ポケットモンスター B&W another 〜隻腕の幻影 ゾロアーク〜   作:Mr.bot-8M6N

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2ー4 貴方の名前は何ですか?④ーRELATIONSー

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 ーー捕まえる?

 

 その言葉が嫌に耳に残る。

 

「あら、違うの?私、てっきりポケモントレーナーになってそのポケモンと一緒に旅をするのかなー、って思ってたんだけど」

 

 一緒に旅をする。それはとても魅力的にトウコの耳の中で響き続けている。なのに、

 

 ーー捕まえる、ゾロアーク……『キツネさん』を……?

 

 それは駄目だと私の何かが訴える。

 何故だろう?『ポケモンを捕まえる』その行為を私は今まで何とも思わなかった。実際、今もその行為自体には忌避感は無い。なのに、どうしかそれを『キツネさん』に行うのは嫌だった。

 

「……どうしたの?」

 

 トウコの様子がおかしい事にアララギ博士は気付く。堂々巡りを始めたトウコの思考は助けを求めるようにアララギへと向いた。

 

「アララギさん……。ポケモンを……『キツネさん』を捕まえずに旅をする方法ってあるのかな?」

 

「捕まえずにポケモンを?うーん……。物理的には問題無いだろうけど、それはとても不便よ?」

 

「どうしてですか?」

 

「まず、第一にポケモンをモンスターボールで捕まえるというのは、そのポケモンの所有権を得るって事なの。簡単に言うと、別の人がその『キツネさん』を捕まえたら、それは『キツネさん』が別の人の物になっちゃって……。なっても文句を言えないってことよ」

 

「…………………」

 

「ポケモンセンター、ポケモンジム、ポケモンコンテストみたいなポケモン関連の施設の利用は軒並みアウト。……そもそも、個体によって火を吹いたり、電気を放出したりする存在を首輪無しで人が住む所に連れて行く事自体が無理かも………」

 

「そう………ですか……」

 

 アララギ博士の言葉に顔を暗くするトウコ。それを見かねてか、アララギ博士はトウコに聞く。

 

「トウコちゃんは、どうしてそのポケモンを捕まえたくないの?」

 

「……さっきアララギさんは『首輪』と言いました。……私はそれを『キツネさん』にしたくない……」

 

 してしまったら、それは『キツネさん』との関係が飼い主とペットに収まってしまうのではないか。そうなってしまうのが怖かった。

 

 アララギ博士は

 

「あー……成る程ね。これはわたしの言い方が悪かったかしら。………えっとね、トウコちゃん。『ポケモンがモンスターボールに入っているかどうか』なんていうのはただの状態や形でしかないの。そこにどんは『意味』を作るかは貴方とそのポケモン次第なのよ」

 

「………よく分かりません」

 

「そう……。ちょっと難しかったかしら?じゃあ、実演しちゃいましょう。………チラーミィ、おいで」

 

『ミィ!』

 

 そう言って、おもむろに白衣のポケットからモンスターボールを取り出し、投げる。出てきたのは灰色のチンチラのようなポケモンだ。

 

「アララギさんってポケモントレーナーだったんですか?」

 

「うーん、まぁ、職業柄ね。というか、10歳以上なら誰でも試験を受けられるから、ある意味ポケモントレーナーでない人の方が少ないんじゃないかしら?」

 

 チラーミィというポケモンは床から椅子、椅子から机、机からアララギ博士の腕へ移り、アララギ博士の頭に登る。そしてーー、

 

『ミィ!ミィ!』

 

 ペシペシとおもむろにアララギ博士の頭を叩き始めた。

 

「あらら、ずっとモンスターボールの中に入れてて怒らせちゃったかしら?ゴメンねぇ、チラーミィ。……ボールから出すの忘れちゃってた」

 

『……ミィッ!!』

 

 ペシペシという音がベシベシに変わる。

 

「本当にゴメンねぇ。……それよりもご挨拶。こちらトウコちゃん。トウコちゃん、こちらわたしのポケモン(パートナー)のチラーミィ」

 

 トウコの耳に『パートナー』という響きが残る。

 

『ミ?……ミィ!』

 

 アララギ博士の言葉でトウコの存在に気付いたのか、チラーミィはこちらに握手を求めるように短い手を伸ばす。

 

「……あ……えっと…………どうも」

 

 伸ばされた手を摘むように握り返すトウコ。

 

「チラーミィ、お詫びという訳ではないんだけど この後、海を見に行かない?ヒウンシティの海も良かったけど、コッチのは人工物が無いおかげか 砂浜があったわよぉ!」

 

『ミーィ!!』

 

 チラーミィは嬉しそうにアララギ博士の頭の上で鳴く。それに満足そうな顔をしてアララギ博士はトウコに聞く。

 

