ボーダーにカゲさんが増えた。   作:バナハロ

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トリオン兵が現れれば皆ボーダー隊員。

 普通校に通うボーダー隊員は多い。米屋、出水、海斗の他にも大勢いて、特に一年生が多い。

 しかし、その全員が学校に揃うことはない。防衛任務で特別早退やら特別遅刻やらと色々とあって、割と教室を空けることが多い。

 今日は、その中でも極めて人数の少ない日だった。つまり、海斗の大ピンチの日だ。同じ高校で、海斗と一度でも絡みがあったのは出水、米屋、三輪、村上、影浦、北添、光、穂刈、小佐野、烏丸、時枝、佐鳥、奥寺、小荒井、人見、笹森のメンバーだけだ。他の人達とは、まだ防衛任務で同じになったことも、たまたま知り合った会話したこともない。

 さて、そんなメンバーの中で、今日の任務が入ってる部隊は。

 

 太刀川隊→遠征

 嵐山隊→本部で待機

 三輪隊→本部で待機

 玉狛→いる

 影浦隊→防衛任務

 東隊→防衛任務

 鈴鳴第一→防衛任務

 諏訪隊→防衛任務

 荒船隊→防衛任務

 

 と、ことごとくメンバーはいなかった。話せるのは烏丸くらいだが、烏丸も一個下だし、わざわざ他の学年の教室に行って一年生を怖がらせることもない。

 チームメイトの辻、犬飼、氷見は進学校に通っていて、従って自分とは違う学校だ。二宮に至っては高校生ですらない。

 しかし、久々に一人になったが、これがまた退屈だ。飯を食うのも、教室も食堂も何となくいづらくて、屋上で食べるハメになっていた。

 こういう時のカマちょの相手は決まっている。

 スマホを取り出し、電話を掛けた。1コール、2コール……3コール目で電話の向こう側から声が聞こえた。

 

『もしもし?』

「あ、氷見? 暇。かまえ」

『……』

 

 当然、黙り込む氷見だった。まぁ、大体の事情は察しているが。

 

『……悪いけど、今は宇佐美さんとお昼食べてるの』

「じゃあ悪いけど一人で飯食って。俺が暇だから」

『清々しいほど自分勝手ね、あんた』

 

 さっきの五倍くらい冷たい声が聞こえる。その後に『誰?』『海斗くん』『えっ⁉︎』と、声が聞こえてくる。何を驚いてるのか、と思ったが、すぐに宇佐美が続けて言った。

 

『今、噂になってるカイくん⁉︎ まさか、本当に付き合ってるの⁉︎』

 

 それを聞いて、海斗も氷見も半眼になる。

 昨日、誰とは言わないがどっかのバカな犬飼が大声で廊下で叫んでいたのを思い出す。宇佐美とかもうそういう話は超好きそうだ。

 

『……そんなわけないでしょ』

『だよねー。ひゃみちゃんにはとりまるくんがいるもんねー』

『うるさい……』

「おいおい、悲しい事言うなよハニー。昨日はあんな激しく人の体触って来た癖に」

『ねぇ、学校の体育倉庫にある金属バットって借りられるの?』

『無理だと思うけど……』

 

 相変わらず恐ろしい制裁方法を遠回しに言う女だった。

 

『じゃあ、切るからね』

「いやいや、待て待て。昼休み終わるまであと30分以上あんだけど」

『それまで相手してられないから。大体、辻くんとか犬飼先輩に構って貰えば良いじゃない』

「辻は昨日の件で変に気を使ってるし、犬飼の阿呆は阿呆だし」

『二宮さんは?』

「本気で言ってる?」

『……ごめん』

 

 歓迎会の日以来、あまりに二宮に懐き過ぎ「次、俺に触ったら二度と奢らない」と言われてしまった海斗は、微妙に二宮との距離感を測りかねている。チームメイトなだけあって、嫌悪感以外に好意的な感情も抱かれてはいるのだが。

 何にしても、二宮に色んな意味で気を遣わせている海斗は大物である。悪い意味で。

 

『良いじゃん、せっかくだし三人でご飯食べようよ』

『っ……』

 

 宇佐美も知らない仲ではないし、むしろ玉狛に行けば友好的に会話をしてくれるし、数少ない仲良くしてくれるオペレーターである。たまに風間に情報を流されるのが玉に瑕だが、今はその風間が遠征中のため、ただの良い人だ。

