まだ赤城ちゃんの名前だけが公表されているので、もしかしたら全然違うキャラかもしれません。
「指揮官!」
いつもクールな言動からは想像もつかないほど慌てた加賀が執務室に飛び込んでくる。
「ど、どうした加賀……?」
「あら、加賀?」
「あ、あ、あ……」
そして偶然にも、この執務室にいた
「加賀? おーい?」
「どうかしたのかしら……? 加賀、指揮官“様”が困ってるわよ?」
「明らかにお前を見て固まったぞ、
口をパクパクとさせる加賀を二人は不思議に思っていると、さらに執務室に来訪者がやってきた。
「ここが執務室です」
続いて姿を見せたのは――
「綾波じゃないか。どうした?」
「指揮官に会いたいという子がいたので連れてきたのです」
淡々と彼女は答える。
「俺に? それはご苦労。で、その会いたい子ってのは?」
「外にいるです。さ、入ってくるです」
そう言って綾波がその人物を招き入れる。
「……」
執務室に入ってきた人物――その姿は指揮官の隣にいる赤城を小さくしたような、子供の姿だった。
「「……は?」」
その小さい赤城を見た指揮官と赤城は、偶然にも同じリアクションをしてしまうのだった。と同時に、指揮官は先ほど加賀が慌てていた理由を何となく察した。
――あれは赤城……だよな? また明石の仕業か? なんにせよ、大きな騒ぎになる前に……。
「し、指揮官様……これは夢でしょうか……?」
「赤城……?」
指揮官が赤城に目を向けると、彼女はあわあわと指揮官と小さい赤城に視線が行ったり来たりを繰り返している。
「わ、私いつの間に指揮官様との子供が……?」
「お前は何を言ってる!?」
自分と同じ姿――大きさは違うが――の存在が現れて混乱したのか、突然そんな事を口走った赤城に思わず指揮官も驚く。
と、そこに運悪く、
「指揮官様と……誰の、子供ですって……?」
執務室の扉を開けた大鳳が、この世の終わりのような顔で呟いた。
――あ、これは終わったな……。
この状況に、思わず指揮官は他人事のような感想を抱く。
「あらぁ? 大鳳、見て分からない? 指揮官様とこの赤城の
「赤城はなんでそう大鳳を煽るの?」
「っ……! この女狐ぇ!!」
「大鳳もなんでそんなに煽り耐性ないんだよっ!?」
指揮官は赤城と大鳳による争いを避けるのに必死だ。しかしこの火種に油を注いだのは――
「指揮官は赤城のだもん! 誰にも渡さないから!」
小さい赤城の一言だった。さらに小さい赤城は指揮官の傍までトテトテと近付いてきたかと思うと、彼にしがみつくように抱きついた。
「えっと……」
「「指揮官様……?」」
ゆらりと赤城と大鳳が指揮官に向かってくる。
――あかん。
「綾波!」
「鬼神の力、味わうがいい……!」
素早く動いた綾波が、赤城と大鳳の二人を捕まえた。
「は、離しなさいよ!」
「指揮官様! まさか、それが小さい私とは言え、指揮官様は誘惑されませんわよね!?」
「綾波、二人を寮まで連れて帰ってくれ……。俺はこの小さい赤城と話がある」
「了解です」
綾波は抗議を続ける二人を引きずって執務室を後にした。
「加賀、平気か?」
「……はっ! 私は一体何を……」
どうやら衝撃が強すぎて加賀は立ったまま意識が飛んでいたらしい。
「今、綾波が赤城達を空母寮まで連れて行った。お前も行ってこい」
「あ、あぁ……そうさせてもらおう」
指揮官に言われるがまま、加賀も重桜の空母寮へと向かった。
その背中を見て、まだ
――しかしどうせすぐバレて騒ぎになるんだろうなぁ……。
◇
翌日。
小さな赤城は正式にこの艦隊への配属が決定した。
しかしそれを全体に発表するよりも先に、指揮官の下にとんでもない物が
「な、なんだこれは!?」
それは青葉が発行している新聞だ。問題はその見出しにあった。
『衝撃! 指揮官と赤城の隠し子か!? 新しい仲間、赤城ちゃん!』
デカデカとそんな見出しの後にいつの間に取材や撮影をしたのか、小さい赤城の写真や昨日、綾波に連行された赤城のインタビューまで掲載されていた。そのインタビューには、こう記されている。
『初めて見た時は、私の知らない間に指揮官様との子供が出来たのかとそれはもう喜んだものですわ。でも、それは間違いだった……。あの小娘、私の指揮官様に色目を使ったのですよ!?』
これを読んだ時、指揮官は赤城を呼びだそうとした。しかし思ったのだ。
――赤城のはいつもの事だ。もうあれをどうこうしようとなんて思わん。それよりもこれを書いた奴だ。
そして指揮官は放送用の機材のスイッチを入れ、全力で叫んだ。
「青葉ァ!!」