人形達を守るモノ   作:NTK

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今回はoldsnake様作『破壊の嵐を巻き起こせ!』とのコラボです。

時間軸としては前回のコラボから一週間以上経過し、EA小隊壊滅の情報が流出したあたりです。詳しくはこちらをご覧ください。
https://syosetu.org/novel/180532/374.html

スミスがバルカンのメンタルケアに参ります。


Code-83 メンタルケア・そして…

「バルカンが…?」

 

ペルシカの報告にスミスが眉を顰めた。なんでも、バルカンが謹慎中に謎のハイエンドの襲撃によりフレイムとデストロイヤーが死亡、ミニガンとマーダーは行方不明になりペイロードは帰還できたものの、重傷のためメンタルモデルを電子空間に移しているといった状態になり事実上EA小隊は壊滅したという知らせを受け、バルカンは精神をすり減らし、かなり衰弱しているという事である。

 

『ええ。今回のことで戦うのが怖くなってるみたいね。早めに様子を見てあげて』

 

「わかった。そういや、リバイバーの言ってた開発プランは?」

 

『ここ最近グリンダやトレイター達と離れに篭ったきり音沙汰無しね』

 

作戦後、リバイバーはトレイター達から蘇生のデータと『傘』を手に入れ、事故を防ぐため離れを建設してもらい、グリンダ達とともに研究をしていた。本物を手に入れたことにより、だいぶ捗っているそうである。また、スミス達には話していないが、前回の作戦途中に()()()()()()()()()らしく、通常装備だと思考に対してボディの動きが若干追いつかなくなったと嘆いてるそうである。

その後スミスは通信を終え、バルカンの部屋に向かっていった。

 

────

 

「バルカン、入るぞ」

 

声をかけるも返答がないため仕方ないと思い扉を開けると、バルカンはボサボサの髪のままベッドに腰掛けて項垂れていた。

 

「(こんなになるなんて…)おーい、バルカン?俺のことわかるか?」

 

「ん…?……!スミス…か?」

 

「ああ。ペルシカから聞いたよ…大変だったな…」

 

そういいスミスはバルカンの肩を抱こうとするが、バルカンは何かに怯えるように距離を取った。

 

「…?どうした?」

 

「いや…こんな血に濡れた私なんか触ったらスミスまで…」

 

「今更何言ってんだ?第一、そういう事なら俺もだろ?そもそもそんなの気にしてるなら付き合ってすらねぇよ」

 

「わっ!」

 

スミスはバルカンの腕を掴んで引き寄せると優しく抱きしめ、背中をさする。

 

「色々思うとこもあるだろうけど、とりあえず今はさ、全部吐き出して楽になっとけ。それまでずっとこうしてやるから…」

 

「……ッ‼︎う、あぁぁ…‼︎」

 

バルカンは堰を切ったように泣き出し、しばらくの間スミスは黙ってバルカンの頭や背中を撫でていた。

 

────

 

10分ほど経ち、バルカンは泣き止み、落ち着きを取り戻していたところでスミスはハンカチを差し出した。

 

「ほら、これで顔拭きな」

 

「ありがと…ごめんな、服汚して…」

 

「こんなん洗えば大丈夫だ。気持ちは落ち着いたか?」

 

「うん…でも、もう少しこのままでいさせて…」

 

「…わかった」

 

ギュゥゥとしがみつきながら話すバルカンの頼みにスミスは了承し、しばらくそのままでいると、やがてバルカンはポツリと語り始めた。

 

「私さ…もう戦いたくないんだ…ただただ相手を殺すだけで何も守れないのも嫌だし、自分の大事なもの守るために相手の大事なものを奪うのは嫌なんだ…」

 

「……」

 

「でも私は16Labの特別製…普通になることも出来ない…スミス、私はどうすればいいんだ…?」

 

「……俺もな、似たような状態になった事があるんだ」

 

え?と顔を上げるバルカンに構わず、スミスは語り始めた。

 

「DG小隊を結成した時は人手が足りなくてな、助けが間に合わなくて死んじまった人形も沢山いた。なかには俺らが来るたった数分前に自殺した奴もいたよ。酷い時には俺らが来た瞬間、目の前で死なれた時もあったさ。そんな事が何回も起こって、俺は何回も悔やんださ。あと少し早ければ彼女達は助かったかもしれない、もう少し早く盗賊達を倒せば間に合ったかもしれないってな。そんな時、また助けられなかった人形がいたんだが、二人いて一人が耐え切れず自殺したときに俺が来てな。その時にもう一人にすっげー泣き叫ばれたよ。『なんでもっと早く来てくれなかったの⁉︎』、『この子を返してよ、役立たず‼︎』ってな」