 氷見が返事をする前に、宇佐美が海斗に質問した。

 

『で、ひゃみちゃんとはどうなの?』

『ないから。そういえば、三輪くんの事で悩んでたのは解決したの?』

 

 名は体を表すとはこの事か、氷の如く冷たく宇佐美の話題をスルーし、海斗の苦手な話題を選ぶ。

 

「まだだよ」

『ええ……いい加減、言えば良いのに』

「きっかけがねーんだよ。せめて米屋が協力してくれりゃ良いんだが……」

『陽介はそういう話はからかうのが好きだからねー』

 

 米屋と従姉妹である宇佐美は、よく知っているようにウンウンと頷く。電話越しなので、頷いているかはわからないが。

 

『でも、そういうのは先延ばしにすればするほど言いづらくなるんじゃないの?』

「そうなんだよなぁ、延滞料金と一緒だよね」

『そう言うとなんか軽く感じるよね』

 

 そう言いつつも、もう軽い案件ではない。最早、三輪から海斗が逃げ回っている状態だ。

 ちなみに、そんな海斗に対し、三輪は「人と話す暇があるなら近界民を排除したい危ない奴」と思っている。彼の中の海斗は、一体どんな狂戦士なのだろう。

 まぁ、何にしてもこのままでいるのは良くないのは、海斗にも分かっている。何とかして誤解を解かねばならない。

 そんな事を考え込んでいる時だった。昼飯を食べながら寄っ掛かっている屋上の入り口の裏に、見慣れた黒い穴が出現した。

 

「……ああ?」

『どうしたの?』

 

 その氷見の問いに答えるように、門発生の警報が鳴り響く。警戒区域外のゲート発生、それがまさか自分の高校で発生しようとは。

 しかも、門の数は一つではない。屋上に一つ、校庭に一つ、そして校門前に一つ現れた。

 

「おいおいおい……!」

 

 普段の海斗なら問題無いが、門の位置が余りにも悪過ぎる。ポケットの中のトリガーを起動する暇もない。

 さらに悪いことに、中から出てきたのはモールモッドだった。言わずもがなの戦闘用トリオン兵。それが、三箇所に一匹ずつ現れる。

 慌てて立ち上がった海斗は、弁当を投げ捨ててモールモッドと向かい合うように構える。

 

『ゲート⁉︎』

『カイくん、平気⁉︎』

 

 スマホからそんな声が聞こえるが、返事をする余裕などない。モールモッドが間髪入れずにブレードを振るい、海斗は後ろに下がりながら回避する。

 その振るったブレードを、そのまま切り返された。刃の付いている方ではないから、切断されない。しかし、それでもトリオン兵の腕力だ。それも、生身で受けるのではわけが違う。

 薙ぎ払われた海斗の身体は、屋上の柵まで殴り飛ばされた。 背中を強打し、柵は大きく変形する。

 

「グハッ……!」

 

 柵があるということは、当然、後ろには何もない。落ちれば、4階建の建物から真っ逆さまだ。

 そして、それを狙うかのようにモールモッドは距離を詰めてくる。そんな相手に対し、海斗は壊れた柵の金属の棒を引き抜き、両手に構え、最後に柵がある現状を打破するために移動する。

 モールモッドは逃さずに追撃し、両腕のブレードを激しく振り回した。

 

 ×××

 

 昼休みのため、校庭にいる生徒は少ない。しかし、昼休みを献上して部活の練習をしている生徒もちらほらといた。

 そこに現れたモールモッドは、牧場に放たれたケルベロスの如く、低いうなり声を漏らしているように見える。トリオン兵に鳴き声などないが。

 テニスコートで自主練をしていた二年生の女子生徒は、まさに阿鼻叫喚。悲鳴を上げ、パニックになり、激しく慌てふためき逃げ回っていた。

 しかし、モールモッドから見て一番近くにいた人間が彼女だった。テニスコートは金網に囲まれてこそいるものの、入り口は一つしかなく、運の悪いことにモールモッドが現れたのは、その唯一の入り口の方向だった。

