転生クー・フーリンは本家クー・フーリンになりたかっただけなのに。 作:texiatto
ビザはお餅ですかぁ? (マジ〇チスマイル)
今回の話は色々と迷走錯綜した結果、謎にフルスロットルです。
中身はアレですけど外見はイイんです信じて下さい!
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宛もなく歩いていたらスカサハとエンカウントした。
影の国の門番、クー・フーリンに次ぐケルトの代名詞、スカサハ。そんな彼女が何故、今ここにいて、俺をスカウトしに来たのかは知らないが、ケルト神話やアルスター神話の約9割9分を知らぬ俺からすれば、これは非常に幸運だった。スカサハと出会う方法なぞ、言うまでもないが知らなかったのだから。
クー・フーリンといえば、スカサハを師事したことで有名だ。むしろスカサハに師事しなければクー・フーリンじゃないまである。危なかったな、俺…………。
まあ、あまりに毎日を鍛錬と脳筋の対応に費やし過ぎていた俺は、すっかりスカサハというキーマンのことを忘れていたわけだが、そこはそれ。
従って、「弟子にならんか?」とスカサハと問われた俺は当然のように受け入れた。
フッ、真のクー・フーリン(?)にまた一歩近付いたな。
…………それにしても、生スカサハとは。いやはや、眼福、眼p────
────浮気はダメですよ? (幻聴)
────ッハ! なんだ今のは!? エメルか、エメルなのか!?
そうだ、俺はエメルから一刻も早く遠ざからねばならないッ! 早く、早く俺を影の国へと連れて行ってくれッ!
俺の切羽詰まった言動に目を丸くしたスカサハは直後に哄笑するのだが、こちとら死活問題やぞ何わろてんねん。
…………えっ、ここってもう影の国なのん? 知らんかったわ。
◆
何故クー・フーリンがスカサハを見ると苦い顔をしていたのか、その理由を身を持って理解した。
────この人、ケルトの脳筋よりもやべーわ。
スパルタ、とにかくスパルタ。語源のスパルタが泣く程度には。
俺が日頃から積んでいた鍛錬のおかげで下地はあるとして、早速スカサハから槍術を習い始めたのだが、
「ほれ、どうした? その程度か?」
何故かスカサハと槍でインファイトを繰り広げていた。
何回か死にかけているのだが、その度にルーン魔術で身体を再生させられ、「息を整えよ、そら、5秒やる。そうしたら再開だ」と言ってひたすらに打ち合う。現時点でこれを5日間ぶっ通しでやっている。
生前なら労働基準法違反待ったナシ、パワハラに物理的な暴力でスリーアウト。しかしここは影の国。英雄王然り、この場では彼女こそが法である。こんなの絶対おかしいよ!
アカン、このままじゃ心が死ぬゥ!
────あ、
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あの後、亡くなったんだよね。
いや、生きてるけど。さすがに5日間もぶっ通しでやった結果、身体は再生できても気力と精神が強制的にシャットダウンしてしまったようだ。
目が覚めた俺は、スカサハから小言のひとつでも言われるのだろうと覚悟していた。当然だ、打ち合いの最中で気を失って倒れてしまったのだから。彼女からすれば失礼千万だろう。
しかし、待っていたのは予想外にもホクホク顔のスカサハだった。何故?
曰く、「独学でここまでとは、素直に驚嘆せざるを得んな」とのこと。
聞けば、あのインファイトは今後の修行をする上での内容を決めるためのもので、要するに現時点での実力試験といったものだったらしい。
ちなみに、他の弟子達は1日すら持たなかったとか。そりゃ、とんでもねえって思うわな…………。
その後はスカサハ、もとい師匠から多くを学んだ。師匠は弟子を単なる槍兵に鍛え上げるではなく、ルーン魔術なども教え込んで多芸で一流な戦士にするのを目標としているらしい。
本家クー・フーリンを目指している俺としては、師匠のそんな方針はかなりありがたいことだった。確かに作中のクー・フーリンといえばランサーに限らずキャスターやバーサーカー(聖杯によって歪められてだが)の適正があった。また、情報だけでいえばセイバーとライダーの適正もあるらしい。それだけでも多芸なことが伺える。
ランサーではルーン魔術の印象は薄いが、キャスターではモロ行使しまくっていた。大仕掛けだッ! と言って灼き尽くす炎の檻とか出してみたくない? みたいよね? みたい(確信)。
そんな明確なビジョンがあったおかげか、俺の特訓に対するモチベーションは限りなく高く、積極的に教えを乞うていた。
まあ、何かを意欲的に望む度に、師匠が極端な方法で教えるスタンスはどうかと思うが。
◆
同じく師匠の弟子として鍛錬に勤しんでいる面々と交流を深めた。特にフェルディア────フィンとディルムッドを足して2で割ったような優男────とは波長が合ったのか、数日で親友レベルの友情を築き上げた。
アレだ、ランチ凸とティータイム凸と英霊肖像ガン積みで大神殿周回したようなものだ。絆上げは苦行を積み重ねる巡礼である(遠い目)。
フェルディアの何が凄いって、今まで苦戦を強いられるような相手にあまり会ったことがなかった俺と、ほぼ互角に打ち合ってイーブンの戦績なのだ。俺の根はケルトのそれではないが、強者相手に存分に技が振るえて思わず笑みが零れてしまう。
フェルディアはコノートという場所から来た戦士であり、コノートにはメイヴという女王がいるらしい。
…………ん、メイヴ? どこかで聞いたような名前だ。コノート、メイヴ、女王────ハッ! スーパーケルトビッチこと女王メイヴだ!
