三大怨霊が一角将門公が復活し、江戸が大火に包まれた。各本丸は早急に出陣すべし。

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落首事変

大手町にある首塚

 

新宿にある鎧神社

 

千代田区にある筑土神社

 

同じく千代田区にある神田明神

 

一夜にしてその存在が消失、あるいは由来となる伝承、祀る対象が改変されるという事変が起こった。緊急の通達となる意味をこんのすけに聞いた審神者は、血の気がひいたのである。政府へ指示を仰ぐ審神者たち。だが改変されてしまった歴史の前に、その対応策を講じられる人間がいないという最悪の状況となっていた。政府が対応に右往左往する中、歴史改変による惨禍に飲まれたのは江戸時代だった。

 

政府からの通達により、江戸時代に転移した審神者と刀剣男士を待っていたのは、瘴気に包まれた魔都・江戸の姿である。空は曇天に包まれ、すさまじい数の怨霊と化した武将達により焼き討ちにされた江戸は、大火に包まれていた。逃げ惑う人々、そして無残にも転がる亡骸、何もかもが壊滅してしまった江戸で、刀剣男士たちはおぞましい男の声を聞いた。

 

「躯(からだ)をつけて一戦(いくさ)せん!俺の胴はどこだ!」

 

戦慄が走る。

 

自らが受けた仕打ちに憎しみを持ち、祟りをする強大な悪霊。古来より日本は彼らを神として祀ることでその憎しみを押さえてきた。歴史改変によりその鎮守の歴史すら抹消されてしまった今、彼らの怒りを納めるものはなにもないのである。その悪霊は徳川家康が江戸の霊的な守護を願うために様々な神社を建てたことで知られ、同時に朝廷に対する牽制としてその方位の守護を任せたといわれていた。江戸の守護神としての鎮守の歴史を抹消された今、この悪霊は三大怨霊が一角、平将門として顕在化してしまったのだった。

 

その呪詛を絶つべく戦地に赴いた刀剣男士たちだったが、怨霊が君臨する江戸城への行く手を阻む一人の男がいた。

 

「生も死も裏表。生きて逝きては星巡り。天あり地あり人ありて各かく交わるここが狭間ってな。さあて、来たりて往かんとする貴様は何者だ。名を名乗れ」

 

将門の文様が刻まれた布をはためかせ、天皇家しか使うことを許されていなかった色を用いた武具、着物に身を包んだ玲瓏な男だ。騎馬隊を率い、その目は貪欲さに満ちている。進み出たのは部隊長を任されていた小烏丸だった。

 

「運命はここに巡り来る。まさか時を超え、再び相まみえる時が来るとは思わなかったぞ、将門の太刀よ」

 

「その声は小烏丸か」

 

「いかにも。我が名は小烏丸。外敵と戦うことが我が運命、千年経ってもそれは変わらぬ」

 

ふ、と将門の太刀と言われた男は笑った。

 

「俺と貴様は死合うが定めみてえだな。我が主は新たなる躯(からだ)をお求めだ。貴様が従う主の躯(からだ)はさぞ馴染むだろうさ。さあ、差し出せ」

 

「ふん、我と同じ日本刀の生まれいづる時代の剣にも関わらず、相も変わらず蛮勇な男よな」

 

「その上っ面がきにいらねえんだよ、昔からな」

 

「ならば来い、ゲスが。大将首は昔から一番の誉れよ。あのときのように、汝の主ごと獄門に晒してくれる」

 

「はははっ、珍奇にして愉快なことを言う!良かろう、試してみようか!あのときと同じかどうかをな!」

 

ごう、と風が薙ぎ払われる音がする。巨大な太刀を振り回し、男は怪しげな呪詛を唱える。同じ出で立ちをした男が並ぶ。戦禍がきっておとされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「主よ、気は確かか?外都鬼王の邪気にあてられたのではあるまいな?」

 

訝しげに眉をひそめる小烏丸に審神者は大丈夫だと返した。そして、こんのすけから受け取ったばかりの書を小烏丸に渡す。不慣れな文字並びに少々戸惑いながら、顕在化したときに流入してきた知識を頼りに読み進めていった彼の表情はだんだんと平常のものに戻っていった。

