ポケットモンスター B&W another 〜隻腕の幻影 ゾロアーク〜   作:Mr.bot-8M6N

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前話の展開を変更しました。今回のエピソードに違和感があるようなら、前話を読み返す事を推奨します。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。


4ー3 紅色に染まる③ーCHOISEー

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「『行け』ッ」

 

 ただ一言、ロブは命令を下す。その命令にワルビアルは最後の手綱を離されたかのように嬉々として手負いの獲物へと襲いかかる。

 

 ーーじめんタイプ・物理攻撃技『あなをほる』

 

 瞬間、ワルビアルはまた轟音を立てて地面へと潜る。まるで水中を泳ぐように地中を遊泳し、ゾロアークとトウコを食い千切らんと虎視眈々狙いを定める。

 

 ーーまた来る。ゾロアークの右足を砕いた あの攻撃が。

 

 それに気付いたゾロアークは左手でトウコを抱える。

 

「きゃっ」

 

 そして空いた右手で地面を掴み、自身の身体を引っ張る。それだけでゾロアークとトウコの身体は大きく右へと跳んだ。

 

 瞬間、先程までいた場所に大顎が現れた。地面を突き破って咲く花のように。

 

 ワルビアルの『かみつき』は回避できたが、その眼は未だに二匹の獲物を捉えている。

 

「………ヒッ」

 

 そして、トウコはワルビアルの顔がドス黒い笑みを浮かべているのを見た。まるで、生きの良い獲物を嬲って遊んでいるかのような喜悦がありありと浮かんでいる。

 

 

 未だ宙を舞うゾロアークたちの真下ーー。その地面に亀裂が入る。

 

『ーーツッ!?』

 

 地面が割れる。そこから飛び出したのは赤と黒の縞模様。ワルビアルの巨大な尻尾だ。

 ゾロアークは未だ空中。回避は不可能。

 

 ーーノーマルタイプ・変化技『まもる』

 

 ゾロアークはトウコを抱きしめるようにして身体を丸くする。

 

 そして、衝撃ーーッ!!

 

 ゾロアークの身体がーー丸まっている事も相まってーーまるでボールのように更に高い空へと打ち上げられる。

 

『ガーーッ』

 

 ゾロアークは口から大量の血を吐き出す。

 本来なら あの尻尾での打ち上げの衝撃程度、『まもる』で守られた身体は小揺るぎもしない。それでもある程度伝わってしまう衝撃はある。当然、本来ならーー万全の状態なら無視できる小さな衝撃だ。だが、損傷した臓器にはその小さな衝撃でさえ激痛を伴う。

 

 激痛による悲鳴を全力で嚙み殺しながらも、ゾロアークはトウコの安否を確認する。

 

「ーーーーーー。」

 

 トウコは無事のようだ。歯を食いしばってゾロアークに抱き着いている。

 

 尻尾で打ち上げられた力が重力に負けたのか、一瞬の浮遊感に遅れてゾロアークは下へと落ちる。

 

 その真下ではワルビアルが大口を開けて待っている。今度こそ回避は出来ない。

 

『………………チッ』

 

 回避が出来ない。……ならば迎撃するしかない。幸い、ワルビアルは油断しきり動かない。当然だ。動く必要が無いのだから。大きく開けた口の中に獲物が落ちてくるのを待てば良いだけの話なのだから。

 

 ならばーーこの状況でならば、足の負傷も関係無い。

 

 ゾロアークの右腕の爪を折り拳を作る。これがワルビアルを倒せる最初で最期のチャンスになるであろう。ならば後先なんて考えずに最大の一撃を叩き込む。

 

 それは数多のポケモンが保有する『わざ』の中で『はかいこうせん』に並ぶ最大火力を保有する一撃。

 

 トウコを抱えたゾロアークがワルビアルの大口の射程圏内に入る。

 

 それをワルビアルは感知し、口が閉じられる。

 

 そして、閉じ切る直前にゾロアークの右拳がワルビアルの上口の内部ーー硬口蓋に叩き込まれた。

 

 ーーノーマルタイプ・物理攻撃技『ギガインパクト』

 

 破砕音ッ!

