視点はアケルのみ後半に続く。
このお話が投稿される頃、平成が終わります。
令和元年、また新たな始まりです、新しい年もよろしくお願いします
誤字報告いつもありがとうございます〜!!!
梅雨が明け夏の気配がし始めた頃、俺は区画にある立派な家の前に立っている。
気配を感じたのか戸を開けて出てきたのは綺麗な顔をした女性。
「いらっしゃいアケルくん、ごめんなさいね忙しいのに」
「いえフガクさんにはいつもお世話になってますから、これくらい気にしないでください、ミコトさん」
そう俺は今うちは一族をまとめる族長のうちはフガクさんの家に来ている。
始まりはここに来る数日前に遡る。
ある日俺の兄貴分で父さんの部下だった、うちはタナヤが訪ねてきた。
父さんが亡くなってから何かと気にかけてくれて、非番の日は疲れてるのにも関わらず俺の修行を見てくれたり、シスイと遊んでくれたりしてくれる。
でもあまりにも献身的過ぎて俺が怒った。
罪悪感で俺たちに構うなら今ここで縁を切る二度と関わるなと。
そのせいで俺は無抵抗の相手を殴ったり、あなたにも死んで欲しくなかったと泣きながら怒るという器用なことをする羽目になった。
恥ずかしいし、二度とやりたくない、新たに黒歴史が刻まれた瞬間だった。
しかしそのかいあって、俺たちを悲しそうな目で見ることはなくなったし遠慮もなくなって家族のような近いものになれた。
蛇足であるがタナヤさんのご実家が家具屋で手先が器用であるからか、家具の装飾に使われる技術にインスピレーションを受けそっちの修行も頼んでいる。
これを組紐に付けてお守りにする予定だ。
その日はちょうどシスイが近所の子と遊びに出ていっていて、母さんは夕飯の買い物に出ていた為、家には俺一人だった。
『突然悪いなアケル』
『いえ、タナヤさんは俺だけに用があったんですよね?』
冷えた麦茶を出しながら、なんとなく俺以外がいない日を狙ったのではないかと思う。
『流石俺の弟分だな、その通りだ』
麦茶に口をつけ一息つくタナヤさんは少し緊張してるようだ、その空気に引っ張られ過ぎないようにこちらも気を引き締める。
『アケル“写輪眼”は知っているな?』
『はい、父も俺の修行でアドバイスするために使ってましたから、うちはの血継限界ですよね?』
うちは一族の証で誇りでもある、三大瞳術に数えられるのが写輪眼だ。
『じゃあ、アケルはいつ頃開眼したか覚えてるか?』
『へ?』
俺は聞き間違いかと思った。
かつてこの世界に来た時のように現実逃避しそうになったがなんとか正気を保つ。
―――俺が“写輪眼”を開眼している?
そんな馬鹿な、いきなりそんな変わった事なんてなかった筈。
しかし目の前のタナヤさんは忍術やそれに関係していることには冗談すら言わない真面目な人だ。
だとすれば俺が写輪眼を開眼していることは事実で、タナヤさんはそれを知っている。
もしかして修行の最中に無意識に使っていてそれを見たのだろうか?
