どうぞよろしくお願いいたします。
アインズはナザリックへ帰るため
「待ってくれゴウン君。」
どの竜王達も早く帰って欲しいと思っていたのに
「なんだ?まだ何かあったか?」
「
「少し黙れ。――ゴウン君。ドラウディロンも連れて行ってくれないか?」
アインズは悩んだが、連れて帰ればフラミーが喜ぶかもしれないと思いドラウディロンに手を伸ばした。これはフラミーの友達なのだ。
「ふむ。ではドラウディロンも来なさい。」
「良いのか!アインズ殿!!」
「あぁ。フラミーさんも喜ぶ。」
ドラウディロンはアインズの差し出した手に向かって駆け出した。
「ひいお祖父様!ありがとうございます!」
「いいとも。さぁ、頑張ってくるんだよ。」
ドラウディロンは嬉しそうにアインズの腕に掴まると
悪夢が立ち去ると竜王達はそれぞれため息をついた。
「
「力を蓄えたら、あれはうちの子を嫁に取ると真実約束したんだ。」
竜王達はざわりと蠢いた。
「何?お前の子は混ざり者だが、これで子が生まれれば…。」
「そう言うわけだ。皆、私の可愛いドラウディロンを応援してやってくれ。」
「一滴でも血を継がせたいところだな。」
「
ツアーはそう言う手段で竜王に始原の力を取り戻す方法もあるのかと微妙に感心した。
が、それには漏れなく強大な位階魔法もセットで付いてくるし、生まれた瞬間この世界最強の存在になることを約束されるかと思うと、下手な竜王の子供では危険だ。
「…血の混じりを君達も嫌っていたはずだけど。」
「そう言うな。
「おい
「それはゴウン君とドラウディロン次第だろう。」
この竜王はドラウディロンの明るい未来を信じているようだが、アインズにその気がない事をツアーはよく知っていた。
「手紙を出すか。
紹介したところでアインズを籠絡する事は無理ならば、逆鱗に触れないように仲介した方がまだましか。ツアーは冷静に結論を出した。
「それには及ばないよ。僕から聞くだけ聞いておこう。」
長寿の竜王達は自分に連なる血の先に再び始原の魔法が戻る事を期待して帰って行った。
ツアーも娘が生まれたらアインズに嫁にやろうと密かに決めた。
もし先にアインズとフラミーの間に娘ができたら嫁取りさせてくれないか聞こう。
自分の管轄下に置ける子供なら安心して位階魔法と始原の魔法を継がせられる。
ツアーは思ったよりこの査問会は実りある物だったかもしれないと満足すると、またひとつアインズを守らなければいけない理由が増えたことに若干辟易した。
「…二度と裂かれたくはないものだね。」
アインズが第六階層の湖畔に守護者達を連れて戻ってくると、湖に立ち尽くすフラミーがいた。
長い髪を風に任せて靡かせている後ろ姿は、白い半袖の膝丈ワンピースに、レースのローブを羽織った随分こざっぱりした様子だった。
レースのローブは湖に浸かり、波にさらわれるように揺らいでいて、そのまま湖に溶けて消えてしまいそうだった。
「フラミー殿!」
ドラウディロンはアインズの骨の腕に捕まったままフラミーを呼び手を振った。
フラミーは振り返ると無事に戻った全員を見渡して嬉しそうに笑った。
「っ――フラミーさん!!」
アインズは儚すぎる笑いに堪らなくなるとドラウディロンの腕からすり抜けフラミーに向かって走り出し、フラミーも数歩水の中をザブザブと歩いた。
衝撃を押し殺しきれないままフラミーをかき抱くと、アインズは水の中に膝を、フラミーも尻餅をついた。二人の周りはキラキラと水しぶきが舞った。
「ははっ、おかえりなさぁい。」
「すみませんでした、置いていったりして…本当にすみませんでした。」
「…アインズさん、その様子だと開戦しなかったんですよね?」
「はい、全然大丈夫でした。本当に…すみませんでした…。」
フラミーの両手がローブの胸のあたりを握りしめるのを感じる。アインズはフラミーを抱きしめる腕の力を強めた。
「無事に帰って来てくれたから、もうそれで十分ですよ。」
「はは、もう、置いてきません。約束します。」