 

 その一撃はワルビアルの硬口蓋を構成する上顎骨と口蓋骨を粉砕して吹き飛んだ。

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

 ゾロアークの一撃が巨大ワルビアルを吹き飛ばすのをロブは見ていた。

 

「なん、なんだよ………」

 

 ワルビアルはその衝撃に悲鳴すら上げる事が出来ずに自身で掘った穴へと押し戻され、落ちていく。

 

「なんなんだよッお前はッ!?」

 

 ロブは怒鳴る。そこに先程まで浮かべていた愉悦の笑みは無い。

 

「もう死にかけてんだろ?!虫の息なんだろッ?!足も折れてるじゃないかッ!!!……もう諦めろよッ。オレたちに捕まれよッ!いいや、とっとと くたばれ よッ!!」

 

 ーー認められない(・・・・・・)認めてなるものかよ(・・・・・・・・・)

 

 ーーそうで無いと……あの日のオレが惨め過ぎるだろうがッ

 

 ふと、思い出したかのようにロブはキルリアの横顔を覗く。その顔はコチラに気付いていない。ただただ、驚きの表情でゾロアークとトウコを見つめている。

 

「……クソッ!『役立たず(・・・・)』が!」

 

 ロブはキルリアを蹴り飛ばす。八つ当たりだ。

 

「……クソックソッ」

 

 ロブはキルリアを踏み付ける。

 それから暫く。そこには息の上がったロブの姿がある。キルリアは散々踏み付けられ地面に倒れている。

 

「……………もう良い、殺す。スポンサーも何もかも知った事か。あの『赤髪』はここで始末する。どうせ、あのジャジャ馬を制御なんて出来ねーんだ。お目付役共がもういない以上、誰もアイツを止められないッ」

 

 雨でベタリと張り付く髪を搔きあげてロブは否定する。

 

 ーーゾロアークという存在を。

 

 ーー惨めな過去の己を。

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

 ワルビアルは怒り狂っていた。

 

 ーーコロス、コロス、コロス、コロス……。

 

 ただの餌の分際でこのオレ様を傷つけやがった、と。

 

 今も口の中が激痛で狂いそうだ。

 

 先程のゾロアークの一撃は急所に入ったようだ。ワルビアルが保有する隠れ特性『いかりのつぼ』が効果を発揮し、ワルビアルの攻撃性、凶暴性が暴走しだしたように跳ね上がる。

 

 それはワルビアルにとって初めての屈辱だった。

 

 ーーカミコロス、クイコロス、『カミクダク』……ッ

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

 ーー仕留めそこなった、か……。

 

 ゾロアークは地下で断続的に発生する振動を感じ取っていた。きっと、ワルビアルが地下を掘り進んでいるのだろう。

 

 確かにワルビアルの骨を粉砕した感覚はあったが、それだけ。『ギガインパクト』が脳への致命傷を与え切れなかったようだ。それでも多少は入った衝撃で脳が揺れ 平衡感覚を失っているのか、滅茶苦茶に地下を掘り進んでいる。……………が、それも時間の問題。

 

 そして、ゾロアーク自身は両足に続いて右腕の骨も砕けた。もともと骨にヒビが入っていたのだ。反動付きの強力な一撃を無理に放てばどうなるかなど一目瞭然の話だ。上腕骨は無事だった為か辛うじて肩は上がるが、肘から先は完全に動かない。

 これでゾロアークはトウコを抱えて回避する事も出来なくなった。

 

 ゾロアーク一人ならそれでも抗い続けたのだろうが……。

 

 ゾロアークはコチラを見つめるトウコを視界に捉える。トウコの顔はゾロアークの安否を心配する表情で、いつもの快活な笑みは無い。

 

 ーーすまない。

 

 この状況ーーこの問題はゾロアーク自身が呼び込んだ物だ。追われている身でありながら この森から早々に立ち去らなかったゾロアークの怠慢だ。この小娘に落ち度なんて無い。全ての原因は彼女ではなくゾロアーク自身にある。小娘はその問題にただ巻き込まれただけ。

 

 ーー次で覚悟を決める必要がある。

 

 自分の身を守るか、小娘の身を守るか。

 

