瞬く間に第三防衛陣地を壊滅させ、なおも侵攻を続けるターミネーターであるが、ソフォスの奇策にて10分という短時間ではあるがこちらの攻撃が通用するようになったと連絡が入り、バレットらDG小隊はターミネーターに向けて突撃を開始した。
龍の血はともかく、崩壊・逆崩壊技術に関してはそれらを無効化し、ダメージを与える神獣鏡がこちらにはある。キルモードにて攻撃すればほぼ勝負は決まるようなものであり、スミスもそれは理解していた。
(よしッ!射程圏に入った!あとはそのまま放てば…⁉︎)
スミスは何かに動揺するような仕草をしたあと、すぐに光線を放ちターミネーターに直撃するが、彼の放ったそれはキルモードではなく
「ぐぅぅ‼︎」
「姉様ッ⁉︎…スミス!何やってるのよ‼︎」
「いや…何故か知らないが、キルモードで攻撃出来なかったんだ…」
「電子攻撃か?」
「いや、ならわざわざそうする必要はない筈だ。そのままメンタルモデルを攻撃すればいいんだからな。そのまま続けてくれ、原因が掴めるかも知れない。私も砲撃して援護する」
S10基地から受け取った武装の一つ、ビトレイアルⅠを纏ったリヴァイルのアドバイスを聞き、一行はターミネーターを包囲し攻撃を始める。
しかし演算処理が下がったとは言えその機動性は未だに脅威的であり、バレットの神威による雷撃やリバイバーの散弾レーザーによる高速広範囲攻撃、マーキュラスの武器腕やウェイターのワイヤーのような不規則な攻撃にも対応し回避していった。また、被弾しても装甲自体が高い防御力を有してるのか大したダメージを与えられず、反撃とばかりに弾幕攻撃や格闘戦を仕掛けてきた。
「ッ!しまっ…」
「おっと、させないわよ」
ターミネーターの拳がバレットに迫る途中でソフォスがスキマによる空間転移で回避させた。空振り時の音からして、あのまま殴られていたら左腕が肩から吹き飛んでいただろう。
他の部隊も加わり激しい戦闘が繰り広げられる中、スミスはターミネーターに攻撃を仕掛けようとするも、キルモードでの攻撃ができず、ならばと愛銃を用いて銃撃するが手足などは狙えても、胴体や頭といった急所には何故か狙えずにいた。というよりかは、『ターミネーターに致命傷を与える事を本能的に拒絶している』ようであった。
(それだけじゃない…ターミネーターのあの動きのクセ…)
最初こそ奇妙な既視感を感じていたターミネーターの格闘時における挙動だったが、観察しているうちに段々と
「無駄な攻撃を…大人しくバルカンを差し出せばいいものを…」
「アナさんも言ってましたが、仲間を差し出すような真似をDG小隊である私達が行うわけないでしょう」
「それに、もしバルカンを見捨てたらそれこそ俺らがスミスに殺されるしな」
「だいたい、こんな事をしてお前のいう守りたかった人が納得するのかよ?」
「っ…!煩い‼︎この気持ちがお前たちにわかるものか‼︎」
ウェイター、バレット、レストの言葉にターミネーターは激昂し、さらに苛烈な攻撃を仕掛け、近寄る事さえ困難な状況となっていた。そんななか、何を思ったか、スミスはターミネーターのもとに突撃していった。
「っ⁉︎」
すると何故かターミネーターは驚いたような様子を見せたあと攻撃の手を緩め、スミスの接近を許したのであった。
「どうした?邪魔するなら容赦しないって言ったのはそっちだろ?」
「…わざわざ無駄な殺しをする必要がないだけだ」
「そうかい…なぁ、アンタ言ったよな?自分が消えても生きていて欲しい人がいるって」
「……それがどうした?」
「そんなに想える相手ならよ、そいつもアンタと同じくらいアンタには生きていて欲しいって思ってるんじゃないのか?」
「っ⁉︎な、何を…」
「少なくとも、
「な…!そんな……私は…!」
スミスの言葉にこれまでにないくらいの動揺を見せるターミネーターにその場にいる一同は不思議に思っていた。スミスの言葉に図星を突かれたのか、それとは別の理由があるのか、スミスは小声でキャロルに連絡した。
「キャロル指揮官、念のため聞くがターミネーターは該当ベースにない人形で合ってるか?」
《あ、あぁ。少なくとも未知の人形ではある。というより、そちらのIFFにも該当はない筈では?》
「まぁそれはそうだが…一応確認だ」
「……それでも、もう私にはこれしか無いんだ‼︎いなくなられてこの気持ちをずっと感じるくらいなら…!だから、邪魔をしないでくれ!」
「うぉ⁉︎」
ターミネーターは背中のクローより周囲に衝撃波を放ち、周囲の人物を吹き飛ばしていった。とはいえ咄嗟の行動なのかダメージは全身を軽く打ったくらいであり、すぐに距離を詰めた部隊が戦闘を再開していった。
「…ハッハハハッ!そーゆーとこ、
(あいつ、何を1人で…?)
戦闘に参加せず、なぜか笑ってブツブツと独り言を話すスミスにバレットを含めた何名かが不審に思っていた。一方でスミスは、先ほどから起きている自分の不調と違和感の正体がほぼ判明していた。
ーそして、『ターミネーターの正体』も。
(IFFもナデシコも違うと判断してるが、俺にはハッキリわかる…!間違いなく『アイツ』だ。だが、完全な証明が欲しい…。いや、確かめる方法も、ついでにアイツを止める方法はあるにはあるが…仕方ない、あの分からず屋の目を覚ます為だ…)
正直言って、今からやろうとしてるのはターミネーターの経緯が彼の推察通りならばかなり酷いものだろう。しかし、それ以外に有効なものがない為、スミスは腹を括ることにした。
「ターミネーター‼︎」
「?」
スミスはターミネーターにそう呼びかけてこちらを向かせるとなんと彼は
「ハァ⁉︎何やってんだアイツ⁉︎」
「スミス、何を⁉︎」
「正気ですかスミスさん⁉︎」
ノアやバレット、P228が呼びかけるもスミスは応じず、そのまま引き金を引き始め……
銃声が、鳴った。
しかし、直前でスミスは押し倒され、弾丸は明後日の方向へ飛んでいった。
だが、問題はそこではなかった。
「…え?」
誰かがそう疑問の声を出したのは無理もない。
何せ、
(やっぱり、そうか…)
「やめてよ…!また、いなくなろうとしないでよ…‼︎」
ヘルメットで表情こそ見えないが、おそらく怯えながら泣いてる声で話すターミネーターにスミスは優しく声をかけた。
「ゴメンな…俺がお前を攻撃できないことや、動きのクセから何となくわかってたんだが、確証が欲しくてな…でも、今のでハッキリした。
…お前、バルカンなんだろ?」
その問いかけに反応するように、ターミネーターのヘルメットがピシリ、と音を立ててひび割れていった。
??「キッショ、なんで分かるんだよ」
いや、あっちの感想で『バルカン』を救うって話したし、あのクソ重彼氏ならすぐに分かるだろうしコレをやりかねんなって感じで相談してやったのですが、予定が狂った方は申し訳ないです…。
対象が龍の血という未知の物質取り込んでたり、そもそもの動機だったり蛮族=サンが向かってたりと色々不確定要素があるのでまだ大丈夫…か?
あとは少し様子を見てから動きます。