初心者なので駄文なのは許してください。
卒業式
まだ冬を抜け出せていないような肌寒さを感じる日だった。
いつもと雰囲気の違う体育館。
パイプ椅子が並べられ、生徒やその家族、
市の職員などが来賓している。
静かだった。
粛々と進むプログラム。
在校生代表からの送辞が捧げられ、
そして卒業生代表が名前を呼ばれた。
少しだけ泣いてる声も聞こえる。
そのときだった。
ブゥンと形容しがたい音が鳴った。
ステージ上空が歪み、空中にバスケットボール大の黒い穴が出現する。
会場が大きくざわつく。
ほとんどが反応できず、その場から動けない人が多いが、
危機を察知した生徒は体育館から逃げ、
すぐに事態を収拾しようとした教師が声をあげる。
家族が生徒の元に駆け寄るのも見られた。
男の両親もその1組だ。
その数秒後、太鼓を叩いたかのように、空気が大きく振動した。
それと同時に、空中に浮いた穴からそれを抉じ開けるように、
黒く大きい、そして指の長い異形の手が出現した。
大きな悲鳴が上がる。
全員が我先にと、ステージから遠くに逃げる。
この体育館の出口は、横6人分あるかないかの大きさで、
逃げる人が押し合い、人で塞がれてしまっていた。
両親は男の手を引き、声をあげながら逃げようとする。
だが男は冷静だった。
-ついにきたか-
そう呟き、両親の制止を退け、
ステージにゆっくりと向かう。
両親は叫んでいる。
穴からは異形の化け物が顔を出していた。
縦に目が3つあり、二本の角を生やしている。
ギョロギョロと何かを探すように動く目は、
人間1人分はあるだろう大きさだ。
誰もが悲鳴をあげながら、男の奇行を見ていた。
夢であってほしい。ここで私は死ぬのか。
人々はそんなことを一様に考えていた。
急に現れたわけのわからない化け物に1人だけ、歩いていく。
-来い-
男はそう呟いた。
男の右手あたりが歪み、そして次の瞬間には刃渡り70センチはあろう、漆黒の刀が握られていた。
穴の異形はそれを見て咆哮を上げる。
再び空気が揺れた。
-うるせえなぁ-
男は倒れたパイプ椅子を避け、走り出した。
そして跳んだ。
軽く3メートルは上に飛んだ男は、空中を数回蹴り、異形に接近する。
異形は牙の生えた口を大きく開け、なにかをしようとしている。
男は両手で刀を野球のスウィングのやうに構える。
一閃。
紫色の液体が飛沫をあげる。
異形は何が起きたかわからない様子で小さく断末魔をあげた。
異形の頭は真っ二つになり、ステージに大きな音を立てて落ちた。
数秒たった。
人々は唖然とした様子でその場にへたり込んだ。
涙を流しながら、汗をかきながら。
そして男の後ろ姿から目を離せずにいた。
両親は自分の息子が、なぜ刀を持ったのか、
なぜ立ち向かったのか、なぜ異形を殺せたのか。
理解できないで口を開けては閉めを繰り返している。
男は刀から液体を振り落としながら振り返り、
-もう大丈夫だ-
そう言った。
世界各地で穴が出現し、大混乱が起こっていた。