 最悪、小娘を咥えて回避する選択肢もあったが、その後はどうしようもない。『ギガインパクト』は一度きりの起死回生の一撃だった。流石に敵のワルビアルは二度目の機会をくれるような馬鹿ではあるまい。

 

 ーーならば、

 

 地下の振動が落ち着いた。出鱈目ではなく指向性を持ってコチラに近づいてくる。

 

 ーーゾロアークの左手がトウコの襟首を掴む。

 

 振動が少しづつ少しづつ大きくなる。

 

 ーーゾロアークの左手がトウコを横薙ぎのように投げる。

 

 ゾロアークがいる地面が砕け、鋭い歯が並んだ大顎が現れる。

 

 ーーあの小娘が何かを叫んだようだったが、もう……聞こえない。

 

 

 ーーあくタイプ・物理攻撃『かみくだく』

 

 

 ゾロアーク は 目の前が真っ暗になった。

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

「キツネさんッ!!」

 

 トウコは浮遊感と反転した視界の中で叫び、ゾロアークへと手を伸ばす。

 ゾロアークもトウコを投げた手をそのままにしており、お互いに手を伸ばしあっているように見える。

 

 ーー届かないッ

 

 当然だ。現に今もトウコの伸ばした手とゾロアークの伸ばした手が遠退いていく。

 

 そして、ゾロアークの姿がトウコの視界から消える。ワルビアルの鋭い牙によって。

 

 ーーガチン、と。

 

 

 トウコは地面へと落ちる。それでも衝撃は抑え切れず、ゴロゴロと地面を転がる。

 

「……う…….くっ………き、キツネさん、は……」

 

 衝撃から立ち直り、辺りを見回しながら立ち上がろうとするトウコの耳に、

 

 『ボトリ』

 

 という音がした。何かがトウコの間の前に落ちてきたのだ。

 

「え?」

 

 ーー何?、とは続かなかった。その『落ちてきた物』が目に入ってしまったから。

 

「……あ」

 

 それは黒灰色の体毛を生やしたーー。それは赤の三本の爪を生やしたーー。

 

「……い……いや……イヤ嫌………」

 

 ーーゾロアークの左腕だった。

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああッ」

 

 トウコの狂乱する悲鳴が雨音と共に響く。

 

 

ーto be continuedー




「………………………お前、やっぱ鬼だろ」
第一声がいきなり酷ぇ!!
「…………トラウマだわ、これは8歳の少女にはトラウマ物だわ」
い、いやでもね……?もうこれ、本来の予定狂いまくってるの!しょうがないの!!
「狂った先がコレな時点で……。いや、待て!お前、この作品のタイトルッ」
…………チッ、バレたか
「やっぱり鬼畜じゃねぇかッッ!!」

さて、次回の更新なんですが……ちょっといつになるか分からないです。
「おいッ!?話を逸らなッ!!」
………………(←指パチン)
『…………………』(←どこからともなく現れた 作者B)
「qあwせdrftgyふじこlpーー」
ちょっと自転車操業は誤字脱字の連発に違和感のある展開の出現などの問題で、幾ら何でもマズイと判断されました。
ですので、ある程度作り溜める期間を設けてから更新再開したいと思います。…………というかね。いい加減、魔女兵器のリセマラがしたいんじゃぁぁぁああああいッ!!w

あと、前回のエピソードを変更して、トウコちゃんはロブの魔の手から救われております。前書きにも書いておりますが、展開に違和感を持ったら読み返す事を推奨します。

それでは、その内!いつの日か!


今回の登場キャラクター
・ゾロアーク……Lv.55・♂・あくタイプ・保有技①とんぼがえり②にらみつける③にほんばれ④つめをとぐ⑤ローキック⑥かげぶんしん⑦みがわり⑧つばめがえし⑨まもる⑩ギガインパクト…………

・トウコ……Lv.ーー・♀・快活タイプ

・EGー86『Large Jaw』(巨大ワルビアル)……Lv.50・♂・あく&じめんタイプ・保有技①あなをほる②すなじごく③かみつく④かみくだく

・ロブ……Lv.ーー・♂・ダメ男&クズ男タイプ

・キルリア……Lv.23・♂・エスパータイプ
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