転生クー・フーリンは本家クー・フーリンになりたかっただけなのに。   作:texiatto

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真面目な三人称視点が続いてたから、唐突に描きたくなった。後悔はしてない。


アバンタイトル、クリミアの天使:裏

 ◆

 

 

 

 ラーマは強敵でしたね……。つか、ラーマの生命力やヴぁい。ボられて心臓八割散ったのに、割と動けてたんですけど。

 

 生前に魔槍で人を穿ったことがない分、今生で初めて人相手に魔槍を放った。

 原作遵守のためとはいえ、ラーマには本当に申し訳ない(人工無能)ことをしてしまった。今度会ったら謝ろう。

 

 モリガン? アレはノーカンでしょ。毎秒ボられて、どうぞ。

 

 とりあえず、俺がラーマをほぼ戦闘不能にしてからは、原作通りにジェロニモ率いるレジスタンスが現れ、ラーマを回収してくれた。

 これには俺も御満悦。良い気分のまま、機械化歩兵を壊し回らせてもらった。そりゃあもう、クラッシュをギアする感じに。

 

 ただ、メイヴが「せめてコレだけでも持って行って!」と付けてくれた"名も無き戦士たち"が、蛮族スタイルで生身の人をコロコロしてたのは……うん、ちょっと精神にキた。

 生前に我儘突き通して「誰も死なせない」とかいう歴史クラッシュをやった癖して、人を見殺しにするなんて行為、自分でもどうかと思ったさ。

 

 その戦いに誉れはないのか、と問われれば「誉れは浜で死にました」と返す他ない(冥人並感)。

 

 でもこれ、レーグ君が側に居たら絶対に怒られるやつ。何時ぞや「間違っていると思ったのなら、否定もしますし止めもしますよ」って言われたっけな。

 

 そういや、レーグ君はまだ召喚されませんかねぇ……?(SNJ)

 

 しかし、こればっかりはコラテラルダメージ。俺というイレギュラーが存在しちゃってる以上、せめて藤丸君達だけでも、原作通りの第五特異点を経験して欲しい。

 その方が俺にとって都合がいいってのもあるが、それ以上に、もうこれ以上の崩壊はやめて欲しいという胃痛を伴う願いがあるので……ホントに頼む。いやマジで。

 

 そんな思考に耽りつつ、俺はホワイトハウス────現在のケルト勢力の拠点に帰還した。

 

「っ! おかえりなさいっ、クー・フーリン!」

 

 ホワイトハウスの正面入口、そこに出待ちをするかの如く待機していたメイヴに、出迎えられる。

 俺を見つけた瞬間、小走りにこちらに駆け寄り、満面の笑みを携えて抱き着いてくる(理性損傷軽微)。

 

 ────言われた通り、無事に帰還したぞ。

 

「ふふっ、信じてたわよ。ねえ、アナタの活躍、私に聞かせてくれる?」

 

 そう言いながらメイヴは俺の腕を取る。

 

 改めてだけど、メイヴのこの圧倒的ヒロインムーブやべえな。これいつオトされっかわかんねえよ……とか思い始めている辺り、着実に攻略されつつある。……俺の攻略とか需要ある? 

 

 そんなこんなで、俺はホワイトハウスにあるメイヴの私室に連れ込まれた。もう慣れたさ……。

 彼女の私室はホワイトハウスの一室を無断で改造したもので、何処から持って来たのかは知らないが、高級そうな天蓋ベッドやら家具やらが置かれている。

 

「それで、アナタが出てまで戦った、その相手はどんなヤツだったのかしら?」

 

 天蓋ベッドに俺を座らせ、その膝の上にメイヴが座る。完全に背をこちらに預け、更に俺にあすなろ抱きをさせている状態。

 そんな体勢のまま、メイヴは俺を見上げるように聞いてくる。ゲロ甘ですね、はい。

 

 メイヴは事ある毎に俺にべったりで、ボディタッチ九割のスキンシップを頻繁にとってくる。おかげで俺の精神はボドボドダ! 

 

 ────ありゃあ、セイバーのサーヴァントだったな。剣の腕も、誇りも、どれを取っても一級品だったぜ。

 

「ふーん、アナタにそこまで言わせるなんてね」

 

 いやまあ、ラーマですしおすし。真名を言う訳にもいかんから、とりあえず強いサーヴァントってことだけは明確に伝えることにする。

 

「でも、クー・フーリンが勝った。でしょ? どんな風に仕留めたの? 私に教えて?」

 

 ねだるような猫なで声で、囁くように俺の話を促してくるメイヴ。ふーん、えっちじゃん(理性損傷拡大)。

 うぬう、グイグイくる。流石はメイヴ、攻めっ気はK2並に高い。こういう時のメイヴは止まんねぇからよぉ……! 

