転生クー・フーリンは本家クー・フーリンになりたかっただけなのに。   作:texiatto

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 何かアンケート結果見たら、マジでどこに需要あるのかわからんけど(偽)ニキ視点が欲しい人が想像の114514倍はいたので、まず手慣らしに(偽)ニキ視点で思考垂れ流しします。


 (この駄文に)ついてこれるか?(新規登録者を振るいにかけるクソ投稿者)


プロローグ:クー・フーリン(偽)

 ◆

 

 

 

 ありのまま起こったことを話すぜ……! 俺はバイヴ・カハの奴に流星一条(ステラ)ったら、いつの間にか"座"に登録されるとかいう大罪を犯していて、直後に謎の光に包まれたと思いきや、聖杯を差し出すメイヴとその他ケルト戦士達が目の前にいたんだ。

 

 何を言ってるかわからねえと思うが……いや、マジでなんでこうなってん? 

 

 困惑の極み過ぎて、これもうわかんねえな。思考放棄した俺は、とりあえず暫定"今生のマスター"であるメイヴに聞くとする。

 

「え……あっ、そうよねっ! まず色々と説明しなきゃいけないわよね!」

 

 顔を真っ赤に染めたまま、メイヴは聖杯を胸に抱き抱えつつアワアワと視線を泳がせる。

 意中の相手との会話が嬉しすぎて、逆に焦っているような言動だった。

 

 ……今更だけど、これホンマにメイヴか?(元凶)

 

「んんっ、えっと……どこから話せばいいかしら」

 

 そこから語られる、これまでの侵略。

 

 メイヴは64番目の節穴(レフ・ライノール)に聖杯を渡され、即座にフェルグス、フェルディア、フィン、ディルムッドなどケルト関係者を召喚。

 

 聖杯のリソースを用いて『名もなき戦士たち』を適当に数十万と製造し、この地────北米を侵略する戦争を開始した。

 

 ケルト勢は手始めにワシントンを攻め落とし、この時代の主要人物を軒並み抹殺。そして現在、ホワイトハウスを拠点として西部へと進軍している最中なのだとか。

 

 そしてそして、もはや北米全土を手中に収めるのも時間の問題だと感じたメイヴは、仕上げ(?)として俺の召喚に至った、と。

 

 うーんこの、シナリオ通りの北米神話大戦。 まあ、フェルディアとか俺とかいうバグはあるが、大体は同じのようだ。

 

 ただ、ひとつ聞かなきゃならないのは、どうして俺が仕上げなのかということ。

 本来であれば、もっと早期の段階で【オルタ】が召喚され、暴力! 暴力! 暴力! って感じで北米の人々を今よりも血祭りに上げている頃だろう(ブロリスト並感)。

 

 だが、俺は狂化付与はされておらず、しかも早期召喚もされていない。戦力増強のために呼んだとかでもない、よくわからないポジション。コレガワカラナイ。

 

「っ、それは……」

 

 何故今になって俺を召喚したんだ? とメイヴに問えば、途端にシャ〇専用メイヴに早変わり。

 

「……覚えてるわよね? アナタがあの女神に立ち向かう前、私と約束した言葉」

 

 約束した言葉────覚えているとも。俺なんかのために命をかけて戦ってくれる、それに報いたいがために、俺に出来ることなら何でもしてやる、と口にした。

 ……バイヴ・カハを倒す前に身内の争いで全滅しかけてたから、それを防ぐために言ったんだけどな。更に正確に言うなら、メイヴだけに言ったのではないんだけども。

 

「私は、その約束を果たしてほしいの。私の願いはただひとつ。それは、クー・フーリンを私のモノにすること」

 

 言葉に熱が帯びる。

 

「でもね、言葉の上での約束を使ってアナタをモノにしても、全っ然、嬉しくないわ。だって、身も心も私の虜になってくれなきゃ意味がないでしょ?」

 

 だ、か、ら────と続けるメイヴ。

 

「────クー・フーリンには、私と国をつくってほしいの。一緒につくって、治めて、隣にいてほしい。そうすれば、ずっと一緒に居られて、いくらでもアプローチできるでしょ?」

 

 あー可愛い。あーっ、あー可愛い(食い気味)。あまりの変わり様にトゥンク……して、思わず靴下がダサそうな喋り方をしてしまった。

 

