ABOUT THE BLANK   作:ようぐそうとほうとふ

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ホワイト・アルバムVSオアシス

1998年 11月

 

 娼婦の殺人依頼を淡々と遂行していたヴォート・ブランクを尋問した後、ムーロロは彼の身柄を預かった。

 外は雨が降っていた。ブランクはくたびれたパーカーしか着ていなくてとても寒そうに見えるが、本人はそういう素振りはない。

 

「…なんか食うか?」

 ムーロロの問いかけに返事はなかった。

「腹減ってないのか」

 質問の仕方が悪いらしい。とりあえず反応を得るため、もっとわかりやすい質問にかえた。

「名前はなんだっけ?」

「…ぶらんく…」

「変な名前。…ってオレほどじゃあないか。ブランク、お前家は?」

「ない」

「家族は?年いくつだ?行くところはあんのか?」

「ない。わからない。ない」

「ないない尽くしだなァお前」

「僕は空っぽだから…」

 ブランクはそう呟いて黙ってしまう。なんだか空とか言ってるわりには寂しそうな雰囲気だった。

「…なあ、お前のスタンドはさっき言ってたデス13であってるよな?あれはどういう…」

「ちがう」

「え?」

「僕のスタンドは、みざるー…」

「でもさっきデス13って…」

「それは、コピーした能力の名前」

「コピー?」

 ブランクはたどたどしく自分のスタンド能力を説明した。

 スタンド発動中の本体に触れると能力をコピーすること。恩人に連れられて何人かの能力をコピーしていること。

 ムーロロはブランクを行きつけのリストランテへ連れて行った。潰れるのも時間の問題ってくらいに寂れているが、ここのスパゲッティは絶品だった。

 

「美味いか」

「…味、よくわからない」

「じゃあこれが美味いって味だ!わかったか?」

 ブランクは口に詰め込んだスパゲッティを飲み込んでから頷いた。

「笑ってみ」

 ブランクは口の端をぎゅっと吊り上げてみた。とてつもなく苦いもんでも食べたのかってくらい眉間にシワが寄っている。

「ブサイクだな〜!お前の恩人?そういうのは教えてくれなかったのか」

「おんじん…僕を捨てた」

「おや」

 ブランクはとても悲しそうだった。ぱっと見は青年のようだったのに、その表情はまるで幼児みたいだ。

「僕は…なれなかったから。でぃおに…」

「…ふうん。よくわかんねーけど…期待にそえずに捨てられるなんてよくある話だから気にすんなって」

 ブランクは一度黙った。そしてフォークにパスタを巻き終えるとムーロロに問いかけた。

「……僕はこれから何をすればいいですか」

「そうだな…まずは、それを食い終えて、デザートを食べよう」

 

 ブランクは頷き、スパゲッティを食べた。デザートのパンナコッタも完食した。なんやかんや腹は減っていたらしい。

 

「お前に命令が必要なら、オレが出してやるよ」

 その言葉を聞いてブランクはほのかに嬉しそうだった。

「わかった。従う」

「物を覚えるのは好きか?」

「得意」

「よし…じゃあいろはを叩き込んでやるよ。よろしくな、ブランク」

「はい。…ムーロロ」

 

 


 

 

 

「う…く…」

 

 ブランクは背中に刺さったメスを引っこ抜き、地面に放った。血が点々と美しい白い岩に落ちる。

「墜落のニュースを見て“飛んで”きたんだ。パッショーネのネットワークは便利だなあ。島の盗難車のナンバー追跡をしたら無事こうして追いつけた」

 チョコラータの満面の笑みを見てると流れる血まで凍ってしまいそうだ。

「情報分析チームのネットワークは…一定時間管理者のアクセスがないと管理者以外は締め出されるはずだ…管理者アクセスには…ムーロロの、指紋認証が要る」

「ああ、切り取って使ったよ。だからここに来ているのはオレたちくらいだろうな」

「ッ…」

 その光景を想像したくなかった。何度も何度も繰り返し反芻させられたソルベの解体光景がムーロロの姿でリフレインする。

 ブランクはその幻想を振り払うように地面に突っ伏しているメローネを見た。血溜まりができはじめている。セッコは横に立ってビデオカメラを回している。

 その視線に気づき、チョコラータが親切に教えてくれた。

「ああ、まだ死んじゃいないさ。傷にカビをくっつけてある。ソルベにやったのと同じようにな。…ま、それでも時間の問題だが」

 

