッ、そうか当然か、だが⋯その当然が出来ない者も居る。
だからこそ、彼は極度の人嫌い、特に貴族嫌いになってしまったんだ」
サイラオーグ「そうですか」
確かに中には転生悪魔と言うだけで見下す者も居る。
成程、そういう無礼者のせいでレイ殿は公の場ではあんなにも敵意剥き出しだったのか。
サーゼクス「君なら心配は無いだろう、でも、レイ君は君が他の者と同じ様に何かを企んでいるのを前提に話すだろう。
だからこそ、僕が君に言える事は一つだ、レイ君に対してはどこまでも真っ直ぐに、誠実に接するんだ。
彼のスタンスは昔から変わらない、礼には礼を、無礼には無礼を、無関心には無関心を、敵対には殲滅を、だからね。
そうすれば、彼は必ず答えてくれるよ」
サイラオーグ「はい!」
そして今、俺はその話しをレイ殿にしていた、もちろんリアスの思いの部分や尊敬の部分は除いてだが⋯。
サイラオーグsideout
――――――――――――――――――――
レイ「なるほどね⋯随分と勝手な事を言ってくれるものだ」
俺は話しを聞いて若干不機嫌になった、それは別に二人が勝手な事を言ってるからではない。
思わず口に出してそう言ってしまったが、不機嫌の理由は別にある。
その理由、それはサイラオーグの話しの中で出たパーティーの事だ。
あれの事を思い出させられた事が不愉快で仕方がない。
ソーナを泣かした屑を⋯本当は殺したかった、でも⋯それは流石に不味いと串刺しにする直前に気付いた、だから致命傷を避けて串刺しにした。
しかも⋯実はあの後、母上と父上に怒られた⋯それも盛大に、ただ流石は俺を育てた父と母だった。
その内容はもう少し"やり方"が有っただろうと言う事だった、だが勘違いしてはいけない、この場合の"やり方"は穏便に済ませと言う事ではない、やるなら連れ出して人目を避けろ!と言う説教だった。
実の所、グレモリーがリアスを溺愛している様に、シトリーもまた一族あげてソーナを溺愛している、当然だがそれは父と母も例外じゃなかったりする。
とにかく、俺はアイツを殺さなかった事を未だに後悔しているくらいには思い出したくなかった、だからその話しを思い出させたサイラオーグに若干苛ついたのだ。
サイラオーグ「申し訳無い」
レイ「構わんさ、今更勝手にされる噂話などに興味は無い。
悪口、陰口、そんなもので一喜一憂しているのなら、俺はとうの昔に有象無象に呑み込まれてる」
サイラオーグ「はい」
だがまあ、それについてサイラオーグに当たっても仕方無いし、今言った通り他人の声なんかに興味は無い。
だからどうでもいい、それよりだ。
レイ「ところで、表に居た執事は随分とお前を大切にしてるみたいだな?
大抵は主が主なだけに、俺に対して上から来る馬鹿も多いが、彼はお前の為に頭まで下げたぞ」
俺は個人的に気になっていた事を聞いた。
主が主なら使用人も使用人、主が上から目線の馬鹿の場合は使用人までもが自分が偉いと勘違いして高圧的な態度で来るのだが⋯。
サイラオーグの執事は俺相手に下手に出てちゃんとしていた。
サイラオーグ「はい、彼は母がまだ結婚する前⋯つまり、ウァプラ家の頃から従者として仕えております、今は眠りの病に罹ってシトリー領の病院で療養している母の世話をしてくれています」
レイ「成程ね、ああ⋯そう言えば少し前に病院の警護の仕事があったのはその為か⋯」
サイラオーグの言葉に俺は得心がいった、確かに無能と呼ばれたこいつに変わらず使えているならまともなのだろう、と。
サイラオーグ「なんと!お手数をおかけして⋯申し訳「やめろ」⋯⋯」
レイ「例えお前の母親の警護だろうと、他の者の警護だろうと、それはシトリー家の仕事だし、俺が駆り出されるのも当然の事だ。
そして、俺はシトリーの仕事ならば文句は無いし言うつもりも無い、謝罪なんてもっての他だ」
サイラオーグ「はっ⋯では、ありがとうございました」
レイ「⋯ああ」
サイラオーグは俺の言葉に謝罪しようとしたが、俺はそれを止めた。
俺にとってシトリー家からの仕事はセラフォルー様からの仕事の次に最優先となる仕事だ、だからそれについての謝罪はいらない。
例えどれだけ馬鹿な貴族の頼みだろうとシトリーの仕事ならば文句は言わない、だから謝罪も礼もいらない。
これは俺にとってはあくまでも仕事でしかないのだから。
コンコンッ
執事「失礼致します」
サイラオーグ「どうした?」
執事「はい、サーゼクス様より、「レイ君は断るとしたら迷い無く断る子だ、だから少しでも迷っていたら受けてくれるかも知れない、その時はこれを渡して欲しい」と言われ、預かった物がございまして」
二人で話しをしていると、サイラオーグの執事が入ってきてそう言った。
レイ「預り物?」
執事「はい、こちらでございます」
そう言って執事は部屋の外にあったカートに乗せて持ってきた物は、大きな箱だった。
レイ「⋯なんだこれは?重っ!本当になんだ!?」
俺はそれを持ち上げようとするも、凄まじい重さで持てなかった。
執事「申し訳ありませんが、私には分かりかねます。
ですが、サーゼクス様曰く、レイ様の神器にピッタリの物だとか」
レイ「俺の?まあ⋯取りあえず開けてみるか」
その言葉を不思議に思いながらも、俺はその箱を開けた。
レイ「!、これは⋯」
俺はその中身を見て驚いた。
サイラオーグ「レイ殿?いかがなされた?」
レイ「ククッ⋯成程な⋯これは確かに俺の神器にピッタリだな」
箱の中に入っていた物、それは―――大量の刀だった。
執事「こちらを」
レイ「手紙か?これもサーゼクスさんから?」
執事「はい」
俺は手紙を受け取り、中を読むと。
そこには⋯
「やあ、レイ君、君がこれを読んでいると言う事は、サイラオーグの件を迷っていると言う事で良いかな?
