そして、今回のRoselia箱。もう、いろいろとやべぇ。
早く原作書きたくなってきた←はよ書け。はい、そうします。
こころとの邂逅から1年と少しが過ぎた。これと言った出来事もなく、俺は中学3年生となり、気づけば中学校生活も残り半分を切っていた。
いや、特に出来事はないと言ったな。実はある。
それはスマホだ。
やっと父さんと母さんの携帯『2年縛り』が終わったのだ。最初は
話を戻すが、俺はついに念願のスマホを手に入れた。スマホを手に入れた俺が何をするか?
言わずもがな、香澄と明日香を撮りまくるに決まっているだろう。
しかし、そう簡単には行かなかった。
『反抗期』
そう、ついに来てしまった、『反抗期』が……。
現在、香澄は小学4年生、明日香は小学3年生。女子は男子よりも精神的成熟もとい精神年齢の成長が早いと言われている。反抗期到来の諸説はいろいろはあるけれど、全員が全員、同じ年齢・時期に反抗期になるわけがなく、当然一人一人違う。
まあ、何が言いたいかと言うと……
めちゃくちゃ嫌がられた。
スマホを手にした日、俺は香澄と明日香を撮りまくろうとしたら……
「イヤッ!」
と顔をプイッと横に向ける香澄。明日香はお姉ちゃんの真似をするかのように同じく顔をプイッと横に向ける。カワイイ。
それでもとスマホを香澄と明日香に向けると、香澄は
「イヤッ!お兄ちゃんなんて知らないっ!」と叫び、香澄はどこかへ行ってしまった。
「どうしたのかな?お姉ちゃん?」
「………」
「お兄ちゃん?」
「は……」
「……?」
「は、反抗期キタアァァァァァ!!」
リビングには俺とイマイチ状況が飲み込めていない明日香。そして、最初からこちらの様子をずっと伺っていた父さんがいた。
ふと、父さんの方に顔を向けてみると口元をニタァといやらしく歪めていた。
あの顔は絶対に『ザマァ』って顔だろ!?
パシャ!
イラッとした俺は、父さんのいやらしい笑顔をカメラに収めるとL○NEの母さん宛に画像を送信した。
香澄と明日香に「パパ、臭い」って言われれるよりは数百倍マシだよ。言われてるか知らないけど。そのうち、思春期の女子によくある「お父さんとはいや!」とでも言われるだろうよ。
それにしても、俺の匂いは大丈夫だろうか?香澄と明日香に臭いと言われたら……うん、もう想像しただけで軽く死ぬわ。
それより、香澄にお兄ちゃんなんて知らないって言われたことがショックだ。初めて言われたよ。
香澄怒っちゃったからあとで謝らないと……。
日が暮れてから母さんに反抗期のことを相談してみたところ、前からその前兆はあったという。
マジか!?
そのうち、明日香も来るかもねと言われ、ちょっと動揺した。
この日を境に香澄は反抗を露わにするようになった。
例えば、俺が頭を撫でようとした時や寝る時など。謝ろうとしても避けられる。
……なんで。
あの日から一緒に寝なくなったことがこの反抗期で一番大きい。反抗期が終わるまでこのままってのはすごく寂しい。これが成長かぁ遠い目をしつつ、様子を見守る。何とかして謝りたいけど無理矢理構って、香澄に嫌われるのは避けたかった俺は見守ることにしている。今の香澄は聞く耳を持たないしな。
ちなみに明日香は変わらずと言ったところだ。むしろ、この機を逃すものかとばかりに甘えてくる。そのうち明日香も香澄のようになるのかな?