 ブランク、頭を回転させる。この事態をどう切り抜けるべきか、死ぬ気で考える。ジュニアの消滅条件に“スタンド本体”の死があったとしたらボスの捕獲も水の泡だ。

 

 いや、そうでなくてももう仲間を失うのはゴメンだ。

 

「で、ここで何をしていた?」

「……でッ……デート…」

 セッコは無言でメローネを踏みつける力を強くした。チョコラータも笑顔が凍ってる。ブランクは慌てて止める。

「や、やめろセッコ!違う!今のは冗談。クソ…!」

 ブランクは頭をブンブン振って頭を正気に戻す。

 

「僕たちはメローネの能力でボスを生け捕りにした!殺したらもう追えなくなるぞ…!」

「何?」

 この言葉にはセッコまでも反応した。メローネから足をどけてこちらをじっと見つめてる。

「聞こえなかったんですか。ボスを捕まえたんですよ!」

「はっ…ハハハッ!つくならもっとマシな嘘をつくんだな、ブランク。そんな簡単にいくわけがない」

「事実だ。僕らはボスの重大な秘密を知っている…。先生、あんたもボスを殺すつもりできたんだろッ?こんなチャンス二度と訪れないはずだ!」

「…それはどうかな?ボスでさえ、私のグリーン・デイからは逃れられない。今、あの海岸からカビは広がっている。いや、オレの半径10メートルにくれば嫌でも散布されたカビを吸い込む。その時点でおしまいだ」

「そうかな。ボスの能力なら殺せると思います。…だって先生はボスのスタンドを知らない。無知っていうのは力の前でもっとも無力だ」

 

「……そうか。じゃあ教えてくれよ、ブランク。おまえの仲間の命と交換だ」

 チョコラータはあっさりと交渉に応じた。いや、脅迫に切り替えやがった。

「や、やめろ!僕に直接やれよ!」

「うおッ!オオッ…!」

 セッコがしびれを切らしてブンブン腕を振り回し始めた。それを見てチョコラータは微笑みながらなだめる。

 

「慌てるなセッコ。箱を置いてけ」

 セッコは背負っていた鉄製の箱を置いて準備運動でもするかのようにぴょんぴょん跳ねた。

 

「さて、セッコ…残りの暗殺チームの生き残りの…ギアッチョだったか?そいつの死体を持って帰ってこい」

「うー!」

 

 セッコは“ダイブ”した。地中を泳ぐくぐもった音が足元を通過していった。チョコラータは自分のカウンターであるギアッチョをセッコに始末させるつもりらしい。ギアッチョの絶対零度にカビもクソもないからだ。

 

 

 


 

 

 ギアッチョは黒電話を拾い上げ、ジュニアに続く。だが岩場に足をかけた途端、“どぷん”と音を立てて手足が沈んだ。

 

 いや、沈んだという言い方は奇妙だった。触れた岩の感覚は硬い。なのに“めり込む”。まるで泥にでも突っ込んだみたいに。

 

 

 

「これは……」

 

 

「て、てめーが……よお。ギ、ギ………ギアッチョ…かぁ?」

「…………よくよくオレには邪魔がはいるみてぇーだなぁオイ…」

 

 

 

 声がした方を振り向くと、自分と同じように全身にスタンドをまとった男が立っていた。

「てめーは誰だよ。見たことねー面だな」

「お、オレの、名前はぁ……これから、これから死ぬ…お前が知る必要は、ね、ねェーーんだよぉ!」

 

 セッコはギアッチョをみつめる。その目には絶対自分を始末するという覚悟が見える。

 

 

「ジュニア!てめーは先に上行ってろ」

 

 ギアッチョは黒電話をジュニアになげた。ジュニアはそれを受け取り、岩場を登り始める。

 セッコはキョトンとして登ってくジュニアを眺めた。

 