 

「そんな…!スミスは悪くないだろ⁉︎」

 

「でもな、その言葉で俺は折れちまった。何がDG小隊だ、ちっとも守れてねぇじゃねぇかって。そんなんならもう戦わない方がいいって思った。それをバレットに言ったらよ、あいつがキレてな、思いっきりぶん殴られた」

 

─お前がここで折れたら、お前がこれから救うはずだった奴まで救えなくなるぞ⁉︎それでいいのか⁉︎救えなかった奴の分まで救ってみせろ、S&W M500‼︎

 

その言葉でスミスは立ち直り、活動を再開していったのであった。

 

「お前もな、守れてないと思ってるだけかもしれないがな、お前が人類人権団体の過激派とかを潰したおかげで、将来そいつらに捕まったり酷い目に遭わされる奴を間接的に助けたんだ」

 

「…でも、相手にも大事なものだって…」

 

「相手のことを想うのはいい。だがそれを理由に誰も殺さないってなったらコレクターみたいな奴がそれに漬け込んでお前の大事なものを奪うかもしれない。かといって敵の全てを殲滅する考えはグリンダのような穏健派まで手にかけ、仲間になってこちらの戦力が増えるのを妨げるばかりか、他の穏健派の恨みを買うぞ」

 

「じゃあ、どうすればいいんだよ…」

 

「自分で相手を見極めろ。両極端になるのは良くない、周りが見えなくなるからな。相手の本質を見て、それで倒すべきか否かを判断して行動しろ。どのみち、早く行動しなければミニガンの身が危なくなるぞ」

 

「…そうだ、ミニガン…!まだあいつが死んだって決まってないんだ…!」

 

「そうだろ?もしミニガンが生きて鉄血に捕まっていて、お前が助けに来なかったら、お前とミニガンの溝は一生埋まらなくなる。助けに行って、花嫁姿あいつに見せてやろうぜ?」

 

「っ⁉︎は、花嫁…⁉︎えっ…?私が…?」

 

「違うのか?」

 

スミスの問いにバルカンは真っ赤になり、スミスから体を離しモジモジし始めた。それをみたスミスは小さく笑っていた。

 

「良かった、いつものお前に戻ってきたよ。これからどうするかはお前が決めろ。間違えそうになったら俺が止めてやるから」

 

「わかった…でも、もしミニガンが『傘』にやられてたら…」

 

「安心しな、今リバイバーが『傘』をなんとか出来るウイルスを開発してる。出来たらそっちに回すよう頼んどくよ」

 

「そうか…スミス、今日は色々とありがとう」

 

「あぁ。お前が答えを見つけて復帰するのを待ってるよ」

 

────

 

「…よし!気分転換の歌は終わりッ‼︎次の試験やるぞ!」

 

リバイバー達は『酸性雨』の開発に少し手間取り、気分転換にと歌を歌っていたが一旦取りやめ、次の試験に移っていた。

 

「でもこの歌いいわね、今の私たちみたいで」

 

「だな」

 

「はいそこ静かに。上手くいけよ〜」

 

リバイバーは何十回目の試験ウイルスを増やしておいた『傘』を入れたデータチップに入れる。すると…

 

「…ッ⁉︎リバイバー、これって…!」

 

「まてグリンダ。もう一回、もう一回やってからだ」

 

リバイバー達は試験結果に驚きつつ、念のためにもう一度、同条件でやってみる。するとやはり結果は全く同じであった。

 

「リバイバー、やっt「やったぞグリンダ‼︎」キャ⁉︎」

 

試験結果を見て、リバイバーは思わず歓喜の声を上げてグリンダに抱きついた。グリンダは突然のことに慌てるが気持ちは同じであった。

 

「やったぞ、ついに…

 

 

 

 

 

 

『酸性雨』が完成したァ‼︎早速ペルシカに連絡だ‼︎」

 

「リ、リバイバー…その前に、離してくれるかな…?」

 

「おお、悪い悪い。あと、こいつを増やして一応俺らに打ち込んでおけ。知らん間に『傘』に感染してたんじゃシャレにならんしな」

 

その後、リバイバー達は酸性雨ウイルスを増やして自身に投入し、安全な状態にするとペルシカに連絡を取り始めた。




リバイバーらが歌ってたのは『Instrument of Cyanide』です。
歌詞の訳が蠱毒組にマッチしてるうえにサビがカッコよく気に入っております。

oldsnake様、コラボありがとうございます!あとの方はお任せします。

さて、しれっと覚醒したリバイバーに、完成した『酸性雨』…鉄血への反撃の日はそう遠くない…
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