いずれ夜は明ける   作:ポポビッチ磯野

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誤字報告いつもありがとうございます。
いや本当に助かります...。


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今日の予定は特になかった、あとはいつもやっている修行をこなすことだ。

 

家事も済ませたし買い物も終わっている、強いて言うならばアカデミーで遊びに誘ってくれる友だちがいないことか。

 

友だち自体いないわけではない。

中身が大人であるからか面倒見はいい方だと思う。

決して俺は厳つい顔つきでもないし、身長も高くない。

父さんも母さんも平均的であるので俺もそれくらいは望んでも良さそうだ。

 

では何故かと言われると、やはり同年代で合わせてふざけるのは疲れてしまうものがある。

肉体は若いのだが気持ちまで童心に帰れない。

それを子供たちは敏感に感じとって、きっと俺があまり乗り気ではないのを見抜いているのだろう。

 

そしてシスイは友だちと修行に誘われていたため、お弁当を持たせると駆け足で出ていった。

 

 

 

俺はぼっちではない、おい目をそらすな!!

 

 

 

時間を有効に使うため修行場へ向かっていた俺はオビト先輩に遭遇し、近道を案内しながら向かう。

そしてミナト班と顔を合わせ、修行を見学することとなった。

 

 

改めて思う何故だ。

 

 

「アケルは普段どんな修行をしてるんだい?」

 

 

ミナトさんに問われ普段やっている修行を思い浮かべながら説明する。

 

 

「そうですね、基本はチャクラコントロールから始めてランニングをした後、俺には弟がいるので弟がいいと言ってくれれば組手の修行、その後は手裏剣やクナイの的当てやドロケイをしたりしてます」

 

 

実際はチャクラコントロールをしながら直線ルートのランニング、組手や投擲武器は瞬身を交えたものだし、ドロケイに至っては僅かな痕跡すら残せない緊張感のあるものだが、あえて言うことも無いだろう。

 

 

「へぇもうチャクラコントロールを覚えてるのかい?」

「はい、父が忍術を使うには体ができてないという事で、加減を覚えるためにまずはチャクラコントロールから出来るようにと修行を付けてくれました」

 

そう考えると本当に父さんは出来た人だな、普段はヘタレそうで母さんの尻に敷かれてる感が凄かったのに。

 

いやよく考えれば、この世界(NARUTO)の女性や奥さんはみんな強かで頼りがいのある人ばかりだったな。

 

思わずミナトさんに同情してしまう、あの赤、ハハやめよう言ったら来そうな気がする。

 

 

「なるほど君にとっていい師だったんだね」

「...はい」

 

じわりとその言葉が染み込んだ。

 

何となくだけどこの人は父さんの死を知っているのではないかと思ってしまう、そんなことはないはずなのだが。

 

視界の端でそれを聞いていたオビト先輩が気まずそうな顔をしており、父さんの話が出てきた辺りからミナトさんは先輩の様子を見て察したのかもしれない。

 

 

そこまで気にしなくても、もう乗り越えたことだ。

あの時の消失感も、悲しみもなくなったわけではない。

それでも俺には守るべきもの(シスイ)がいる

 

守りたいもの(一族の幸せ)がある。

 

原作(未来)を知っている俺がただで野垂れ死ぬことは出来ない。

 

 

そして原作が始まる前に、もっと言えばクーデターが起こる前に俺が死ぬのは良くない。

 

父さん亡き後、母さんが戦に出ている今、

俺はシスイにとって“最も親しい人物”で万華鏡写輪眼の開眼条件を満たしているからだ。

 

原作で“うちはシスイ”がどうやって万華鏡写輪眼を開眼したのか、それは描かれていない。

つまりわからないまま、修正力がいらぬ方向に進むかもしれないのだ。

 

 

 

まさかとは思うが(うちはアケル)という異物がシスイを開眼させる為だけに呼ばれたなど、たまったものではない。

 

 

 

「ーいっアケル!」

「!あ、はいっ!すみません呼びましたか....」

「何度も呼んだぞ、大丈夫か」

「体調悪いの?」

 

どうやら深く考え込んでいたようで四人から心配されていたようだ。気を付けなければ。

何でもありませんと言えば渋々と言った感じで引き下がってくれた。

 

しかしオビト先輩だけは納得していないようだったので適当に理由を考えておくことにした、後で聞かれるだろう。

 

―――本当に仲間想いの人だな。

 

 

 

とりあえず話題を変えて逃げつつ歩けば演習場に到着する。

 

なんとそこでミナトさんが俺がやっている“ドロケイ”をしたいといい笑顔で言ってきた。

 

 

何か疑われている?とも思ったが、この人は子供を疑っているより警戒しているのだろう。

カカシ先生がそうであったように。

 

流石は他国に知れ渡った二つ名を持っているだけある。

 

仕方ないここで修行とはいえ“遊び”の内容を隠すのも不自然だ。

 

ドロケイの内容を説明する。

知っている人ならばわかるかもしれないが、このドロケイは上忍シスイがイタチに依頼した任務に近付けたものだ。

泥棒と警察つまり追われる側と追う側に分かれて捕まえる遊び。

 

設定としては、追われる側は”潜伏し重要な情報を入手した敵国の忍び”

追う側は”敵国の忍びを追う追跡任務を受けた忍び”

 

情報が盗まれてから20分後という状況でそれぞれは勝利を目指す。

 

国外つまり一定のラインから逃げ切った上、情報を持って帰れれば敵国の勝利。

国外に逃がす事なく盗まれた情報を取り返せば自国の勝利、というのがそれぞれの勝利条件だ。

 

しかしこれは忍術を交えたものなので出会えば戦闘や陽動、逃走もある。

もちろん逃げる一択もありだ。

 

 

本来のドロケイは泥棒がいなくなるまでやるものだが、牢屋に入れられた泥棒を逃がすことも出来たし終わりのない遊びだったと思う。

 

 

「へぇ結構本格的だ」

「これ弟くんとやってるの?」

「はい、なのでお互いに緊張感をもってやってます、最近は弟も腕を上げてきたので手を抜けないんですよ」

 

そうこれをシスイとやるのだが、回を重ねる毎に成長しているため、こちらはあらゆる戦略と罠とパターンを作って対応しなくてはならなくなった。

 

それはいい、この修行も役に立つはずだから。兄心的には焦るが割り切るしかないだろう。

 

満足が行ったのか腰のポーチから取り出した地図を広げるミナトさん。どうやらここの演習場一帯の地図のようだ。

 

「ん!じゃあはじめよう、みんなは俺を捕まえる側でゴールはここ、ハンデに俺は瞬身までしか使わないことと始まってすぐは半径20メートル以内に潜伏、そして―――」

 

地図を指さしながら説明していたミナトさんが顔を上げてにっこりと笑う、流石顔がいい、が嫌な予感がする。

 

 

「アケルは俺とツーマンセルでいくよ」

 

 

言い出しっぺの法則ですか、実はSっ気つよいですよねミナトさん。

 

俺今日生きて帰れるかな。

 

 

 




うちはアケル(7)
黒髪くせっ毛
シスイの兄
弟の死亡フラグを爆散させたい
もしかして:幸運E
絆されやすい
組紐作りが趣味
木彫り技術習得
ぼっち←New!


この回がすごく長い!!おかしい終わる予定だったのに...!
というわけでまだ続きます...すみません。
ドロケイやらケイドロやら懐かしいですね、今の子ってこういう遊びしてるのかな。

では次のお話で!



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