 

 俺はラーマとの一戦を、事細かにメイヴに話す。熟達の剣技、"ブラフマー・ストラ"という宝具、心臓八割ブチ抜き、そしてレジスタンスに回収。

 説明し終えた頃には、メイヴの顔は女王のそれになっていた。

 

「……やっぱり、レジスタンスとかいう第三勢力が邪魔してるのね。そういう輩は何時の時代もいる。ホントに面倒なヤツらね」

 

 うむむ、と唸るメイヴ。統治者には統治者の苦労がある。それを嫌という程理解しちまうね、全く。

 

 メイヴが俺を召喚した時、俺と一緒に国をつくってほしいと言ってきた。

 生前でもそうだが、その前の人生でさえ、国を治める経験などしたことがない。

 そんな左右もわからん奴が、国を一緒につくってもいいのだろうか? と、メイヴに零したことがあった。そしたら何て返してきたと思う? 

 

『大丈夫っ! 心配しないでいいのよ。私はアナタが望む事を実現させるから、何かあったら好きに言って?』

 

 こんなだぜ? ヤバない? 要するに、俺のやりたいことをメイヴが叶えてくれるらしい。何なんそんな甘やかしてきて? オギャらせたいの? 

 

 俺だって甘やかされっぱなしは嫌だったんで、建国のために統治者っぽいことは頑張ってたさ。

 けどその度に、やれアッチでは侵攻が上手く行かないだの、やれコッチでは抵抗が激しいだの、問題が次から次へとやってきて、余裕でキャパオーバーだったよ! 

 というか、頭ケルトの蛮族しかおらんから、これ統治というより指揮官と呼称した方が適切なまである。

 

 だからこそ、頂点に立つ人間の苦労というものが嫌という程にわかる。

 だというのに、それを当たり前のようにこなし、プライベートな時間もしっかり取るメイヴは凄いんだなって思う。

 

「ね、クー・フーリン。アナタはレジスタンス連中を、どうしたい?」

 

 甘ったるい声色に、僅かな冷酷さを滲ませたメイヴに、レジスタンスの処遇をどうするかという意見を求められる。

 いやこれ、意見というより、俺の意思によってレジスタンスの今後が左右されるのでは? 

 

 今更ながら、俺には原作通りにいって欲しいという信念がある。なので。

 

 ────今まで通り、見敵必殺。後は遊撃として、フェルグスやフェルディアに敵性サーヴァントを殺らせる、だな。

 

「いいわね、それ。じゃあ、それで決まりね」

 

 ええんか、それで(困惑)。もっとこう、ダメ出しじゃないけど、良い案とか出されるもんだと思ってた。

 

「そんなことないわ。アナタの気持ちを実現させる、私がそうしたいんだから」

 

 うーんこの、全幅の信頼。

 

 とりあえず、真面目な話はここで終わり。メイヴは相変わらず俺に背を預け、気分がいいのか、足をぶらつかせながら鼻歌まで発している。

 ここまで気を良くされたんじゃあ、俺は何もできんわな。俺の精神を犠牲にメイヴが楽しめるなら、幾らでも支払おう(赤字)。

 

「いいわよ私、今こそ攻める時! もっと仕掛けましょう! ……うーっ、顔が熱い」

 

 ん、何か言ったか? などと難聴系主人公になるつもりはないので、メイヴの小さな呟きもしっかり耳に入る。俺でなきゃ聴き逃しちゃうね。

 呟いた後、どことなくモジモジとし出すメイヴ。どうやら、俺の精神を破壊して殲滅して蹂躙したいらしい。

 

「────ねぇ、クー・フーリン」

 

 決心したのか、俺に声をかけるメイヴ。どうした? と返す前に、彼女が姿勢を変えて……え、ちょっ、まッ!? 

