「もしもし踏み台くん」
「誰が踏み台だ」
僕に話しかけるのはピンク色の髪をした女の子(?)のような何か。同級生のエリカ・メランセラ。頑なに自分のことは話そうとしないけれど、中身は僕と同じ転生者だと確信している。ついでに多分、前世は男。
「いやあ、輝くような銀髪に
「……知るか。そもそも踏み台扱いされるようなことはやってない」
僕はコチア・ダイヤモンドダスト。見た目については気にしないでくれ。キャラメイクを自分でやるんだったらできるだけ格好良くしたいし、ステータスも最高値を狙うだろう? それと、目はガチャの結果なので左右でそろえるのは難しかった。
「そもそも、誰が僕を踏み台にするんだ」
「そりゃあ……主人公? 後はわたし」
「確かに」
僕は今、踏み台にされていた。
「それで? 見えるか?」
「うーん、あっ! 入ってきたよ! 見える?」
「見えねえよ」
このピンク色のナマモノは、同じクラスになる転校生のことを見たいと言って僕を呼び出した。しかし今やっていることは、学長室の窓から中を見るための肩車だ。身長が足りないので靴を脱いで僕の肩の上に立った。そこまでして見たいのか。週明けには正式に転入してくるんだからそこで良くない? 言わないけど。
「どんな感じのやつ?」
「キリッとしてカッコいい男の子だー。青い髪だけど……、なんていうか凄い透明感があるね……」
「クリアブルー?」
「死ねば?」
「何故!?」
それにしても透明な髪ってどれくらい透明なのか気になる。限りなく透明だったら生えてないのと変わらないのでは……。
「やっぱり僕も見るわ。『
「きゃあっ、ちょっと! 落ちるって!」
「君ならきっと大丈夫だ」
「あ、ありがと……それどういう意味?」
つま先で土の上に一本の棒を引く。そしてもっとも簡単な魔法呪文を発動した。地面からブロック状の氷がせり出し、僕の身体を2階相当の高さまで運ぶ。足場が動いたのでエリカはバランスを崩して落ちそうになっていたが、前でキャッチしたから問題ないだろう。流石に落とさないよ。でもって、転校生はどんな――。
確かにキリッとしてるね、髪の毛が。透き通るようでいてカチカチの髪はどう見ても氷使い。
「お前たち、そこで何をしている?」
やべ、学長に気づかれた。
「逃げるよ! 走って!」
「抱えられたまま言うな」
何とか逃げ切った。別に誰も追いかけてはこなかったのだが。
「ふぅ……疲れたね」
「走ったのは僕なんだが」
地面に下ろして靴を履かせると、エリカはパタパタと胸もとを扇いでいた。こいつは何で真っ赤になってるんだ。40キロの重りを抱えて走ったのは僕なんだけど。
まあいい。
「……それにしても、あれは違うな」
「何が?」
「あの転校生。氷使いで主人公ってことはないだろう」
「意外と気にしてたんだ。まだ氷使いかどうかは――」
「いいや、あの見た目で氷使いじゃなかったら詐欺だろ。カチカチ詐欺だ」
「カチカチ詐欺って……。でも主人公じゃないって決まったわけじゃ――」
「何故?」
「だってキャラ被ってるし」
「………………………………そうか?」
エリカ、君の言っていることはよく分からない。似ている? この僕、“硬帝”コチア・ダイヤモンドダストと転校生の彼が? まだ一度も会話してないんだから見た目の話だよね。エリカはなんて言ったっけ……”カッコいい男の子”ってのは当てはまるけど。
「ダイヤモンドダストって氷じゃん。それにさっきも氷を足場にしてたし」
「『
「そう?」
「そうだ」
せっかく転生したのにキャラ被りも踏み台も勘弁してくれ。