クレヨンしんちゃん:トルネードコール・スパイダーマン   作:じゃすてぃすり~ぐ

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ドーモ、じゃすてぃすり~ぐです。
もうすぐ『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』が始まりますね、スパイディ大好きな自分としては待ち遠しいです。

さて、今回の話についてですが信之介達とガリアが如何にして出会ったか?
それについて書きたいと思います。


『ボーン・イン・ザ・スパイディ』 #2

 信之介達が、ガリアと出会ったのは3年前である。

 その時の彼らは、小学校を卒業し中学校に入って間もない少年少女達であった。

 遊び盛りな彼らは幼稚園、小学校の時からも変わらず遊んだり、カスカベ防衛隊の活動をやっていた。

 その日、彼らはいつも通りにカスカベ防衛隊の活動を行っていた。落ちているゴミを拾い、燃えるゴミや燃えないゴミと分けて袋に入れる、実際ボランティアな活動だ。

 

「ん?」

 

 そのいつも通りの活動で、最初に異変に気づいたのはマサオであった。ゴミを拾っていたら路地裏の方から「アイエエエ・・・!」と女性の悲鳴のような声が聞こえた。

 

「何だろう?」

 

 好奇心故かそう呟いて、路地裏の方を見た。見てしまったのだ。

 ジゴクと化した路地裏を。

 

「!?ア、アイエエエエエエエエエエエッ!!?」

 

 腰を抜かし、顔面蒼白になって悲鳴を上げるマサオ。無理もない、その視線の先にあったのは原型を留めないネギトロと化した人であったもの。散らばる手足と首、壁に飛び散った血糊。ツキジめいた光景だ、コワイ!

 そして・・・、

 

「ア、アバッ・・・」

 

 たった今、一人の男に首の骨を折られて女性が殺された所を目の当たりにしてしまったのだ。極めつけに女性を殺した男、ニンジャのような服装に、頭巾とメンポをつけたその男は・・・、

 

「おやおや、悲鳴に釣られて子供がノコノコと・・・。ドーモ、始めましてマーダートオリマです。いけないなぁ、こんな所へ来ちゃ」

「アイエエエエエエエエ!?ニンジャ、ニンジャナンデ!?」

 

 あからさまにニンジャであったからだ。マサオはNRSを発症し、失禁。

 

「マサオ=サン、どうしたんだ・・・!?」

「う、嘘・・・」

「・・・!?」

「そん、な・・・」

 

 騒ぎを聞きつけ、駆けつけた信之介らも、目の前の架空『だったはずの』の存在に驚きを隠せない。

 

「「「「ニンジャ!?ニンジャ、ナンデ!!?」」」」

 

 数々の冒険を乗り越えてきたカスカベ防衛隊の面々もNRSには抗えない。失禁こそはしなかったものの、恐怖で足がすくんでしまう。逃げなきゃ・・・そう思っても身体がいう事を聞かないのだ。

 

「おやおや、お仲間も来たみたいだな。この光景を見られたからには仕方ない、纏めて死んでもらおう!イヤー!」

 

 そう言って、マーダートオリマはスリケンをカスカベ防衛隊目掛けて投げようとしたその時だ!

 

「そうはさせるか!イヤーッ!?」

「グワーッ!?」

 

 突如、路地裏の隙間を潜るように飛んできた何者かがマーダートオリマにトビゲリを放つ!アンブッシュだ!

 当然、マーダートオリマはそのアンブッシュに対処する事が出来ず、吹っ飛ばされる。

 

「え・・・!?」

「生き、てる?」

「あの人が助けてくれたのか・・・?」

「やぁ、怪我はないかい?」

 

 やられる!そう思っていたカスカベ防衛隊の面々は自分が助かった事に安堵。そこへ、マーダートオリマにアンブッシュしたであろうその何者かが現れた。

 

「ええ、おかげさまで僕達は無事・・・ニンジャ!?」

 

 風間は、その男にお礼を言おうとして固まる。何故ならその男もまたニンジャだったからだ。背中と胸に蜘蛛のマークがした赤と青を強調したニンジャ装束、そして、紅い頭巾にメンポ。そして目にはゴーグルと言った格好である。

 

「そうか、無事ならいい。後は私に任せてくれたまえ、ここからは私のステージだ」

 

 そのニンジャは、風間にそう言うと、アンブッシュから立ち上がるマーダートオリマにオジギをしアイサツをする。

 

「ドーモ、始めまして。ガリアです」

「ドーモ、ガリア=サン。マーダートオリマです。一体何のつもりだ?ヒーローの真似事か?」

「その通りだ、『ニンジャはゴッドに非ず、獣に非ず。ニンジャはモータルの親愛なる隣人である』が私のモットーなのでね」

 

 マーダートオリマもアイサツを返す。アイサツはされれば返さなければならない、『古事記』にもそう書かれてある。アイサツを返した後、問いかけるマーダートオリマにガリアと名乗ったニンジャはそう答えた。

 

「何ともイディオットな事を考えるニンジャもいたものよ。力の無いモータルをカラテで支配する!それがニンジャの在り方だ!イヤーッ!」

 

 そのガリアの言葉を一笑し、マーダートオリマはスリケンを二つ投擲!

