イルミネ世界樹日記   作:すたりむ

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第四階層(3):行方不明のお嬢様

・素兎の月、2日

 さて、どうしたものかこの高空。

 とりあえずまずは構造の把握。島がいっぱい浮いている空間。鳥が多い。中には人間以上の大きさの鳥もいて、頻繁に襲ってくる。

 島と島の間はどうやら空飛ぶ台座で移動できるようになっているみたいだが、その台座の軌道の入り組んでいることと言ったら、もう。おまけに足場が悪いところを鳥が次々襲ってくるので厄介でしょうがない。

 救いは、樹海の中と違って見晴らしがいいこと。おかげで、たいていの相手にはマイトの狙撃が先んじる。たまに襲ってくるでっけぇ花は例外だが、あれは炎の特殊弾丸でどうとでもなるし。というわけで、苦戦する敵はあまり多くない。

 とか言いつつうろうろしてたら、超巨大な鳥に襲われてあっさり撤退。えーい忌々しい。

 

 

・素兎の月、3日

 探索、続行。

 どうやら昨日の鳥は時間によってうろちょろする場所を変えるらしい。ということで、うまくかいくぐりつつ地図を作っていく。怖いことになったらシロが引きつけておいて全力で逃げる。

 そんなこんなで、なんとかうまく探索できそうな感じだった。でももうちょっと情報が欲しい。

 

 

・素兎の月、4日

 マイトが砲撃協会とやらから呼び出しくらったので今日は探索をおやすみ。

 シロと一日中もふもふごろごろして遊んでた。

 あーもふもふ。

 

 

・素兎の月、5日

 昨日の呼び出しは、先日お亡くなりになった協会長の仇討ち指令だったのだそうな。

 十六階で協会長を襲ったその魔物は、その後に上の方へ逃げていったそうな。てことは十七、十八階あたりに潜伏している可能性が高いということになるわけで、協会はエース級のガンナーを集めて敵討ちを決行するつもりらしい。

 まあ、あんまり私たちには関係のなさそうな話だ。どうせ十七、十八階は英雄クラスの冒険者たちの溜まり場だ。放っておいてもそのうち、グレイロッジあたりと遭遇して、あっさり討たれるに違いない。協会としては自分たちで敵を討てなくて面子を潰される格好になるが、まあそれはしょせん他人事だし、なにより私たちにはそんなことに関わっている余裕はないのであった。

 というわけで今日も普通に探索。だいぶ階層の構造がわかってきた。うまくすれば数日中に抜けられるかな。

 

 

・素兎の月、6日

 いつものように元気に探索中の十九階で、ものすっっごくでかい魔物と出くわした。

 で、なんとか撃退したのはいいが、力押しで叶わないと見た奴さん、なんと浮島の縁側にへばりついてぐらぐら揺らし始めた。ぎゃああ危ねえええええ落ちる落ちる落ちる! かろうじて台座に飛び乗って撤退したはいいが、ありゃ困った。あんなことされたら危なっかしくてかなわん。

 と、マイトが首をかしげつつ呟いた。

「あれ、多分協会長の仇の魔物だ」

 マジかよ。おとなしく十八階あたりで虐殺されてくれればいいものを、なんでよりによってこんな人気のないところまで上がってくるんだ。

「人気がないから安全だと思ったんじゃないのか?

 それより、これからの話だ。仇討ちのことはともかく、あれを放っておいたら後でえらいことになりかねんぞ。どうする?」

 どうする、っつったってなあ。どうしようもなくないか?