確か、クー・フーリンのこと好きなんだっけ? あれ、憎悪の対象とか何とかだっけ? …………チキショウ、メイヴといったらチーズしか記憶にねぇ!
そんな感じにフェルディアと談笑し、つかの間の安息を過ごしていると、
「お主ら、これから抜き打ち試験を行う。何、軽く死ぬだけだ、心配はない。不合格なら特別集中講義だ」
安息をぶち壊す死刑宣告、唐突な師匠の襲撃、否、奇襲である。
────なんなの?
ちなみに、弟子全員で師匠の襲撃を何とか凌いで歓喜に震えたが、ゲームのラスボスや負けイベよろしく、師匠の形態変化によって結局フルボッコにされた。
────マジでなんなの?
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何でも、師匠は魔境の智慧とやらで未来を視れるようで、俺についても見通してくれるとのこと。
俺の最期とかはどうなるのだろう? カスバトの予言のことを信じるとしたら、俺はそう遠くない内に死ぬのだろう。と、師匠の未来視が終わったようだ。
…………あれ、師匠? どうして顔を真っ赤に染めてるんですか? え、何? お主が儂を…………? 何のことですか。
ともかく、年甲斐もなく顔真っ赤にする師匠に俺の加虐心が暴れ出し、船〇パロをリアルでしてしまった。
フルボッコにされたドン(事後報告)。
◆
最近、特訓の合間に師匠と瓜二つな女性と話すようになった。名をアイフェというらしい。尚、本人の希望で師範と呼ぶようにしたが、師匠と師範とでごちゃ混ぜになってしまってよくわからない。
師匠とは姉妹らしく、師匠が姉で師範が妹なのだそう。あの姉があってこの妹あり。師範も師匠に並ぶ強者らしく、師匠とは趣の異なるルーン魔術のエキスパートだそうな。
氷を主としたルーン魔術を操るようで、師匠と同じく全身タイツでありながら軽装の鎧を身に付け、ポニーテールにしているあたり、印象で言えばスカディに近いか? つか、まんまスカディですねコレ。
そんなこんなで、師匠から槍術や体術といった物理的なことをメインに学び、休息時は師範からルーン魔術を教わるようになった。
寝ても起きても勉強漬けの毎日だが、前世も今世も含めて、今が一番充実していると確信している。
◆
いつも通りの師匠との打ち合い、その最中に言われた言葉が脳に焼き付いて離れない。
『お主の槍には殺気が乗っておらん。結局のところ、槍術に限らず、あらゆる武術は人を殺める技だ。それを改めて考えるのだな』
…………確かに、そうだった。俺はクー・フーリンになることを盲目的に求め、自分が極めている技が人の命を奪えるものである、という自覚が足りなかった。前世が現代人だったから、というのは言い訳にすらならない。
クー・フーリンという英雄になりたいのなら、いつの日か自分の意思で誰かの命を奪う必要が出てくるだろう。だが、積極的に殺しをするつもりはない。己の武術の全てをぶつけ合い、知力と経験の全てを動員し、その果ての死が誉れだとしても、だ。
しかし、もし、俺の親しい相手が誰かに殺された時、俺はこの不殺の意思を貫けるだろうか? 復讐を認めないだろうか? 戦いで敗れたのだから仕方のないことだと割り切れるだろうか?
