戸山家長男?
あれ?これはだれのきおく?頭に誰かの記憶が入ってくる。
「ウァァァァァァァッ!!」
「大丈夫か!?光夜!?」
頭上から声が聞こえる。その声を最後に視界が暗くなった。
ハッとなって起き上がり、目を開ける。
「ここは……ベッド?」
「よかった、目が覚めて!」
誰かが強く抱きしめて来た。
「そうだぞ、光夜。いきなり、叫び出して倒れたんだから凄く心配したぞ」
ベットの横にいるのはママとパパか。ん?なんでこの人たちをパパとママって……いや、いいんだ。記憶が戻ったばっかで頭がこんがらかっているだけだ。とりあえず、整理しよう。俺は転生したらしい。覚えているのは、横断歩道を歩行中に車がものすごい勢いでこちらに向かってきている所を見たのが最期だということだ。つまり、菜畑洸夜……俺は死んだ。
それで、今しがた記憶もとい前世を思い出したというわけだ。今の名前はこうや。姓ないし名前を含む漢字は知らない。うん、大丈夫だ。思った以上にこんがらからなかった。話によるどうやら俺は、三日三晩寝たきりだったらしい。それはきっと膨大な情報量が流れ込んできたせいだ。なぜ転生したのが分かるのかというと、前世を思い出した俺の記憶の中にとやまこうやとして生きた3年間が確かにあるからだ。いきなりの前世の記憶が濁流の如く流れてきて気絶したと。最も0〜2歳まではうっすらとしか覚えていないがな。前世については既に諦めがついている。未練がないと言えば嘘になるが、死んでしまった以上どうすることもできない。
だから、今はこれからは……
「光夜、大丈夫か?ほんとに大丈夫か?」
「うん、大丈夫だよ」
三日三晩も寝たきりで、親が心配するのも当然だ。少しでも心配を拭うために俺はニコッと笑った。
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前世を思い出してから1年。
戸山光夜<トヤマコウヤ>
それが俺の今の名前だ。前世は菜畑洸夜。俺こと戸山光夜の名前の由来は、月なんだと。名前の漢字のとおり、光る夜。つまりは月だ。暗い夜の中でも月の如く爛々と輝く人になって欲しいからこの名前にした。と父さんは意気揚々に語っていた。私的には前世と名前が変わらなくて助かった。名前が変わると慣れるまで大変だからな。最初こそ戸惑ったものの、今ではこの現実を受け入れている。子どもとして振る舞うのがすごく大変だけど。保育園はちょっとキツい。なぜかみんな俺に寄ってくるし。子どもに戻ったせいか精神年齢もガクッと下がっている気がする。やる事が保育園に行く、幼児番組・アニメをみる、ママと話す、寝る、出掛ける、絵を描くの選択肢しかない。特にチートじみたものとかはない。アニメやラノベのようには上手く行かないのが現実だ。だが、前世を思い出したのが3歳だというのは嬉しい。転生して前世の記憶があるってだけで儲け物だろう。何よりいろいろとやり直しがきく。
半年後。
「光夜、お前に妹ができるぞ!名前はもう母さんが決めてある。香澄だ!戸山香澄!」
かすみ……え?とやまかすみ?
記憶を掘り返すと1人だけ該当する名前があった。まさかと思いどうやって書くの?と父さんに聞くと。戸山香澄と紙にマジックで書いてくれた。ということは俺、戸山香澄の兄?あのへんt……じゃなかった「キラキラドキドキしたいです」って言う
どうやら俺は
『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』の世界に転生したらしい。
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BanG Dream! 通称バンドリ。それがこの世界だ。しかし、『Poppin' Party』だけでなく『Roselia』『Pastel*Palettes』『Afterglow』『ハロー、ハッピーワールド』のバンドグループがあると考えると『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』の世界であろう。
ガルパアプリのリリース、アニメ化がされたことで世間から認知されたものの爆発的な人気にはならなかった。人気が爆発したのはリリースされた年の7、8月の夏休みと記憶している。知っている曲で遊べるカバー曲が人気になった1つの理由として挙げられ、夏休みの「夏のカバー楽曲追加キャンペーン!」で4曲もカバーされた事で有名になった。年末から年始にかけて5曲を5日連続してカバーされたものの年末年始は他にもいろんなイベントがあったため、既存ユーザー以外からバンドリは注目されなかった。
さらに人気に火をつけ加速させたのは2年目に追加された『夏祭り』と『シャルル』や初音ミクだろう。それは違うとか他にあるだろと言われても切りが無いので割愛させていただく。
話は戻るが戸山香澄についてだ。
戸山香澄
猫耳のような髪型をしており、いつも溌剌で明るくポジティブな性格をしている。思い立ったが吉日と言わんばかりに行動し、周りを巻き込む。奇想天外で後に『花咲川の異空間』と呼ばれるお嬢様と意気投合する時点でいろいろと察してしまう。何よりおたえに「変態だ」と言われるのだ。そう、変態と言われるのだ!
