ポケットモンスター B&W another 〜隻腕の幻影 ゾロアーク〜   作:Mr.bot-8M6N

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1ー2 あの向こうに……②ーINTRUSIONー

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 俺は野生のポケモンである。名前はまだ無い。というか、興味が無いので一生付くことは無いだろう。

 ただ、人間の中で「ばけきつねポケモン」という分類と「ゾロアーク」という個体名称を与えられている事は知っている。

 特性「イリュージョン」を駆使して、他のポケモンや人間に化ける事ができる狐型のポケモン。それが俺であった。

 

 

ーー((( ○ )))ーー

 

 

 ゾロアークは人間の少女(ガキ)ミネズミ(ドブネズミ)が襲う所を木から別れた枝の上から見ていた。

 

 そこにいたのは本当に偶然だ。

 潜伏先を探し、彷徨っていた先に都合の良さそうな森を見つけた。その先で、人間の少女(ガキ)三匹のミネズミ(ドブネズミ)が襲っている所に出くわしたのだ。

 

『……チィッ!』

 

 その光景を見てイラつきがそのポケモンの中で生じた。

 

 ーーあのミネズミども……。よりにもよって人間を襲っていやがる。

 

 そのポケモンにとってそれはこれ以上無い程の最悪の状況だった。たとえ自身と縁も所縁も無い連中の所業であってもだ。問題は自身の眼前で繰り広げられているという事実だ。

 

 

 ゾロアークは野生のポケモンだ。しかし、他の野生ポケモンとは違い、人間社会の構造についての理解があった。

 

 人間という個体は戦闘面では弱いが、知能は高い。他の生物はしないであろう便利な道具の開発。他の生物と積極的に関わり従える。

 それだけで十分に脅威だ。しかし、ゾロアークが人間を過剰に恐れているのはそんな事ではない。いや、それらが人間の厄介さに拍車をかけているのだから全く無関係とは言えない。

 それでも、ゾロアークが人間を最も恐れる理由。それは「人間社会」という異常に広く大きい群れ(コミュニティ)だ。人間を除いた生物の群れの規模は個体ごとに変わってくるが、十匹前後が普通。どんなに多くても3桁を超える事はない。しかし、人間は違う。人間のコミュニティの規模は万とか億といった途方も無い数だ。おそらくこの世界のほぼ全ての人間がこの1つのコミュニティを形成している。

 

 例えば、ゾロアークが何かの生物と敵対するともれなくその敵対生物のコミュニティが全て敵に回る。そして、自身はコミュニティから孤立した一匹狼。よっぽど相手が間抜けか自分が上手く立ち回らないと確実に一対複数の事態に陥る。これが、人間以外なら戦うなり逃げるなりすればなんとかなる。幸い、ゾロアークは個体としての強さに恵まれている。

 しかし、人間の場合は違ってくる。特に個人ではなく社会が動くレベルになるとどうしようもない。一人を倒せば二人が。二人を倒せば四人が。四人を倒せばそれ以上の数が。まるでねずみ算のように規模を増やして延々と追い、襲ってくる。更に敵対した個体の情報は瞬く間に広がり、そこから調べ上げ、癖や弱点を研究して次が来る。

 

 ーーそんな物、相手をしていられるか!

 

 だから、そのゾロアークは今までの生涯で人間を傷付けた事は一度として無かった。自身を捕まえようとするトレーナーがいたら、手持ちのポケモンを瀕死に追いやるだけでそれ以上は何もしなかった。

 人間の恐ろしさを理解出来なかった馬鹿な過去の群れ(コミュニティ)の仲間は全て切り捨てて一匹狼になった。

 

 更に言うと、ゾロアークは今人間から追われている。

 人間社会全てではないが、数えるだけで億劫になる規模が動いている。別に何かをした訳ではないが、何処かの組織か好事家にでも目が留まってしまったのだろう。イッシュ地方では自身は非常に珍しいらしい。ついでに特性「イリュージョン」を携えたゾロアークを捕まえようとするポケモントレーナーは沢山いた。今回、その中でもかなり厄介な連中に狙われたのだ。

 