 走馬灯が見える、とはこの事か。いや、まだ見えてはいない。柵があるからか、ほんの僅かだが余裕があった。

 テニスコートの整地用のブラシなどを入り口に固めておき、涙目で少しでも生き残る可能性を高める。

 しかし、そんなものはトリオン兵には改札口と変わらなかった。真っ直ぐ通るだけであっさりと破壊され、ゆっくりと女子生徒に近付く。

 

「あっ……ああ……!」

 

 あまりにリアルな死のイメージ。逃げ場など完全に無くなり、尻餅をついてヘタリ込むしかない。涙目で、ただただ動けなくなっている時だった。

 モールモッドに、2〜3発の弾丸が降り注いだ。それにより、無機質なトリオン兵の意識は後方へ向く。動けなくなっている標的より、攻撃してくる敵の方が重要だ。

 こちらに銃口を向けているのは、モサモサした男前だった。いつもの感情が読み取れない真顔で、真っ直ぐとこちらを見ている。

 

「本部、こちら烏丸。警戒区域外でのゲートと保護対象を確認。近界民を始末します」

『了解』

 

 そう静かに言うと、右手のアサルトライフルをしまい、孤月を出した。さっきはこちらに意識が向いていない上に時間が無かったから撃てたが、今回はこちらを警戒している。敵の後ろに民間人がいるのに、飛び道具はご法度だ。

 女子生徒は不安だった。目の前の少年は、ボーダー隊員とはいえ、学校でも有名なイケメン一年生だ。ボーダー隊員とトリオン兵が戦うところを見るのは初めてだが、果たして本当に人間があの化け物に太刀打ちできるのか。それも、たった一人で。

 そんな少女の不安を他所に、先に動いたのは烏丸だった。地面に手を置き、静かにトリガーの名をとらえた。

 

「エスクード」

 

 直後、モールモッドの真下から壁トリガーが出て来る。殴り上げられる形で宙に浮いたモールモッドは、前方に大きく回転しながら落ちてくる。

 大きな隙が生まれた直後、烏丸は一気に距離を詰め、高さを合わせてジャンプすると、モールモッドの身体を一撃で両断した。

 見事に真っ二つにし、テニスコートの中に着地し、腰を抜かしている二年生の少女の隣に降り立った。

 

「……目標沈黙」

 

 静かにそう言う彼を前にして、彼女は恋に落ちる音を聞いた。

 

 ×××

 

 校門の前に現れたモールモッドは、校舎内に入ることはしなかった。それよりも、街の通行人に襲い掛かる。横を通りかかった車に対し、ブレードを思いっきり振り下ろした。

 運転席に直撃するような事はなく、ボンネットを丸々切断し、衝撃で車の後方は大きく跳ね上がった。

 

「キャアアアアア‼︎」

 

 車の中で悲鳴が響き渡る。エアバッグが発生したが、それによって視界が塞がれる。空中で回転する車内では、前も後ろも横も分からない運転手が回転している。

 死んだ、なんて諦める余裕もなかったが、ガクンとその車体が止まった。頭から血が流れていて、何がどうなっているのか分からないが、とりあえず窓の外を見た。すると、目の前にいるのはいつも如何にもツンツンしてそうな、タコさんウィンナーみたいな髪型の少女だった。

 そんな少女が、車を受け止めて、地面に着地した。

 

「ふぅ……まったく、海外の映画じゃないっつーの」

 

 香取隊隊長香取葉子が、実に面倒臭そうに立っていた。

 そう舌打ちしながら呟くと、車を降ろし、ドアを開け、自分に対して不機嫌そうな表情のまま言った。

 

「さっさと出て逃げて」

「え、あっ……」

「何よ、立てないの? 仕方ないわね」

 

 何も言っていないのに、肩を貸して車から出してくれた。意外と良い子なのかもしれない。

 優しい人で良かった、とホッと胸をなでおろしたのもつかの間。後ろからガシャガシャと無機質な足音が聞こえる。

 迫り来ているのは、言うまでもなく戦闘用トリオン兵だ。

 これはまずい。自分を抱えたままでは、このボーダー隊員は戦えないかもしれない。

 

「チッ……余裕のない奴ね」

 

 自分に言ったのか、それともトリオン兵に対して言ったのか、何れにしてもさらに不機嫌そうな表情になったが、彼女だけは唯一、余裕のある様子だった。

 そして、誰か向かって言っているのか、さらに不可解だったが、少女は話し口調で言った。

 