 

歴史改変により三大怨霊が一角、平将門の怨霊が復活してしまうという前代未聞の事変から早数ヶ月。数多の本丸の協力、原因究明と事態の沈静化に全力を注いだ時の政府の尽力により、一度は大火に包まれた江戸時代は太平の時代に復元することができた。こんのすけから届いたのは、今回の事変の最終報告書と将門の太刀を名乗る刀剣男士を屠ったこの本丸に対する謝礼だった。怨霊将門の本拠地への突破口を切り開いたのはまぎれもなくこの男である。小烏丸の名は、桓武天皇の時代に伊勢神宮により遣わされた大鴉の羽からもたらされたという伝承に由来する。後に平将門、藤原純友らの反乱を鎮圧するために天皇から拝領し、以後平家一門の家宝となった経緯がある。なにせ兵法により分身の術が使える将門をその文様である鎧の鳥の造形の有無により本体を看破し、斬首したという異説から小烏丸と呼ばれるようになったくらいだ。もとよりあの刀剣男士と相性はよかったのだとのちに本人は語る。

 

正史では平貞盛率いる朝廷軍によって討たれた将門の死後、将門の太刀と呼ばれる数多の刀は一切伝わっていない。朝廷に真正面から刃向かうという天変地異を起こした大犯罪人の末路である、当然といえば当然といえた。だが、歴史改変者が将門が東京の鎮守神として祀られるまでの歴史をすべて改変する過程で、破壊されたはずの太刀を回収した歴史改変者は、三大怨霊の眷属として復活させることを選んだのである。それが現世に伝わっていないはずの刀が刀剣男士として顕現する理由だったらしい。ただ平将門は日本刀を初めて作らせたという説がある武将だ、いくつも候補となりそうな太刀はあったはずだが今回確認できたのはあの刀剣男士だけだったという報告が上がっている。ほかにも顕現している可能性があるため調査は継続するらしい。ふむ、と小烏丸は書を審神者に返しながらいった。

 

「あの男はかつての日の本で刀鍛冶を担っていた地域の王ゆえな、騎馬隊も刀の鋳造もすさまじいものがあった。ほかに顕現できる刀は居ろうな。だが安心するがいい。我は朝敵を討つために時の天皇から将に与えられてきた太刀よ。主がその将なれば、負けることなど万に一つもありはせぬ」

 

期待している、と審神者は言う。小烏丸は満足げにうなずいた。書を小箱に入れながら、審神者は冒頭の言葉を蒸し返す。報酬の一つには、徳川家康が東京の方位を守る守護神として祀られた正史を取り戻せた功績として、歴史改変者の本拠地から奪還した本体を祓い、あるべき神宮に奉ったおかげであの刀剣男士が顕現可能になったという知らせがあった。あの敵を討った小烏丸を率いる本丸だ、東京の守護神の加護がある刀として顕現できる特権は与えられて当然である。だから審神者は言ったのだ。将門の太刀を顕現させたいと。小烏丸は書状を見て納得したとはいえ、不用意な言葉だったから驚いただけだと返した。

 

「あやつは我と同じ日本刀の開祖たる名工「天国」の作ゆえな、霊力は桁違いぞ。祓われたとはいえ、三大怨霊が一角の太刀。念には念をいれるべきであろう。主よ、大物主の力を借りるべきではないか?」

 

まさかの兄弟刀か、と口走った審神者に、小烏丸はおぞましいことを言うなと怒る。方や日本刀を初めて作ったとされる名工、方や日本刀を初めて作らせたとされる武将である。まして平将門が治めていた地域は、かつて鉄の鋳造を一手に担っていたところなのだ。なにも不思議なことはない。天皇家に向けて献上される、当時の統治者に向けて献上される、天国がどのような心境で打ったかはわからないが、そもそも小烏丸は献上される前彼に会ったことはないらしい。朝敵を討つ上で、その正体を把握するのは当然のこと。天国の打った刀を平将門が持っているらしい、ということしか知らないが、刀剣男士として顕在化した今、その霊力は刀工により大きく変わる。いやでもわかるというものだ。今にも抜刀しそうなほど嫌悪感をあらわにしている小烏丸に、審神者は失言を認めて謝罪した。そして聞くのだ。大物主とは。