 今回みたいに浮島の縁に隠れつつ揺らしまくる戦法を取られたら、こっちとしては逃げるしかない。とすると出会い頭に瞬殺するしかないわけだが、そこまでの火力はいくら今のマイトでも期待できない。

「火力、ね。……もうちょっといい銃があればなあ」

 無茶言うな。ただでさえ、最近は採算度外視で進んでるから金欠気味だってのに。

「仇が討てれば協会から報奨金が出ると思うんだが」

 そんな空手形で、いい銃器を買うだけの金が集まるかっての。

 ともかく、このまま相談していても埒が明かない。いったん撤退して態勢を立て直すことにして、今日は街へ帰ることにした。

 ……困ったね。わりとここまではスムーズに探索できてたんだけど。

 

 

・素兎の月、7日

 即金で割のいい仕事がないかと酒場に行ってみたら、なんとライシュッツと出くわした。

「ヌシはパレッタの呪医か。

 その後、息災なようでなによりだ」

 なんだよ。ずいぶんと丸くなったな、じいさん。

「丸くなったつもりもないがな。

 ふむ――とはいえ、このような場所で会うのは珍しいな。仕事でも漁りに来たか」

 あんたこそ。樹海には出入り禁止になったんじゃなかったのか?

「樹海には出入り禁止でも外の仕事はできる。

 幸い、おとなしくしていた甲斐あって監視も解かれたし、そろそろ仕事を見繕っておかんと財布が空になってしまうでな。お嬢様を飢えさせるわけにもいくまい」

 あ、そういうことか。

「むしろヌシこそがここにいる道理がなかろう。特段に金欠になった風もなし」

 金欠気味ではあるけどな。ちょっと火力が足りなくて、新しい銃でも調達しようかと思っていたところなんだよ。

「銃? あの小僧のか。

 だが狙撃銃で質のよいものは、現在なかなか手に入らぬぞ。例の砲術協会長の件があってから、武器を買いに皆が殺到したらしくてな。おかげで今やどこも品薄だ」

 げ。そりゃ困った。

 うーん、資金さえあればどうにかなると思ったんだがなあ。そしたらどうするか……

「――ひとつ、アテがないでもないが」

 ん、なんだよじいさん。

「狙撃銃の調達の件だ。強力なのがひとつ、手に入るアテがある。

 難度は高いが、ヌシらと我々が協力すれば不可能ではない」

 へえ。そりゃ悪くないな。

「詳しくは……明日にしよう。アーテリンデお嬢様にもご協力頂かねばならぬ。

 ヌシらも準備をしておけ。できる限り入念に、な」

 言って、ライシュッツは去っていった。

 

 どういう風の吹き回しかは知らないが、目処は立った。

 ライシュッツの言う、強力な銃。それを手に入れれば、あの魔物も倒せるかもしれない。

 さて、問題はそれを手に入れる手段なのだが――

 

 

・素兎の月、8日

 アーテリンデが行方不明になった。

 ……おいコラ。ちょっと待て。

「すまん。まさかこのようなことになるとは思いもよらなんだ」

 恐縮するライシュッツ。まあ彼のせいではないし、責めるのはちょっと酷だ。

 とはいえ、まず彼女を捜さないとこちらの話も始まらない。手がかりはあるのかと聞いたが、ライシュッツは力なく首を振った。

「昨日の件はお嬢様に伝えてはある。

 お嬢様にとっても悪い話ではなかったはず。だから、斯様な事態になるとは想定もしていなかった。油断であった」

 だそうな。

 ともかく、目処が立ったはずが急に振り出しに戻されてしまった。まずはアーテリンデを探すところから始めなければならない。酒場にも一応、捜索願を出しておいたが、こっちでも独自に動くことにした。まずは、アーテリンデが行きそうな場所で聞き込みでもしてみよう。

 

 

・素兎の月、9日

 ダメだ。さっぱり見つからない。

 というかそもそも、アーテリンデが行く場所なんて私が知っているわけもないのだった。ライシュッツが探せなかったくらいなんだし。あの死喰いの気配でもあれば後を追えそうなものなんだけど、彼女の死喰いは私がことごとく吹っ飛ばしちゃって跡形もないから、それは無理。

「いっそのこと、もう無視して樹海登ったほうが早いんじゃないのか?」

 マイトが言うが、せっかく乗りかかった船だし、これだけ労力払って無駄でしたってのはやっぱ納得がいかない。こうなりゃ意地でも、ライシュッツの言う銃とやらを手に入れないと気が済まなくなってきた。

