ポケットモンスター B&W another 〜隻腕の幻影 ゾロアーク〜 作:Mr.bot-8M6N
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ーーこれは分かっていた。分かりきっていた事だった。
「自分」という存在は追われている。イッシュ地方南東部をまるまる一つ囲い込んで追い立てるように……。そう、まるで虱潰しのように捜索できる連中に、だ。
ーーだからこれは予定調和だ。どうしようもなく。
だからこそ、「自分」は潜伏地を複数用意して隠れ潜もうとしたのだ。いくら探しても見つからないとなれば必ず警戒網に綻びが生まれると考えていたからだ。
ーー言い訳はできない。しようもない。
だというのに、「自分」はこの一箇所に留まってしまった。留まり過ぎてしまった。
「自分」がここに「居心地の良さ」を感じてしまったから。もう少し、もう少しとズルズルと先延ばしにしてしまったから。
ーー「過失」………。「怠慢」…………。「驕り」……………。
人肌にでも飢えていたのか。………嗤える、本当に嗤っちまう。
ーー間違いの余地は無く、これは俺の「業」だ。
ある年の春にイッシュ地方東南端に突然現れたポケモン、ゾロアーク。
大雨に濡れるその傷だらけの姿は、鉄の匂いを放つ『紅』に染まっていた。
ーー((( ○ )))ーー
ポツポツーーという次第に早くなる雨音が、アララギ博士とチラーミィの足を急かす。
「ちょっ!?雨降るの早すぎィ!!……ほとんど海 見られなかったぁ!」
『ミィ!……ミィ!』
チラーミィはアララギ博士の白衣の下に捕まり、急げ急げとアララギ博士を急かす。
「チラーミィ、あなた……楽そうね」
自分が必死に走っているのに、楽をしている友人にちょっとイラつきを感じるアララギ博士。
そのアララギ博士の帰途の先で二人の人影があった。
「カルカ君、ウチの娘見なかった?」
「いや、見てないッスね。トウコちゃん、いないんッスか?」
一人は栗毛の女性。もう一人は年若い青年だ。
どちらもアララギ博士にって面識の無い相手だが、片方の女性には既視感がある。
ーーあの栗毛は……。
「……トウコちゃん……………のお姉さん。いや、お母さんかしら?」
その呟きが聞こえたのか、栗毛の女性はアララギ博士に顔を向ける。
「あの、何方かは存じませんが、私の娘のトウコがどこに行ったか知りませんか?……雨が降ろうとしているのに、あの娘 何処にいったのかしら……」
トウカという女性の顔は心配気だ。
「あ、それならーー」
と、言いかけてはたと言い淀む。
ーーこれは言うべきかしら?トウコちゃん、あんまり『キツネさん』との関係知られたくないみたいだし。………あれ?そもそもこれ教えちゃったら、私女の子が森に行くのを止めなかった人になるのかしら?
やべぇ、これバレたらわたしにも被害が及ぶ、などと考えていたらーー
遠くで爆発が起こった。
大音量がカノコタウン中に響き、地面が揺れる。
「な、何?突然……」
「チョッ!?あ、アレ!トウカさん、アレ!!」
困惑するトウカに、原因にいち早く気付いたカルカはトウコたちに指し示す。
「あれは………」
カルカの指が指し示す先ーーカノコタウン北部の森で大きな黒煙が上がっていた。
「な、何かしら……あれ……」
「……分かんないッスけど、オレ この村の警備なんで、確認しに行かない訳にはいかないッスよ」
「………そうね。私もレパルを呼んでから合流するわ」
「え?いや、でもトウコちゃんはどうするんスか?」
「……確かに心配だけど、カルカ君の先輩としてアレを無視する訳にもいかないでしょ。……トウコなら、お友達の家でお世話になっているかもしれないし」
トウカとカルカが話し込んでいる間にアララギ博士が割り込む。
「それ、私もお手伝いしても良いかしら?」
その言葉にカルカがイヤイヤと反対の声をあげる。
「いや、流石に部外者を関わらせる訳には……」
「いいえ、今日来たばかりだけど、私もこの村の住人よ。……それに、一応トレーナーの資格はあるから足手纏いにはならないはずよ」
アララギは白衣の下のチラーミィを二人に見せる。
「分かりました」
アララギの提案にトウコは同意する。
「チョッ!?良いんスか?!トウコさん!」
