俺は魔王の女王で魔王の妹は俺の女王で婚約者   作:黒幻

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今の所は一話で一年と考えています。
これ以上に一話が短くなった場合には、一話に二年分の話しを纏める事もあるかもです…。

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【7歳】似て非なる二人の邂逅

この日俺は、セラフォルー様から「レイ君は少し働き過ぎだから、今日はお休みね☆後、修行もしちゃ駄目だからね☆」と言われ、町に来ていた。

 

レイ「って言われても…休日って何すれば良いんだ?」

 

休みに一人で、それも何もしないと言うのは初めての事だった、いつもなら休みの時はソーナやリアスと共にいるか、修行をするかだからだ。

 

レイ「とりあえず、適当に見て回るか…」

 

俺はそう呟きながら、歩き出した。

 

レイ「暇だなぁ…別に欲しい物や行きたい所がある訳じゃないしな…」

 

「このクソガキ!いい加減にしやがれ!」

 

宛もなく歩いていると、突然怒声が聞こえた。

 

レイ「なんだ?」

 

俺は気になり、声の聞こえた方に向かった。

 

「がはっ…ぐっ…」

 

「いつもいつも店の商品を盗みやがって!」

 

路地に入ると、一人の少年が男に殴る蹴るの暴行を受けていた。

 

レイ「何をしている?」

 

「ああッ!?誰だッ…!!あ…貴方は…、セラフォルー様の…」

 

俺が声をかけると、男は苛立ちながらこちらを向くが、俺を見ると驚いた。

 

レイ「何故そんな子供を痛め付けている?」

 

「は…はい、こいつはいつも家の店の商品を盗んでいくんです」

 

「そうなのか?」

 

「………」

 

男の言葉を聞いて、俺は少年にそう聞くが、少年は何も答えない。

 

「お前、この方はセラフォルー・レヴィアタン様の女王レイ様だぞ、ちゃんと答えろ!」

 

レイ「そう言うな、とりあえず…」

 

そんな少年に怒鳴る男、それを窘めて少年に対し、俺は治癒魔法をかける。

 

「………」

 

レイ「…店主、この少年は俺が預かる、ここは任せてくれないか?」

 

「わ…分かりました、貴方にお任せします」

 

俺がそう言うと、男はそう言って店に戻って行った。

 

レイ「さて…大丈夫か?」

 

「……ありがとう…」

 

俺がそう聞くと、少年は小さな声でそう言った。

 

レイ「それで?さっきのは本当なのか?」

 

「………」

 

俺の言葉に少年は小さく頷いた。

 

レイ(捨て子か…)

 

俺は少年に自分を重ねた。

 

「俺を…殺すの…?」

 

レイ「そんな事しないよ」

 

俺が昔を思いだし黙っていると、少年はそう言った、それに俺は首を横に振りながらそう言う。

 

「じゃあ…どうするの?」

 

レイ「とりあえず…お前は誰なんだ?教えてくれないか?」

 

「俺は…」

 

俺が少年にそう聞くと、少年は少しずつ話しだした。

 

レイ「なんだよ…それは!」

 

俺は少年の話しを聞いて、激しい怒りが込み上げてきた。

その内容は。

自分は悪魔と人間のハーフだと言う事。

父親と祖父に虐待を受けていたと言う事。

唯一、母親が守ってくれていたが、先日死んだ事。

そして、母親が死んで数日後に更なる虐待の末に捨てられた事。

そんな、余りにも酷い内容だったからだ。

 

「お金なんて無いから…だから…」

 

レイ「盗んだ…か」

 

「………」

 

少年の呟きに俺が続けると、少年はまた、小さく頷いた。

 

レイ(さて…どうしたら良いんだ…セラフォルー様の女王として、このままにしておく訳にはいかないけど…だからって、罰するなんて余りにも酷だ、なにより俺は…こいつを放っておけない)

 

ギル『レイ』

 

俺が、どうするかと考えていると、突然ギルが話し掛けてきた。

 

レイ『ギル?どうしたの?』

 

ギル『この子供だが、神器を宿している様だ』

 

レイ『本当に?』

 

ギル『ああ、それもかなり強力な物だ』

 

ギルにそう言われ、集中すると、確かに少年からは神器の気配がした。

 

レイ『本当だ…あっ、だったら』

 

気配を確かめた俺は、ある事を閃いた。

 

ギル『何か思い付いたのか?』

 

レイ『俺の将来の眷属にするって事にすれば大丈夫かも』

 

そう聞いてきたギルに、俺はそう言った。

 

ギル『…確かに、それなら問題は無いだろうが…』

 

レイ『だろ?』

 

ギルは少し考えた後にそう言った。

 

ギル『しかし…あの女…セラフォルーは許してくれるのか?』

 

レイ『分からない…でも、セラフォルー様なら許してくれる筈だ』

 

ギルのもっともな言葉に、俺はそう言った。

 

ギル『まあ、お前が良いなら構わないさ』

 

レイ『うん』

 