 それで昼過ぎに酒場に行ったら、ちょうど仕事を探しに来ていたらしいバードとはち合わせした。カチドキとかいう(どっかで聞いた名前だ)そのバードは、なんか働かなくて大金稼げる仕事ないっすか旦那ー、とか無茶言って酒場の親父とやり合っていたが、相手をするのに疲れたらしい親父がこっちに話を振ってきた。おい、おまえんとこの依頼があっただろ紹介してやれ……って、おいおい。厄介払いに私を使うなよ。

 まあいいや。こっちも人手が欲しかったことだし、素直に事情を伝えて協力を仰ぐことにした。カチドキは事情を聞くとふふんと笑って

「おっけーおっけー。人捜しとはジャーナリストの血が騒ぐってもんさー。得意分野だ、任せな!」

 と言うや否や、いきなり酒場をぴゅーっと飛び出して行ってしまった。……おい。まだ私、アーテリンデの特徴教えてないぞ。とか思ったらばたーんと扉を開けて戻ってきて、

「聞くの忘れてたー。誰探すんだっけ?」

 ……だ、ダメだこいつ。

 

 

・素兎の月、10日

 酒場に行ったらカチドキが待っていた。

「断言しよう。彼女は樹海にいる!」

 早っ。ていうかなんだよ根拠は。と聞いたら、昨日の聞き込みの成果だと言う。以下、その聞き込みの内容。

 

証言1(交易所の某売り子さん):あ、そのひとなら来ましたよ。

 ええ。お得意さまですから。いっつもアムリタとアリアドネの糸をセットで買っていくんで、よく覚えてます。

 ここ最近はいらっしゃられなかったんですけど、そういえば昨日はすごく大量にアムリタを買い込んでましたね。よっぽど集中力が必要な作業でもするんでしょうか。

証言2(正門付近の某呪い師さん):……なに。徳高き巫医とな。そのようなもの、ここ二、三日は見かけておらぬぞ。

 ああ。間違いはないだろう。うちは朝早くから正門が閉まるまで営業しているからな。夜にこっそり忍び出たというのでもない限り、ここを通りかかった人間でそのようなものがいれば気づくはずだ。職業柄な。

証言3(有名ギルドの某パラディンさん):え、樹海に忍び込む方法? カチドキさん、なに企んでるのか知らないけどやめたほうがいいよ。ていうか、このまえ冒険者試験受かったって言ってたじゃない。そんな必要あるの?

 自分じゃなくて誰かが忍び込むとしたら? んー、わかんないけど、樹海に通い慣れた冒険者なら可能じゃないかなあ。衛士さんたちより樹海に詳しいだろうしね。こっそり入る道はいっぱいあるんじゃないかな。探ってみたことはないけど。

 

 以上。なんか一人か二人くらい知り合いが混ざっていたような気もしないでもないが、ともかく状況証拠っぽいものは確かに揃っている。アムリタを大量に買い込むということは、どこかに危険な作業をしに行った可能性が高い。そして街の正門から出た可能性が低い以上、あとの可能性は樹海――さらに言えば、たとえ出入りが禁止されているとはいえ、樹海に忍び込む手段はたくさんある。

「樹海のどこにいるかまではわからなかったけどさ、そっちに巫医さんのギルドメンバーいるんでしょ? 後はそのひとに心当たりを聞けば、仕事一丁上がりってとこさね」

 得意げに言うカチドキ。意外だ。こうも簡単に情報が集まるとは。やっぱ餅は餅屋ってことかね。

 で、ライシュッツを呼んで作戦会議。樹海、ということになれば、ライシュッツには彼女の居所についてのアテがあるそうな。九階の奥、秘された大きな空間。アーテリンデの居場所は、おそらくそこだと言う。