―――ハッキリしない上にこれ以上待たせるのも悪い、知らなかったと素直に言った方が良さそうだ。
『いえ、写輪眼を開眼してるなんて知りませんでした』
『っそうか、いやそれは良いんだが、アケルくらいの年齢で開眼させることは珍しいからな、写輪眼は強い力だ、扱い方を覚える必要がある』
同時に、とひとつ区切って俺の頭を撫でた。
傷だらけで無骨な闘う人の手だ、父さんよりも手が小さいけど、同じくらいやさしい手。
『写輪眼の歴史についても知っておくべきだ、ここ数年は戦で忍びは人手不足だからな...今のうちにコントロール出来るようになった方がいい、お前の為でもあるし家族の為にもだ』
『わかりました』
真剣な顔からぱっといつもの人好きのする笑顔に戻って、懐から紙を出すとそこには住所が書いてあるようだ。
『おしっじゃあその話はフガクさんがするらしいからな、ここが住所で日時は次の休みだってよ、俺も遅れて同席する予定だから緊張し過ぎるなよ?』
おっとそれは聞いてないぞ。
『は、い......』
そもそもこの時この話が出た時点で俺に拒否権などなかっただろう。
俺の心情を察したのか肩をぽんと叩くとそのまま家から出ていった。
それが数日前の出来事。
「主人はこちらに、今お茶を出すから待っていて」
「いえお構いなく」
廊下を歩きながらその部屋に着くともう既に目的の人物は静かに佇んでいた。
とりあえず礼儀として廊下で一度礼をして入る。
座布団に座ったあとミコトさんがお茶を出してくれて、一口飲んだあと俺から切り出した。
「お久しぶりです、父の葬儀では参列して頂きありがとうございました。今回は写輪眼について教えて頂けると聞きました、未熟者ですがよろしくお願いします」
頭を下げつつ俺は緊張していた、父さんはフガクさんのことを不器用だが長として頼りがいのある寡黙な男と言っていたが…。
「タナヤからは聞いているな」
「はい、ですが自分がいつ開眼したのか、全く心当たりがなくて...」
この人に嘘をつくのもおかしな話だろう、なんとなくタナヤさんが俺の事を心配してフガクさんに話を持ちかけた筈だ。
(あれ...?)
なんでフガクさんなんだ?
わざわざ一族のまとめ役に頼むことでもない。
タナヤさんもそうだが、戦時中と相まって写輪眼を開眼している人は少なくない。
三つ巴じゃなくとも写輪眼自体を開眼している人はいるはずだ。
では何故?
「アケル、お前は誰かを手にかけたことはあるか?」
「え、っと...質問の意味がよくわかりませんが」
「では誰か親しい者を殺したことはあるか?」
なんだ、なんの質問だ、殺した?誰を誰が?
俺が、親しい誰かを殺したのかと聞いてるのか?
あの日戦地に向かう父さんに渡したのはあの組紐だけで、あれはただ無事にあれと願ったものだ、それ以上でも以下でもない純粋な気持ちだ。
ただのおまじないで悪意あるものでは無い。
まさかこの人は俺が父さんを殺したとでも言うのか?
そんなバカな、父さんから聞いた話でもこの人が優秀であることはわかる。
——————なら何故、俺は殺しを疑われている?
ブワリと熱くなり身体中に血液が巡る。
「ありません。父を殺したのは俺だとお考えでしたら証拠はあるんですか?タナヤさんや他の部下を守った父の死を貶める気なら―――たとえ父の友人でも俺は怒りますよ」
俺とて実力差が分からないほど子供じゃない、そこはしっかり父さんにも仕込まれてる。
フガクさんは間違いなく一族をまとめあげるに相応しい実力者。
タナヤさんよりも父さんよりも強いかもしれない。
腕に仕込んでいる棒手裏剣を確認する、一撃までなら受け止められるだろう。
今日の装備はいつもよりは少ない、それでもこの戦時中何かあってはと他の子と遊びに行くシスイにすら最低限の装備はさせている。
母さんも最初は渋っていたが父さんがいない今、すぐ頼れる男手がタナヤさんくらいしかいないので、なんとか納得してもらえた。
「そうではない聞けアケル。俺はあいつのことは今でも友だと思っているしその死についても奴らしい事だと思っている、だが俺が死んだ時あの世で文句くらいは言ってやるつもりだ」
僅かな動きにすら反応が出来るように視線は逸らさない、それによく“見える”。
恐らくこれが写輪眼なのだろう。
「お前のソレはただの写輪眼ではない、写輪眼のさらに高みにある“万華鏡写輪眼”という」
フガクさんが取り出したのは鏡、映るのは俺
その目は赤く、浮かぶのは三つ巴ではない不思議な模様。
「―――そしてその開眼条件とは、開眼者にとって親しい者を自らの手で殺すことだ」
その答えはこうも言っていた“お前は誰を殺した?”と
うちはアケル(6)
黒髪くせっ毛、また不安定
シスイの兄
弟の死亡フラグを爆散させたい
もしかして:幸運E
絆されやすい
組紐作りが趣味
木彫り技術習得中←New!
うちはタナヤ
実家は家具屋の兄貴分、名前が決まったよやったね!