 と、それはさておき。メイヴが俺と国をつくってほしい理由は理解した。確かにそりゃ告白シチュみたくもなるわな。言われたコッチも恥ずかしくなったわ。

 そんでもって、何故俺の召喚が仕上げなのかも同時に把握。敵と言える敵が北米から一掃され、建国も時間の問題となったから召喚した、ということさね。

 

 ……うーん、これは分水嶺。

 

 生前の未練────皆に報いたいという願いを叶えるために、メイヴとの約束を果たすのは然るべき。

 それに、わざわざ聖杯を使ってまで俺を召喚し、己の望みを実現せんとするメイヴには報いてやりたい。

 後ろに控えている面々、特にフェルディアが此方の陣営に与しているのも非常に大きなポイントだ。

 

 けれど、俺はこの世界は修正される運命にあるのを知っている。この時代において、俺達ケルト勢が圧倒的に悪で、敵で、侵略者であるのを知っている。

 当然だ。既にメイヴ達はこの地に住む無辜の民を虐げ、殺戮し、領土を簒奪している。

 何をどう見てもインベーダーの所業だ。申し訳ないが、そこに関しては擁護もできやしない。

 

 今はまだ、ケルト勢に立ち向かう人々は組織されていないだろうし、抵抗する野良サーヴァントの出現も確認されていないのだろう。

 だが、エジソンの召喚と機械化歩兵の登場によって次第に拮抗し、そして原作通り、ケルトとアメリカの東西戦争に発展していくだろう。

 

 即ち、この北米の地にカルデア────藤丸とマシュが転移し、俺達を倒すべく仲間を増やして立ち向かってくるのもまた、その通りになるのだろう。

 

 この物語の主人公は彼らであり、俺達は敵だ。カルデアが勝利しなければ世界は焼却される。大義名分も何もかも、あちらが持ち合わせているのだ。

 

 だからこそ、その葛藤が俺を鈍らせる。

 

 この地でカルデア一行と対峙した時、俺は藤丸達に……最後の人類の希望に、槍を向けることができるだろうか。

 

 ……正直、まだ答えは出せない。しかし、まあ、今は皆との再会を純粋に喜んでもいいだろう。

 

 そう、考えるのに疲れたら、とりあえず現実逃避。これが一番だって言われてるから(白目)。

 

 ただ、その時までには腹を決めておこう。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 メイヴから一通りの説明を受けた俺は、一先ず彼女の願いを聞き入れることにした。

 

 単純な話だ。原作通りになるのだろうから、ここでケルト勢が集まるというのを、俺は知っている。

 だが本来、聖杯戦争で生前の知り合いと巡り会うなんてア〇チラ排出率並に低い。青天井である。

 

 ならば、ここでの再会は、例えメイヴが聖杯を用いて召喚していたとしても、幸運に他ならない。

 だからこそ、俺はこの機会にメイヴを筆頭とした生前の関係者らとの約束を果たす。この幸運を捨て置くのは勿体ないだろう。

 

 ということで、形から入るために騎士の誓いの儀的なイメージでメイヴに傅き、「この再会に感謝を。我が今生、その運命は最期まで貴女と共にある」と騎士ロールでメイヴに返答してやったところ、目元に嬉し涙を浮かべながら飛んで跳ねての大喜び。

 

 キャラ崩壊ってレベルじゃねーぞ!(照)

 

 そんなこんながあって今、俺はホワイトハウスの前でフェルディアと立ち合っていた。急展開すぎんだろ……(テニプリ並感)。

 

 事の発端は、メイヴとのやり取りが一段落した時のことだ。

 

 飛んで跳ねて喜ぶメイヴは自分の世界にトリップしているようで、そっとしておこう(番長)状態。

 

 そんな彼女を後目に近付いてくる戦士が一人。

 

「クー・フーリン! お前との再会が実現したことを嬉しく思うぞ!」

 

 生前からの戦友であり好敵手である、フェルディアだ。

 ただ、コイツ滅茶苦茶に破顔してるもんだから、ちょっとビビった。

 

 俺もお前と再会できたのは嬉しいけどさ、何故にそこまでハイテンションなん? と聞いてみれば、フェルディアの顔に僅かな影が差す。

 

「……"乗り越えるべき壁"を見失うこと。それこそが戦士にとって最も恐怖すべきものだ」

 

 あー、これは生前の話じゃな? そして"乗り越えるべき壁"とやらは……まあ、多分そうよね。

 

