めっちゃ短いですが、これだけは先に書いておきたかった。
感想、評価ありがとうございます。また、いただけましたら嬉しいです。
誤字脱字などは感想での指摘はご遠慮くだされば幸いです。
感想いただけましたらうれしいです。
お題箱作ってみました、何かあれば
https://odaibako.net/u/fujineko56
「ああ、そうか、そうなのだな!」
その神の僕は歓喜した。それこそが、まさしく己の運命であると。
自分を嗅ぎ回る存在がいることにエンリコ・プッチが気づいたのはいつのころだったろうか?
それはあくまで、プッチがスタンド能力というそれを持っていたことと、とくに慎重な性格であったおかげだろう。
嗅ぎ回っていたそれは鐘で雇われただけの人間で雇い主の詳細は分からなかった。
もしや、ジョースターの人間にばれたのか?
そんな懸念を纏い、プッチは神父という役割を上手く使い、そうしてDIOの信奉者を訪ねることに専念することにしたのだ。
そんな矢先、最初の国として決めたのはイタリアだったのは彼の職業柄ゆえだろう。
ジョースターには財団がついている。
彼はそれでも一介の人間で有り、集団にたてついてなんとかなるとは限らない。
故に、プッチは何年経とうとも、罠を張り、空条承太郎をおびき寄せることに専念することにしたのだ。
イタリアには神父というそれも理由であるが、それ以上に、何か惹かれるものが会ったというのもある。
何かが自分を呼んでいる、引き寄せられるような感覚。
プッチはそれにDIOの言葉を思い出し、素直に自分自身を委ねてみることにした、というのが本音だ。
そんな矢先、神学校での先達を通じて滞在していた教会にて、その日、プッチは何やら眼を覚ましてしまった。
落ち着かない、ただ、落ち着かない気分になり。
彼は無意識のように教会に向かっていた。
そうして、何故か、鍵が閉まっていたはずなのに入り込んでいた誰かを見つけた。
浮浪者だろうか?
にしても、衣服はしっかりしており、そうして、震えている。
それにプッチは何か事情のある人間が入り込んだのだと考えた。神父としてそれに話しかけようとしたとき、女は、教会にありし神の子へ叫んだ。
DIOとジョースター。
それにプッチの行動は早かった。
近づき、そうして声をかけた。それはただ単に無害なことを装ってのことだった。
それに、蹲るそれはプッチの名を呼んだ。
疑いは確信に変わる。
「ホワイトスネイク!」
プッチのスタンドはためらいなく、その人影からDISCを取り出した。何か、叫び声が聞こえた気がしたが、女が倒れると同時に聞こえなくなった。
(・・・。抵抗も、特にない、な?)
プッチはそんなことを思い、DISCを見つめる。そこで気づく。女には案の定というべきか、スタンドのDISCも所有していたのだが。
おかしなことに、そのDISCはプッチが見た中でも変わった形状をしていた。中心の穴が他のDISCよりもずっと大きいのだ。
(・・・こういったこともあるのか。)
プッチとしてもそこまで自分のスタンドについて研究しきれているわけではない。そのため、いったんはスタンドのDISCについては置いておくことにした。
それよりもなお、彼にとって気になるのは記憶の方だ。
(・・・DIOの名前、そうして、ジョースターの名前も知っていた。ならば、彼女は。)
プッチは彼が知りたがる天国についてのヒントを、知っているのではと。
それは殆ど好奇心といってよかった。
そこでプッチはようやく女を見た。教会の床に無造作に転がる女。
その顔を見て、プッチは、戦くように一歩下がった。
その、床に転がる女。
黒い髪、ステンドグラスから注がれる月光に照らされたその青白い肌、特徴という特徴のない、その顔立ち。
分かる、何もかも違うのに。違っていると理解が出来るのに。
あまりにも、その寝顔は、妹に、似ていて。
あの日、いつかに、自宅のリビングで、ソファで、疲れて眠ってしまった、稚い、昔の、あの子に、ペルラ、似て。
がんがんと揺さぶられるような感覚がした。けれど、すぐにプッチは首を振る。
いや、似ていない。似ていない、が。
プッチは転がる女のことをじっと見る。近づくと、ふと、なにかとても安らぐような香りがした。まるで、遠い昔、母に抱かれていた時を思い出すような、柔らかな匂いだ。
(・・・何者だ?)
惹かれる、この地で、こうやって出会うDIOを知るらしい女。
プッチはその衝動を引きちぎるように視線を背け、改めてDISCを見つめた。
そうして、頭に入れる。
そうだ、記憶さえ、見ればきっと全てが分かる。
記憶とは情報の固まりだ。
故に、すぐに目当ての記憶を探し当てられるわけではない。
その女の、人生が、回る。
その女はギャングであった。スタンドを発現してしまったが故に逃げられず、なし崩しのように罪を犯し続ける愚かな女。
愚かであり続け、そのくせ、救えると信じられる者に手を差し出さずにはいられないそれ。
プッチは素直に思った。
ああ、なんて、愚かな女だろうか。
罪を犯し、人を傷つけ、救えぬ者を一身に愛してけして赦されぬ女。
それでもなお、今にも死にそうなそれらを抱きしめ、死ぬ瞬間にまぶたを閉じるその女。
それはなんて矛盾に満ちているのだろうか?