 

 メイヴは俺の膝の上を回転し、身体の正面を俺に向けてきた。要するに対面座位である。童貞なら既に死んでた……俺死ぬやん(白目)。

 

「あっ、あのね? 私、アナタと一緒に国をつくって、治めてほしいって言ったじゃない? その……つまりは、クー・フーリンが王なの」

 

 あーね。まあ、王って言っても形骸化した位なんだけどね。それはそれとして、俺が王っていうのは、原作の【オルタ】と同じよね。あっちは狂王だけど。

 

「私も女王って立場だけど、王は二人も要らないと思うのよ。それで、ね? わっ、私は……女王よりも、その……お、王妃っ、とかの方が、いいなって思ってたりしてるの……!」

 

 あら^〜、メイヴったら顔が赤い彗星ね! ……何て現実逃避している場合じゃねえぞ。お前コレ、ガチの告白じゃねえか! 

 王妃とか、まずいですよ! 確かに召喚後に、我が今生、その運命は最期まで貴女と共にある、とかカッコ付けて言ったけどさぁ! 

 

 生前と前世込みで、今までで一番テンパってるまである。これどーすんの? どーすりゃいいの? どー収拾つけんの? 

 

 メイヴの告白は……受け入れてやりたい。だって、今はサーヴァントって身だし、もうよくね感はある。あと言質取られてるし。

 でもなぁ、第五特異点といえば師匠が確実に召喚されるからなぁ。

 

 もし仮に、メイヴの告白を受けたとしよう。そうしたらメイヴは喜ぶだろうが、師匠は確実に"メイヴ絶対殺すウーマン"に変貌を遂げる。

 そして、そんな師匠を止めるのは、メイヴを主に置いている俺。そう、俺なのだ。負け確である。

 

 コレ何てクソゲー? ゲオってくるわ(自称玄人並感)。

 

「私を王妃に……迎えてくれる……?」

 

 ヤバい! 潤んだ瞳で見つめてくるメイヴが可愛い! あーっ、俺のとんでもない物が盗まれるゥ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────我が愛弟子を誑かすなど、決して許さんぞ」

 

 濃厚な殺意が込められた声に、瞬時に現実に引き戻される。

 鋭利な刃物で突き刺されるような感覚に、俺は半ば反射的に天蓋ベッドから飛び退いた。勿論、メイヴを抱えて。

 

 直後、部屋の壁をブチ抜いて天蓋ベッドに突き刺さる無数の魔槍。見紛うことなく、それは────師匠の槍だった。

 

「クー・フーリンの気配を感じ取った故、召喚に応じてやったが────」

 

 魔槍が開けた風穴を蹴破り、入室もとい侵入する一人の女性。

 俺を一瞥したと思いきや、俺の腕に抱かれたメイヴへ、紅い瞳で射殺さんばかりの視線を向ける。

 

「────早々に不快なものを見せつけられるとはな」

 

 間違いなくスカサハですお疲れ様でした。噂してたら速攻で駆け付けてくるとかマ? しかも召喚早々マジギレしてて草。

 

 さっきのピンク色の空気を、魔性の夜を作り出した某中学生並に変えてくれたのは、正直助かった。

 けどこれ、どっちにしろ師匠の堪忍袋の緒が切れてね……? メイヴが俺に抱き着いているだけでアウトですか、ス〇ランカー並に厳しいルールだぜ……! 

 

「あら? 誰かと思えばスカサハじゃない。ふふっ、なぁんて遅い登場かしら。しかも何? 今更現れておきながら『横取りするな』なんて、子供の癇癪かしらね?」

 

 メイヴぅ!! 煽るなァ!! そして見せつけるように密着を強めるなァ!!!! 

 

「横取りも何も、クー・フーリンを理解し、支え、寄り添うは私しか有り得ん。断じて貴様などではない」

 

 ほら、師匠が更に怒じゃん! もう魔槍を構え始めたよ! 俺これ命足りっかな……。

 

「────疾く去ね、()()は私のものだ」

 

 師匠はハイライトが死滅した暗い眼を此方に向け、複製した魔槍による射撃、その連射を放つ。狙いは勿論、メイヴ。

 今現在、メイヴは俺の腕の中にいる都合上、俺もまとめて串刺しコース。なので防がせてもらおう。

 

 瞬間的に魔力を迸らせ、『噛み砕く死牙の獣』の力を引き出す。

 呼応するようにして空間に無数の歪みが生じ、そこから複製した俺の魔槍、穂先の緋色が顔を覗かせた。

 

 後は、迫る魔槍の軌道に合わせて、此方も魔槍を撃ち出す。

 そうしてやれば、魔槍同士が衝突し合って共に消滅。はい、エドテン。

 

「さっすが! クー・フーリンね!」

 

 俺の腕の中で無垢な少女さながらの笑みを向けてくるメイヴ。

 それとは対照的に、師匠はより一層に目を濁らせる。

 