「お嬢様はよく、そこは特別な場所だとおっしゃっておられた。だから――」

 ライシュッツはそう言う。

 実際、出入り禁止になっているアーテリンデが人の多い区画に出入りするとも思えない以上、そうした知られざるエリアに行ったという可能性は、十分ありそうだ。

 目標は決まった。今日からは、その九階から奥のエリアを探索する。まだまだ頼りない情報だが、いまは手がかりがそれしかない。

 

 ……で、出発したのはいいけど。なんで付いてきてんだカチドキ。

「まあまあいいじゃないっすか旦那ー♪ このヤマなんか面白そうだし」

 心底のーてんきに言うカチドキ。いいけど。なんか、厄介なやつに目を付けられてしまった気がする。

 そして九階の奥に到着、足場の悪い地面に悩まされ、ようやく奥に着いたと思ったら今度はうっかり下の階へ落下すること数度。……魔獣の危険は少ないものの、心底うんざりして帰還。なんて攻めにくい場所だ……

 

 

・素兎の月、11日

 昨日と同じ場所を探索し、下へ降りる階段を見つけたはいいが、やっぱり足場が悪すぎて挫折。

 あーもう、どうにかならんか、あの周辺。

 

 

・素兎の月、12日

 カチドキがイナーさんを連れてきた。

 知り合いだったのかよ。と言ったら、エトリアじゃ同じギルドだったんだぜー、と返された。カチドキ曰く、ホイスビーって言ったらあっちじゃグレイロッジやロックエッジにも引けを取らない超有名ギルドだったんだそうな。信じられねー。うさんくせー。

 で、イナーさんと一緒に樹海へ。すると、うまくでこぼこのない道を選び、昨日あれだけ苦戦した地帯をいとも簡単に突破。すげー。プロすげー。ていうか魔獣とまったく会わないんですけど。イナーさん曰く、怖いのとはなるべく会わなそうな道を選んでる、とのこと。……いや、それってできるものなんですか。信じられん。

 そして六階まで下降。さらに凄いことに、樹海磁軸からの近道まで見つけ出してくれた。いやはや。イナーさんについては、さっきの件を信じてもよさそうだ。カチドキ? 微妙。

 

 

・素兎の月、13日

 六階、紅の葉散る空間。その奥の奥に、彼女はいた。

「ふうん。案外早かったわね」

 アーテリンデは、私たちの姿を見てそう言った。

 ……早かった、ねえ。こちとらけっこう苦労した気がするんだけど。

「そりゃそうでしょ。本来なら、こっちの作業が終わるまでは追いつかれない予定だったんだから。

 痕跡もなるべく残さなかったつもりだったんだけど。……どうやって追ってきたのかしらね?」

 どーでもいいだろ、そんなこと。

 それより、どういうつもりだよ。無駄にライシュッツに心配かけて、なにをやる気だったんだ?

「この空間を見ればわからない? あなたなら」

 ――――

 見回す。

 いまは跡形もないが、確かにここは古戦場だった。

 たくさんの、おそらくは優秀な冒険者たち。それが、なにか強大な力と戦い、敗れた。

 その、無念が充満している。

「一度破られた死喰いを復活させるのには時間が要る。

 だけど、これだけ強大な死霊どもを喰らえば、間違いなく最強の力が手に入る。そう……今度は、奴にだって勝てるくらいの力が」

 またやる気かよ。

 ていうか、なにと戦う気なんだよ。もうスキュレーはいないぞ。

「爺やから聞いていないの?

 ……いいわ。知らないならそれでもいい。あなたたちが、あの一件から手を引いてくれるなら、それで十分」

 それはアレか。例のいい銃が手に入るアテっていう、あの件?

「そうよ。

 爺やは違う意見みたいだけど、あたしはあれに部外者が絡んで欲しくないの。奴はあたしたちが倒す。あなたたちは黙ってなさい」

 そのために、また死喰いをやると?

「無論。力が必要ならば手に入れる。

 それだけのことよ。前は失敗したけれど、今度こそは」

 はぁ……わかってないなあ。

 あんた、向いてないんだよ。決定的にその力に。才能はあるけど、性格がな。

「なにが言いたいの?」

 なんならやってみるか?