「だが、英霊として聖杯戦争に招かれたのならば! 歴戦の戦士、万夫不当の英雄、殺戮の限りを尽くす修羅────まだ見ぬ難敵と相見える機会があるというものッ!」

 

 唐突に声を張ったフェルディア。その笑顔は肉食獣のようにギラついている。

 

「聖杯戦争……とはもはや呼べないが、此度の戦において、俺は難敵との出会いを所望していた。しかしッ、再びお前との邂逅を果たしたのだ! となれば他のサーヴァントなど眼中に入るものか! あぁ、これほどの歓喜に震えることなど他にある訳がないだろうッ!!」

 

 同じメイヴ陣営のはずなのに濃厚な敵意を向けられて……ブルっちゃうよぉ(親爺)。

 

「だからこそ────」

 

 担いでいた槍、その穂先を俺に向ける。

 

「────―クー・フーリン、我が好敵手よ。俺と一戦交えてくれ」

 

 おう、死なず半兵衛の「是非、某と立ち合ってもらおう」みたいなノリで仕掛けてくんのやめろ。

 

 とまあ、そんな感じでフェルディアとバトることになった。

 でもまあ、サーヴァントとして現界したばかりで、どの程度のスペックなのか、宝具なのかの確認には持ってこいだ。

 

 互いに十メートル程の距離を置き、槍を構える。フェルディアの獰猛な笑みにつられて、俺の頬もつり上がっているのを感じた。

 それは当然。俺だってアイツのことをライバル視してるんだ。いくら俺が根っからのバトルジャンキーでないにしても、こーいうのは心が燃える。だって男の子だもの。

 

 

 

 

 

 

 メイヴを始めとして、フェルグス、フィンにディルムッドまでもが観戦する中、先手を取ったのは────俺だった。

 

 刺突のフォームのまま地面を抉るように駆け、瞬く間にフェルディアの眼前に迫る。

 

 神速による真紅の一閃、それは生前の絶頂期と遜色ない一撃。

 だが、これをフェルディアは余裕を持って槍を振るうことで弾く。

 

 反撃の暇すら与えずに追撃、連撃。弾かれた勢いを活用して魔槍を回転させ、薙ぎの連続を見舞う。

 しかし、これもまたフェルディアは難なく的確に捌き切る。はえー、熟達の狼くんか何かで?(戦慄)

 

 ならば、と俺は刺突や斬撃、殴打といった様々な攻撃手段を織り交ぜ、型にはまらない変則的な乱舞で攻める、攻める、攻める。

 

「──────ッ!」

 

 集中するかのように僅かに瞠目しつつも、フェルディアは変則的な打ち回しに対応し続けてみせる。

 クー・フーリンという最速の英雄の連撃を超反応とも形容できる速度で、しかも山の如く移動せず真正面から凌ぎ続けるなど尋常ではない。

 

 それこそ────()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「ふッ!」

 

 ほんの僅かの思考。それを鋭敏に感じ取ったのか、フェルディアは俺の熾烈な連撃の刹那を見切り、隙間を縫うように懐へ一撃を鋭く差し込んでくる。

 

 攻撃の間を突くのではなく、その最中に入れる鋭利な決定打。

 攻撃に神経を割いていたのなら、まず間違いなく反応しきれないであろう的確な致命の一撃。

 ぶっちゃけて言ってしまえば、フェルディアという戦士の戦闘スタイルを熟知していなければ、これは初見殺しに等しい。

 

 フェルディアの堅牢な守り、そこから繰り出される巧妙なカウンター。それは容易く一撃を与えさせてはくれず、此方が攻めているはずなのに、その逆────此方が攻め立てられているように感じられる。

 

 傲慢でも何でもなく、それは正しく"武の極地"に至っていた。

 

 そう。だから、これに対応できたのは、偏に"これを狙うであろうことを知っていた"からだ。

 そして同時に、フェルディアの強さの格を感じ取る。うーむ、これは使わされるか。

 

 懐に迫った穂先が心臓を穿つ────その寸前、 手足に装備されている『鎧』に魔力を流し込む。

 左胸部に刃が到達するより早く、俺の肉体を赤黒い鎧が包み込んだ。

 

 

 

 ────『噛み砕く死牙の獣』

 

 

 

「…………ッ!」

 

 致命の一撃は、虚しくも『鎧』に傷を付けるに留まる。

 フェルディアは、俺から溢れ出た赤黒い力の奔流に気圧され、大きく跳躍して距離をとった。

 