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
そんな生活を送ること1ヶ月。俺は進路について悩んでいた。ここ最近、そればかり考えている。高校をどこにするかまだ決めていないのだ。
いくつかの学校には既に絞ってあり、模試などでもいい判定を取ってはいるのだが、第一志望校は決まっていない。
今後の生活に大きく関わる超重要なことだから、すぐには決められず今の今までの放置してしまった。両親に相談しても「ちゃんと自分で決めてね、後悔だけはしないように」と一言。さすがにそろそろ決めないと不味い。
「どしたの?お兄ちゃん?」
「ん、ああ、ちょっと進路を考えててね」
「しんろ?」
「高校どこへ行こうかなぁ〜って」
「へぇ〜」
あまり興味がなさそうな明日香。この1ヶ月で香澄が近くにいない生活にも慣れたもんだ。
必要最低限しか会話がなく、家に帰ってきても香澄は部屋にこもってしまう。週1のカラオケにも来ずの生活。避けられてて、未だに謝れていない。そろそろ謝りたいところだ。
反抗期ってこんな感じなのか?と若干の違和感を覚えつつ、俺は一抹の寂しさを感じた。
しかし、そんな生活も長くは続かなかった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
ふと、自らの意識を自覚した。
しかし、未だに覚めることはなく、起きようとしても起き上がれないことに気づく。ふわふわとぼんやりとしている。
あれ?ここはどこだ?
四肢に身体を動かしているという感覚はなく、視界だけ動く。周りを見回しても真っ白だ。
ここは夢?
『……わ……は』
誰かの声が聞こえた気がした。
辺りを見回していると、真っ白だった空間が一瞬で教室へと変わった。どこかの教室のようで、何か学級会を開いているようだ。
学級会にしては、やけに空気が重い。
30人近い生徒が着席している中で唯一、立っている教師。場面は教師がとある少女に話しかけているところだった。
他の生徒は顔がくっきりと分かるのにその少女の顔だけ真っ黒に塗りつぶされていて分からない。
『……わたしは』
少女の声ノイズがかかっていて、はっきりと分からない。分かることと言えば、性別は女の子であることと髪は俺と同じひわだ色をしていることの2つだ。
『わたしは、歌なんて好きじゃないです』
その少女は号泣し始めた。
見てるだけしかできないから、何とも言えなくていたたまれない気持ちになる。
そこで場面は電車の車内へと変わった。車内には少女が1人。先ほどの少女が成長した姿で、服は黒のジャケット、スカートは赤を基調にしたタータンチェックの制服を着ている。どうやら高校生ぐらいのようだ。
『サイテーだ……』
夕日を背に少女がそう呟いたのが聞こえた。少女の顔は夕日のせいで見えない。車内は夕日で明るく眩しいのに、その少女の周りだけ黒くみえた。
次の瞬間、顔だけ黒く塗りつぶされていた部分が消え、顔がはっきりとした。
えっ、か………
「かすみっ!?」
手を伸ばしたと思ったら、ベッドの上だった。夢から覚めたようだ。
「はぁはぁ、今のはいったい……」
起き上がり、息を整えるも息苦しくなるばかりだ。最後に見た顔は間違いなく香澄だった。
俺が知っている知識の制服ではなく、顔も心なしか違っている気がしたがあの少女は間違いなく香澄だ。
あの少女は香澄で、歌なんて好きじゃないと言った場面から急に高校生の香澄になって、サイテーと呟いていた。
夢にしては妙にリアルで今もなお、鮮明に覚えている。
どういうことだ。意味がわからない。
気づけば汗をかいていた俺は、明日香を起こさないように着替えを持ってシャワーを浴びに行った。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
あの夢を見たせいか、今日はあまり気分が優れない。
学校から帰宅すると一本の電話が掛かってきた。家には明日香しかおらず、誰もいなかったので電話に出るとの主は美夜ちゃん*1だった。
「お、お兄さん!かすみちゃんがっ、かすみちゃんがっ!」
あまりの大声量に耳から受話器を遠ざけ、耳を塞ぐ。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
心配してくれる明日香を尻目に、俺は美夜ちゃんへと話しかける。
「えっと、美夜ちゃん。落ち着いて」
「あっ、ごめんなさい。でも、かすみちゃんが大変なんですっ!」
「……大変?」