「どう、わたしとチラーミィの関係って何に見える?」

 

 どう?と聞かれても……とても仲が良さそうに見えるが……

 

「わたしとチラーミィは『飼い主とペット』?『持ち主と道具』?『友人同士』?『家族』?トウコちゃんには何に見える?」

 

 『飼い主とペット』………違う気がする。

 『持ち主と道具』………これは絶対に違う。しかし、チラリと先程の男と少女のようなポケモンを思い出す。

 『友人同士』『家族』…………あぁ、何となくコレだ、と思う。

 

「トウコちゃんの答えは分からないけど……その顔を見たら悪い答えじゃなかったようね。………そう、わたしたち人間とポケモンの関係は千差万別。飼い主とペットも居るし、わたしみたいに十年来の友人にしている人だっている。……あんまり好きじゃ無いけど、当然ポケモンを道具扱いする人もいる」

 

 アララギ博士は笑いながらトウコに語りかける。

 

「結局、その人とそのポケモン次第なのよ。それは人間同士でも変わらないでしょう?」

 

「そう……かもしれません、ね」

 

「えぇ、そうなのよ!トウコちゃんはモンスターボールに入れる事を良しとしていないようだけど、所詮モンスターボールは、ポケモンとの関係を円滑にする便利な道具でしかない。入れたくないなら、必要な時以外ずっと外に出していれば良い話だしね」

 

 アララギ博士の言葉はトウコの頭で綺麗に消化される。今までの悶々とした何かを含めて。

 

「……そうだ!いっその事、お願いしてみたら良いんじゃない?そのポケモンに」

 

 名案だとばかりに手を叩くアララギ博士。

 

「お願い……ですか?」

 

「そうよ、そのキツネさんに『私のモノになって下さい』ってね!」

 

 その言葉はトウコの頭を殴りつけるような衝撃があった。自身の顔が熱くなるのが分かる。

 

「わ、私の………ッ!?」

 

「あらぁ〜、何を想像したのかしらぁ?顔を真っ赤にさせちゃって。おませさんねぇ〜トウコちゃんは。……でも、間違いじゃないわ。人間同士でだってよくある事でしょ?『俺の誰々』とか『私の誰々』って……みんな知らず知らずに他人を自分のモノにしている。なら、トウコちゃんがキツネさんにしちゃいけないなんて事はないわ!」

 

 確かに、『弱らせる事で抵抗力を奪ってから"捕まえる"』のをしたくない以上、『お願いをして同意』を得るしかない。しかしーー

 

 ーーも、もうやめて!アララギさん!これ以上は聞いていられない!

 

「あ、アララギさんッ!!も、もういいです!いいですから!!」

 

「あ、あらら?ちょっとトウコちゃんにはディープ過ぎたかしら?……まぁ、時間は一杯あるから考えてみなさい。どうせ ポケモントレーナーになるには、トウコちゃんの場合 どんなに短くても一年二年必要なんだからね」

 

 ーー………そっか、まだ時間はあるのか。

 

「その間にしっかり考えておきなさいね」

 

「考える……」

 

「そうよ、その『キツネさんとの関係』………は一緒に居たら自ずと答えが見えてくるかしら?取り敢えず、トウコちゃんは『キツネさん』と何がしたい?」

 

 何がしたい?それは決まっている。アララギ博士の話を聞いてずっと耳で反響していた物がある。

 

「私は……『キツネさん』と"旅"をしたい」

 

「あら?答えはもう持ってるみたいね。じゃあそうね………今度は『キツネさんへの口説き文句』にしちゃいましょうか」

 

「く、くど……ッ!?」

 

「一応、『キツネさん』と同じ種類のポケモンの情報を探すにあたって色々聞いたけど、相当な堅物さんよね?それを考えたら一年二年じゃ足りないかもしれないわ」

 

 そこから始まった『アララギ流 男を落とす百の方法』なる謎の講義をトウコは顔を赤くしながら聞かされていた。

 

 「相手、ポケモンなんですけど!?」というツッコミはその時ののぼせ上がったトウコの思考では思い至る事はなかった。

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

「今日は色々と助けて貰っちゃってありがとうね」

 

「いえ、私も知りたいことが知れたので」

 

 今は正午はとっくに過ぎて午後2時過ぎだ。二人と一匹は、『アララギポケモン研究所』の門前に立っていた。

 

「私とチラーミィはこれから海を見に行くけど、トウコちゃんはどうするの?確か、お友達が待っているんだっけ?」

 

 そういえばそうだったな、とトウコは思い出す。しかし、今はーー

 

「いえ、出来れば今から『キツネさん』の所に行こうかと」

 