 言っておくけど、いまのあんたなら私だって楽に倒せるぜ?

「へえ。面白い。

 前は不覚を取ったけど。このアーテリンデにそう何度も簡単に勝てると思っているのかしら?」

 ふん。ま、やってみればわかるさ。

 ――……広間は殺気に満ちた。

 私は悠然と巫剣を構え、彼女も同様に構えを取る。

 全員、その場にいる者たちは身じろぎもせず、勝負の行方を見守っている。

 アーテリンデの身体が、ゆらりと動いた。

「いざ、参r」いまだシロやっちゃえ! がうー、と叫んだシロがのしかかり、彼女は悲鳴を上げて地面に押し倒された。

「こ、こら、卑怯だぞ!?」

 ふふん。なんとでも言え。

 ていうか、あんたの方が巫剣の使い方がうまいのは先刻承知さ。一対一で戦ったら絶対負けるんだから、こうするしかないだろ?

「そういう問題かー!? て、ていうか、暑苦しい、重い、はーなーれーろー! むきー!」

 馬鹿者め。だから最初から勝負は着いていたと言っただろ。

 一人で戦うことに固執し、相棒だったライシュッツすら信じられなくなったあんたに、勝ち目は最初からない。チームプレイは冒険者の基本だっつーの。力が欲しいならまず頭数揃えろ。話はそれからだ。

 というかな、だから死喰いなんか使うべきじゃないんだっつーの。アレは亡者の怨念を磨り潰して、その力で自分を強化する術だ。その分、怨念の影響を術者がモロに受ける。

「そ、そんなに未熟じゃないっ。あたしは、ちゃんと力を制御して」

 だから力の問題じゃないっつーの。

 そりゃ、怨念に飲まれることはなかっただろうよ。あんたは凄い術者だ。でもな、制御できていようといまいと、影響は受けちゃうんだよ。

 怨念ってのは元がある。元となった無念は、磨り潰す際に嫌が応でも身体にしみこんでくる。

 力は暴走しなくても、精神は影響を受ける。まじめな人間ならなおさらだ。無意識にその無念を背負い込んで、それを無駄にしないようにって気負ってしまう。そうして気づかないうちに無理をして、後は破滅まで真っ逆さまだ。

「…………」

 これが、他人なんて利用するためにあるとか考えてるタイプの奴だったら話は別なんだけどなー。私やあんたは、ちょいとそーゆータイプにはなりきれないんだ。持って生まれた性格のせいでな。

 だからそんな術、もう使うのはやめときな。そいつはあんたが使いこなせる力じゃない。

 わかったか?

「ど……」

 ど?

「どうでもいいから、この獣どけなさいっ。重苦しいっ」

 あー反省が足らんな。よしシロ、もふもふしろ。もふもふ。

「こらー! やめれー!」

 ぐへへへへ。さあさあ観念しろー。シロ、もっと激しくすりつけ。すりすりだ。すりすり。

「ぎゃー! いやー! 犯されるー! たーすーけーてー!」

 じたばたじたばた。

 うーん、これ楽しいなあ。もっといじめちゃろっかな。とか思っていたら、横で呆れ顔で見ていたマイトがふと上を向いた。

「おい。なんか近づいて来ないか?」

 え? なにがだよ。

「なにか羽音みたいなのが聞こえるんだが。この分だと、だいぶ大きいぞ」

 言葉を聞いて、アーテリンデの顔がさっと青ざめた。

「まずい、この場の主が帰ってくるわ!」

 主?

「火竜よ火竜! それもとびきり大きいの! こんなところにいたら骨まで焼かれてあっという間にこの場の亡霊達の仲間入りよ!」

 な、なんだってー!?

 

 死ぬ気で走ってかろうじて樹海磁軸まで退避。竜こえー。なんかシルエットだけ目の端に映ったが、滅茶苦茶バカでかくてマジでダメかと思った。南無。


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