死にたくないと逃避のために罪を犯す様はこれ以上ないほどに醜悪で。
そのくせ、自分の差し出せる範囲の中でなんとか他者を救おうとあがき、無垢なる者を愛する様は笑えるような清廉さで。
善と悪、清さと醜さが混ざり合って蜷局を巻くように女の記憶は回っていた。
(・・・・妙、な記憶だ。)
女の記憶は、なんというのだろうか。
最近であればまだ鮮明なのだが、所々ノイズがかっており、見えない部分が多い。
そういった手合いも初めてのことで、プッチは困惑しながら女を眺める。
それでもプッチは探り、探りながら一つのビジョンにたどり着く。
それは、学生服を着た大柄な誰かが何かのノートを燃やしている。
その中で、DIOの声が聞こえる。
『必要なものは「わたしのスタンド」である。』
『必要な物は信頼できる友である。』
『必要なものは極罪を犯した36名以上の魂である』
『必要なものは「14の言葉」である』
『必要なものは『勇気』である』
『朽ちていくわたしのスタンドは36の罪人の魂を集めて吸収、そこから「新しいもの」を生み出すであろう』
『最後に必要なものは場所である』
『それは、
最後の言葉はどこか雑音混じりであったけれど。
それでも、プッチは確信を持って言えた。
ああ、これだ。
これこそが。
「天国に、至るための、方法なのか!!」
歓喜に震えるプッチは微笑んだ。何せ、こんなにも早々と自分の求めていたものにたどり着くことが出来たのだ。
それを、それを、どうして喜ばないわけがないだろう?
「やはり、引力だ。ああ、なあ、君。」
プッチはまじまじと興奮のままに女のことをのぞきこむ。DISCを抜いたせいで、女はもうまもなく死ぬだろう。
プッチは記憶だけは帰してやろうかと考えた。スタンド能力は調べた限り、影に潜り込む程度の能力だが隠密には丁度良い。
集めておこうと考えるが、記憶自体は帰そうかと考えたのだ。
その女は罪深い。人を殺して、他者を踏みつけて生きたような女である。
その女とDIOの関係は分からない。その当たりの記憶も、ノイズがかり分からないことばかりだ。
ただ、女の台詞の中に、未来を見るスタンド、という発言があった。
(そのスタンドのせいか?)
そう考えつつ、プッチはなにかとても安らかな気分だった。
女は妹にまったく似ていないのに、やはり、改めてまじまじと見つめると本当に、その寝顔はよく似ていた。
安らかで、安寧に満ちていて。
ソファで居眠りをするあの子に、自分は仕方がないなとブランケットをかけてやったものだ。
プッチは女のことを抱き上げる。その軽さに、プッチは今の状況なんて忘れて女の子とが心底心配になった。
いいや、記憶を見たプッチには理解できている。
それが心労によるものであると、女の人生を見れば分かることだ。
「・・・・君も、天国を望むか?」
DISCを入れて、眼を覚ましたとき、問うて見てもいいかもしれないと。女もまた、そこに至るために、自分を押し上げることを望む気がした。
(・・・・いや、やめて置いた方がいいな。)
女の記憶はノイズがかったものが多かったが、それでも確かに感情だけは鮮明に焼き付いていた。それこそ女は、顔も、記憶の中では曖昧な男を心底怖れていた。
その恐怖が、自分を信じるか、まではわからない。
ならば、スタンド能力だけを渡して、自分が保護者のように振る舞ったようないい気がした。
プッチはすっかり、女を、無意識のように連れていくことを決めていた。それほどまでに、何か、とても離れがたかった。
その寝顔を見つめれば見つめるほどに。
その柔らかな匂いに包まれていたかった。
プッチはそっと女にスタンドのDISCを女に入れようとして、そこで何故か、プッチの懐から“骨”が転がり落ちた。
おかしいな、とプッチは思った。
何せ、それはなくさないようにしっかりと隠して置いたはずなのに。
疑問に思いながら、プッチは女の、丁度腹の上に落ちていく骨を拾おうとした。女の腹に当たって弾むことさえ想像して。
なのに、そうはならなかった。
骨は、まるで、女の腹に吸い込まれるように、溶けるように、沈んでいったのだ。
「な、なんだとおおおおおおおおお!?」
あまりの、突然のそれに、プッチは思わず叫んだ。そうして、まるで小銭を落として慌てるどこぞのケチな人間のように辺りを這いつくばって探す。
けれど、見れど、探せど、骨は、DIOの骨はどこにも存在しない。
「何故だ、どこに?いったい、どこに!?」
そうだ、女の、腹の上に、落ちて。」
そこでプッチは気づく、理解する。
彼はゆっくりと女に近づき、そうして、平たい腹を撫でた。
そうして、彼は無意識のように呟く。
記憶の中で見た、あの、14の言葉を。
紡ぐ、一つずつ、言葉を、口にする。
そうして、薄い腹、その奥で何かが蠢く感覚を確かに手のひらに感じた。
「ああ、ああ、ああ、ああああああああああああ!!そうか、そうなのか!!」
プッチはがたりと立ち上がり、そうして叫んだ。
DIOの欠片を混ざる、その器。
多くの罪人を見つめ、愛した、魂の依り代。
それが、今、混ざり合っている。
そうだ、産まれるのだ。この、女の胎から、新しいものが!