「なんで……?電話なんかもってんだ?だ、大事な電話でも………くんのかよ?」

「てめー、ヤブ医者の助手だな?」

「やっ…ヤブだと…?どおいう意味だ……それ…?」

「……」

 

 こいつ、いろいろ足りなさすぎんだろ。

 

 ギアッチョは間髪入れずにセッコをぶん殴った。

 が、セッコはその拳を腕でガードした。この速度を見切るとなるとかなりのパワーとスピードを誇るスタンドなのだろう。奇しくも自分と同じように。

 

 セッコは腕を押し返しながら、余裕そうに微笑み、片手に持ったビデオカメラをこちらに向けた。

 

「な、なんかお前よぉ、お、オレと………キャラ被ってないか?そのスーーツはよォ……オレのぱ、パクりっぽいぜ」

「んな、わけ…あるかよッ!クソがァアアッッ!!」

 

 ギアッチョはホワイト・アルバムでセッコの腕を凍らせた。セッコは驚きのけぞるが凍りついたせいでギアッチョの拳から腕が離れない。

 

「うオォッ?!な、なんだこれッ…!」

「このまま凍らせてバラバラにして海に沈めてやる」

 

 ギアッチョの挑発にセッコは咆哮を上げた。途端、どぷんと音を立てて氷が溶ける。

 

「オアシス!」

 

 距離をとったセッコが拳を振りかぶり今度はギアッチョが攻撃をガードする。

 セッコは再び凍らせられないようにすぐにまた飛び退き、地中に潜る。地中にホワイト・アルバムの冷却を届かせるのは骨だ。

 

 

「今の感じ、熱じゃねー。さっきの岩の感触からしてこいつ周りを液状化させる能力のようだな。氷も一応鉱物だし理にはかなってる…ってことか」

 

 どうやらホワイト・アルバムとの相性は最悪らしい。やつの周囲すべてを凍らせたとしても溶かして地中に逃げられれば結局リセット。一方的に封じ込めないとなると、殴り合うしかなさそうだ。

 

「チッ…何がパクリだ!クソが!クソがクソがッ!本気でマジのマジでムカつく野郎だなてめーはよォッ!」

 

 ギアッチョは大気中の空気を凍らせ、つららを作る。地中を“潜水”する微かな音と地表に現れる僅かな波立ちを感じ取る。

 

 発見した。セッコはまっすぐ自分の足元向けて泳いでくる。

 

 ギアッチョは跳躍し空中のつららを掴んでぶら下がる。敵の能力は“地面に潜る”だけだ。だとすれば地表の標的を見極めているのはヤツ自身の身体能力に由来するもののはずだ。

 自分の能力でさんざん分かっているが、着るタイプのスタンドというのは本体のフィジカルで強さがかなり左右される。

 相対してわかるこの強さ。相当な身体能力を有しているのは明らかだ。

 

 ギアッチョは空中に固定した氷柱を波立つ地面に向けて投擲した。ぼちゃぼちゃと音がして地中に突き刺さる。

 

 

 セッコはさっきまでギアッチョが立っていた位置に飛び出してきた。肩に氷柱が突き刺さっている。硬さはホワイト・アルバムには劣るようだ。

 ギアッチョはそこにすかさずセッコの周辺の空気を凍らせる。

 

「うッ…!」

 

 セッコは途端に冷えた自分の全身に体を硬直させるがすぐに地中に逃れる。

 ギアッチョは着地すると同時に地面から数センチの厚さの氷を張る。

 

 オアシスは氷を溶かし進むことはできるようだ。だが氷は一度液体に戻ると液体のままだ。

 

「普通あれだけの冷気を吸い込んだら肺がやられてもおかしくねえ。こいつ、異常なまでの肺活量を持ってやがんな。地面の中を泳ぐならまあ当然か…」

 

 じゃぱ…

 

 

 水音がする。セッコもギアッチョを探知できるがこちらも溶けた氷で大まかな位置は探知できる。

 

 

「スタンドパワーはほぼ互角…防御力はオレが上。だが…メローネがピンチか。しかも敵は地面の下からオレを狙い放題。なんでこうオレの敵はめんどくせーやつばっかなんだ?クソムカつくぜ…」

 

 

 次顔を出したら、初撃は何が何でも避ける。直当てして押し切るしかねえ。

 幸いあっちはつららが刺さっちまう程度の脆さだ。

 気密性も悪く、冷却それ自体は効く。

 

 だがおかしい。先程から周囲に気配は感じない。撤退するような性格とも思えないのに奇妙だ。

 

 ギアッチョが考えている合間、突如影が足元に広がった。

「何?!」

 上に広がっているのは岩場の色の泥だった。

 

ざばっ!