「……『それ』を引き出させたは、これが初めてか……!」

 

 冷や汗を流しつつも嬉嬉として俺を見据えるフェルディア。ギラついた笑みを浮かべ、バトルジャンキーのアレな部分に火を灯してしまったようだ。

 

 コイツの言うこともその通りな訳で。生前までの立ち合いなら『噛み砕く死牙の獣』を使用したことはなかった。使うに至るまで追い込まれたことはなかったからだ。

 

 サーヴァントは、その人物の最盛期の姿で召喚される。少年少女の姿で召喚されることもあれば、老人の姿の場合もある。

 眼前にいるフェルディアは、よくよく見れば俺の知っている彼よりも少し年齢が上のような気がする。

 事実、生前は俺との力量に差があったはずなのだが、今では拮抗するまでに磨き上げられていた。

 

 そう、つまりは────サーヴァントと成ったフェルディアは、俺が知っている生前よりも格段に上。

 

 サーヴァントとしてのスペックを確認するに留めるつもりだったが、これは燃えてきた。そして、マジでやらんと負けるぞコレ。

 

 ────なら、『これ』のウォームアップに付き合ってくれや。

 

「……ははッ、上等だッ!!」

 

 吠えた好敵手に、俺は『鎧』を全身に纏わせたまま突貫する。

 Урааааааааааааа! 本来のクー・フーリンは持っちゃいけない死獣の力ッ、思い知れェ! 

 

 複数の魔槍を備えた剛腕の右ストレート。先程よりも攻撃速度は落ちるが、その分、範囲と破壊力は何倍にも跳ね上がる。

 その証拠に、拳を振るった瞬間に、空気が張り裂けるような「轟ッ!!」という音を奏でた。

 

「…………ッ!!」

 

 常に守りを主とする構えだったフェルディアが、攻撃を弾くでもなく、初めて明確に回避行動をとる。

 フェルディアはステップを踏んで攻撃の安全圏まで移動し、即座に刺突を放つ。『鎧』の破壊を目論んでいるのか、初撃を防いだ左胸部へ重ねるように一撃を狙う。

 

 それを受け流すように、身を捻って紙一重で避け、そして捻った勢いを利用し、右ストレートからアッパーへと攻撃を転換。

 

「ッ、ぁぐ……!?」

 

 寸でで槍を宛てがうことで直撃を避けたが、しかし俺の剛腕はフェルディアを宙に打ち上げた。

 俺は一度体勢を整えつつ、アイツの着地点に先回りして陣取る。

 

 一方のフェルディアは、痛みを堪えながらも空中で冷静に俺を視認し、落下の最中でルーンを綴る。

 癒しのルーンを使用した後、続いて綴ることで生成された火炎────アンサズは、陣取っていた俺へと降り注ぐ。

 

 まあ、本当なら避ける必要もない攻撃だ。何故かは知らないが、俺は火属性無効化というパッシブな体質だ。

 そのため、アンサズだろうがソウェルだろうが、俺を止める術になり得ない。

 

 そのことはアイツも理解しているはず。となれば、別の謀があるに違いない。

 

 アイツの動向に意識を向けつつ、迫る火炎を掻き消すように腕を振るい────瞬間、フェルディアが火炎を穿って現れる。

 

「ぜあァッ……!!」

 

 反射神経にものを言わせて両腕でガードする。が、全体重と落下の勢いの全てを上乗せした一撃は重く。俺の足は地面にめり込み、クレーターを形成。

 ガード後の硬直、その隙にフェルディアは俺の両腕を足場とし、翻るようにバク転をかましつつ、槍による一撃で俺を強引に後退させた。

 

 自然と互いに距離を置き、仕切り直し。

 

 ぬう、この『噛み砕く死牙の獣』の巨体を強引に退けさせるとは。

 それにも驚いたが、俺の思考はフェルディアのムーブに焦点が定まっていた。

 

 空中から放ったアンサズ、あれは間違いなく布石だった。火が効かないと知って尚放ったその理由は、単純に視界ジャックか。

 俺が火炎を振り払おうとする直前、フェルディアは自ら火炎から姿を現し、攻撃を仕掛けてきた。ただ、その速度は自由落下のそれを遥かに超えていた。

 