「……我が愛弟子よ、何故、邪魔立てするか」

 

 いやいや、邪魔立ても何も、静観してたら俺も死んでたからね? 正当防衛ってヤツですやん。

 それに、俺はメイヴに召喚された身。つまりはメイヴが今生の主すなわちマスターだ。サーヴァントとしてマスターを護るのは当然では?(尚原作)

 

「ああ、なるほど。つまり、そこな奸婦に縛り付けられているのか」

 

 待って。お願い。人の話を聞いて。

 

「どう? 悔しい? 妬ましい? でもザンネン! クー・フーリンは王に、私は王妃になるのがもう決まってるの!」

 

「ならば仕方あるまい。これもお前のため。何、心配せんでいい。少し大人しくしてもらうだけだ」

 

「ちょっと……! 無視しないでくれる!?」

 

 師匠の瞳孔が開き、殺意がビンビンでいらっしゃる。諌めて差し上げろ(自己暗示)。

 

 そんな感じで唐突に始まったVS師匠。

 

 師匠は俺のことを力ずくで大人しくさせるらしい。そうして俺を戦闘不能に追い込み、邪魔がなくなってからメイヴを仕留める算段なのだろう。

 だが、戦う最中にでもチャンスがあればメイヴを狙うはずだ。となると、俺はメイヴを守護しつつ師匠の猛攻を凌がねばならない。

 

 …………………………は?(感情の摩天楼)

 

 控えめに言って無理ゲーで草枯れる。エネミーランダム化MOD導入したダクソ並に無理ゲーだって、それ、一番言われ────おッぶぇ!? 

 

 縮地を以て瞬時に距離を詰めた師匠が、魔槍による刺突を放ってくる。その速度たるや、正しく雷の如く。

 迫る穂先を、俺は全力で迎え撃つ。『噛み砕く死牙の獣』を瞬時に全身に展開させ、その剛腕で弾き返した。

 

 メイヴを抱えている都合上、片手で振るう魔槍で師匠の一撃を防ごうというのは、言うまでもなく無茶である。

 そのため、使用によって筋力と耐久を上昇できる『噛み砕く死牙の獣』の行使に踏み切った。

 

 というか、俺もといクー・フーリンに極上の動体視力があったからいいものの、師匠は明らかに一瞬で終わらせに来ていた。

 一撃を防いだだけで鋭敏に感じ取れる。これ、師匠はマジだ。要するに"殺してでもうばいとる!"である。

 

「……アイフェめ、頑丈に造りおって」

 

 弾かれるやいなや、師匠は複製した魔槍を幾本も展開し、バックステップと同時に待機解凍、射出。

 

 良くも悪くも『噛み砕く死牙の獣』は俺の敏捷をある程度損なう代物。一挙動のパワーはあっても、小回りという点では枷が纏い付く。

 師匠は、その弱点を的確に突く。その証拠に、師匠の姿が魔槍の雨によって掻き消えている。おそらくだが、俺の死角に回り込んだのだろう。

 

 踏み躙らせはせぬぞ……!(葦名弦一郎)

 

 俺は『王の財宝』よろしく、虚空に無数に出現させた歪みから、複製した魔槍を射出する。

 魔槍同士が引かれ合うように激突し、小規模な爆発を幾度も引き起こした。

 

 そして────上ッ! 

 

「ほう」

 

 一条の光のように、俺の頭上から刺突を見舞う師匠。俺は僅かな殺気を手繰り寄せ、半ば反射的に剛腕を振るった。

 だが、師匠は剛腕を受け流して器用に空中で身を捻り、がら空きの懐────メイヴを狙った一撃を放つ。

 

 回避が間に合わない距離からのそれ。メイヴが穿たれる間際に、咄嗟に俺はメイヴを抱き込むことで護り抜く。

 しかし、完全に回避することは叶わず。師匠の魔槍は、俺の左腕を深々と抉った。

 

 痛過ぎて泣きそう。けれどルーンがあるから安心。師匠の着地と同時にステップを踏んで距離を取り、再生のルーンを施す。

 すると、あら不思議。抉れた腕が元通り。神代のルーンって、やっぱすげえよな……。

 

「ちょっと……! 私のクー・フーリンに何してくれるのよ……!」

 

「貴様のではない、私の愛弟子だ」

 

 おおう、視線が殺伐。二人が争うのは今更だけど、実際に戦うの俺だからね? やめようや。

 