「麓郎、雄太。狙わなくて良いからさっさとやっちゃいなさい」

「「了解」」

 

 直後、どこから出て来たのか、急に姿を現したメガネとモジャモジャした髪型の二人組がサイドからトリオン兵の両足を吹っ飛ばした。

 これによって、モールモッドは攻撃の手段をなくす。残り、出来る行動は逃亡だけだ。

 しかし、それは自分を担いでいる少女が許さない。いつのまにか手にハンドガンを握っていた少女は、ドカンドカンと3〜4発放ち、モールモッドの目を貫通した。

 

「はい、終わり」

「お疲れ、葉子」

「俺達、オフで良かったよね、葉子ちゃん」

「まだ終わりじゃないわよ。この人、病院に運ばないと」

「終わりっつったのはお前だろ」

 

 そう気安く話す三人は、どうやら見知った顔のようだ。

 

「病院より保健室で見てもらった方が早くない?」

「一応、救急車呼んだいた方が良いでしょ。麓郎、あんたは救急車。雄太はこの人、一緒に連れて行って」

「はいよ」

「分かった」

 

 テキパキと役割分担していた。こうして見ると、ボーダーというのは本当に頼りになる組織だ。警戒区域から離れているにも関わらず、敵が現れたすぐに助けに来てくれる。しかも、まだ成人もしていない少年少女達が。

 その事に安堵しつつ、保健室におとなしく運ばれていった。

 

 ×××

 

 屋上では、海斗が生身でモールモッドと戦っていた。まぁ、海斗の攻撃は通らないので、ほとんど一方的に防御していただけだが。

 ほんと、非番の隊員が少ない時に限ってこれである。せめて距離をおければ変身できるのだが、生身よりモールモッドの方が早いため、それもかなわない。

 

「……チッ」

 

 ただでさえ昨日、白髪のチビにボコボコにされていたというのに、さらに生傷が増える。

 どうにかして距離を離したいものだが、反撃しなければ話にならない。屋上で逃げ場がない辺りが、また厄介なのだが……。

 

「……あ」

 

 いや、あった。距離を取る方法が。一つだけ。死ぬかもしれないが、その時はその時だ。

 モールモッドの攻撃を避けながら、徐々に下がっていく。下がった距離だけ詰めてくる。流石、プログラムされているだけあって、攻撃のテンポは徐々にこちらを追い込むように仕込まれている。しかし、だからこそ次の攻撃は読めるものだ。

 屋上の金属の柵を盾に、正面から打ちあわず横からの攻撃は下、あるいは上から、上下からの攻撃は横から打ち込むようにガードし、軌道を逸らす。それでも無傷ではすまないが、身体を半分こされるよりマシだ。

 背中を柵まで追い込まれた。これ以上は、一撃で一階まで自由落下だ。それでも慌てずにモールモッドの一振りをジャンプして回避する。

 その直後、先程と同じようにブレードの付いていない部位で自分の腕を横に薙ぎ払った。ギリギリ、鉄パイプを横にしてガードしたものの、踏ん張りはどうしようもない。

 メキリ、と肩を軋ませる音と共に屋上から投げ出された。

 しかし、それこそ海斗の望んでいた展開だ。空中で落下しながら、ポケットからトリガーを取り出す。

 

「シャザム‼︎」

 

 直後、海斗の両手・両足が光に包まれる。先から順に身体の中心に向かうように、学ランから黒いスーツへと変化し、傷の多かった身体は新品の無傷へと姿を変えていく。

 トリオン体への変身を完全に終えた直後、海斗は片手にレイガストを出した。

 

「スラスター」

 

 直後、海斗の身体は右手を中心に一気に真逆の真上に切り返され、屋上まで逆噴射する。片膝と片拳を地面に着け、着地した。

 目の前に相対するモールモッドに表情なんてものはない。それでも狼狽えているように見えた。

 

「100倍返しな」

 

 直後、海斗の身体は真っ直ぐに直進する。スラスターもテレポーターもグラスホッパーも使っていない。

 ただ、突撃し、正面から両手のスコーピオンを振るい、モールモッドをバラバラに斬り裂いた。通り過ぎた頃にはモールモッドの両鎌と全ての脚はその辺に転がり、弱点の目には拳の形の穴が開けられている。