俺は美夜ちゃんの知らせで現在、香澄の身に何が起きているのかを知った。涙声で必死に説明しようと話す美夜ちゃんからその深刻さが伺えた。
意外なことに、俺は取り乱すことはなかった。取り乱すことよりも不安が募る。それは、きっと現在進行形で正夢になった夢を見たせいだろう。
あの夢で気になったことと言えば、俺と明日香がいなかったことだ。謎が謎を呼んで余計に謎が深まるばかりだ。
「香澄はまだ学校に?」
「はい、保健室に。香澄ちゃんのお母さんが迎えに来ることまでは知ってます。あとは……」
「そっか、教えてくれてありがとう」
「わたしには何もできなかったので……」
「そんなことないよ、ありがとう」
「あ、あのっ!かすみちゃん、ほんとうにうたがたいすきでっ!」
「うん、あとは任せて」
最後の方は涙声でぐしゃぐしゃだった。
美夜ちゃんによる話をまとめると、普段から香澄はよく歌を歌っていたらしく、みんなから歌が上手いと褒められたり、もっと歌ってリクエストされたりと人気だったそうだ。
歌はほとんど香澄によるオリジナル曲。
だが、河原でカラオケしてたから『カワカラ』と男子が言い始め、香澄の真似をするように『カワカラ』をし始めた。
日に日に男子によるミュージカル『カワカラ』は人数を増えて行き、それを女子が止めさせようと言い争いになり、最終的には学級会を開くまでに悪化した。
香澄にとっては信じられなくて、『カワカラ』、『カワカラ』とからかわれ続けて、嫌な気持ちになったのだろう。
何より大好きな歌をバカにされたことが悲しかったんだと思う。
そして、ついにその感情が今日、爆発してしまった……と。
「お姉ちゃん、ちょっと前からへんだった。聞いても何もおしえてくれなかったよ」
「…………」
言葉が出なかった。
香澄に抱いた違和感はこれだったんだ。いつもと雰囲気が違ったから違和感を感じた。が、それを反抗期だからと済ませてしまった。
確かに反抗期ってのもあると思う。小学校中高学年以降は心も体も大きくなる時期だ。特に精神的、心に関しては非常にデリケートな時期だ。反抗期は突然始まって突然終わる。
突然始まった香澄の反抗期に関しては正直、お手上げ状況だ。3年前の明日香がお姉ちゃんばっかりずるいと叫んだ時から誓ったはずなのにな。
悲しませて泣かせることはさせないって。
分かったつもりでいて俺は結局、明日香が泣いて叫ぶまでは分かっていなかったんだ。香澄が最初に嫌がった時にちゃんと謝って会話していれば、あんな夢を見ないで済んだのかもしれない……いや、考えるだけ無駄だな。
今の現状が全てを物語っているんだから。
そんなこと考えるくらいならこの後、どうするべきか考えるべきだ。このままだと香澄は
なるかもしれないと俺の中で確信めいた予感があった。
それだけではない、心が凍りついて人と関わることを恐れてしまうかもしれない。あんなに歌うことが大好きで楽しくて、いつかはキラキラドキドキしたいと常日頃口にしている香澄がだ……。
その後、母さんは香澄を連れて帰宅した。香澄はボーッとしたまま動かない。余程泣きじゃくって号泣したのか、目元は赤く腫れている。
どこか虚ろな目をしており、目を離したら、どこかへ行ってしまいそうなほど弱々しい。
「………えっと、どこから話したらいいかしら」
「……知ってる」
「……え?」
「さっき、美夜ちゃんが泣きながら電話で教えてくれた」
「……そう、美夜ちゃんが……」
「「…………」」
互いに数十秒、沈黙が続く。
「香澄はどう?」
「……ダメ、話しかけても黙ったままよ」
「……お姉ちゃん」
心配そうに香澄を見つめる明日香。
「母さん」
「ん?」
「香澄は俺と明日香が何とかする」
「何とかするって……あんた来年受験じゃない?」
「受験より香澄の問題の方が大事だよ、勉強面なら問題ない」
「………分かったわ」
香澄はとりあえず、1週間学校を休むことになった。いじめの問題は担任と校長と後日、話し合うそうだ。
正直、香澄をここまで追い詰めた奴らをぶっ飛ばしいたいが、今はそんな奴らのことより香澄の方が大事だ。学校の問題は母さんや父さんに任せておけば大丈夫だ。
俺ではどうすることもできないし、元凶をみたら俺自身何するか分からなくなるかもしれない。ぜってぇ、許さないがな。
その日、俺と明日香でいろいろと試してみたがダメだった。全然反応を示してくれない。唯一の救いは香澄がちゃんと飲食してくれることだろう。
一番怖いのは何も口にしないことだから。