「そうか、引力、これこそが君の言っていたことだったんだな、DIO!」
プッチは歓喜しながら女のことを抱きしめる。
「
プッチは女のことを抱き上げ、そうして、DISCの中で見た、女が捨てて等しい名前を口にした。
「ああ、マリア!そうだ、行こう!共に、悪魔の滅ぶ地へ!君はそれを知っているはずだ!」
プッチはまるで幼い子どものようにけたけたと笑う。
「共に、天国へ行こう!ああ、
女はDISCを抜き取られて久しく時間が経っているというのに、血の気もあり、そうして安らかに寝息を立てていた。
そんな女を抱いて、プッチは踊るように回る。
そうして、まるで誕生したばかりの赤ん坊に頬を寄せるように聖母の額にキスを落とした。
そうだ、とプッチは微笑む。
それは直接的に、そうだと考えていたわけではなくて。ただ、確信のように、プッチは思った。
ああ、きっと、あの子がこうやって帰ってきてくれたのだ。
きっと天に座す方が、この哀れな子に報いを与えられるためにこうやって、こんな形で、罪を覆し、天に至るためのチャンスを与えてくださったのだ。
きっと正しい、だって、あの子は、あの子だけは、この世の中で誰よりも幸せであるべきだったのだから。そうでなければ、ならなかったのに。それでも運命だったから。あの子も、きっと、それを知っていれば。
本当に?
誰かが囁く気がした。
けれど、妄信的な神の僕にはそれが聞こえない。
なにせ、DIOの妄言なんてものを信じて、人生を賭けようとしている愚か者には何を言っても無駄なのだ。
そうでなければ、そうでないというのならば。
黒い髪、痩せた体、哀れなほどに弱々しいそれ。
その全てを持って、まったく似ていないのに。
「・・・・こんなに、似ている、はずがないんだ。」
プッチは女の寝顔を見つめる。
ずっと、このまま見つめていられれば、そう、思うほどに。
プッチの目には、それが妹に似ているように見えた。
それをじっと見つめるものがいた。
じっと見つめる。
観察し、プッチが女を連れて教会を出て行くのを見届けた。
・・・・・とある老婆が言った。
スタンドとは精神の力である。故に、そうであると信じれば、認識し、行うことを当然とすることで、スタンドはどんなことでも起こせてしまうのだ、と。
DIOの言う天国へ行く方法はこの延長戦だ。
スタンド能力は進化する。いいや、拡張と言うべきだろうか?
精神が変われば、なせることも違ってくるように。
世界に影響を及ぼすほどの規模のスタンドが進化すれば、全てを巻き込み、現実を変えることもまた出来るのだ。
ただ、認識が違えば、人はそれぞれの天国を起すだろう。
そうだ、
それこそが真実だと、認識し、そうして、遂行すること。
故に、だ。
本来の出来事から、たった一つだけ、嘘が紛れ込んでいたとしても。
狂信者にはそれが嘘だとはわからないし、そうだと一度信じてしまえば、もう後の事なんてどうでもいいのだ。
天国、それは天国を待っている。天国を手にするのは、誰なのか。そんなことはどうでもいい。
DIOは天国に向かうための方法を示したけれど。
さて、その天国を手にするのは、誰だ?
望んだ者か?必要とされる友か?新しいものを産む聖母?
それとも?
ばさりと、白い鳥が、暗闇の中から飛び立って消えていった。
それにプッチは気づかない。
全部終わった後
ポルポ。
はい、なんでしょうか、ジョジョ。
あなた、臆病なくせに、暗殺人チームの彼らのこと怖くないんですか?
いえ、彼らの中に付き合いが長い人もいますから。気心も知れて気楽です。特にプロシュートと、ホルマジオと、リゾットは。
ホルマジオはいいとして、プロシュートはいちいちぼくに対して圧がまだあるんですよね。ああ、怖いです、ポルポ。
えっと、プロシュートにはよく言っておきますね。ですが、私に抱きつくほど怖いですか?
まあ、これはおふざけの一環ですけど。ただ、リゾットについてはよく分からない人ですよね、口数も少ないですし。
えっと、リゾットはけっこうユーモアがありますよ!リゾットを食べてると、ちっちゃいことでいた、いた、とか、食べないでっ小さい声で言ってこられたりします!
・・・・うーん、意外な一面を見るべきか。一周回って怖いと言うべきか悩ましいですね。