 

「天国の守護神よ。名工が同じ故、その霊力は親和性が高いはず。分霊を降ろすならば、悪くはないはずだ。もとは大国主の和魂ゆえな、なおさら」

 

ふふと小烏丸は笑う。

 

「荒魂を我らの荒々しい側面、荒ぶる魂の側面のこと。天変地異を引き起こし、病を流行らせ、人の心を荒廃させて戦に駆り立てる。祟りはその最たるもの。これに対し、和魂は日の恵みといった我らの優しく平和な側面よ。加護はその最たるもの。主は将門の太刀の和魂たる付喪神を呼びたいのであろう?ならば、刀工が信仰していた神が大国神の和魂ならばその力を借りるのは当然であろう?古来より人は我らの怒りを静め、荒魂を和魂に変えるために供物を捧げ、儀式や祭りを行ってきたのだから、その極端な二面性を介してこそ信仰の根源よ。降ろすならば誠意を見せれば牙は向かわぬ。万が一楯突くようならあのときのように折るまでよ」

 

子供にあるまじき笑みを浮かべる小烏丸に、審神者は乾いた笑いしか浮かばないのだった。

 

こんのすけに小烏丸の進言を伝えた審神者は、天国の伝承が残されている幾つかの地域にいくことを許可された。ちなみに将門の太刀をうつために参拝してくる、と夕餉の席でいったところ、水を打ったように静まりかえったことは余談である。2200年生まれの審神者は平将門が三大怨霊と呼ばれる理由をさきの事変ではじめて知るような無頓着さが目立つ。それを知っているからこそ、政府にていのいい実験体にされているのでは、というあらぬ誤解から初期刀である山姥切国広がこんのすけを詰問したのは別の話である。結局、本丸が落ち着きを取り戻すには数日を要したのだった。

 

すでに消滅した集落にどこかさみしそうな小烏丸だったが、合祀されて今は無人となっている元神社に井戸が幸い残っていたためそこの水を持って帰ることにした。天国が刀を打つのに使った井戸の伝承は各地に点在しており、念には念を入れ、いくつか周り、井戸水を汲んだ。この水で刀を打ったらしい。そしてその合祀先である神社にも参拝したのだった。もちろん、首塚と神田明神への参拝も行う。

 

ようやく帰還した審神者は、さっそく井戸水を手土産に刀鍛冶場に向かう。

 

すぐ隣の部屋では、なにがあってもいいように、と遠征にいくのでもないのに仰々しい武装に身を固めた男達が待っている。入り口を錬度が高い者で固め、もちろん近侍は小烏丸である。大げさすぎると未だにやろうとしている重大性をいまいち認識しきれないまま、審神者はいつになく緊張気味の刀鍛冶たちと共に書を広げる。政府から教えてもらったレシピ通りに材料を用意し、水は現世から持ち帰ったものを用意し、天国の守護神を神棚に。小烏丸の言うとおりに様々なことをこなし、彼は作業を開始した。やけに4が並ぶ。不吉な数字は怨霊が故だろうか。鍛冶の時間すら4が並ぶともはや薄ら寒くなってくるが、さいわい邪気は感じないと小烏丸は言う。審神者は集中した。

 

 

「生も死も裏表、生きて逝きては星巡りってな。俺は将門の太刀。アンタも俺の守護を受けたいってか?」

 

 

敵として顕在化していたころの将門の太刀は、まがまがしい色をした鎧に身を包んだ男だったが、今ここにいるのは太刀を腰に据えた陰陽師の装束をした男である。ただ烏帽子はかぶっておらず、長髪を無作為に束ねたのは落ち武者になった主の模倣だろうか。呪詛に疎い審神者でもわかる。この刀剣男士は安全だと。ほっと胸をなで下ろした彼だったが、将門の太刀は隣にいる小烏丸を見て、口元をつりあげた。