 

 地面に水が砕ける音がする。そしてすぐにギアッチョは自分がハメられたことに気づいた。

 

 

「オレのオアシスでものが溶けたあとよぉ……射程外にでたもんは、も…もとの鉱物に戻る。氷は…もとにもどんねーけどなあ…」

 

 美しいコスタ・スメラルダの岩場は不気味に溶けた崖に変わっていた。

 ギアッチョのいた部分には巨石ができていた。斜面から溶かした石すべてがオアシスの射程外に。出たことにより再度固まりできた岩だ。

 

「圧死…は、しないにしても……窒息死はするはずだ…」

 

 セッコはビデオを回しながらニヤニヤと笑みを漏らした。

 

「どう…かな?おめーのパワーで砕くには…でかすぎんじゃあ、ね、ねーか?」

 

 


 

 

 

 

「ブランク、とっとと答えろ。ボスのスタンド能力はなんだ?」

 チョコラータはメローネの髪を掴み、無理やり顔を見せた。顔の半分は血で汚れている。

 チョコラータはメスをその首筋に当てこちらを睨んだ。

 

「ッ…ボ、ボスの能力は()()だ!時間を飛ばすんだよ!」

「時間を飛ばすだと?」

「ああ」

「どうやってボスを捕まえた?そんな能力…無敵じゃあないか」

 

 ブランクは虚偽を織り交ぜて説明する。黄金比は9の事実に1の嘘だ。

 

「…ギアッチョを囮にし、僕の狙撃で移動を制限してからメローネのベイビィ・フェイスで闇討ちしたんだ。ボスはベイビィ・フェイスの存在も能力もしらなかったからね。ベイビィ・フェイスは生物を物質に変換できる。ボスは今、何かモノに変えられてるはずだ…」

「…ほう。よく成功したな」

「ボスも同じ手は食らわない…だから絶対にメローネを殺しちゃだめだ」

「ああ、それはよくわかった。いいや、それだけわかれば十分だ」

 

 

 チョコラータはさっきセッコが置いていった箱を投げ渡した。縦60センチ、厚さ30センチほどの鉄の箱だ。

 また、ブランクの脳裏に2年前のことが過る。

 

「ブランク。開けろ」

「…いやだ」

 

 何が入ってるのか、言われなくてもわかる。

 チョコラータは僕が何をすれば一番傷つくか知り尽くしている。

 

 

 チョコラータはビデオを構え、ズームした。

 

「開けたくないのか…じゃあ先輩にお別れを言うんだな」

「…」

 

 ブランクは箱に手をかけた。重いっちゃ重いが、せいぜい5キロくらい。蓋は留め具を外すとスライドするようになっていた。

 留め具を開けて、蓋を持ち上げる手が止まった。だがメローネの首にはもうメスが食い込んでいる。

 

「ッ…わかってる…開けるよ…」

 

 ブランクは意を決して、蓋を一気に開けた。

 箱の中はブランクの髪の色と同じ朱の布地のクッションで内側を張ってあった。まるで棺みたいだ。

 

 その中に、頭と胸部だけになったムーロロが納められていた。

 

「うッ………」

 ブランクは吐き気のあまり思わず手で口を抑えた。

 傷口、箱、苦悶の顔。最後に見たムーロロの顔とソルベが死ぬ寸前の顔。全部が脳みその中でぐちゃぐちゃに混ざり合う。

 

 