しかし、カルカは賛同出来なかったようで即決で同意したトウコに非難の声を上げる。
「賛否両論だけど、少人数で危険な所に向かうのなら
一人が何らかの問題で負傷した時、二人一組なら一人を引き摺って帰るのが精一杯。しかし、三人一組なら一人が負傷者を運び、もう一人が撤退の援護に回る事が可能になり、問題発生時の生還率がぐっと上がることをトウコは知っていた。
それにーー、とトウコの言葉は続く。
「もしもの事を考えて村の防備も固めたい。この状況で人手は多いに越した事は無い。希望者が居て、その希望者は最低限の自衛能力がある。現状を考えたら願ってもない事よ」
「……なら、防衛側の人員と入れ替えたらーー」
「駄目、時間がかかり過ぎる。今は早さが最も求められる。その状況で、防衛の準備の上に偵察の選抜までさせるのは時間の無駄。村長さん、頭の回転が遅いからね。なら、『偵察の人員は決定した』って事後報告だけした方が色々と効率が良いの」
「むう……、分かりました。納得はしきれてないッスけど、ここでそんな話をしている方が無駄ッスもんね」
渋々とだが同意するカルカ。その答えに満足そうに笑うトウカ。
「よく分かってるじゃない。……それじゃあ、偵察の協力お願いします」
「え、ええ……。こちらこそ、よろしくお願いします」
話を急に振られたアララギは若干の困惑を残した声で協力の要請に同意する。
「さて、カルカ君。悪いけど、この人と村の入り口で待っててくれる?私はレパルを呼んで、必要な事を旦那に伝えてくるから」
「了解ッス。……あ、そう言えば……自分はカルカ。さっきの女の人がトウカって言います」
カルカは足早に去っていくトウカを見送った後、アララギに向き直り、遅ればせな自己紹介を行う。
「わたしはアララギ。アララギ博士って呼んでね」
「はぁ……。博士さんですか」と何処か気の抜けた口調で一人ごちらカルカ。
そんな姿を黙って見ていたアララギの服を内側から引っ張る感覚がする。
「……?どうしたの、チラー……ミィ」
『ミィ……』
チラーミィのアララギを白い目で見ていた。チラーミィは知っている。……いや、忘れてなかったというべきか。
「うっ、もしかしてトウコちゃんの事?」
勿論その事だとチラーミィは頷く。
「……い、いや。わたしも初めは言うつもりだったのよ?でも、事態があれよあれよという間に進んじゃってーー」
『ミィ』
取り敢えず、それで納得しておく事にしたチラーミィ。だが、チラーミィは見抜いている。旧知の仲であるアララギが『このまま言うタイミング失わないかなー?』とか淡い期待を密かによせていたことを。
それでも、
ーートウコちゃん、大丈夫かしら……。
と、トウコの身の安全を心配し、こうやってトウコを探しに行こうとする友人の姿がチラーミィの視界に写っていたから、
ーー((( ○ )))ーー
小雨だった雨足はいつの間にか強くなり、トウコの服や髪が身体に張り付いている。
身体が酷く重い。それは服が雨水をたらふく飲み込んだせいもあるだろうが、きっとそれだけではない。
ロブから「もう不要だ」とばかりに転がされ、放置されたトウコは無力感に襲われていた。
ーーなんで……どうして、私は何も出来ないのッ!?
キツネさんが戦っている間、トウコはただ見守る事しか出来なかった。そして、ロブという男にキツネさんを倒すための人質にされた。
それも終われば、いよいよもって価値がなくなったと言わんばかりに捨てられた。拘束さえされていない。トウコの行動も言葉も感情も存在も何もかもがロブという男の行いを揺るがす事は無いと判断されたのだ。そして、それはその通り。ただの8歳の子供には、この状況を覆すような何かなど存在しない。
トウコが好意を持つ相手を傷つける為に無理矢理に利用され、利用しきればそのままゴミのように捨てられた。
もうトウコの顔は雨と泥と悔し涙でグチャグチャだ。
「しかし、流石にこれは死んだのではないか?我々の目的は『保護』であると何度も言ったはずだが?」
ーー死!?キツネさんが……
チェインメイル制服の男の言葉によってトウコの心臓を跳ね上がる。だが、考えてみれば当然だ。あの攻撃を至近距離で浴びて生きているなど考えられない。
ーーい、嫌……そんなの絶対に嫌……ッ!!