 

 

「はははっ!死合いしたってのに、かつての怨霊に助力を請うとは貴様の主は肝が据わっているのか、阿呆なのか。どちらだ、小烏丸?」

 

「阿呆ならば、ここまで慕う者は集わんさ」

 

「ほお?」

 

「今は見逃してやるが、その敬意のない物言いは慎め、将門の。目に余るならばまた折るまでよ」

 

「三度はさすがに古刀には堪えるからやめろ。相分かった、この力、アンタのために奮わせてもらう。今後ともよろしく」

 

 

審神者は差し出された手をしっかりと握ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「……こいつが酒?水じゃ、ねえよなあ?」

 

審神者から受け取った徳利をすんと嗅いだ将門の太刀は、酒の香りがする、とそれはもう狐に化かされたかのごとく不思議がっている。澄み切ったきれいな液体で満たされたお猪口片手に、はー、と言いながらそれを眺めていた。審神者は思わず笑ってしまう。江戸時代より前に作られた刀剣男士は必ずこの反応をするのだ。小烏丸は宮中の席で清酒に近い製造方法をとったと思われる澄み切った色の日本酒を見たことがあったそうだが、たいていは濁りが残るどぶろくのような安酒がなじみ深かったという。天上人だけが口にすることを許されていた最高級品だったのだ、口にできた者は相当少ないに違いない。どうやら将門の太刀は後者にあたるようだ。まして彼は平安時代から鎌倉時代にかけての過渡期の太刀である、そんな高級品を口にするような機会はなかったに違いない。おそるおそる口に含んだ将門の太刀は、んー、と声をあげる。

 

「こいつはすげえな、主。これは効くぞ」

 

小烏丸が口にしたことがある当時の清酒は、雑味を消すことができず、味醂のようにこってりとしたものだったようだから、万が一将門が口にしたことがあるとしても、今の日本酒とは似て非なるものである。アルコール度数は間違いなくこちらの方が上だ。宴会になるたび、顕現した刀剣男士に日本酒を振る舞うのが審神者はなによりの楽しみだった。反応がとても楽しみなのだ。残念ながらこんな初々しい反応ははじめだけ、みんなすっかりこの時代の日本酒になれきってしまい、どんどん熱燗、冷酒、酒の種類にうるさくなっていく。次郎太刀、歌仙、短刀たち、と似たようなプロセスを踏んできた手前、将門の太刀もきっとそのうち催促が頻繁になるに違いない。そんな先のことはまだいい。審神者は酒を注ぐ。

 

今は冬だ、酒と料理に温度差があってはいけない。鍋と決まった時点で、熱燗一択である。みんなでテーブルを囲い、箸をつつく光景を目にしたとき、将門の太刀は目を丸くして固まっていた。そりゃそうだ、彼の時代は小さな鍋が各自に用意され、小鉢によそって食べたそうだから。そんないいところの料亭みたいな夕餉、できるわけがないだろう、ともはや開き直っている審神者である。郷においては郷に従えとばかりに将門の太刀を案内する。鍋奉行を気取る燭台切や歌仙からよそってもらった器の具材を肴に、審神者からついでもらった日本酒を口にする。将門の太刀はどう見ても水にしか見えない不思議な液体に舌鼓を打っていたが、そのうち口数が少なくなってきた。

 

「下戸じゃねえとは思っていたが、どうやら見当違いだったらしいな。こいつはまずい」

 

気にするな、と審神者は笑う。平安時代の刀剣男士たちから聞いていた宴会の内容を聞く限り、将門の太刀はこんなところでつぶれるような付喪神には思えない。人間の姿、形に顕在化してから初めての宴会である。まだ体が馴染みきっていないのだ。それはどんな刀剣男士でも通ってきた道である。そのうち慣れてくれば、どんどん酒がうまくなってくるはずだ。そしてその頃には飲み比べに参戦することができるようになる。席の向こう側でどんちゃん騒ぎをはじめた次郎太刀たちを眺め見て、審神者は肩をすくませるのだ。後片付けが大変だから節度を守ってほしいのが本音だがとも。