5日が経ち、変わらず香澄の反応は相変わらず乏しい。この5日間で香澄の変化は特にない。
「お兄ちゃん……どうするの?」
そこへ明日香が、答えはもう決まってるんでしょ?と言いたげな目で俺に聞く。
そんなの……
「……決まってる」
「うん、明日香も決まってる!」
あれが正夢だとして、俺に何を知らせたかったのか分からない。
それでも、俺の取るべき行動はただ一つ。
香澄が歌で歌が嫌いになったなら、また歌で歌を大好きにしてあげればいい。
それ以外の方法はない。この5日であらゆることをして香澄を励ましてきた。きらきら星でピアノを演奏したり、弾き語ったり、明日香と漫才やモノマネ、ひたすら話しかけたりなどした。
けれど、どれも香澄の反応は薄く、軽く頷くことしかせず、暗い瞳に光が灯ることはなかった。
あと残されていることはこれしかない。
「明日香歌おう!」
「……え?もう歌ったよね?」
……違う、そうじゃない。確かにそうだが、そうじゃない。
「あ、うん、まあ、確かに歌ったけどそうじゃないんだ」
「……というと?」
「一緒に歌おうってこと」
「……あ」
それがあったか!とでも言いたい顔だな。
「でも、何歌うの?」
「ふふ、それは………」
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
次の日、つまり日曜日。それを決行することにした。昼前の10時頃、俺たち
「……ぁ」
河原に着いた途端、香澄は反応を示した。
ここからが本番だ。俺は明日香と父さんと母さんに頷くと全員が頷き返す。
俺は移動し、香澄の正面に立つ。明日香たちは香澄が何があっても対応できるよう、香澄の傍らにいる。
さあ、歌おうか!
俺は息を大きく吸い込み、歌い出す。
「がっかりしてめそめそして〜♪ どうしたんだい〜♪」
「……あぁ」
香澄の瞳にポワァと光が灯った気がした。
「太陽みたいに笑う〜♪ きみはどこだい〜♪」
徐々に香澄の瞳には光が灯り、その目からは涙をぽろぽろと流していた。サビから香澄も歌っていた。感情がごちゃごちゃに混ざりあっているのが、香澄は号泣だ。
それもそのはず、家族全員で歌うのは3年前の星見の丘のキャンプの帰りにこの曲を歌ったのが最後だったから。香澄はきらきら星とは別に、この曲『勇気100%』大好きだから、特に思い入れは深いはずだ。
歌い終わってから、香澄は俺に飛びついて来た。号泣は止まらず、泣き終わるまで俺は香澄の背を撫で続けた。
「落ち着いた?」
「……うん」
「香澄よかった……」
「お姉ちゃん……」
「香澄……」
母さん、明日香、父さんと各々、香澄を見て安堵する。
「……ごめんなさい」
どうやら香澄は自分は迷惑をかけたと思っているようだ。
「謝らなくていいのよ」
「うん、お姉ちゃんは何もしてない」
「ああ、そうだぞ香澄。なぁ、光夜?」
「ああ」
悪いのは全て、香澄をそうさせた奴らなんだから。
「香澄は歌なんて好きじゃない?」
「……ううん、大好き!」
「じゃあ、香澄!帰ったらもっと歌お?お兄ちゃんがピアノ弾くから歌ってね」
「うんっ!」
「あ、ずるーい!明日香も歌う!」
ひとまず、一件落着だな。あとは香澄が登校してからが心配だ。
「ふふ、いつもの日常が帰って来たって感じね」
「ああ、そうだな」
無事に辛い気持ちを乗り越えた香澄は、学校に登校した。女子が味方してくれているから大丈夫であろう。
後日聞いた話だと、また『カワカラ』を言ったバカがいたらしいが、香澄は歌を歌って撃退したそうな。つ、つよい!
香澄が完全に吹っ切れたようで安心したよ。
まあ、変わらず反抗期なんですけどね。
タグに小説版を追加しました。
光夜が見た香澄(小説版)や香澄の反抗期とついての詳細は後々の話で。
原作直前又は開始後に光夜と関わりのあるキャラの回想を入れる?
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入れて下さいお願いしますなんでもし(ry
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入れて
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あったりめぇだ
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作者が決めて
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いらない