本当に、生まれた頃からの付き合いだ。
物心ついた頃から、彼と彼女は一緒だった。
実際はもっと前なのだけれど、そんなことはあまり本人たちは気にしてはいない。
ただ、心地好い。

阿吽の呼吸と言うべきか、まるで熟年夫婦とでも言えばよいのか、彼と彼女は互いを知り尽くしていた。好きな色も、好きな服も、好きな本も、好きな音楽も、好きな食べ物も、得意な教科も、苦手なことも。

それゆえにか、彼ら彼女らは互いを補完しあっていた。
好きなことは積極的に見つけに行くし、それを知ってもらうための努力は惜しまなかった。

苦手なものは、互いに助け合って乗り越えた。一方が料理下手なら、もう一方が料理をした。
勉強でわからないところは、互いに教えあった。
互いが不安に押し潰されそうなときは、肩を抱き合いながら耐え忍んだ。

彼は、彼女は、互いをこう称した。
「燃えるような青」
「冷ややかな紅」
真逆だ。彼ら彼女らは、きっと鏡なのだ。自分のおよそなれない自分を、まざまざと写し出す、鏡なのだ。
だからこそ、彼は彼女に惹かれている。
だからこそ、彼女は彼に惹かれている。


これは、遠くて近い、二人の物語。


  変わらぬ温度
  君の斜め前2019年05月03日(金) 15:25
  受験、そして
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