…………覚悟しなければならないだろう。
来るかもしれない、いつの日かのために。
◆
前日、久しぶりにシリアスな思考をし、覚悟を決めるための覚悟(?)をした翌日、影の国がかなり騒がしかった。
そも、影の国の風景とは、スカディの宝具、死溢るる魔境への門で見れる城などの建築物があり、しかしどことなく死が渦巻いている、薄暗い空間だ。
そんな場所の建物には巨大な氷塊がぶっ刺さっていたり、爆発した跡があったり、今なお鳴り続ける破砕音が谺響したりしていた。影の国の街並みが見る影もない(激ウマギャグ)。
どうやら、師匠と師範が喧嘩をしたらしい。というか現在進行形でしている。
いや、規模が影の国全域とかこれもう戦争じゃねえか! 被害多いよ、何してんの!?
止めに入ろうとしたら、ポプテ〇ピック並にガチギレしていた師匠に無言の腹パンをされた。
オ"ア"ッ"ー! お、俺は瑠璃ではない…………!
…………気絶させられてた。痛かった。
経緯は知らんが、姉妹ならば、家族ならば仲良くすべきだろう。どんな理由があれ、喧嘩はするもんじゃない。
こうなれば、決死の覚悟を抱き、師匠と師範の死合という頂上決戦に飛び込むしかない。
────別に、2人とも倒してしまっても構わんのだろう?
◆
────結果だけ言えば、俺は勝った。
が、師匠も師範も負傷&疲弊というバッドステータスに見舞われていたからこその勝利であって、俺個人の能力による純粋な勝利ではなかった。だとしても、2人とも強過ぎて何回も死にかけた。
そして何故かは知らんが、2人に勝利した俺に影の国の支配権とやらがあるとか、俺に負けたのだから2人とも捕虜になるとか宣っていた。
いや、いらんし。意味わからん。
…………おい、そこの2人、何で捕虜になって少し嬉しそうに頬染めてんだ。まるで意味がわからんぞ! 捕虜にしねえよ!
アンタら俺の教師で弟子持ちだろう!? 立場逆転してんじゃねえか! 正気に戻れ! 何だ、狂気にでも囚われているのか!? こ、拳で治療だッ!
結局、支配権とやらはこれまで通り師匠にブン投げ、師範には自宅謹慎を申し付けた。戦争レベルの姉妹喧嘩ダメ、反省しろ、反省。
しかし喧嘩の発端については教えてもらえず、聞いたところでジト目を向けられるだけなのだった。謎である。
◆
それから数日。
師匠に「クリードとコインヘンを狩り、その骸を持ってくるがいい」という無理難題な試練を言い渡された。
────ふむ、わしにしねというのじゃな!
◆文才の無さ故に書けなかった情報の補足◆
Q.エメルは毎日クー・フーリンを見続けてたのに逃げの予兆とかわからんかったの?
A.内心では表情豊かなクー・フーリン(偽)、しかし外からは無表情という読み取り不可←
Q.騎士仲間とかコンホヴォル王の引き攣った笑みって何のことやったん?
A.エメルが毎日クー・フーリンのことを見続けてるのを見てたからっていうのと、彼女のストーカー行為に薄々気が付いていたから(止めろよ)
Q.何でエメルはヤンデレになったん?
A.物語の都合上というのが本音、一応クー・フーリンに熱視線送ってる段階でヤンデレの気質があったのを書いて誤魔化してます()
Q.クー・フーリンの前世はどんな人だったん?
A.俺らみたいなやつ
◆随時後書きにて補足説明をする予定です◆
↓ここから雑談↓
というわけで影の国奮闘記でした、はい。スカディだけどアイフェさん出しました(?)一応はこの辺りから史実から乖離していく予定です。え?もうしてるって?全然わからん!(ジャガー難民救済)
近場でスカサハ視点またはアイフェ視点、フェルディア視点を書こうと考えているんですが、文才を高める為にもしっかりとした戦闘描写に挑戦したいと考えているので、投稿に時間がかかるかもしれません。後、今はGWなので時間アリアリで毎日投稿が可能なんですが、それが終わると諸々で忙しいので間隔空くかもです。許して(懇願)
真面目な話はここまでとして、こんな拙い文章でありながら応援コメントを書いてくれる人がいて、あぁ、なんか、なんか温かい(語彙消失)
あ、この小説はプロットとかストックとかないんで、作者が記憶喪失になったら打ち切りの予定です←覇?(勝利宣言)
なのでそうならない限りは止まんねえからよォ!その先に俺はいるぞ!だからよぉ、エタるんじゃねぇぞ………。(キボウノハナー)
バルバトスくん、また逝ったかぁ………。
※追記
案の定、作者の情報ガバがいくつか見受けられたので、少々改稿作業をしました。そのせいで矛盾点などがあるかもしれませんので、発見次第報告して頂ければ幸いです。許してください!何でもしまs(ry