二人はゆっくり体を離した。
アインズの後ろを付いてきていたドラウディロンは顔を青くしていた。
「開戦…アインズ殿は…また竜王達と戦うつもりだったのか?」
「あぁ。本当は全員殺しても良かったんだが、ツアーが嫌だ嫌だとうるさいからな。」
「た、頼む。もうあんな戦いは、あんな戦いはしないでくれ!」
水に入ってくるドラウディロンにアインズは首を傾げた。
「なんだ?竜王国はそんなに揺れたか?それとも、七彩も殺されると思っているのか?あれには恩義があるから生かしてやるつもりだぞ。」
「…そうじゃない。私は心配なんだ…。もし貴君が死んでしまったら――」
それを聞くと、アインズは燃え上がるような真紅の瞳をジロリと向けた。
「私は決して死なん。二度と私が死んだら、なんて言うんじゃない。」
「あぁ…。そうだな。すまない。」
アインズは頷くと水の中から立ち上がり、フラミーのことも立たせた。
「…さて、私は着替えに行くとするか。
「はーい!いってらっしゃーい。」
背にかかる声に軽く手を上げながら守護者の下へ水をかき分けて戻って行った。
「――やめろお前達。何をやっているんだ。」
アインズは歩きながら、それぞれ武器に手を掛け様子を見ていた守護者達に声をかけた。
「「「「失礼いたしました…。」」」」
アインズもあれの行いには時に思うところがあるが、フラミーの友人を切り捨てられては困る。
きっとフラミーの気持ちに良い影響を与えるだろう。
「さぁ、お前達もいつまでも最強装備でうろついてないで着替えなさい。」
ドラウディロンは濡れてしまったドレスの裾を絞っていた。
「あ〜ぁあ…やってしまったな。つい入ってしまった。」
「はは。お洋服が濡れてるのなんて久しぶりに見ました。」
地面に座っておかしそうに笑うフラミーに苦笑を送ると、ドラウディロンはやらなければいけない事を思い出した。
「――あ、そうだ。フラミー殿、手間をかけて悪いんだが宰相に一本
「良いで――」
「だ、だめです!!」
フラミーの了承を遮った可愛らしい声に振り返ると、そこではマーレが頬を膨らましてドラウディロンを見ていた。
マーレは普段と最強装備が変わらないため着替える必要がなく、ずっと控えていたらしい。
「そうは言っても国に連絡を取らなきゃならんだろう、マーレ君。」
「し、至高の御身に、そ、そんな事を頼むなんて、やっぱり不敬です!!」
フラミーはドラウディロンと苦笑するとマーレを手招いた。
「マーレ、おいで。」
「ふ、ふらみーさまも…こんな不敬な雑種さんの言うことなんて…。」
「雑種って…マーレ君。せめて私の事はドラウディロンさんと呼んでくれ…。」
「じゃ、じゃあ…ドラウディロンさんは、あの、至高の御方々をどう思ってるんですか…?」
マーレはフラミーの膝に乗せられながら雑種を見上げた。
「フラミー殿のことは友人だと思っているし、アインズ殿のことは愛しているよ。」
「そ、そんな!不敬です!」
「マーレ、どうしたんだ?」
近付いて来る優しい声の方に振り向くと、三人は自分達の宝物を見上げた。
「アインズさん。」「アインズ殿。」
戻ったアインズはフラミーの隣に着くとマーレを覗き込んだ。
「あ、アインズ様!あの、その…雑種さんが至高の御身を愛してるなんて、不敬ですよね!」
「あ、あいしてる!?」
「ざ…雑種…。一回は呼んでくれたのに…。」
一瞬狼狽えたが、アインズは愛してるなんて何の勘違いだとため息をついた。
「はぁ、マーレ…そんな訳ないだろう。お前は何を言っているんだ。」
「で、でもアインズ様…。」
「ほら、もう行きなさい。困ったやつだな。」
アインズは何度も振り返るマーレの背中を見送った。
「全く。ドラウディロンもあまり好き勝手言わせていないでちゃんと注意したほうがいいぞ。」
「したさ!したが、やめないんだ。」
「あー…そうか。それは悪かったな。あれはどうしてもまだ子供なせいでな…。悪気はないんだが…。」
「…まぁ、いいさ。ふふ、貴君はやはり優しいな。」
