なろう作家がエリート東大生に転生してみた   作:日本のスターリン

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7章 パラノーマル事件

「きっと天国の庭塚くんも見ててくれたわよ…」

「だと良いな」

「絶対そうよ!」

 

 冬彦三は、ミッキーとの対決の後も超越能力の特訓と自己のスキルアップを怠らなかった。

 次の飴の能力者との対決を予感していたからだ。

 もう白金の飴も誰かに発見されている…。そう考えたからだ。

 実はこの予想は確かに当たっており、白金の飴の能力者は既に暗躍していた。

 一方で、冬彦三は、猟銃を習得するために猟銃の免許を取ろうとしていた。

 猟銃を超越能力で強化して使うためである。

 その後月日は流れ、冬彦三と黒鈴は三年生になり、薬学科を先攻していた。そしてついに、冬彦三は猟銃も習得する事ができた。

 しかし、また新たな悲劇が起こってしまう。

 なんと、黒鈴が殺されてしまったのだ!

 

「そんな…なぜ…」

 

 黒鈴は銃で撃たれて亡くなっていた。

 しかも、人目の付く場所で撃たれたのである。目撃者も多数いたが、誰も銃声を耳にしていなかった。

 例えサイレンサーを付けていたとしても、多少の発射音は聞こえるはずである。サイレンサーは音を小さくするだけで全くの無音にはできない。

 しかし、黒鈴は、突然倒れたと思ったら、銃創が数発分できており、死んでいたのである。

 黒鈴から40m近く離れた場所に薬莢が落ちていたが、薬莢が落ちていた狙撃地点では銃声が聞こえなかったは勿論、狙撃した者の姿を誰も目にしていない。それどころか、薬莢が落ちていた狙撃地点には誰も居なかったのだ。

 狙撃地点を目視できる程度に離れた場所には事件の目撃者となる通行人が沢山居たが、薬莢が落ちていた狙撃地点には人っ子一人見当たらなかった。

 相次ぐ親友の死に沈む冬彦三であったが、すぐに思い直す。

 

「これはどう考えても、ハイパーエスパーの犯行じゃないか…」

 

 もう一人の自分が冬彦三を鼓舞した。

 

(そうだ!もう一人の僕。これは人知を超えた人物の犯行だ。彼を止められるのは僕達しかいない!)

「そうだよな!

 俺に落ち込んでいる時間なんてないんだ!

 見ていてくれ、黒鈴、お前の仇も必ずとる!」

 

 そう宣言すると早速、調査を開始した。まずは警察に詳しい事情を聴きに行った。

 

「俺は、黒鈴の恋人でした。彼女の死について詳しく教えて下さい」

 

 冬彦三は嘘を付いて警察から黒鈴の死の捜査状況について詳しく聞き出そうとした。

 

「遺族の話だと君と被害者はただの親友だったという話だが…」

「最近付き合い始めたんです!」

「……友達の少なかった彼女と親密な関係だったのは間違いないようだし…いいだろう

 ただし、条件がある

 この誓約書をよく読んで、サインしてくれたら、彼女がどんな事件に巻き込まれたのか、彼女の身内や関係者にだけ話す事ができる」

 

 誓約書には守秘義務をかせる文言がいくつにも連なっていた。

 冬彦三は、誓約書にサインした。

 すると、若い刑事さんが話してくれた。

 

「彼女が巻き込まれたのは特殊な殺害方法で行われた連続殺人事件だ。報道規制も行っている連続殺人だ」

「連続殺人事件?」

(特殊な殺害方法で行われたのは分かっていたが、連続殺人だというのは初耳だ)

 

 今回は警察も常人には不可能な犯行である事を理解している様だ。

 

「銃声も狙撃者もなく、突然倒れ数発の銃創だけが残っている。薬莢の落下地点では誰も狙撃者を目撃していなし、銃声も聞いていない。しかも、高所から射撃された訳でもなく、銃創は平行に残っているため、薬莢の落下地点から撃たれたのは間違いない。この手口の殺人事件が日本国内でこの1年強の内に百件以上も起こっている」

「最近、殺人事件の報道がやけに多いと思いましたが、その内の大半はその犯行によるものだったんですね」

 

 若い刑事は無言で頷く。

 

「我々はこの事件を『パラノーマル事件』と名付けている

 このような超常現象的な事件を世間に公表しては世の中の混乱を招く

 だから被害者遺族と関係者に口止めした上でしか教えていない」

「犯人は全く分からないんですか?被害者の共通点は?」

「残念だが、被害者の身内であってもそこまで詳しい捜査状況は話していない」

「……っ」

 

 冬彦三は、歯がゆかったがぐっと堪えた。

 

「分かりました。ありがとうございました」

「くれぐれもこの事は内密に」

 

 冬彦三は警察署から去っていった。

 しかし、大人しく引き下がる冬彦三ではなかった。

 夜中こっそり警察署に侵入したのである。

 

(ドロドロに溶かした紙粘土と紙粘土を強化する僕の超越能力さえあれば、開かない鍵はない!)