ギルは少し笑いながら、そう言って納得してくれた。

 

レイ「さて…お前、俺の元に来ないか?」

 

「えっ…」

 

俺が少年にそう言うと、少年は驚いた様に顔を上げた。

 

レイ「まあ、簡単に言えば、俺の将来の眷属にならないか?」

 

「けん…ぞく…?」

 

俺がそう言うと、少年は首を傾げそう言った。

 

レイ「ああ、お前には神器が宿ってる、それもかなり強力な物がな、本来なら悪魔には宿らないらしいんだが、お前は人間とのハーフ、だから宿ってる」

 

「神器…」

 

俺の言葉に少年は呟きながら、自分の身体を触り、確認しはじめた。

 

レイ「どうする?」

 

俺がそう聞くと―――。

 

「お兄ちゃんは…俺を虐めない?」

 

少年は怯えた目で、こっちを見ながらそう言った。

 

レイ「当たり前だ、自分の眷属に意味もなく暴力なんて振るわないさ」

 

「本当に…?」

 

レイ「本当だ、俺の主…セラフォルー様に誓って」

 

俺がそう言うと、少年は涙目でそう言った、俺は俺の中で絶対な主の名を出しそう言った。

 

「行く…行きたい…、連れて行って!俺を…助けて!!」

 

少年は泣きながらそう叫んだ。

 

レイ「よし、決まりだ!そうと決まったら早速行くぞ!まずは…セラフォルー様に報告しないとな」

 

「うん!」

 

俺がそう言うと、少年は笑顔で頷いた。

 

レイ「そう言えば…お前の名前は何て言うんだ?」

 

俺はまだ名前を聞いてない事を思いだし、少年に聞くと。

 

「俺の名前はヴァーリ、ヴァーリ・ルシファー」

 

少年はそう答えた。

 

レイ「ルシ…ファー…、ルシファーって旧魔王の?」

 

俺はその名を聞いて驚いた、旧魔王についてはこの間勉強で教わったからだ。

 

ヴァーリ「うん、俺は魔王とか興味無いから良く知らないけど」

 

レイ「そうか…お前、今まで誰か…家族以外に会った事はあるか?」

 

ヴァーリの言葉に、未だ驚きながらもそう聞くと。

 

ヴァーリ「ううん、ずっと家の地下室に閉じ込められてたから…」

 

ヴァーリは俯きそう言った。

 

レイ(マジかよ…いくらセラフォルー様でも、流石に旧魔王の…しかもルシファーの血族なんて言ったら…許してくれないだろうな…はぁ)

 

「お兄ちゃん…?どうしたの?」

 

俺が一人考えてると、ヴァーリが心配そうに聞いて来た。

 

レイ(迷ってても仕方無いか…)「ヴァーリ」

 

ヴァーリ「なに…?」

 

俺はそう思いヴァーリに声を掛けると、ヴァーリは怯えた目で俺を見てそう言った。

 

レイ「正直に言おう、いまのお前はかなり危険な立場に居る。

お前が旧魔王ルシファーの血筋ってだけで、お前を殺そうとする奴が出てくる筈だ」

 

俺はこの間教わった事を話した。

 

ヴァーリ「そんな…俺は何もしてないのに…」

 

俺の話を聞いて、ヴァーリはそう言った。

 

レイ「そうだ、お前は何もしてない、悪いのは先代だ、だから…一つ提案なんだが、お前…ルシファーを捨てる気は無いか?」

 

俺は今の状況で、もっとも最善だと思う提案をした。

 

ヴァーリ「ルシファーを…捨てる?」

 

レイ「ああ、お前は今日から、ただのヴァーリになるんだ、ルシファーも旧魔王も関係無い…ただのヴァーリに」

 

首を傾げるヴァーリに対し、俺はそう言った。

 

ヴァーリ「そうすれば…大丈夫なの…?」

 

俺の説明に、ヴァーリがそう聞いて来た。

 

レイ「ああ、俺もお前がルシファーだと言うことは、誰にも…セラフォルー様にも話さない」

 

俺は覚悟を決めてそう言った。

 

ヴァーリ「良いの…?」

 

レイ「言ったろ?お前を眷属にするって、俺には血筋なんてどうでも良いさ、だからお前が良いなら、俺はそれで良い」

 

心配そうに聞くヴァーリに、俺はそう言った。

 

ヴァーリ「うん…分かった…俺は今日からただのヴァーリになるよ」

 

ヴァーリは泣きながらも笑って、そう言った。

 

レイ「よし、決まりだ!それじゃあ改めて、俺はレイって言うんだ、好きに呼んでくれ」

 

俺がそう言うと。

 

ヴァーリ「じゃあ…兄さんって呼んで良い?」

 

ヴァーリはそう言った。

 

レイ「ああ…良いよ、じゃあ、お前は今日から俺の弟だな」

 

ヴァーリの言葉に俺は少し嬉しくなり、そう言うと。

 

ヴァーリ「弟…うん、よろしくね!兄さん」

 

