パーティーから追放されてからの成り上がりが流行っているらしいので俺も乗っかってみることにした   作:みずがめ

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俺と私だけのSSSRスキル

「最近、SSSRランクのスキルを持った冒険者が活躍しているらしいぞ」

「なんですかそれ?」

 

 後輩は頭に疑問符を浮かべながら首を傾げた。もうちょっとくらい表情が伴えば可愛げがあるんだけどな。

 

「SSSRランク? スキル? 一体なんなんですか?」

 

 うん、そういう反応になるよね。

 俺も最初はなんのこっちゃという反応だった。後輩の疑問はよくわかる。

 うわさを精査した結果、俺なりの解釈ができたのだ。

 

「SSSRランクってのはレア度、超絶激レアって意味だ。スキルは……特技ってことだろ」

「へぇ、そんなのどこから仕入れた情報なんですか?」

 

 この辺じゃあ知られてない情報だからな。というかスキルがどうとか意識したこともないし。おそらくそれが意識の違いってもんなんだろう。

 

「俺はネルと違ってたくさん交流があるからな。ここらじゃ知られてない情報だって知ってんだよ」

「……何気に私をバカにしましたね」

 

 後輩は静かに先輩の脛を蹴った。痛えよ!

 俺は優しい先輩なので後輩の暴挙を不問にしてやる。改めて話題へ戻る。

 

「つまりだ、誰もができないような特技があれば冒険者として大成できるってこった」

「はぁ……たとえばどんなです?」

「え……、たとえば……相手の攻撃を吸収したり、相手の能力をコピーしたり、相手のスキルをパクったりとかかな。その他いろいろあるみたいだがな」

「何それ怖いんですけど。そもそもそれって特技なんですか? 相手ありきになってますけど」

「うーん、俺も聞いただけで実際に見たことないし」

「先輩って役立たずですね」

 

 後輩が先輩に厳しい件。

 だが、このスキルとやらを考察したいのだ。そのために後輩の知恵を借りたい。俺は後輩を頼る先輩なのだ。

 なぜスキルにこだわるのか? それはパーティーから追放された奴がSSSRランクのスキルに覚醒して成り上がるといううわさを聞いたからだ。

 つまりだ、俺がパーティーから追放された時に必ず役に立つ代物なのである。今のうちにしっかりと考察しておいた方がいいだろう。

 ネルはふむと頷いて口を開いた。

 

「特技って言うなら、先輩料理得意じゃないですか」

 

 料理……、全然強そうじゃないな。ていうか戦闘スキルですらないし。

 

「いや、料理って言われてもな」

「ほら、先輩って動物どころか魔物ですら料理してましたよね。しかも美味しく作っていましたし。これって誰にでもマネできる特技じゃないと思います」

 

 今のパーティーに入る前は、俺とネルの二人だけで旅をしていた。

 その頃に金がない時には魔物を食べたりしていたのだ。今考えるとすごいサバイバルしてたな。

 

「ただ料理するならともかく、先輩なら魔物ですら料理できちゃうんですから。これってSSSRじゃないですか?」

「えー……」

 

 こんなSSSRは嫌だー。

 そもそも料理でどうやって成り上がりハーレムを築けるというのか。ここが重要なんだからな。とくにハーレム。

 料理屋でもやって繁盛するか。いや、冒険者パーティーから追放されて職種を変えるなんて負けな気がする。何に負けるかはわからんが。

 やはりスキルは冒険者として活躍できるものじゃないとな。そうなると……。

 自分の戦い方を思い返してみる。

 

「俺は僧侶だけど物理で戦える」

「戦闘力はエリックさん以下ですけどね」

「……その辺の僧侶よりも俺はヒーラーとして優秀」

「私の方がヒーラーとしてさらに優秀ですけどね」

 

 この後輩!

 いや待て、客観的に自分を知ることは重要だ。

 つまり俺は、そこそこ戦えて回復魔法が使えるオールマイティなキャラだ。……どっちかって言えば器用貧乏に聞こえるのは気のせいだろうか。

 このスタイルから導き出されるもの。俺のSSSRランクスキルとは!?

 

「そんなものは存在しません」

「俺の心を読むなぁ!!」

 

 後輩のくせに先輩に残酷な答えを言うんじゃねえよ!

 わかってるよ! 俺に都合のいいスキルなんてねえことくらいわかってんよ!

 でもさ、今まで気づかなかっただけとか。そういう希望がワンチャンあるんじゃないか? そう思うのは俺の勝手だろうが。

 

「先輩、まずは現実を見つめましょう。命の危険と隣り合わせの冒険者は自身の実力を過大評価も過小評価もしてはならない。そう言ったのは先輩ですよ」

「……」

 

 俺、そんなこと言ってたんだ……。

 ああ、昔ネルがまだ素直に俺の言うことを聞いていた時にカッコつけてそんなこと言ったかも。よくもまあ覚えていたもんだ。

 

「それに」

 

 と、後輩は続ける。

 

「先輩は私にとってたった一人の先輩ですから。それはSSSRよりも貴重です。超がいくらついても足りないくらいの激レアです」

「そ、そうか……?」

「はい」

 

 なんか、すごく恥ずかしいことを言われた気がする。

 ちょっと後輩を見れなくて、顔を明後日の方向に向けてしまう。こいつはこいつで恥ずかしくないのかよ? チラリと横目で確認すれば、いつもの表情の乏しい顔があるだけだった。

 

「だからいっしょにがんばりましょう。いつかきっと先輩の求めるスキルが身につきますから」

「……そうだな」

 

 この後輩、実は俺をコントロールするスキルがあるのかもしれんな。

 まったく……まあ、俺の後輩だし? 仕方ねえか。

 今回は後輩に免じて納得してやろう。俺は寛大な先輩なんだからな。

 

 

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