心も体も未だに鉛のように重たい。思考が碌に回らない。ただただ恐怖が全身を駆け巡り、トウコの何もかもが黒煙へと駆り立てる。
「……まぁ、普通ならな。だが、相手はあの『赤髪』なんだ。生きていても何らおかしくな………ん?おい、ガキ何処に行くつもりだ」
ロブの声なんて聞く気はない。いや、初めから聞こえていない。
トウコは自分の内から沸き起こる『キツネさんの死』という恐怖に突き動かされるように黒煙の中へと消えていった。
ーー((( ○ )))ーー
「…………あちゃー、人質放置してたら勝手に行っちまったよ……」
こりゃ失敗、とケラケラと笑うロブ。
……しかし、その人を食った笑みを浮かべる直前までの無言は何だったのか。それをお目付役の二人は知る事が出来なかった。
「おいッ」
その態度にチェインメイル制服の女が声を荒らげらるが、ロブの顔から薄い、人を小馬鹿にした笑みは消える事はない。
「まぁまぁ、お目付役殿。そうカッカッするモンじゃねぇよ。……どうせあのガキに何かが出来ると言う訳でもあるまいし」
今更、あの娘が何が出来る。……いや、初めから何も出来ない。ならば、そんなことよりもーー、
「さて、これからどうしますかね?お目付役殿。正直、あの黒煙の中に入るのは賛同しかねるのだが……」
「……貴様はまだあのポケモンが何かしてくると?そもそも生死……いや、原型が残っているかさえ疑問だ」
その通りだ、とロブも思う。だが、ともロブは思う。
「オレは『生きている』に票を入れるな。オレたちと『赤髪』は散々追い回し、追い回された仲だ。その間に何度煮え湯を飲まされた事か……。もう、油断はしねぇ」
ロブはここに必勝を確信して来た。だというのに、それはアッサリと覆され、人質なぞという
……多少、警戒し過ぎだとは思うが。おっかなびっくりで二の足踏みしながらの方が絶対に良い。
「オレとしては、この雨で黒煙が消えるのを待ちたいんだが……。何かが燻ってんのか、一向に消えやしねぇ……」
まぁ、それでもこの雨だ。数分も放っておけば勝手に消えるだろう。しかしーー、
「どうすっかなー?『赤髪』が生きていたら時間を与えるのも怖いんだよなぁ……」
『はかいこうせん』の反動でデンチュラが動けないのだ。デンチュラの『きんちょうかん』による睨みは未だ効果を発揮していると思うが、最悪、この黒煙の中で体力の回復に勤しんでいたらと考えると背筋が寒くなる。数分どころか一秒たりとも時間を与えたくない。
なら、無理にでも黒煙の中に入るか? そう考ると、逆にこの黒煙が『赤髪』の顎で馬鹿が口の中に入ってくるのを待っているように見えて笑えない。
「…………だぁッ!もうしょうがねぇ!わざわざ、あのガキが先行してくれたんだ。オレたちはその後に続けば多少は安全だ」
ややあってから、ロブはあのクレーターの黒煙の中へと入る決断をする。
そう決めて、一歩踏み出そうとして立ち止まる。そして振り向き、
「なぁ」
ロブは後ろのチェインメイル制服の男に呼びかける。
「なんだ?」
「使うぞ?」
ロブのかかげた手にはモンスターボールがあった。それはロブの最後の一体であり、『スポンサー』から預けられたポケモンのモンスターボールだ。まぁ、中は既に空だが。
はっきり言って言う事を碌に聞かない「ジャジャ馬」。渡された時は「行け」と「止まれ」しか言う事を聞かなかった。今でも、しばらく運用していると急に命令を無視しだす。その分、その強さは本物でロブに『暴君』と言わしめるほどだ。
『すなじごく』で『赤髪』の逃走を防止する程度にしか使う気がなかったが、デンチュラが反動で動けない以上、アレに頼る他は無い。
「……了解した」
チェインメイル制服の男が神妙に頷く。女の方も顔付きが一段階引き締まったゆうに思える。
実の所、この男たちの主目的はロブの監視ではなく、その『暴君』の観察や最悪の事態に陥った時の処分である。何故なら、『暴君』はただのポケモンでは無い。チェインメイル制服が所属するある組織のフロント企業にして今回のロブへの
「じゃ、行きますか。……待ってろよ『赤髪』ィ」
そして、この場の全員がもうもうと立ち上がる黒煙の中へと消えていった。
ーto be continuedー
お、終わらねぇ……
執筆前は「5話で終わるかなー?」とか思ってたのにぃ……。
しかし、実験動物ねぇ……。ブラックホワイトの某悪の組織がポケモンを独占、兵器的運用による世界支配を目的にしていた(気がする)から、品種改良とか配合実験とかしてるでしょ!と腹括って出す事にしたが、それ関連でその後のストーリーを考えているとどんどんポケモンらしさが薄れていってるんだよなぁ……
ポケモンとは……ウゴゴゴゴ……、と本気で頭を抱える今日この頃。
「つうかさ、『はかいこうせん』の威力ヤバくね?クレーターとかどんだけだよ……」←by作者C
クレーターはやべぇよな、地面抉れてるよ……でも、威力150のやべぇロマン砲だし?多少はね?