HE・N・TA・I
俺もいつか、ランダムスターを持った香澄に言ってみたいものだ。しかし、ここで忘れてはいけない人がもう一人。
戸山家次女の戸山明日香だ。
香澄の1つ下の妹で香澄からは「あっちゃん」と呼ばれており、姉が反面教師となったせいかしっかり者で落ち着いている。実は姉離れできないシスコンの一面も。
さて、ここからが本題だ。それは俺、戸山光夜の存在だ。『BanG Dream! ガールズバンドパーティ!』に戸山光夜という人物は存在しない。そもそも、戸山香澄と戸山明日香に兄はいない。戸山家の家族構成は母・父・香澄・明日香だ。アプリのプロフィールには4人家族と書かれていたから間違いない。
記憶が確かであれば『Poppin' Party』『Afterglow』『Pastel*Palettes』『Roselia』『ハロー、ハッピーワールド』の5バンドの中で兄がいる人は1人だ。北沢はぐみに兄がいるということだけだ。上原ひまりは確か姉だったきがするから今のところは北沢はぐみの1人と考えていいだろう。弟がいるのはポピパの山吹沙綾、ハロハピの奥沢美咲の2人だけだ。重要なのは俺、
今はいくら悩んでも途方に暮れるだけ。八方塞りってやつだ。ま、香澄がやらかす前に俺が先に関わる可能性が高いのだけどね。仮定というか不躾な話になるんだが、元々、戸山光夜という存在はいたのかもしれない。ただ、不幸な出来事があって戸山光夜は産まれなかった。言い方が悪くなるから詳しく言わないでおく。数多ある可能性というやつだ。
だとしたら、ここは戸山香澄、明日香の兄、戸山光夜が存在する
俺はこの
そんなこんなと過ごしている内に香澄が産まれた。退院した母さんから香澄を抱っこしてあげてと言われ、恐る恐る抱く。この子が俺の妹になるのかぁ。すごくかわいい。ちなみに俺は現在5歳である。だから、香澄と5歳差で、後に生まれるであろう明日香とは6歳差となる。しかし、この
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Side 戸山香織
私、戸山香織は驚いていた。
「ねぇ、あなた」
「ああ」
これだけで私の言いたいことをわかってくれる。
「5歳児があんな目をするものなのか?」
5歳児は言葉を3〜4歳より上手く話せるようになり、己の主張を言わんばかりに純粋な年頃だ。
それがまるで愛おしそうに慈愛に満ちた目で妹を見るだろか?いや、見ない。5歳児なら「これが僕の妹!キャキャキャ」と騒ぐかと思っていた。
「うーん、光夜のやつ。将来、大物になるかもな」
あなたがそんなこと言うなんて……。彼は冗談や皮肉を嫌う。そんな彼がそう言ったのだ。大物になると.。
彼が言ったのであれば間違いなくこの子は大成するだろう。この子の母親として心配な反面、嬉しいような……。
「まあ、光夜と香澄の成長を二人で見守っていこう」
「ええ」
子どもの成長は親の宝物。彼と一緒に見守っていけるなら幸せというものだ。
「ところで、悠夜」
「ん?どした久しぶりに名前で呼んで」
「もう一人、家族欲しくないかしら?」
「……え」
そんな最中、香澄にメロメロな光夜であった。
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香澄が産まれてから1年が過ぎ、我が家に新しい家族が増えた。
戸山明日香
明日香の誕生に香澄は大はしゃぎだ。1歳児に妹が出来たとわかるのだろうか?とりあえず、香澄よ。離れようか?そう、今現在俺は香澄に引っつかれている。
頭に……というか顔に。真正面からで目の前が香澄のせいで真っ暗である。真正面と言っても俺が横になっている時で上手い具合に俺の頭を両手で掴み、足を首に回して来るのだ。あ、でも、乗っかってくるのではない。真上からと言いたいところだが、起き上がっても引っついてるし、離れない。もう真正面でいいだろ?引き剥がそうにも意外に力が強くて離せないし、引き剝がしたいところだが相手は1歳児。泣かせてはいかん。その力はどこからどこから来るのだろうか?結局、俺は香澄が満足するまで頭に引っつかれたままだった。
さらに1年後、俺は小学生になった。香澄は2歳で舌足らずなしゃべり方で「にぃにぃ」と俺の後を付いてくるのだ。明日香も負けじと付いてこようとするのだが、ハイハイは遅い。少し俺が離れると泣きそうになる。その前に抱っこしてあげるというのが最近のお決まりだ。「パーパ」「マーマ」とは言えるのに「にぃにぃ」はまだ言えないらしい。なぜか俺のことを「にぃーい」と呼ぶ。にぃーいって何や?にーにーと呼ぼうとしてるのだろうか?まあ、可愛いからいいんだけどね。半年後には「にぃにぃ」と話せるようになった時は軽く死ねたわ。いや、尊死した。そんな香澄と明日香が互いに「キャッキャッ」としているのを眺めるだけで満足だ。
未だに香澄が俺の頭というか顔に引っつこうとしてくる。肩に乗るとかならわかるんだけど、なぜか顔にだ。母さんがその光景を見て、爆笑していた。そんな笑える光景なのか?母さんは香澄を引き剝がそうと近寄って来たが、俺は香澄が引っ付いたまま起きあがって拳を握り、母さんに向けてサムズアップした。
「母さん、大丈夫だ。問題ない」と意を込めて。
香澄を見て、明日香まで俺の顔に引っついた時は「ブルータス、お前もか」って思った。姉妹揃って俺が横になる度にしてくる。2人には相通じるものがあるようだ。まあ、似た者姉妹で何よりだ。
設定
戸山悠夜:父(オリキャラ)
戸山香織:母