レストとノアがカフェの前まで来るとホーテンが扉を開けて歓迎してきた。
「二人ともようこそ。中でみんな待っているのでどうぞ」
「あぁ、わかった」
「失礼します」
二人が中に入ると十人近い男性型人形が待っていた。彼らはみなレストと同じ場所にいた者たちで、バータイムの店員だけでなく、他の場所で働いている者もいるが、レストの報告を聞きにわざわざ集まってきたのであった。
「お前ら…無理なら来なくても平気だと言ったはずだろ?」
「な〜に言ってんすか?レストさんから大事な話があるっていうのに、来ない奴なんかいませんよ」
「それで、報告って?まぁその顔を見ればわかりますが」
彼らに促され、レストは自身の復讐が終わりを迎えたことを話した。それを聞いて彼らはみな安堵の表情を浮かべた。
「そうですか…ようやく終わったんですか…」
「まぁな。それで、本当にお前達の分までやらなくて良かったのか?」
「いやいや、俺らの分まで相手してたら、レストさんずっと戦いっぱなしになるじゃないですか。あんなロクデナシども、どーせその辺でのたれ死んでるのがオチですよ」
「とりあえず今日は貸し切り状態ですから、パァーといきましょう」
「ん、そうだな。辛気臭い空気になってたら
「レストさんは何飲みます?」
「シャーリーテンプル。今日はアルコール入りはいい。ノアは?」
「私もレストさんと同じで」
「わかりました」
各自に飲み物が行き渡ると、レストがグラスを持って立ち上がった。
「まぁ…祝うような事じゃないから…
それを合図に各自グラスを傾け、飲み始めた。
しばらくして、ノアは気になっていた事をレストに尋ねた。
「レストさん、さっきから言ってる
それを聞きレストは少しだけ顔を曇らせたが、すぐに表情を戻して話し始めた。
「…俺が前いた場所でNo.37って呼ばれてた通り、あそこには俺含めて38人居たんだ。だが、俺達みんなロクな扱いをされてなかったから、ここにいる奴以外はみんな使い潰されて死んじまった。そいつらのことさ」
「…っ⁉︎ごめんなさい、辛い事を聞いて…」
「気にしなくていい。いつか話そうとは思っていたからな。それとな、死んだ奴の中にはNo.38…俺と同じ場所で製造された弟がいたんだ…。隊長達が俺達を助け出す1日前に死んじまったが、それについては隊長達を責めるつもりはない。もうすでにボロボロで、いつ死んでもおかしくなかったからな」
「そうだったんですか…その、弟さん達のお墓とかはあるんですか?」
「ああ。俺達が助け出された後に建てた。まぁほとんどの奴はすぐに廃棄されたから中には何も入ってないが、弟だけは廃棄前だったから入ってる。この後一緒に行こう」
はい、とノアが頷くと、彼らの内一人が二人に絡んできた。
「それで?レストさん、いつノアさんと結婚するんです?」
「ブフゥッ⁉︎お、お前⁉︎何で今それを…?」
「えーだってホーテンさんから聞きましたよ、ここに来る度料理食べさせ合ってるって。それ程の仲で、復讐が終わってるんだったらそろそろいいんじゃないですか?」
それを聞きレストは忌々しげにホーテンを睨むが、ホーテンはどこ吹く風という風な顔で
「毎回あれを見せられるこちらの身になってくださいよ?あそこまでいって結婚してないのが不自然ですよ。ちなみに、人形同士で結婚出来るかはもう聞いてあるんですか?」
「ああ、お互いに所有権を買うって形で出来るらしい」
「本当ですか!…あっ…」
結婚出来る発言に喰いついたノアだが、すぐに周りの目に気付き赤くなって縮こまる。それを見た彼ら一同は何この子めっちゃ可愛いと思いつつ、レストの方をジト目で見ながらほら彼女がこうなってんぞ早よ決めんかい的な目線を送るとレストはノアの方を向いてこう言った。
「…あー、ノア?今言うとこいつらに言わされた感があって尺だから、もう少し周りが落ち着いたら、ちゃんとした場所で言わせてくれ。それまで、待っててくれるか?」
「…はい。私はいつまでも待ちます。ですけど…あまり待たせないでくださいね?」
「わかってるよ」
────
しばらくしたのち、レストとノアは墓参りをするためカフェから出て行く。
「んじゃホーテン、またな」
「ご馳走さまでした」
「ええ、二人ともお元気で。式には呼んでください、必ず来ます」
「ああ、必ず呼ぶよ」
別れの挨拶をし、二人は街中を歩いていく。すでに辺りは暗くなり始め、人影もちらほらと見えるばかりであった。
「この先の見晴らしの良いところに立ててある。あと五分くらいで着くかな」
そうレストが言った後、一人の黒服の男が動き始めた。
男は物陰から身を出し、MP5SD3を構えレストに狙いを定める。
そして引き金に指をかけると──
─パシュパシュ!