 それもほとぼりが冷めるまで何処かに隠れていたら解決するだろうと考えていた。

 奴らも馬鹿では無い。イッシュ地方東部に逃げ込んだ事は知られているだろう。ここに隠れているだけならいつか見つかる。しかし、複数の潜伏拠点を用意し、それらを飛び回っていたらいつかは警戒網が解ける。そのタイミングで別の場所に高飛びする。そういう算段を立てていた。

 

 

 だからこそ、目の前で起ころうとしている惨状に怒りしか覚える事が出来なかった。

 

 ここであの少女(ガキ)が死んだとなれば、その情報が人間社会中に広がる。そのほとんどは気にも留めないだろうが、ゾロアークを探してる連中はそうはならないだろう。

 確実に人を差し向けてくる。それは潜伏拠点を潰されるという事ただ。

 

 ーークソッタレがッ

 

 怒りで赤くなる視界をそのままに、ゾロアークは木から倒れるように落ちていった。

 

 

 

 ゾロアークの自身の長いタテガミをたなびく。

 

 どうやら、三匹のミネズミの内の一体が少女に襲いかかったようだ。わざわざ近づいてくれたのだ。遠慮する必要は無い。

 

 ゾロアークは、空中で巧みに身体を操り着地の姿勢を取る。

 

 空中で今まさに人間に襲いかかる直前だった一体のミネズミの体長50cm程の矮躯を両足で捉える。

 

 そして、ゾロアークはそのまま地面と自身を用い、鈍い音と共にミネズミを押し潰す。

 

 押し潰されたミネズミは小さな悲鳴の後、ピクピクと痙攣するのみで何の動きも見せない。ゾロアークの体重は80kg前後。そんな物が高い所から落ちてきて踏み潰す。瀕死だ。

 だが、容赦はしない。そのまま死体蹴りだと言わんばかりに腰を落とす。

 

 ーーむしタイプ・物理攻撃技 『とんぼがえり』

 

 ゾロアークが自身の化け物じみた跳躍力で後方に飛び上がる。踏み潰されたミネズミの矮躯はその衝撃に耐えかね、地面の上でバウンドしてもう一度地面に落ちる。もう、ピクリとも動かない。確実な絶命の手応えをゾロアークの足は伝える。

 

 そのまま、ゾロアークは少女の上で一回転バク宙をして、地面に降り立つ。

 

「…………ぽ、ポケモン?」

 

 倒れてから碌に動きを見せなかった少女の呟きが、ゾロアークの耳に届く。どうやら、無事のようだ。大きな外傷も無い。最悪の事態は回避できたようである。

 

『『ヂ、ヂィッ!!』』

 

 そう言えば、まだ二匹雑魚が居た、とゾロアークは思い出す。だが、今はそれよりもこの少女(ガキ)の方が優先だ。

 

 ーー……失せろ、雑魚ども。

 ーーノーマルタイプ・変化技 『にらみつける』

 

 殺意を込めた睨みに残りの二匹は動く事も喋る事も許されない。蛇に睨まれた蛙の如くその場で震える事しか出来ない。

 

 どれだけの時間が経ったのかミネズミは分からない。いや、時間を考える事さえ許されていない、というべきだろうか。

 

 突然、「フイッ」とゾロアークの視線が人間に移った。ただ金縛りのような視線から解放されたミネズミは先程自分達に追い回された人間の子供のように逃げ去る事しか出来なかった。

 

ーto be continuedー




投稿二話目なので気付かれて無いと思いますが、タイトル変更しました。何となくポケモンの映画タイトルっぽい?

登場キャラクター紹介
・トウコ……当時8歳の栗色の髪の毛の少女。作者が今までプレイしてきたゲームの中でガチで珍しく使った女主人公(これ以外だとFate/extraシリーズのザビ子だけ)。ぶっちゃけアニメポケモンを切ったのはイッシュ地方編で出番をアイリスに取られたから。

・ゾロアーク……黒の体毛と歌舞伎のような赤髪と顔の模様が特徴的な「ばけぎつねポケモン」。作者ポケモンシリーズで最推しのイケメンポケモン。戦闘描写を書いていると、技が4つとか少な過ぎて辛い……。もう使わせたい技が今の時点で6個あってどうしようか悩んでる。「1・2の……ポカン!」するにしても野生のポケモンだしなぁ……。
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