人間じゃないけど魔法学校に入学します!!   作:狛犬

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前置き
いざ、ハリポタの世界へ!


某日某所

 

「暇だ。」

 

少女はボソッと呟いた。

一見普通の人間に見える彼女は、端的に言えば人間には理解しがたい存在である。感性は恐らく人間に近いものであるが、いろいろな所でぶっ飛んでいる。

 

そう、やろうと思えば人間の理性など蟻を潰すように砕くことができるだろう。

だが、それでは面白くなどなんともない。

 

「あー。兄さんの所に行こうかなあー。でもなー。兄さんはなんかどっか行くって言ってたし、かといってあの子らと絡むのも気分じゃないしー、んんー。」

 

白い髪を絡ませ、ごろごろと転がりながら思案する。持ち前の頭脳をこんなどうでもよいところでフルに活用するのはどうかと思うが、今の彼女らにとっては暇つぶしこそが気分転換になるのだ。

 

二つの勢力の懸け橋となっている彼女には特に。

 

金の目を飴玉の様に左から右、右から左へと何回も転がす。そうしている間にも時間は過ぎていく。何かをするとき、彼女の兄の様に暗躍するのも一つの手ではあるが、やはり身近に体験することほど楽しいことなどない。そのためにも彼女は入りこみやすい物語を探している。

 

「‥‥‥うーん、でもなー、うーん…あっ、そうだ!」

 

思いついた途端、彼女の瞳がきらりと光った。楽しそうなことは思いついたらすぐ実行するのが彼女だ。こうなったらたとえいつものストッパー役である彼でも止めることは七割がた無理だ。仮に止められるとしても、今現在彼がいなければ意味がない。

故に今誰も止める者のいない彼女は今、ワクワクしながらステップを踏み、外へ出ようとしている。

 

いざ参る!と思っていた時、

 

「‥‥!?」

 

彼女の視界の隅に門が現れた。

それを見てピクリと肩を動かすが、その中から出てくる影を視認し見開かれた眼は細められた。

 

「セレ、ただいま戻りました。‥‥ふぁ~。」

 

門から青年が現れる。

ググっと伸びをし、縛った長髪の尾を揺らしながら眠たげな眼をこすり、フラフラと歩いていく。いたって普通の光景ではあるが、何故か画になる。

そんな彼は少女の兄。人間で言うなら次男である。そして、恐らく兄や姉の中で妹である彼女を一番可愛がっている存在だ。

 

「あ!兄さんおかえり!」

「はい、ただいま。‥‥おや?どこか出かけるのですか?」

「ハリポタの世界行ってくる!」

「ああ、あそこですか。ということは七年間ですね。」

「はい!あ、兄さんも来る?」

 

少女が花を咲かせたような明るい笑顔で問う。それを聞いて彼は首を横に振り、少し残念そうに笑ってみせた。

 

「…いえ、私は少しやることが残っているので。」

「そう‥‥」

 

彼女はしょんぼりと俯く。先程までの雰囲気が嘘の様だ。そんな彼女を見て、ふと彼は口に手を当てて考え込んだ。

(忙しいのならしょうがない。だからといって決めたことを今更キャンセルするわけにもいかない。)

彼女は門を開いて出ようとする。

 

「でも…ふむ、そうですねぇ‥‥」

 

だが、彼の言葉に耳をピクリとさせ、足を止めた。

 

「二年が終わり、七月に入る辺りには片付かせて向かいます。」

「…!?本当?」

 

少女はその言葉に勢いよく振り返る。顔はキラキラと輝いており、その瞳は歓喜に満ち満ちていた。青年もそれを見て彼女とよく似た金色の瞳を細める。

「はい。私が嘘ついたことありましたか?」

「あるよ。」

「…でも、今度はつきませんよ。」

 

少女の返答に彼は少し苦い顔をするも、次の瞬間にはまたいつもの笑顔の表情に戻っている。

 

「約束破ったら僕、化身三割殺すよ?」

「分かりましたよ、だからって口角だけを上げて微笑まないでも結構です。」

 

だからといって彼女らは“人間”ではないためこういう微笑ましいとは程遠い会話もある。怖い?そんなことはない。

 

約束は、破らなければいいのだ。

 

「じゃあ、行ってきまーっす!」

「行ってらっしゃい。」

 

少女と青年は手を振り、一時の別れをした。

 




少女の一人称は親しさによって変化します。
友人未満であれば「私」
友人以上、または兄、姉に対しては「僕」(一部例外有り)
他にもパターンがありますが、それは後程。
ちなみに兄はクトゥルフ神話に登場しています。
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