砂糖院さんまで一気に駆け抜けられるんじゃないか?
そう思って失速した原因の一部置いときます。
昔から間の悪い子だと周りから言われ続けて来た。
中でも一番間が悪かったのは、みさきとの出会いだった。
たまたま、いつものように砂浜の上空で練習していたら、当時初心者だったみさきと出会った。
そして世界大会を目前に控えていた時期にーー初めて挫折を知った。
今なお悪夢として忘れられない出来事だ。
だが、昨日のアレはもっと危険だった。
下手すれば俺は死んでいた。
社会的に。
だとすれば今日のこれは、たいそう間が悪いと言えるもので……。
「行ってきます」
「行ってきます」
同じタイミングで家を出る。
お隣さん同士、それは知らんぷりできる距離でもなく、
「「あ」」
俺と彼女は、互いに視線を結びつけた。
£≡
俺も明日香との待ち合わせがあり、彼女も登校するため立ち話しているわけにもいかず、同じ停留所を目指して並んで歩く。
「あ、あのさ」
「っ!」
警戒マックスだった。
話しかけると彼女は身を硬らせ半歩距離をとってくる。
さりげないだけに、心の傷は深くなる。
だが、それも仕方のないことだ。
俺が加害者かどうか話し合う余地があっても、彼女は間違いなく被害者だった。怖がるのも無理はない。むしろこうして並んで歩いてくれるだけ優しいまであった。
とりあえず昨日のことは全力で謝っておこう。
「その、昨日はごめん」
「い、いえ、昨日のことは私も、不注意で……」
どうやら、あれから色々と考えていたのは一緒みたいだ。
絶対に許さない! なんて言われたらどうしようもなかったので、落とし所を作ってくれたのには感謝しかない。
まぁ、気まずさは残るわけだが……。
「そ、そうだ、自己紹介がまだでしたね」
沈黙を破ったのは彼女だった。
この空気に耐えられなかったのだろう。昨日の羞恥を投げ出して、意地でも明るくしようと頑張ってくれている。
笑顔が引き立っているのを見れば一目瞭然だ。
「そ、そういえばそうだな。昨日、家に来てくれたみたいだけど俺は居なかったし」
もしその場にいれば、こじれずにすんだのだろうか。
そんなイフなんて考えても仕方ないのでなんとか話題をつなげるために思考を割く。
「俺は日向晶也。久奈浜学院の二年です。これからお隣同士よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。私は、市ノ瀬莉佳っていいます。先週から高藤に転校することになって、本土からやって来ました。一年生なので日向さんは先輩ですね。こちらこそよろしくお願いします」
「ああ、その制服やっぱり……だから家を出るの早いのか」
「そういう日向さんも早いですよね。私の方が遠いと思うのですが……?」
「俺は友達と待ち合わせしてるんだ」
「なるほど。いいですねー、そういうの。私も昔は友達といつも一緒だったんですが、その子が転校してからはいつも一人で。……一応、中学のときの友達がこの辺りに住んでるみたいなんですが、生憎と別方向みたいで……」
お互い緊張も解れてきた、と思う。
自然な会話の流れで、話題はいつの間にか移ろっていく。
「四島でうどんといえば、ましろうどんだな」
「あっ、知ってます。実はわたしの……中学のときに知り合った方の友達なんですが、彼女の家がそこでして。今度の休みに遊びに行く予定なんです」
「え、有坂と知り合いなのか?」
「はい。ということは日向さんも真白と顔見知りなんですか? なんだか、思ってたより世間って狭いんですね」
「四島が狭いっていうのもあるだろうけどな」
外を歩けば見知った顔ばかり。
そのため近所付き合いなど横の繋がりが深い。
俺もあまり交友関係は広くない方だけど、それでも四島にある各校に一人は必ず知り合いがいる。まぁ、チャットで知り合っただけの顔も名前も知らない知り合いだけど。
「あっ、おーい! まぁーちゃーん! おはようございまーすっ!」
しばらくして停留所へ着いた。
元気に大手を振って出迎えてくれる明日香を見て、自然と笑みが溢れてくる。
「あの方が日向さんのお友達さんですか?」
「ああ、あの子も丁度転校してきたばかりで、もし良かったら紹介するよ」
「……そうなんですね。でしたらお願いします」
あれ? 今のって笑ってる顔だったよな?