 

「へえ、そうかい。そいつはいいことを聞いた。なら、今はこいつを楽しむとするか」

 

それがいい、と審神者はうなずく。そして聞くのだ。今日の初陣で誉れをとった報酬は何がほしいかと。

 

「ははは、愉快愉快!アンタはよくわかっているようで安心したぞ、主よ。そうさな、俺はあれだ。あれがほしい」

 

あれ、と将門の太刀が指さすのは鎮座している巨大なテレビである。土地、金、女、いろんな報酬を聞いてきた審神者だが、テレビを指さされたのは初めてである。さすがに突拍子がなさ過ぎて聞き返すしかない。テレビか、と聞いた審神者に、将門の太刀は首を振る。審神者に疑問符が飛んだ。

 

「あのてれびとかいうやつで、見れると聞いたぞ。あれに映し出す演劇を」

 

ドラマのことだろうか。

 

「ああ、そうだ、どらまだったか。大河どらま、とかいうやつがみたい」

 

どこで得た知識だとさすがに審神者は聞いた。意味が分からなさすぎる。

 

「俺は将門公の和魂の分霊よ。そして神田明神に俺の本体が奉納されてからは、参拝にくる人々の声を聞いていた。むろん、主が参拝に来てくれた姿、しっかりと目に焼き付けている。だからこそ、俺は降りる気になったんだからな」

 

みてたのか、と審神者はどこか気恥ずかしそうだ。くつりと笑った将門の太刀は続ける。

 

「今に至るまでの変遷も、将門公から受け取っておる。それでな、大河どらま、とかいうやつのおかげで、110年も遷座させられていたのが神田明神に奉祀されたと聞いて興味がわいたのよ」

 

は?と返したのは無理もない。もとよりこの審神者、歴史改変により昨日と今日の日本史の内容が違う、という世界で生きてきた若人だ。日本人なのに、日本人の歩んできた歴史がわからない、というあまりにも不運な時代に生まれてしまった。だから前時代の人間よりも日本史に対する知識があまりにもすっぽぬけていた。刀剣男士たちの体験談をきくことでようやく歴史について学んでいるような有様なのである。だからこそ審神者という職業が生まれたし、歴史改変者という宿敵を政府が根絶しようと立ち上がったのだから、業が深い。いわば歴史改変の犠牲者といえた。きょとんとしている審神者に、将門の太刀は続けるのだ。

 

「江戸から明治にかけて、大きく歴史が動いたことは知っておろう?」

 

こくりと審神者はうなずく。さすがにそれはわかる。歴史改変者は明治時代以降に手を出した事例はないのだ、今のところ。

 

「幕府から朝廷に政治の中心が動くとき、将門公は朝敵故に神田明神にはふさわしくないと遷座、つまりは新たに社をたて、そちらに移された時期があったのよ。それから110年、大河どらまで、将門公と貞盛を主役にした演劇が大流行りしたそうでな。将門公を神田明神にという大衆の声があり、また将門公を東国の英雄だとする声があり、ふたたび奉祀されたらしい」

 

あいた口がふさがらないとはこのことだ。大河ドラマで?そんなことありえるんだろうか。

 

「神田明神に参拝する人々の中には、そのどらまの賛同者が多くてな。気になってたまらんのだ、主。見せてはもらえないか?」

 

そんなこといわれて断れる審神者はおそらくいないだろう。調べてみる、と端末を取り出した審神者を興味深げにみていた将門の太刀である。

 

「我と仲良くしている創作の入った演劇で、折られる悲劇が見たいとは。相も変わらず、変わった男よな、将門の」

 

ふふ、と小烏丸が笑う。はた、と我に返ったらしい将門の太刀は、あからさまに顔をゆがめた。

 

「ああ、しまった。貞盛と将門公が主役という話だったな!青春時代を共にしたという創作が入っているのなら、間違いなく俺達は兄弟刀という設定になっている!ああくそ、小烏丸貴様余計なことを!」

 