「そうか?」
「そうとも!」
心地いい静寂が訪れると、アインズは人化しフラミーに寄りかかった。
愛してると言うのはこう言う――複雑で、苦しくて、幸福なものだろう。
アインズは触れ合うぬくもりに目を閉じた。マーレにいつかちゃんと愛について教えてやろうと思いながら。
「あら、アインズさん、やっぱり評議国疲れました?」
「ん?はは、疲れましたよ。大量の
「ツアーといえば
「いいえ、アインズさんが起こしましたよ!」
ドラウディロンは少し考えた。
生の神と死の神だというのに、何故アインズがその力をと考えていると、すぐに訳に思い至った。
「あぁ、そうか。あの日フラミー殿は力を与えていたもんな。それで復活魔法を使えていたわけか。」
「はは。力を与える、かぁ。」
「――…フラミーさん。」
アインズはフラミーの顔を掴むと少し上を向かせてキスをした。
神官達に同じ事を言われ、"力を与えるなんて上等なものじゃなかった"とフラミーが泣いた晩を思い出す。その日は一晩中抱きしめ、背をさすった。
「っん…あの、ちょ…んん…。」
ドラウディロンは唐突に始まった濃厚な接触から気まずそうに目をそらしながら、自分の愛を不敬な訳がないと言い切ってくれた言葉を心地よく思い出していた。
いつかは自分もこうしてもらえるはずなのだ。
お茶会の帰りにはキスもしてくれたし、抱き締めてもくれた。
自分達は日々進んでいる。
しかし――「アインズ殿!いくらなんでも長いだろ!!ばかたれ!!」
「ん……?あぁ…すまん、ついな。ははは。」
アインズは何の悪気もないとでも言うようにペロリと唇を舐めた。
「ついじゃないだろう。まったく。」
「あぅ…どらうさん…すみません…。」
「はー…良い良い。フラミー殿のせいじゃないさ…。」
ドラウディロンはフラミー越しに約束の腕輪をみた。
「あ!そういえばフラミー殿!」
「はひっ!」
「私とアインズ殿はこれを決して外さないと約束したというのに、勝手に取ったりしたらダメじゃないか!」
「え?そんな約束してたんですか?はは!借りちゃった借りちゃった!」
「あ、知らなかったのか?…でも次は許さんぞ!」
ドラウディロンがフラミーの脇腹をくすぐろうと腹に手を伸ばすと、フラミーはひょいと立ち上がり、湖に駆け出してバシャバシャとしぶきを散らしながら下腹部まで水に浸った。
誰にも触られないように。
「アインズさん!!」
「はい!」
「もう二度と、私がそれを抜き取る状況になんて、しないですよね!!」
アインズはくすりと笑うと立ち上がり、拡声させるように口に片手を添えた。
「しませんよ!!」
「全く頼むぞアインズ殿。ほんとに。」
「まかせろ。私はあの人に二度とこれを抜かせはしないさ。誓うよ。」
ドラウディロンはアインズを見上げると幸せそうに笑った。
ドラちゃん、登り切りましたので身の振り方アンケートを始めます!
三日くらいで行こうと思います!よろしくお願いします!
次回#59 閑話 限界突破の指輪
ついに指輪作っちゃう(*゚∀゚*)
アフター閑話は#60でおしまいです!
usir様より、人化御身のお鼻に蝶々が止まってる尊き一枚を頂きました!
フラミー様がお持ちの隠しアルバムに保存されているに違いないです(*゚∀゚*)
【挿絵表示】
ドラちゃんの運命や如何に…!
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このまま死ぬまで幸せな夢を見続ける
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アインズ様にちゃんとまっすぐ振られる
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他に好きな人ができる(宰相かなぁ
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紆余曲折してアインズ様を諦める