転生したら原初だった件   作:レックスムーン

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白氷宮

北の大陸、そこは永久凍土の氷原に囲まれた氷雪吹きすさぶ極寒の大陸。

 

ほぼ全ての生物の生存を許さぬ大地の中心部に、その城は屹立している。

 

美しく幻想的なその宮殿の名は白氷宮と呼び、その主は魔王ギィ・クリムゾンである。

 

謁見の間の奥にある玉座に座っているギィの両隣には暗紅色のメイド服を身に纏う二体の悪魔公(デーモンロード)が控えている。

 

その二体の悪魔公(デーモンロード)は俺がかつて戦い勝利した原初の緑(ヴェール)原初の青(ブルー)だ。

 

ギィは原初の緑(ヴェール)にはミザリー、原初の青(ブルー)にはレインと名付けて配下に加えた。

 

この二人こそが魔王ギィ・クリムゾンの代弁者である。

 

「お前がここに来るのは珍しいな、原初の橙(オランジェ)。」

 

玉座から立ち上がり目の前にやって来てそう言って来るギィに対して俺は不機嫌になりながらこう言った。

 

「その呼び方は止めろ、俺はベーゼ=テンペストという"名"を得た。」

 

俺の言葉にギィは目を見開かせながら驚く。

 

「マジかよ、お前もついに名持ちになったんだな!!」

 

「あぁ、進化もしたしな。」

 

「へぇ、それでここに来た理由は何だ?」

 

ギィは笑みを深めながらそう聞いて来る。

 

「少し身体を動かしたくてな。」

 

俺がそう言った瞬間、ギィから鋭い蹴りが飛んでくるがその蹴りには蹴りで応じ、ぶつかり合うと凄まじい衝撃波が生まれた。

 

その衝撃波はこの白氷宮を揺らすほどだ。

 

「ほう、俺様の蹴りを止めるとはな・・・。」

 

そう言いながら更に笑みを深めるギィは俺に対してこう言って来る。

 

「進化したのはいいが、人間共の国でも滅ぼしたのか?」

 

そう聞いて来るギィに対して俺はこう言った。

 

「お前に教えることは何も無い。」

 

「なんだよ、つれねぇじゃねぇか。俺様とお前の仲だろ?」

 

そう言いながら俺の肩を組んでくるギィの腕を弾き、こう言った。

 

「ギィ、この事に関しては俺は話すつもりは無いぞ。」

 

そう言いながら睨むと、ギィはこう言って来る。

 

「へぇ、お前がそこまで言うなんて珍しいじゃねぇか。ますます興味が湧いた。茶でも飲んで行けよ。」

 

そうやってギィと共にこの白の最上階にある氷のテラスにへと入り、氷で作られた椅子に腰かける。

 

これまた氷のテーブルが出現し、レインがお茶を並べ始める。

 

ミザリーはテラスの入り口で無言で立っていた。

 

すると、ギィはこう言って来る。

 

「そういえば"暴風竜"ヴェルドラが消滅したみてぇだな。」

 

「そうみたいだな、ジュラの大森林で顕現したらヴェルドラの気配が完全に消え失せていた。」

 

「なら、消滅したってのは本当みてぇだな。」

 

そうやって話していると、ある女性がテラスに姿を現した。

 

「あら、その話あたしも詳しく聞きたいですわね。」

 

その女性はギィの許可を得ず自由に歩き喋る事の出来る存在。

 

白磁の様に真っ白い肌に冷たく光る妖しい深海色(ブルーダイアモンド)の瞳に真珠色(パールホワイト)の髪にひときわ目を引く薄紅色(ターファイト)の唇を持つこの美女は人間ではない。

 

魔王ギィ・クリムゾンの相棒にして最強の"竜種"が一体"白氷竜"ヴェルザード。

 

つまり、俺と同様にギィとは同格である。

 

「久しぶりだな、ヴェルザード。」

 

「えぇ、原初の橙(オランジェ)。本当に久しぶりね、ここに来たのは何百年前かしら?」

 

「その呼び方は止めろ、今の俺にはベーゼ=テンペストって名前がある。そういう話はしたくねぇな、それで地雷を踏み抜きたくねぇし。」

 

そう、女性に年齢の話は禁句だ。

 

「あら、それはごめんなさいベーゼ。それであの子が消滅したって話だけど・・・。」

 

「それならうまく説明出来ねぇぞ、俺だって全てを知ってるわけじゃねぇからな。」

 

俺はジュラの大森林で感じたこと(リムルの事は抜いて)をギィとヴェルザードに話した。

 

「そうか、それなら今頃ジュラの大森林では勢力争いの真っただ中だな。」

 

「あぁ、そうだな。」

 

ギィの言葉に俺はそう言って紅茶を一口飲む。

 

・・・ん?

 

確か、ヴェルドラがジュラの大森林の守護神みたいな役割をしてたんだっけ?

 

「{告、暴風竜ヴェルドラの消失によりジュラの大森林は大鬼(オーガ)豚頭(オーク)蜥蜴人(リザードマン)による勢力争いの発生が大いに予測されます。そして、ゴブリンなどの弱い魔物は淘汰されるでしょう。}」

 

・・・マジか、これリムルの奴巻き込まれてないよな?

 

「{告、その可能性は無きにしも非ずです。}」

 

あっ、巻き込まれるかもしれないってことね。

 

ヤベッ、そう考えたら不安になって来た。

 

幾らあいつが転生者でも、スライムだから対処出来ない事が多いんじゃないのか?

 

「{告、個体名:リムル=テンペストに対するその心配は必要はありません。}」

 

心配無いってことは何かあるって事か、じゃあもうちょいゆっくりしていこうかな。

 

そこまで考え終えると、ギィがこう言って来る。

 

「オイ、ベーゼお前俺の話聞いてたか?」

 

「いや、全く。」

 

「ちゃんと聞いとけよ、ったく!お前、これからどうするつもりなんだ?」

 

「これから・・・、それはどういう意味だ?」

 

ギィの言葉に俺は疑問に思って問い返す。

 

「まぁ、簡単な話だ。お前、進化したのにまた精神世界に戻るつもりか?」

 

「しばらくは現世にいるつもりだ、それに何体かに名付けをして配下に加えるつもりだ。」

 

「そうか。なら、お前魔王になる気は無いか?」

 

そう言って来るギィは不敵な笑みを浮かべていた。

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