「クレーターのサイズってどれくらいだよ?」
うーん……あんまり詳しく考えてなかったなぁ……半径10〜15mとか?
「……それ、空き地のサイズもどんだけなんだよ」
そ、その辺はフィーリングにしよう!な?な?
「ガバガバだな、おい………」
今回の登場キャラクター
・ゾロアーク……カッコイイぞ!(説明不要)「といよりかは、『小並感』だな。それ」チートだぞ!ヤベェぞ!主人公補正だぞ!優遇しまくりだぞ!「……やべぇ、作者Aの語彙力が死んでやがる」
・トウコ……可愛いぞ!(説明不要)「というよりかは、『小並感』だな。それ………つか、主人公たちへのコメントがそれで良いのか?」『(説明不要)』だからな!「………そっすか」
・ロブ……うーむ、コイツに関しては作者オリジナルなのにキャラクターが安定してない気がする「……まともなコメント、主人公たちとの対応の差よ」ゾロアークとかトウコを相手にする時とお目付役相手にする時の性格が違いすぎる『誰だ、お前は!?』「いたのか、作者B……」地獄からの使者、スパイダーマッ!「おい!メンド臭くなってんじゃねぇよ!最後までしっかりしろ!」……もう、相手によって豹変するヤツって事でいっかな、ロブは。「……適当だな」何を今更、俺はいつも適当に人生を生きているゾ!
・チェインメイル制服の三人(二人)……「なぁ、気絶してる一人出してやらねぇのか?ちょっと不憫すぎるんだが」正直、コイツらで文章圧迫したくない「……残りの二人も不憫に思えてきた」
・『暴君』?……「一体何ポケモンなのか?」正直、現在の作者脳内で凄い事になってるからベースが何だったかはどうでも良い希ガスーー「コイツ、今『ベース』って言いやがったぞ。さてはおまえ、ポケモンで二次創作する気ねぇな!」取り敢えず、今は赤いキャドス程度だよ?「……将来的(というより、作者Aの脳内的)には?」ゾロアークを……ひいては生物を超えたバグポケモン!「やっぱ、ポケモンする気無いだろ!ポケモンの世界観とか雰囲気をぶっ壊すつもりか!?ていうか、出落ちじゃねぇのかよ!?」
・アララギ……「割と狡いな、アララギ女史」……まぁ、人間こんなもんだよ「お前の中のアララギ博士がどんなモノかは理解できた」え、実際こんな感じじゃないの?「おい、原作プレイヤーに叩かれるゾ…………この作品は、かなり前にやった原作ゲームのうろ覚え知識で執筆されており、実際こんな感じではないと思われます。最悪、ある程度設定が酷似している別人という認識の方が良いと思われます」
正直、会話の中で本来の目的を伝えるのを忘れるお転婆な人って以上の知識がありません。「……お前はいい加減、原作ゲームをプレイし直せ」……へい。
・トウカ……「うわ、違和感……」前回の登場がアレだったもんなぁ……「ホントどうして、ああなった?」いや言ったじゃん。「……酒か」酒です。『酒!飲まずにはいられないッ!』いや、自分アルコールより炭酸派なんで「……じゃあなんで飲んだ?」飲んで頭馬鹿にしないと脳内ピンク色作品なんぞ作れる訳ねぇべ。「ここ一〜二週間のアルコール摂取量が過去最高になりそうだな」
・カルカ……「あの閑話、このタイミングでコイツを出す為に投稿したんだっけ?」まぁ?……実際はもうちょい後のシーンで出すためだが。「……あんま良い予感しねぇなぁ」そもそも現状が胸糞マシマシの不毛なシーンだからな!最近、執筆ペースが乗らないのは話の雰囲気にやられて気分が若干ダウナーになってるからだね『ーーなどとサボリ魔は供述しており……』B!余計な事を言うなよ!「事実じゃん」……….味方が欲しい