 

「あっ!アブナイ!」

 

 信之介が叫んだ。

 

「ダイジョブだ、イヤーッ!」

 

―TWIP!TWIP!

 

 だが、ガリアは慌てずに信之介にそう返すと中指と薬指だけを曲げた両手をかざす。すると、おお!見よ!両腕の手首からクモの糸めいた何かが吐き出され、スリケンを二つ絡め取る。

 

「ナニィー!」

「返すぞ、イヤーッ!」

「グワーッ!?」

 

 驚くマーダートオリマ。返す刀で、ガリアは糸で絡め取ったスリケンを投げ返す!1個目は回避するものの、2個目は右肩に直撃した。ワザマエ!

 痛みに顔をしかめ、怯むマーダートオリマ。

 

「イヤーッ!」

「イ、イヤーッ!」

 

 怯んだ隙にガリアはマーダートオリマに肉薄。チョップを繰り出す。マーダートオリマは怪我した右肩を庇いながら左の腕でガード!

 

「な、舐めるな!イヤーッ!」

「イヤーッ!」

 

 マーダートオリマは左の足でガリアを蹴る。ガリアはその足を掴んだ。

 

「イヤーッ!」

「ヌゥーッ!?」

 

 そしてジャイアントスイングの要領でマーダートオリマを投げ飛ばす。マーダートオリマは受身を取り、着地!

 

「イヤーッ!」

「イ、イヤーッ!」

 

 再び接近しガリアは左ストレート。だがコレも防ぐ。だが、マーダートオリマは徐々に押されて行っている。実際ジリー・プアー(訳:徐々に不利)な。

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

「イヤーッ!イヤーッ!イyグワーッ!?」

 

 左ハイキック!右フック!左のアッパー!二発目までは防げたものの、アッパーをマトモに喰らってしまうマーダートオリマ。顎が、吊り上げられたマグロめいて跳ね上がる。

 

「イィィィィヤァァァァァァァッ!!!!」

「グワーッ!?」

 

 裂帛の気合と共に、右の後ろ回し蹴りがマーダートオリマの腹部に炸裂!マーダートオリマは身体をくの字に曲げ吹っ飛び、突き当たりにあるゴミ置き場に叩きつけられる。インガオホー。

 

「ア、アバッ・・・!」

 

 マーダートオリマは起き上がろうとするものの、グルンと白目を剥き気を失った。ガリアはザンシンを暫く取った後、TWIP!TWIP!とマーダートオリマに糸めいた何かを貼り付け拘束する。

 

「す、凄い・・・」

 

 そんなガリアの活躍を信之介は目を輝かせてみていた。まるで、かつてテレビで活躍していたヒーロー『アクション仮面』を間近で見ているような気分だった。

 彼の目にはNRSによる恐怖は消えうせていた、あるのは憧れ。いつか自分もああいう風になってみたいと言う憧れが、信之介のニューロンに去来していた。

 

「さて、後はマッポの仕事だし・・・私はズラカルとしよう。・・・ヌ」

 

 グラリ、と揺らぎそのまま倒れ、動かなくなるガリア。一体どうしたのか!?

 

「おじさん!」

 

 慌てて、ガリアにかけよる信之介。まさか、さっきの通り魔ニンジャの戦いで怪我を追ったのか?カスカベ防衛隊の面々はそう思い心配するが・・・、

 

「Zzzzz・・・」

 

 杞憂だった。ただ、寝ているだけだ。ズルッと一斉にずっこけるカスカベ防衛隊の面々。だが、こうしている場合ではない。

 

「と、とりあえずこのおじさんと一緒に何処かに行かなきゃ・・・」

 

 マサオのいう事ももっともだ。いつ、マーダートオリマが意識を取戻し動き出すかわからない。それまでに、この場から去れればいいのだが、この眠っているガリアもいる。

 ほっといてもいいのだが、邪悪な通り魔ニンジャから自分達を救ってくれたこのニンジャのヒーローを置き去りにする事など少年達にはできなかった。

 だが、ここで問題が一つ。

 

「「「「おじさんを何処に匿おうか・・・」」」」

 

 このガリアを何処に匿うかである。ウカツに、自分達の部屋に匿おうにも親にどう説明すればいいのか分からない。とりあえず、マッポには通報し、ガリアを抱え路地裏を離れる事にした。

 

 

―近くの公園。

 

 