 となると、落下の速度を速めた何かを用いたと推測できる。……なるほど、高速飛行のルーンか。

 これもまた、俺の知っている生前のアイツは使わなかった戦術だ。多方、以前の一騎打ちの時の空中戦のメタのために習得したのだろう。そして、それがここで活きたと。

 

 …………いやぁ、フェルディア、強くなり過ぎじゃね? 経験する度に強くなるとか、凄いソウルライク味感じるわ。

 

 そこからはもう滅茶苦茶にやり合った。サーヴァントの身でどこまでやれるか、という目的は薄れてヒートアップを続ける俺達の戦いは、遂に殺し合い寸前にまで到達した。

 

「ちょ、殺し合いとかっ、呼んだ意味なくなるじゃない! ストップストップ……!」

 

 見兼ねたメイヴが止めに入るまで、俺とフェルディアは互いに力を引き出し合い、改めて互いに好敵手であることを確認し合った。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 その後は他のケルト鯖達とコミュを育んだ。

 

 フェルグスの叔父貴には、開口一番に謝罪された。どしたん? と呆気にとられていると、どうやら生前のモリガンとのいざこざで、操られていたとはいえ、俺の死に加担してしまったことを悔いていたようだ。

 気にしなくていい、と返したものの、フェルグスは不服そうだった。ので、今生は精一杯にメイヴに尽くすこと、それで手打ちにしようってことにした。

 

 フェルディアから聞いたが、叔父貴は俺が死んだ後、己の武を多くに継承させることに勤しみ、それによってケルトの繁栄を願ったのだとか。

 そこまでしてくれたというのに、これ以上何を求めるのか。そういう思いで一杯だったため、罰ではなく忠節をこそ求めて欲しいとしたのだ。

 

「……はは。いやはや、こうなるだろうと分かってはいたが────相分かった! このフェルグス・マック・ロイ、身命を賭して我らが女王に尽くそう。此度は同陣営、共に歩むとしようか、クー・フーリン」

 

 はいもう好き。黒田〇矢さんボイスでそんなこと言われてみろ。もう耳から孕むぞ(オタク)。

 

 お次は別サイクルのストレス胃痛主従コンビ────フィン、ディルムッド。

 

 二人とはマジで面識がない。知識としては知っていても、これが初対面のはずなのだが、何故かヤケにフレンドリーで謎。

 

「ああ、我らを呼び寄せた女王を初め、フェルグス殿、フェルディア殿から活躍を聞いていてね」

 

 にこやかに返すフィン。え、何聞かされたん? 怖いんだけど。

 

「己が義を通す騎士道精神、感服致しました。そして……その、貴方には、(女難という意味で)親近感を抱いてしまい……」

 

 おう、ディルムッド。俺を同類にしてくれんな(棚上げ)。

 

 とまあこんな感じに、ケルト鯖と協力してメイヴに尽くそう、ということに。

 けれど目下のところの俺の役割は、メイヴの側にいることらしく、北米侵略は我らに任せろ、とのこと。

 

 だがしかし、タイミング的にはもうそろそろ敵対サーヴァントが出現する頃合だろう。そうなれば苦戦は必須。今までのようにトントン拍子で進むのは有り得ない。

 そうなった際には、俺も出陣することになる可能性が高いか。俺の場合はゲッシュで人を殺めるのは無理だが、サーヴァントというエーテル体すなわち非人間であれば、力を振るえることだろう。

 

 いくらカルデアとの敵対勢力だったとしても、俺にとってメイヴやフェルディア達は最早ゲームのキャラクターなどではない。

 情けもかけるし、友好も感じている。そんな皆が敗北し、消滅するというのは見たくない。

 だからこそ、サーヴァントを倒してこいと指示されれば喜んで東奔西走しよう。指示されなくとも、皆が窮地に陥ったなら何処にでも駆けつけてみせよう。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 召喚から数週間。

 

 俺の予想通り、各地で抵抗や反乱といった動きが見え出していた。

 市街地でゲリラ戦を仕掛けられたり、戦場に機械化された歩兵が出現しだしたり、ひでぇ歌声が聴こえたり。後はその他諸々。

 

 ま、十中八九第五特異点に出現するサーヴァント達だわな。

 

 こうしてストーリー通りになっていくのだと思うと、自分の目でしっかりと見ていきたいと感じる一方、敵対することになるサーヴァントの対処をどうするか、という懸念点が。

 そして何より、俺やフェルディアといった、本来いるはずのないイレギュラーの登場で、俺の知っている第五特異点とは異なる結末を迎える可能性に頭が痛くなる。

 