 

「……あー、疲れた」

 

 ボヤきながら、攻防の最中に落としてしまったスマホを拾った。画面は粉々で、ホームボタンを押してもうんともすんとも言わない。

 

「……壊れちまった」

 

 こういうの、ボーダーはお金出してくれたりするのだろうか。新しくスマホ買い換えるお金なんかない。

 トリガーを解除して元の姿に戻ると、全身に傷の痛みが走る。改めて両腕や身体を見ると、割とズタボロにされていて、チラホラと血が出ていたりする。

 胸の踊る喧嘩は好きだが、別にボロボロにされたいわけではない。昨日に引き続き、今日もズタズタにされた海斗の機嫌は一気にすこぶる悪くなった。

 

「教室に戻るか」

 

 そう呟いて、屋上を後にしようとした時、屋上に人が現れた。烏丸京介だ。

 

「陰山先輩。いたんすか」

「おせーよバカ」

「大丈夫すか?」

「大丈夫じゃねーよ。生身でトリオン兵とやり合ってたんだぞ」

「すみません。俺も校庭の奴、始末してたんです。校門の方は香取隊がやってくれました」

「え、なんで屋上に誰も来てくれなかったの?」

「だって屋上は普段、立ち入り禁止されてるじゃないすか。人が少ないんですから、多い方から優先するに決まってるでしょう」

 

 校則を破るとロクなことが起きないことを、身を以て痛感してしまった。実際、普段は屋上には人はそれなりにいる。今日だけは、海斗しかいなかったわけだ。

 まぁ、何はともあれこれで終わりだ。せっかく来てくれたイケメンの後輩に、海斗は任務を言い渡した。

 

「丁度良いわ。俺、病院行くから午後の授業サボるって言っといて」

「了解です。……ちゃんと病院行ってくださいね?」

「るせーわ。分かってるっつーの」

 

 行くつもりはないが。作戦室にこもって、傷の手当てをするだけだ。

 

「しかし、こうしてるとやっぱ危ねえな。警戒区域外でのゲートっつーのも」

「当たり前すよ。俺のとこもギリギリでしたし。あと一歩で一人死んでましたから。香取隊も吹っ飛んだ車の運転手は怪我してましたし」

「……車が吹っ飛んだの?」

「はい」

 

 怖っ、と海斗は思ってもないことを呟いてみる。まぁ、その辺は自分達の仕事ではない。

 さっさと作戦室に戻った。

 

 ×××

 

 本部に向かう連絡通路に到着した。トリガーを起動しているため、トリオン体でここまで来た。と、いうのも、ズタボロで帰還したら他の人に見られ、最悪、通報されることもあり得るからだ。

 通路を通り、本部に到着して、足早に作戦室に向かう。二宮隊はオフで高校生3人は6限まであるが、二宮は大学の時間で3限まで、つまり昼休みの後の講義で帰宅してきてしまう。

 大学の講義は90分だから、3人より少し早く一番怖い人が帰ってきてしまうのだ。

 だから、一刻も早く作戦室に向かおうと……。

 

「ウィス様ぁー!」

 

 うるさいのが来た。自分をそう呼ぶのは一人しかいない。

 

「……ふ、双葉……!」

「ウィス様、お疲れ様です!」

「お疲れ。じゃ、俺は作戦室に」

「待ってください。お稽古つけて下さい!」

 

 嫌だった。今は特に。疲れてるし、傷の手当てもしておきたいし。しかし、ここ最近は二宮隊との訓練が多かったため、双葉との特訓の時間はあまり取れず、今では双葉はかまってちゃんになってしまった。

 ちなみに、ウィス様とは第三の呼び名である。次は何にしようか悩んでいるとこでもあった。

 そんな話はさておき。双葉の面倒を見るのが嫌なわけではないが、流石に今は無理だ。心を鬼にしてお断りさせてもらうしかない。

 

「悪い、今はちょっと……」

「また、ですか……?」

「よし分かった。今すぐ面倒見てやる」

 

 本能がコンマ数秒で勝ってしまった。

 

 




バカのトリガーセットが変わりました。
MAIN
スコーピオン
レイガスト
スラスター
???
SUB
スコーピオン
バッグワーム
シールド
???

???はまだ決まってないとかじゃないです。本当に。
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