心なしか威圧感すらある。
この表情はよく知っている。みさきがたまに向けてくるから。
でも、みさきの場合はFCの話題だけを続けていると勉強嫌いが転じて出てくるのだが、いかんせん、市ノ瀬さんとの付き合いは短いからどう言った意思表示なのか分からない。
……考えていても仕方がない、か。
「あれ、まーちゃん、その子は?」
とてとて、と近づいてきた明日香は不思議そうに首を傾げた。
「紹介するよ。昨日、家の隣に引っ越してきた市ノ瀬さん」
「はじめまして。市ノ瀬莉佳って言います」
「で、こっちが俺の友達の倉科明日香」
「こちらこそはじめまして。倉科明日香です」
両方を仲介する立場として、どちらも若干ぎこちなさを感じるけど波長は合うんだろうなと予想している。どっちも丁寧な言葉を使うし、何より可愛い。
四島へ来たばかりで頼る人が少ない身同士で仲良くなれるはずだ。
「それにしても、友達って言ってたのに、ガールフレンドだとは思いませんでした。彼女さんだったんですね?」
「はわわっ!?」
「こら、あまりからかうなって。明日香がおもしろい動きになっちゃっただろ」
「……ということは、彼女さんじゃないと?」
「違う違う、俺と明日香はそんな関係ーー」
ふと、脳裏に過ぎった、昨日の笑顔を思い出して顔が熱くなる。
あのときは一瞬だったけど、俺を救ってくれる未来が見えたような気がした。それがどうしても、信じられなくて……何より、可愛いよりも愛おしいという感情が出てきたことに羞恥してしまった。
俺と明日香は、メル友だ。
昔、よく遊んで、しばらく離れ離れになって。
それでも、繋がり続けようとした……大切な関係。
なのに、おこがましいだろう。
ただ、友達というだけの関係なのに。
好きすら伝えていないのに、愛おしいなんて絶対に間違っている。
「俺と明日香は、友達だよ」
「すごく長い葛藤があったように見えましたけど」
「冗談でも彼女だって自慢したら、俺と明日香の関係が壊れちゃうからな!」
「ま、まーちゃんが壊れた」
明日香が近寄ってきて心配そうに顔を覗き込んでくる。
女の子の甘い匂いが鼻をくすぐった。
「ふふ、仲がいいんですね」
「それはもう、友達を超えた存在だからな」
「え、もしかしてそれって」
「まーちゃん……」
頬を染めてもじもじする明日香がまた可愛い。
そして、微笑ましそうに俺を見てくる一つ年下の少女が視界に入って、なんだか、表現し難い感情に襲われた。もにょる?
まぁ、どうでもいい。
今のテンションが振り切った俺を止める術はない。
「そう、俺と明日香は友達以じょーー」
「へぇ、晶也くんは朝から女の子二人も侍らせていいご身分ですなぁ」
時が止まる。
驚きだとかそんなんじゃなくて、テンションが振り切った俺を曝け出すことを自重する。冷や水を浴びたように思考がクリアになって、いつもの調子を取り戻す。
「どうしたんだ、みさき。それに有坂。こんなところで朝練か?」
みさきは笑っていた。
「まさか。ただ、ちょっと早く目が覚めたから一緒に登校でもしようかなって」
「そうです! みさき先輩すごいんですよ! いつもならわたしが起こしに行くまで全く起きる気配がさらさらないのに今日は嵐でもくるのか身支度全部終わっていて、少しションボリです」
「ちょいと真白ちゃん? 愛しの先輩のこと少し誤解してない?」
「誤解なんですか?」
「うぐっ……じ、事実だけど」
久々に真白にやり込められているみさきを見て思った。
相変わらず、間が悪い。
もはや晶也くんの間違えが、勘違い展開を引き起こす。
「友達を超えた関係とは?」
日向晶也LV1
「俺たちは友達以上の親友/メル友だ!」
明日香視点
「俺たちはまだ友達の関係だけど、もう先へ進んでもいいんじゃないか?」
莉佳視点
「俺たちはまだ友達以上恋人未満の関係だ」
共通ルート中ですがまずは明日香ルート解放(明日香の思い込み)
これを防ぐにはみさきちゃんがもう数秒声をかけるのを遅らせなければならなかった。当の本人は一刻もはやく声をかけなければと思っていたけど。
次回は部活です。
それはそうと遅れましたがextra2決定ヤッホイ!
晶也くんのオレツエーが原作で見られると思うと期待が抑えられません。
……オレツエーあるよね?
原作でヒロインに昇格してほしいキャラは?
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砂糖院麗子/院ですわ!
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白瀬みなも/わははははは! 死ぬがよい!
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我如古繭 /ふふ、だーめ♡
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黑渕霞 /オワタ\(^o^)/
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覆面選手 /わははははは! 死ぬがよい!