 内心で頭を抱えていると、名も無き戦士の一人が報告(できたことに驚愕)してきた内容に、俺は反応する。

 

 ────赤い髪、紅い瞳を持ち、一振の剣を振るう戦士がいた。

 

 ……これは、もしかすると、もしかするかもしれませんよ?(確信)

 北米神話大戦に召喚される当該人物。紛れもなくラーマだろう。

 

 ということは、つまり俺が戦場に出てラーマと戦い、その心臓をハートキャッチ(ほぼ全壊)しなければならないのでは? 

 

 と、そんなことを思案していると、その思考を感じ取ったのか、メイヴがこちらに目を向ける。

 

「ねえ、クー・フーリン。本っ当は私の側から離れてほしくないけど、貴方も戦場に出たいのよね?」

 

 うん、そうだな。いくら俺がケルト側に着いてカルデアの敵を演じても、流石に原作通りにいかないのは不確定要素が多過ぎる。

 俺がカルデアに勝つのはいい、負けるのも構わない。だが、カルデア────藤丸達がここに攻め込んで来る前に彼らが全滅するのだけは、あってはならない。

 

 だから、極力原作通りに進めたいという思いがある。そのためにラーマと戦えというのなら、俺は行こう。それがクー・フーリンの役割なんだ。

 

「……そう。なら、止めるなんて野暮なことしないわ。ここでかけるべきは引き留める言葉じゃないもの」

 

 少し寂しげに、それでいて地母神の如き笑みを浮かべるメイヴ。

 

「行ってらっしゃい。必ず、帰って来てね」

 

 おう、任せろや。

 

 

 

 

 

 

 ◆




◆補足
Q.メイヴ変わりすぎィ!!
A.そんな変わってないやろ(当社比)。

Q.メイヴこれメインヒロインでは??
A.暫定メインヒロインムーブしててぐうの音も出ねえ……(白目)。あ、でも最後にクー・フーリン見送った後に一人ハイライト死滅してクー・フーリンが帰ってこなかったらって精神的にキてたりしてるから病んでるゾ(オタク特有の早口)。

Q.(偽)ニキの身の振り方どうするん?
A.基本的にカルデアの敵として立ちはだかる予定。ただし、自分が知っている第五特異点のストーリー通りに進んで欲しいと思ってるので、できる限りそれにそった行動をしようとしている。自分がカルデアに負けるとかはいいけど、カルデアが第五特異点最終決戦前に負けたりすると人類オワコン確定なので、是が非でもホワイトハウスで決着を着けたい(願望)。

Q.そういえばレーグ君どこ?
A.どこやろね(目逸らし)。

Q.次の更新予定は?
A.あ?まだ構想もねーよ(無計画糞投稿者)。


  ↓ここから雑談↓


 お久しぶりです、texiattoです。本編突入前の前日譚についてアイデアが浮かんだので、急いで書き認めました。え、前回更新から一ヶ月以上経ってるって?……黙れ(志賀慎吾)。
 今回は(偽)ニキ視点でお送りしました。メイヴに召喚され、ケルト鯖とのやり取りメインで書いたので、特にこれといった進展は、ないです。悲しいなぁ。というか、書いていてフェルディアと絡ませようとしたら、いつの間にか戦闘描写書いてました……。キャラが頭の中で勝手に動いてくれるのはいいんだけど、戦闘描写書くとめっちゃカロリー使うからやめて差し上げろ(は?)。
 ということで次回は本編突入……できんのかな。一応、ぼんやりとした「こうしたい」という考えはあるので、少しずつ書いていきたいと思います。そして、月一更新できるかどうかの本作を読んでいただいている方々には本当に感謝の気持ちで一杯です。その感謝にお応えして毎フレーム失踪致しますので、気長に待っていただけると幸いです。ではまた!
















◆くそ関係ない余談

 ヘブフォ
  ↓
 スピーカー
  ↓
 イチゴッチ、ミクセル、弓兵チュリス
  ↓
 総攻撃&ノートリ

 これで3キルされた時はリアルで「ア"ァァアイ"ッ!」ってサルみたいな声出ました。トリガーとかいう逆転要素なんてなかったんや……。

 いいか?シールドがなくなってダイレクトをキめられると人は死ぬ。

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