 それを聞き、粘っこい笑みを浮かべるアララギ博士。

 

「あらぁ〜、さっそく口説きに行くのかしら?」

 

「ち、違いますよ!そんな事しませんッ!」

 

 今日何度目かの赤面を見たアララギ博士は「あははー」と笑う。

 

「冗談よ……あ、でも『むしよけスプレー』は渡しておくから使っておきなさいね。カノコタウンの外は野生ポケモンがいるんだから」

 

 何処にあったかなー?、とアララギ博士は自身の懐を探り始めた。

 

「え……でも………」

 

「でもも何もないわ。何故かポケモンが襲って来ないと言っても『もしも』はあるんだから。………あったあった!じゃあ、はいこれね」

 

「……ありがとうございます、アララギさん」

 

「どういたしまして。……あぁ、それとわたしの事を『さん』で呼ぶのをやめてくれないかしら?これからは『アララギ博士』で」

 

「はい、分かりました。アララギ博士」

 

 それを聞いて満足したのか「うん、よろしい」と笑う。

 

「それじゃあね、トウコちゃん。……あ、研究所の掃除の件、お父さんによろしく伝えておいてね」

 

「分かりました。……あ、それとアララギ博士、戸締りはしっかりした方が良いですよ」

 

「?……えぇ、分かったわ。それじゃあね」

 

「はいっ」

 

 そう言って二人は反対の方向に向かって別れた。アララギ博士は暫く歩いて気付く。

 

「あらら?向こうの空、曇ってるわね。これは一雨来るかも」

 

 トウコを呼び止めようかと振り向くも、もうその姿は見えなかった。

 アララギ博士に抱えられたチラーミィが『ミィ……ミィ!』と急かす。

 

「あー……はいはい、分かってるわよー。でも、雨が降りそうだから、今回は早めに帰りましょうか」

 

 「トウコちゃん大丈夫かしら」と心配するも、「まぁ、大丈夫でしょう」と根拠も無く思い直し、海に向かった。

 

 

 ーー嵐が来ようとしていた。

 

 

ーto be continuedー

     ーnext episodeー




Mr.bot、乙女機関、全開!!
まぁ、経験0の貧弱機関なんで 今回のエピソードで乙女機関がショートを起こしましたw 暫く、「甘ーーーい」展開は無いと思う。

にしても、今読み返すとちょっとあからさま過ぎるというか、デコボコし過ぎな気がしますなー……。大体、閑話から2ー1まで一ヶ月半の時系列的期間が空いてるのだが、その間にトウコのゾロアークへの好感度がカンストし過ぎてて違和感が凄い……。こういう所で貧弱……というより恋愛経験の無さが浮き彫りになってるんだよなぁ。もうちょっと平す必要があるかな?まぁ、自分が悪ノリし過ぎて好感度をバグらせてしまったというのも多分にあるんだろうけど……。

ほとんど知らないかと思いますが、本作初投稿からほんの数時間の間だけ存在した仮タイトルである『人とポケモンとの正しい関係』を回収しました!回収早過ぎやわ……。
つーか、完全なる自己満足ポルノである本作で何故か良い感じの事書いてる時点で何か違和感を感じるゾ、おいw

それはそうと、第1章の執筆中に起きた結構ヤバめの違和感は何だかんだ閑話を挟めば何とかなりそうです。
ということで、今後の予定としては閑話が完成し次第閑話①と2ー1の間に挟み込み、それ以降は一章終了に向けて順次執筆となりそうです。更新時間は今まで通りですが、もしかしたら数日の時間をいただく事となるかもしれません。


今回の登場キャラクター
・トウコ……絶賛(ポケモン相手に)初恋中の8歳児。……ええ、トウコちゃんは誰が何と言おうと8歳児です。あ、でも本人はゾロアーク君への初恋に気付いてません。…………ウッソだろお前?!そこまで悩んどいて気付いてないのかよ!?w……まぁ、8歳児ですし。経験不足ですし。
アララギ博士とのわだかまり?も今話で解消されたようです。

・アララギ博士……ヤッベェ!アララギ博士が「お姉さん」してるぅぅ!?w 年長者としての威厳は発揮!w

・チラーミィ……アララギ博士の手持ちポケモン。原作でもお馴染みの冒頭で登場。耳と尻尾(と目)が大きいチンチラのようなポケモン。
因みに、アララギ博士の謎講義の間、トウコの隣で一緒に顔を赤くしていた模様………かわいい


今回登場した原作アイテム
・むしよけスプレー……100歩進む間、先頭のポケモンより弱い野生ポケモンが出現しなくなる。今回、トウコはポケモン持っていないけど、効果発揮中は野生ポケモンに出くわさない保険としてアララギ博士から渡された
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