サプレッサー越しのくぐもった音と共に
男の側にはサプレッサーを付けたベレッタM9を持ったバレットが立っていた。
「…こちらバレット。
「こちらウェイター。
「了解…にしても、上手くいったな」
「ええ。向こうがこっちの流した情報にのってくれて助かりました」
そう、すでに彼らは数日前からレストの発案の元、この日にレスト達が出かけるという情報をあえて流し、彼を始末しようとする連中をおびき寄せたのである。ちなみに依頼人はレストの復讐相手の子分で、敵討ちをしようとしたらしい。
「ちなみに
「独断で行動してる奴もいるかもしれない。二人が戻るまで監視するぞ」
その時、スミスから連絡がきた。
「こちらスミス。
「帰還させてくれ。彼女達には報酬は後で与えると言ってくれ。お前はこっちに来て二人の監視と護衛だ」
「了解」
スミスが通信を切ると、ウェイターはある事をバレットに聞いた。
「隊長、何故今回ネゲブ小隊を?」
「彼女達、もとい隊長のネゲブの制圧力が頼りになると思って頼んだ」
「ですが、彼女達は対鉄血がメインですよ?他の部隊に頼めば良かったのでは?」
「…例えば?」
「404小隊とか対人戦に富んでると思いますが…」
「404小隊とは組まん。レストが入る前まではたまに組んでたがな」
嫌悪感を含んだ口調で話すバレットにウェイターは続けて質問する。
「組んだら私やレスト達が記憶処理をされるからですか?」
「それもあるが、一番理由は
「
「UMP9だ。あいつの昔の顔を偶然別の任務中に知っちまってな、それ以降組まないと誓った。本来なら記憶処理されて然るべきだが、その時の任務内容が重要で記憶処理で消すと問題が起きるのと、知った内容が内容だからまた入手する可能性が高くその都度処理してたらキリがないと判断されて箝口令で済んでる。実際何度か入手しちまったしな。お前達も知ったらそうなると思う」
「俺は基本相手の過去にはこだわらないが、あいつだけは別だ。他の基地のUMP9は助けるとしても、404のUMP9だけはよほどじゃなきゃ無理だ」
「そう…ですか…(あの隊長がこんな反応するなんて…彼女は一体何を…?)」
────
「……ここだ」
レストが示した見晴らしの良い丘に、複数の名前が刻まれた一つの墓石が立ててあった。
「この名前は、レストさんが?」
「ああ。何も刻まないのはあれだからな。ほら、これが弟の名前」
「ルーエ…ですか?」
「ドイツ語で休息という意味だ。俺と同じ意味にしようと考えた」
そのまま二人は墓に手を合わせしばらく黙祷する。
(ルーエ…お前ら…やっと終わったよ。俺はノアと一緒に居続ける。悪いがしばらくはそっちに来るつもりはないから、もう眠ってると思うが…
「…行くか」
「ええ」
二人は手を繋いで帰っていく。道中特に襲撃はなく、無事に本社へとたどり着いた。部屋に入ると、既に先回りしていたバレット達が何食わぬ顔で待っていた。
「おかえり、レスト」
「ただいま、隊長」
死 な せ ね ぇ よ?(鋼の意思)
この二人、初期設定では死ぬ予定でしたが、愛着が湧いたのと途中であれ?このままだとレスト、マリーダさんと境遇被らないか?ってなって生存ルートにさせました。
UMP9が過去に何したかは大陸版のネタバレ見ればわかります。少なくとも実装するまでは話さないのでご了承を。
それと、また短編を書きました。
今回はあるジャンプキャラのクロスオーバーです。https://syosetu.org/novel/200168/1.html