サイラオーグから聞いたと思うが、彼は僕の従兄弟なんだ。
彼には生まれつき魔力が全く無い、そのせいで⋯たったそれだけの事で、彼とそしてそんな彼を産んだ彼の母親は父親から疎まれ、迫害されてきた。
ああ、勘違いしないで欲しいが、別に彼に同情して欲しい訳じゃない。
ただ、僕は彼の努力を、折れなかった心を、認めているだけだ、魔力が無い、それだけで周りから無能と呼ばれ、その中でも頑張って来た彼を助けたいだけなんだ。
彼は己の肉体のみで強くなった、同世代の駒を待ってる子達の中ではレイ君の次に強いだろう⋯と言っても、レイ君とは比べ物にはならないだろうけどね。
だから、僕は僕が知ってる中で、最も偏見を持たないであろう君を彼に紹介したんだ、まあ⋯相手が無礼でなければ⋯の話しだけどね。
そして、もちろんタダでなんて都合の良い事は言わない、この間君にも言われた事だけど、リーシアからも何でもかんでも君に頼りすぎだ、頼むのならばせめて報酬を用意すべきだって言われたからね。
だから、ささやかながらお礼の品を用意した、もう中身は見ただろうけど、その中に入ってるのは《
君は昔「自分の神器は大きな倉庫みたいな物で、中に武器を入れておけばそれを何時でも取り出せる」と言っていただろう?。
そして何より僕達が勝手に決めたあの戦いでも、君は神器から武器を打ち出す様な戦い方していたのを思い出してね。
それは、君にとってはちょうど良いんじゃ無いかと思ってね。
さて、長々と書いたが⋯つまるところ、僕が言いたい事は一つだ、彼を君の弟子として鍛えてくれるのならば、その千本の刀を報酬として支払おう。
全て、君の好きに使って貰って構わない。
君が彼に力を貸してくれる事を願っている。
サーゼクス・グレモリー」
そんな事が書いてあった。
レイ「⋯成程ね⋯」(確かにこれは名刀と言われる程の物だ、わざわざこいつの為に用意した⋯って訳じゃ無いだろうが、これ程の物を出して来たって事は、サーゼクスさんはそれだけこいつの事を買ってるって事⋯。
それに、ルシファーとしてではなくグレモリーとして頼んできたのは魔王としてではなく一個人として)
サイラオーグ「レイ殿?」
レイ(確かにこいつは俺の神器と相性が良い、報酬は十分⋯となると後は⋯
こいつ自身に対する俺のメリットとデメリットだが⋯
まずメリットだが、確か⋯バアルは大王の家だったか?だったらこいつがセラフォルー様の味方に付けば、それだけで少なくとも大王以下の貴族どもは黙らせられる。
でも⋯それはあくまでも、こいつが大王家バアルの当主となればの話しだ、こいつの話しとサーゼクスさんの手紙を読む限り、こいつが次期当主になる可能性は低い、少なくともこいつの父親はこいつの弟を当主にするつもりだろう⋯。
次にデメリットは、こいつを弟子にするとなれば、間違いなく周りが煩くなる、ただでさえ純血の、それも大王家の長男のこいつが俺の弟子になれば周りの連中はここぞとばかりに騒ぐだろう。
それに、こいつが次期当主の座を取るまで、バアルを⋯大王家を敵に回す事になる。
別に俺自身がそうなるのは構わない、だが⋯もしもシトリーに、父上と母上に飛び火したら?色々あるが⋯その二つが一番面倒な部分だな⋯)
考える、何が最良の選択なのか、どうすればシトリーに迷惑が掛からないかを。
サイラオーグ「⋯⋯⋯」
レイ(さて⋯どうするか⋯⋯⋯⋯⋯ん?⋯あれ⋯?良く考えれば別に悩む必要なんて無くないか?でも⋯)「サイラオーグ」
暫く考えていると一つの考えが頭を過った、これならばシトリーの方は問題ない事に気付いた。
そして思い出した事がある、正直忘れる所だったが⋯大事なのはもう一つだ。
サイラオーグ「はい」
レイ「お前は⋯何の為に力を求める?」
俺はこいつの目的を聞いてない。
サイラオーグ「俺は魔王になりたいのです!」
レイ「何故?」
魔王になりたい、その答えに俺はノータイムでそう言った。
サイラオーグ「何故⋯とは?」
レイ「魔王を目指す理由だよ、まさか偉いから⋯何て言わないんだろう?」
何故魔王になりたい?答えによっては⋯。
サイラオーグ「勿論です!俺は魔王になって、悪魔を変えたいのです!」
レイ「⋯⋯⋯」
サイラオーグ「今の冥界では弱肉強食、それが間違っているとは言いません。
ですが!だからと言って、弱い者を虐げて良い理由にはならない!!。
強き者が弱き者を守る、それは種族など関係無く当然の事です!!」
そうか⋯サイラオーグ⋯⋯⋯実に残念だ⋯。
レイ「成程ね⋯下らない」
サイラオーグ「!?」
レイ「サイラオーグ・バアル、お前は実に下らない」
本当に残念だ。
俺に対してそんな綺麗事は―――響かない。