「おぞましい演劇を流される悲劇を阻止したまでよ、むしろ感謝してもいいのだぞ?」

 

「黙れ、小烏丸。俺が感謝だと?背筋が凍るわ!」

 

二振りの言い合いをみながら、審神者はさっき注文したと爆弾を投下する。ぎょっとした将門の太刀である。撤回を申し出るが却下される。初陣の報酬である。問答無用で視聴が義務づけられるだろう、悶絶する彼に審神者は声を上げて笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刀剣男士「将門の太刀(まさかどのたち)」

 

刀種 太刀

 

関係ある刀剣男士 小烏丸(将門を討った刀が同名)

 

入手条件  20XX年のイベント「落首事変」にて報酬に設定。

有力レシピ 小烏丸を近侍にした状態でオール444

ステータス情報 特レベル25

初期ステータス

生存 低

打撃 高

統率 高

機動 中

衝力 高

必殺 中

偵察 中

穏藪 低

 

ステータスの特徴

・生存の初期値が太刀の中で最低値

・打撃と統率と衝力が高く、機動は膝丸にわずかに及ばない。

 

回想情報  題「獄門の太刀」

小烏丸と共に江戸に出陣することにより回収可能。

 

台詞

ロード中 刀剣乱舞

ロード完了 刀剣乱舞、いざ参る!

ゲーム開始 星々の示すまま、すべては巡る

入手時 生も死も裏表生きて逝きては星巡りってな。俺は将門の太刀。アンタも俺の守護を受けたいってか?

本丸 ①死合いしたってのに無駄話とは奇異な申し出だな。いいぜ、相応の対価はあんだろうな?

   ②はははっ、これぞ珍奇ってか!愉快愉快!興が乗ってきたな、どれ、俺も

   ③かつての怨霊に慈悲を請うとはなかなかに興味深いな?望みはなんだ?

   ④・・・・・・なっ、なん・・・これがアンタの望みか?

   ⑤汝も眠り、星も眠るか。示したるはつかの間の安息。ならば慈悲が相応か

結成  はははっ、妖刀に後進を見守れと?

隊長指名 これがアンタの望みだというのか・・・?

刀装  ①ならば試してみようか、アンタの捧げ物を

    ②はははっ、良かろう、試してみようか!

    ③いいだろう、もらい受ける

出陣 いざ死合わん

資源マス なかなかどうして悪くねえな、この言い知れぬ満足感はよ!

ボスマス 星の巡りに隷属せし者よ 引け、目障りだ

索敵時 さあ、アンタの力見せてもらうぞ

白刃戦 ①貴様の命もらい受ける

    ②つきあえねえってか!ならば死するが相応だ!

演舞 さあ、死合いの中に何を見る。いざ体感せよ三大怨霊が一角の太刀をな!

攻撃 ①わかった もう結構だ

   ②引け 目障りだ

会心の一撃 さあ選べ すべては星々の示すがままに

軽傷 ①む・・・

   ②俺としたことが

中傷 重傷 さすがだな・・・・!

真剣必殺 主は新たな躯(からだ)を求めているのだ、差し出せ

一騎打ち 俺と貴様は死合うが定め!

MVP この誉れもらい受ける

ランクアップ 理想と生き様に相違ありってな まだまだ精進が足りねえ

馬当番 開始 馬は戦を左右する。大事な戦力よ

    終了 これでよし、おまえ達も励めよ

畑当番 開始 まさか畑を耕す日が来るとはな

    終了 なかなかどうして悪くない

手合わせ 開始 いざ体感せよ、妖が太刀を

     終了 やはり邪気が物足りぬ

刀装制作 悪いことは言わねえ、別の者に頼め

手入れ 軽傷 はは、元は失われし太刀よ、気にするな

    中傷 古刀ゆえにすぐガタがきていけない

連結 ・・・・・・ありがたい

戦績 これがアンタの実績か

万屋 この妖を連れ立つんだ、相応の対価はあろうな?

破壊時 はは、そうだ、これだ、俺はこのときを待っていたっ・・・!願わくばこの次もアンタのような主に仕え・・・   

 

 

 



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