ヴァーリは呟いてから、笑顔でそう言った。

 

ギル『大丈夫なのか?』

 

レイ『多分ね、それに…いざとなれば奥の手がある』

 

ギルの心配に俺はそう言った。

 

ギル『奥の手?』

 

レイ『今はまだ秘密』

 

ギルが聞いてくるが、出来れば余りやりたくない事なので、そう言った。

 

ギル『まあ、いいさ好きにしろ』

 

レイ『うん』

 

ギルの言葉に頷き、俺はヴァーリに意識を戻し。

 

 

レイ「それと…最後にもう一度だけ言っておくが、お前が旧魔王の血筋でルシファーだと言う事は、誰にも言うなよ?」

 

ヴァーリ「うん、分かった」

 

ヴァーリに念を押す様に言うと、ヴァーリは真っ直ぐに俺を見て、そう言った。

 

レイ「よし、それじゃあ行くか」

 

ヴァーリ「うん」

 

俺がヴァーリに手を差し出しそう言うと、ヴァーリは手を取り笑顔で頷いた。

 

これが、親に捨てられた二人の少年の出会い。

一人は産まれてすぐに捨てられ、親を知らずに育つも、その後に家族と愛を知った。

一人は親の下で育つも、その親から虐待を受けその末に捨てられ、唯一愛してくれた母もいなくなり、家族と愛を失った。

同じく捨て子というその境遇は、似ている様で似ていない。

それでも…二人は出会い、兄弟となり、これから先も今以上の確かな絆を結ぶ事になるのだが。

そのことを、今の二人は―――まだ知らない。

 

―――――――――――――――――――

 

レイ「ただいま帰りました」

 

俺は屋敷の扉を開け、そう言うと。

 

セラ「あっ、お帰りレイ君☆」

 

セラフォルー様が居た、先に帰って来てたらしい。

 

レイ「ただいま、セラフォルー様」

 

セラ「うん☆ところで…その子は?」

 

挨拶をすると、当然セラフォルー様は聞いて来た。

 

レイ「こいつは…俺の将来の眷属です」

 

それに俺は、セラフォルー様にそう答えた。

 

セラ「眷属!?レイ君の?」

 

レイ「はい、駄目ですか?」

 

驚くセラフォルー様に、俺がそう聞くと。

 

セラ「駄目では無いけど…でも…」

 

セラフォルー様は唸りながらそう言った。

でも…それは想定済み、だから俺は、いきなりだが奥の手を使う。

 

レイ「良いでしょ?セラお姉ちゃん」

 

そう言って、セラフォルー様に抱き付いた。

 

セラ「れ…レイ君…!?」

 

レイ「駄目…?」

 

いきなりの事に驚いてるセラフォルー様に俺は涙目でそう言い、追い打ちを掛ける、すると…。

 

セラ「ッ~~~、もちろん良いに決まってるじゃない!」

 

セラフォルー様は悶えながら、グッと親指を立てそう言った。

 

レイ(よし!流石セラフォルー様、ちょろい)「ありがとうセラフォルー様、ほら、挨拶してヴァーリ」

 

俺はそんな思いをおくびにも出さずにヴァーリにそう言うと。

 

ヴァーリ「うん…ヴァーリです、よろしく…お願いします」

 

ヴァーリは戸惑いながらも挨拶をした。

 

ギル『お前なぁ…』

 

ギルが何か言いたそうにしてるが、とりあえず無視だ。

 

セラ「ヴァーリ君かぁ~レイ君をよろしくね☆」

 

ヴァーリ「うん、強くなって必ず兄さんの役に立つ」

 

セラフォルー様の言葉に、ヴァーリそう返した。

 

レイ「ヴァーリ…」

 

そんな事を言われ俺は凄く嬉しくなった。

 

セラ「兄さん…?」

 

やはりセラフォルー様はそこに食い付いた。

 

ヴァーリ「うん、そう呼んで良いって兄さんが、それに…お前は弟だって」

 

セラ「なになに、レイ君お姉ちゃんに内緒で弟作ったの?」

 

レイ「うん」

 

ヴァーリの言葉を聞いて、ハイテンションで聞いてくるセラフォルー様に、俺は頷いた。

 

セラ「そっかぁ~、じゃあレイ君はこれから王としても、お兄ちゃんとしても、もっともっと頑張らないとだね☆」

 

レイ「はい!」

 

セラフォルー様の言葉に俺は元気に返事した。

 

その後、母上と父上にも眷属にすると言うと、二人は笑顔で良いよと言ってくれて、ヴァーリは俺の部屋に住む事になった。

ちなみに、ソーナは俺がヴァーリに取られると言って泣きそうになったが、明日は一日一緒に過ごすと約束したら、なんとか泣かれずにすんだ。

 




ヴァーリはアザゼルじゃなくレイに拾われたという事にしました。

これを書き始めてから、そういえばヴァーリも捨てられたんだったな…と思い、よし!眷属にしようと考えて、書いてたらこうなりました…。
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