「その顔だよ。それを楽しむために来たんだ。ボスはいわゆる、棚ぼただ」

「む…ムーロロ…」

「いやー、大変だった。あのときより時間もないし、久々だったからな。必要臓器は揃えておいたんだが、ここまではもたなかったか…ちょっと触ってみろ。まだ温かいかもしれない」

 

 ムーロロの痛みを想像する。

 手足を切り取られ、縫い合わされ、切り取られ、視界も聴覚も奪われて、腹を割かれる。その間死ぬことも叶わず、この男を喜ばす悲鳴を上げる他ない。

 地獄を。

 

「うッ…あぁ……」

「そいつの為に泣く必要なんてない。お前を利用して組織をしっちゃかめっちゃかにしようとした卑怯ものだ。恥知らずだぞ?こいつさえいなけりゃお前は仲良しクラブでのほほんとしていられたんじゃあないかって…考えたことなかったか?」

 

 チョコラータはブランクの涙が小さな棺に落ちるのを見て爆笑し、ビデオを回した。

 ブランクは息ができなかった。酸欠で真っ白になりそうな頭の中にはち切れそうな憎悪が湧き上がってくる。考える暇もなく、口から言葉が飛び出てきた。

 

 

「殺してやる…!」

 

 ブランクの言葉にチョコラータは更に高らかに笑った。

 

 

 ブランクは気づいたら駆け出していた。落ちたメスを拾い、投げようとした矢先に腹部にものすごい痛みが走って体勢を崩し、地面にそのまま勢いよくぶつかった。

 

「い……ったい、なに…がッ…」

 

 口から大量の血が流れ、下腹部がとてもあたたかくなった。ブランクは痛んでいる部分に手をやる。

 

「ぇ…」

 

 6日前、ローマでチョコラータに矢を撃ち込まれた部分からの出血だった。

 もうとっくに治ったと思っていたのに急に傷口が開いたのか?いや、そもそもこんな血が出るような傷じゃあない。内側からずたずたに刻まれたかのような痛みだ。

 

「一体どうしてって顔をしているな、ブランク」

 

 ジィーーッという音を立ててカメラのレンズがこちらにズームする。チョコラータはこちらへ歩いて近づいてくる。

 

「遠く離れたグリーン・デイのカビを温存しとくなんて、前までのオレじゃできなかった。だが、不思議とな…お前と会って話をするうちに、オレの能力も成長したらしいな」

 

 チョコラータは足でブランクを仰向けに転がす。メスを持った手を思いっきり踏みつけ、指の骨を砕いた。

 

「……ッ…!」

 

「お前のおかげだよ、ブランク。お前と話しているうちに、オレはオレの欲望にもう一度きちんと向き合うことができたんだ。本当に、本当に感謝している」

 

 チョコラータは手を伸ばし、潰れた右目にそのまま指を突っ込む。

「ぎッ……あ………!」

「ああ…眼窩の内側っていうのはすべすべしてて気持ちがいいな」

「ッ………!ぁッ…!ゲ…」

「なあ、このまま指を突っ込んで、脳味噌からカビを一斉に生やしたらどうなるんだろう。ぶっちゃけ試した事はあるんだが…お前はその時何を見るんだ?興味がある」

 

 ブランクの首からも血が吹き出てきた。痛みでチカチカする視界の中、ビデオカメラに自分が映るのが見えた。

 腕を振り回そうがチョコラータはお構いなしだ。

 

「オレも成長したんだ、お前も成長してるはずだろ?それとも、成長してその程度なのか?最後の最後に無抵抗で死んでいくつもりか?」

「ちッ…がう……待って、るんだ…」

「は?何を…」

 

ベイビィ・フェイス!

 

 ジュニアの接近にチョコラータはギリギリのところで気付いた。だが肩口を狙った一撃を正確に避けることはできない。

 だからチョコラータは自分で腕を切断した。

 

「何ッ……?!」

 

 ジュニアは驚きのあまり追撃ができなかった。チョコラータはそのまま飛び退き、倒れたブランク、ジュニアと距離をとった。

 

 

「こいつが…ベイビィ・フェイス、なのか…なるほどな……」

 

 




推薦文を頂いてました。ありがとうございます!書く気とやる気がムンムンわいてきました

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