 正直、『噛み砕く死牙の獣』の最大出力を直撃させれば、師匠を第五特異点の表舞台から即退場させることは可能だろう。

 原作においても、【オルタ】の宝具をマトモに受けて戦闘不能になっていたし。まあ、それは師匠が知らなかったという、情報アドバンテージがあってこそだったけれども。

 

 だがしかし、ここで師匠を倒すのはいただけない。原作では、メイヴ暗殺を企んだレジスタンスが敗北し、残り一騎となったロビンフッドも仕留められるというところで、師匠が登場する。

 師匠のおかげでロビンフッドは命を繋ぎ、藤丸達へと情報を伝えることができていた。

 

 つまり、ここで師匠とガチでやり合うとなると、どちらかがぶっ倒れる。すると必然、原作はもう滅茶苦茶や。気が狂う! 

 

 師匠と戦うのは避けたい。戦うにしても、今じゃない。問題は、師匠がそれを許容してくれるかどうかだ。

 

「ほう? 私に槍を収めろと言うのか。それは無理だ。諦めよ」

 

 知ってた速報。うーん、じゃあ、どうしたら戦わないでくれるんですかね? 

 

「お前に集る他の雌共を排除できたなら手出しはせん」

 

 ……なーんで、師匠もこんなことになってんだよ。病みモードが凄いんじゃが。

 

「私は、もう手段は選ばん。冷徹にでも、残酷にでも成り果てよう。もう二度と、永劫の別れなど味わってたまるものか」

 

 うーん? これ、俺のこと言ってる? 師匠もそーいう感じなの? やめてくれよ……(胃痛)。

 

「……そう、アンタもそういうコトなのね」

 

 腕の中にいるメイヴが、哀愁を滲ませた声を発する。何となく、同族を憐れむような。そんな声色。

 

「わかるわよ、その気持ち。自分の全てを捧げてでも欲しいモノが、目の前で手の届かない所へ行っちゃうんだもの。……それがまた手に入るチャンスが巡ってきた。なら、手放したくなんてないわよね」

 

 重い……重いなぁ。一体何がいけなかったんでしょうかね。俺はただ真面目に生きてきただけなんですけど。

 

「だから私は、クー・フーリンに約束を果たしてもらう。その邪魔をするっていうなら、全力で叩き潰させてもらうわ」

 

「ハッ、貴様が私に敵うとでも? クー・フーリンがいなければ、既に三度は死に絶えている貴様がか? 一度死なねばわからんようだな」

 

 あー、もう滅茶苦茶だよ(絶望)。ライダー助けて! 許してください! 何でもしまむら! 

 

 決死の覚悟を抱く寸前、もはや廃屋と呼んで差し支えない部屋に、斬撃が走った。

 それは師匠に回避行動を取らせる。が、その回避を予測していたのか、師匠の背後から槍撃が放たれた。

 

「お主もおったか」

 

「ええ。何せ、我が好敵手を喚ぶとのことでしたので」

 

 師匠は己の背からの攻撃を、振り向きざまに受け止める。そして、その攻撃を繰り出した相手────フェルディアを見据える。

 

 フェルディア……! 助かったよホントに! そしてさっきの斬撃はフェルディアのではない。とすれば……! 

 

「随分とまあ、派手にやったな!」

 

 剣光によって開いた壁の穴から、豪快な笑い声と共に姿を現す────フェルグス。

 

 叔父貴ィ……! ユニオンは、あなたを高く評価しています(褒め言葉)。

 

「ふむ、流石にサーヴァント三人を同時に相手取るは、些か面倒だな」

 

 面白くないと言わんばかりに、僅かに眉を顰めた師匠は、受け止めていた槍を弾く。

 

 いくら師匠といえど、今はサーヴァントというスペック。同じサーヴァントの括りの中でいえば、トップクラスの戦闘能力を有してはいるが、所詮はその器に無理に押し込んだもの。

 影の国で猛威を振るった程の力量を、様々な制約を科せられている今の身で実行するのは難しいだろう。

 

 そのため、サーヴァント三騎を同時に相手取るのは、そこそこキツいはずだ。

 

「仕方あるまい、今は退いてやる。だが、必ず手にしてみせる故、待っているがいい────クー・フーリン」

 

 こわいよぅ……。たすけて、きあらさま……。

 

 俺にハイライトが死滅した覚悟ガンギマリの視線を投げた師匠は、霊体化して去っていった。

 

 ……マジで嵐みたいだったな。もう少しで嵐の中で(命が)輝いてしまうところだった。

 フェルディア! 叔父貴! ナイスタイミングで武力介入してくれた! おかげで俺の命がトランザムしなくて助かった! 