 

 冬彦三は強度を増した紙粘土で次々鍵を開けていき、捜査資料のありそうな資料室に侵入した。

 

(えーと、パラノーマル事件…パラノーマル事件…、と)

 

 ふと分厚いファイルが目に付いた。

 

(『パラノーマル事件簿』!あった!これだ!!!)

 

 事件簿には被害者一人一人の在学校・在職地や出身高校と言った個人情報が事細かに書かれていた。

 冬彦三は最初の方を読み飛ばし、最後の方のページから読み始めた。

 

(ビンゴ!被害者の共通点がかかれている。被害者の殆どは僕や黒鈴と同じ20歳か

 しかし、中高年の被害者も何人かいる。中高年の被害者の共通点はみな教師か

 だが、小学校の教師・中学校の教師・高校の教師とみなバラバラだ

 若者の被害者は殆どが20歳だが、23~17までの振れ幅もあるようだな

 若者の被害者の共通点についてはとくに載っていないな…)

 

ガチャ!

 

(!?)

 

 鍵が閉まる音が聞こえた。さらにノブを回す音も聞こえた。

 

「あれ?鍵がしまったぞ?鍵が最初から開いていたのか?」

「最後に入ったのはだれだよ~」

「遊勝じゃないか?」

「あいつか~最近またたるんできたからキツく言っておかないとなぁ…」

 

 冬彦三は慌ててファイルをしまった。

 

ガチャ!

 

 鍵を再び開ける音が聞こえた。

 冬彦三は自慢の逃げ足で部屋の隅に隠れた。

 そして、扉が開いた。

 警官二人はファイルを資料室に戻しに来たようだった。

 二人が部屋の奥に入ると、冬彦三は超越能力で強化した逃げ足の速さで一目散に逃げ出した!

 

「な!?」

「いま人影が!?」

 

 二人は追うように、部屋の外に出たが何も居なかった。

 

「気のせいか…」

 

 冬彦三はトイレの清掃具部屋に逃げ込んでいた。

 二人が居なくなる頃合いを見計らって冬彦三は再び資料室に戻った。

 

(僕は見逃さなかったぞ!)

 

 さっきの二人が持ってきたファイルには『パラノーマル事件簿Ⅱ』と書いてあったのだ。

 

(これが最新の捜査状況か)

 

 捜査資料には大半の被害者が同じ高校の出身者である事が被害者の共通点として挙げられていた。さらに、その高校の教師も居た。

 また、弾頭の施条痕から全て同一犯である事が裏付けられるが、施条痕から使用された銃は特定できなかった事も書かれていた。

 

(被害者の多くが小西高校出身者か…だが、黒鈴も僕もこの高校の出身者じゃない…)

 

 ふと冬彦三はある名前に目が留まった。詐党脛衛門という小学校教師である。

 

(この名前…どこかで聞き覚えが…

 そうか!黒鈴の小学生の時の担任の先生だ!)

 

 珍しい名前なので冬彦三の記憶にも妙に残っていたのである。

 字こそ違うが、よく被りがちな名字の佐藤と同じ読みであるがゆえに、他の佐藤先生と区別するために生徒からはフルネームで呼ばれていたのである。

 だから黒鈴も冬彦三たちに小学生時代の話をする時は「詐党脛衛門先生」とフルネームで呼んでいたのだ。

 

(間違いない

 今務めている学校は黒鈴の出身小学校とは違うが、黒鈴が言っていた詐る党と書いてサトウと読む珍しい名字にスネエモンという珍しい名前…

 務めている小学校が黒鈴の出身小学校と違うのは、おそらく異動になったからだろう…)

 

 それ以上の事はもう分からなかった。

 冬彦三は、二冊のパラノーマル事件簿をカメラ付きのサーモグラフィースコープで撮影した。

 

(あとは独自に調べるしかない)

 

 かくして冬彦三は、独自に捜査を開始するのであった。

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