他愛無い話をしながら食事を続け腹八分目ぐらいになった頃、和やかな雰囲気を纏っていた束の雰囲気がピリピリとした物へと変わり
「それじゃぁ、そろそろ本題へ移ろうか。君をわざわざ呼び寄せたのは・・・君がシャルルと名乗ってIS学園へ入学した件について話をしておきたかったからなんだ」
そう束は言い微笑むが、目が笑っていないし雰囲気は真剣そのものだ
そんな束に圧倒されてかデュノアは緊張した面持ちで身を固くしている
「束、そんなプレッシャーをかけたら喋れるものも喋れなくなる。それにシャルルが女なのは一目瞭然だろ? 」
少しだけデュノアが可哀想になったので助け船を出すと、デュノアは え?! って顔をする
この反応、男装趣味とかトランスジェンダーの類いじゃ無いみたいだな、なるほど束が出張った理由は その辺りか
「命、少し黙ってて」
いつもなら俺の言葉を聞き改める束が珍しく愛称ではなく名前を呼び言うので頷き傍観に徹する事にする
「さてシャルル・デュノア 改め シャルロット・デュノア、君がIS学園へ来た理由を教えてくれるかな? あ、別に喋らなくても良いよ? その時は・・・まぁ多少痛い思いするかも知れないけど」
相変わらず表情は微笑んでいるが目は笑っておらずデュノアにプレッシャーをかけ続けている
「・・・はぁ、まさか初日のしかも半日足らずでバレるとは思いもしなかったよ・・・ボクの本名はシャルロット、ここには父の指示で来たんだ。簡単に言うと一夏と命の情報を盗む為にね」
デュノアは観念した様に肩を落とし自白する、その言葉を聞いて俺は怒りより先に疑問が芽生え
「なんで、わざわざ男装してたんだ? まさか男子として入学した方が情報盗みやすいから、とかだったらお粗末過ぎる計画だぞ? 」
とデュノアに尋ねると、更に肩を落とし項垂れる。どうやら本気で男装をして男子に見えていると思っていたらしい
「そう、お粗末過ぎる。裏で別の計画が有るんじゃないかと疑いたくなる程に、本当に2人の情報が目当てなの? 」
束はデュノアを真っ直ぐに見据えて言う、確かに計画がお粗末過ぎて他の意図を疑わずにいられないが、俺にはデュノアが これ以上の秘密を抱えているとは思えなかった
多分、束にも分かっているのだろう
「・・・まさか、ボクに命じられた仕事は2人と仲良くなって隙を見て情報を盗み出す、それだけ。時間は約3年もあるからね、上手くやれば機会は有る筈だったのだけど」
自嘲気味にデュノアは乾いた笑いをし言う
やっぱりおかしい、こんな事が3年もバレずに済む訳もないのだから、そもそもバレても良い計画だった・・・否、バレる前提だった?
「・・・やっと見つけたぞ? なんだ身内が一堂に会しているじゃないか、丁度良いか。デュノア、お前にデュノア社 社長から言伝だ『恐らく既に女と見破られているだろう、それは計画通りの展開なので心配するな。私はお前に父親として何もしてやれなかったが、私はお前を大切な娘と思っている。お前は向こう3年、IS学園で生活をし本国へ帰国はしない様に、我々の問題にお前を巻き込みたくはないからだ』と言っていた、あとコレは先程届いた手紙だ、念の為に検閲してあるのは大目に見てくれ」
千冬さんが現れ、メモを読み上げデュノアに言うとデュノアは先程の何もかもを諦めた表情から驚いた表情になり そのまま涙を流し始めた
チラッと束を見ると、優しい雰囲気を纏い柔らかい笑みを浮かべていた
ここまで織り込み済みなのか、束?
お待たせしました