 

「フェルグス殿に稽古をつけてもらっていたんだが、いきなり拠点から破砕音が鳴り響くものでな。稽古を切り上げて来たんだ」

 

「ああ。だが、まさか影の国の女王と相見えるとはな! ……いやはや、あれもいい女だ」

 

 ちょっかい掛けるのは文字通り自殺行為なので叔父貴ストップ。

 何はともあれ、師匠が退いてくれたおかげで、謀らずも原作通りになってくれた。これって……勲章ですよ……?(したり顔)

 

 っと、メイヴを抱き締めたままだった。怪我とかない? ダイジョブ? 

 

「ええ、この純白肌に傷一つ付いてないわ。流石クー・フーリンね! ……あ、あと王妃の話なんだけど」

 

 アッ、話戻すんですね! ぬぐぅ、遂に俺も年貢の納め時……いや、身を固める時なのか? 

 

「ちょっとだけ、先延ばしにしてくれるかしら?」

 

 んおう? ええんか、それで。いや、俺は全然構わないんですけどもね、はい。でも、どうして? 

 

「理由は至ってシンプルよ。身を固めるには、まだまだやらなきゃいけないことが多過ぎるってだけ。さっきまでは、もう侵略が終わるのも時間の問題だったけど、アイツ……スカサハが召喚されたんじゃ、話は別よ」

 

 あー、なるほど。確かにそれは言えてる。現状での戦力分析をすれば、相手は、雑多な武器を手にするアメリカ軍と、英霊が何騎か与しているレジスタンスぐらいなもの。

 対し、俺達はサーヴァントという将は五騎に加え、メイヴの宝具で兵士は無尽蔵に製造できる。戦いは数だよ兄貴! とは、正にその通りだろう。

 

 だが、その相手側に師匠というクソデカ単騎戦力が出現してしまった。これにより、戦力差は大幅に縮まる。

 

 そのことを正確に理解したからこそ、メイヴはまだ己が舵取りをすべきだと判断したのだろう。

 

「それに、スカサハがクー・フーリンに引かれて現界するってことは、アイツの妹も、あのストーカーも召喚される可能性があるわね……」

 

 ヒエッ……(寒気)。ここまで追って来るとかマ? いやでも、そんなこと有り得ないと断言できないのが辛い。

 

 もし、俺の関係者が一堂に会してみろ! もう血で血を洗う北米胃痛大戦に早変わりだよチキショウめぇ! 

 あ^〜、原作壊るる^〜(精神崩壊)。俺の胃がもう"こんるる"されっぞ! 

 

 

 

 ……とりあえず、ホワイトハウスの修繕しよっか!(思考放棄)

 

 

 

 ◆




◆補足
Q.メイヴがゲロ甘で草。
A.そりゃね。生前に叶わなかった初恋、その相手と一緒にいられるんですもん。知ってる?暴走機関車は止まらないの。ランサーが死んだ!(ゲイボルカー)

Q.もうメイヴとくっつけよ。
A.わかる(わかる)。(偽)ニキとしては、もうサーヴァントだし良くね感はあるものの、この先スカサハとかが召喚されるのを知っていたために、安易に手を出すと難易度がナイトメアになっちゃうのを恐れてた。でも、もう助からないゾ♡

Q.スカサハそこで撤退すんのか。
A.割とそこは考えたし、自分の頭の中で物議を醸した。でも、サーヴァントという器に押し込められてるからナーフされてるでしょ。


↓ここから雑談↓


お久しぶりです、texiattoです。いやー、何か筆がのって猛進した結果、更新が爆速で出来ました!やればできんじゃん!……とか言って、次の更新もこのスパンでやれってのは、まあ無理なんですけどね、はい。
今回は第五特異点の本筋からは少し外れて、閑話的なのを描きました。どうしても(偽)ニキとメイヴのゲロ甘な絡みが見たくて、でも誰も供給してくれないので自給しました。どうでしたかね?自分としては、あすなろ抱きの件を描いていて「は?リア充かよクソが(陰キャ並感)」という感想を抱き、殺意を覚えました。
次回こそは、本筋の三節「星の欠片」を描く予定です。またも三人称視点にはなりますが、たまーに今回のように(偽)ニキ視点も入れていきたいので、それはご勘弁を。ではまた次回にお会いしましょう!(失踪)

















投コメ沖田さんモーション変更歓喜無言投下銀河
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