 ガリアが何処に住んでいるのかわからないため、最寄の公園のベンチに寝かせる事にしたカスカベ防衛隊。 とりあえず、この後どうするか考えていた所。

 

「ム、ここは・・・」

「あ、起きた」

 

 ムクリと身を起こし、ガリアが目を覚ました。

 

「ここは、近くにあった公園です。貴方が倒れたから僕たちで運んだんだ」

「フゥーム・・・、そうだったのか。3日も寝ずに悪事を働くヨタモノやニンジャ退治や迷子のネコ探し・・・色々と駆け回っていたから疲れが溜まってたか・・・、スシを食えばダイジョブと思っていたがウカツだったなぁ・・・」

 

 風間の言葉に、苦笑交じりに頭を抱えるガリア。3日も寝ずに、そんな事をやってたのかとカスカベ防衛隊の面々は驚く。

 

「私はニンジャだからな、多少の無茶は平気なのさ。まぁ、それを過信した結果、倒れて寝てしまうというウカツをやらかしてしまったがね」

 

 さも、当然のようにそう言ってのけるガリアにニンジャの凄さを改めて知ったカスカベ防衛隊であった。

 

「あ、あの・・・助けてくれてアリガトゴザイマシタ!あの時、ガリア=サンが来てくれなかったら僕達皆オタッシャしてました!」

「「「「アリガトゴザイマシタ!」」」」

 

 マサオの言葉を皮ぎりに、オジギをしながらガリアに感謝の言葉を述べるカスカベ防衛隊の面々。

 

「いや、どういたしまして。久しぶりだな、こんな風に感謝されるのは・・・」

「そうなんですか?」

 

 これは信之介だ。うむ。とガリアは頷く。

 

「ニンジャである以上、助けた相手から恐れられ、怯えられる事が多かったからね。こうやって、恐れられず普通に感謝されるのは嬉しいものだ」

 

 ガリアの言葉の意味を信之介は理解していた。NRS・・・、モータル・・・つまり我々人類がニンジャと出会った際に引き起こされる恐慌状態である。

 かつて数々の冒険で超常的な存在と接触、戦ってきた信之介やカスカベ防衛隊の面々でさえも、竦みあがってしまうほどの恐怖。逃げ出してしまうのも無理はない。信之介はそう思っていた。

 

「それで、お礼と言っては何ですけど・・・オラ・・・じゃないや、僕達カスカベ防衛隊の皆で貴方の活動のお手伝いをしてもいいですか?」

 

 信之介はガリアにそんな提案を出す。実はガリアが目を覚ます前に、事前にカスカベ防衛隊の皆と話し合って決めた事だ。皆、『命の恩人だから』と言う理由で快諾した。

 

「危険だぞ?マーダートオリマのような危険なニンジャとエンカウントするかもしれない、死んでしまう危険性だってある」

「ダイジョブです、覚悟ならあります。危険な目もいっぱいあって来ましたから」

 

 ガリアの問いに、信之介は真っ直ぐ見詰めながらそう言った。

 一方のガリアは、黙して何も言わない。見入っていたからだ、10代前半の少年の瞳に宿る『強きソウルの輝き』を。

 

(この少年ならば・・・)

 

 キンカク・テンプルの高みへと登る事ができるかもしれない。それならば、自分に出来る事は彼をそこに導く事だ。決断的にそう決心したガリアは、信之介の提案を承諾した。

 

「分かった、君達の協力を許可する」

「アリガトゴザイマス」

「「「「ヤッター!」」」」

 

 それを聞き、信之介はお礼を言い、カスカベ防衛隊は嬉しさのあまり飛び跳ねる。

 

「その代わりといってはなんだが、君達を私の弟子にしたいと思うがいいかね?」

「オ、オラを!?」

 

 ガリアの突然の提案に、カスカベ防衛隊は面食らう。まさか、ニンジャに弟子になれと言われるのは予想外だったからだ。・・・だけれど、信之介は違った。

 

(オラも、ガリア=サンの様になれたら・・・)

 

 信之介のニューロンに浮かぶのは、かつて自分が救えなかった人達。

 過去に飛ばされた先で自分を保護してくれた『青空サムライ』と呼ばれたサムライの男。

 映画の世界で出会った初恋の人。

 一時期は『本物の父』であったモーター仕掛けの父親。

 ガリアのインストラクションを受けて、ニンジャとなれば・・・。

 そう思った信之介の行動は早かった。

 

「オラを、弟子にしてくださいガリア=サン!」

 

 頭を下げ、ガリアに懇願する信之介。残りのメンバーもまた、多少は驚きはしたものの信之介にならい、頭を下げて懇願する。

 

「ボ、僕もオネガイシマス!」

「僕も!」

「僕も!」

「私も!」

 

 それを見た、ガリアはゆっくりと頷き頭巾とメンポを外した。その素顔は白髪を角刈りめいて刈り込んだ短髪に、逞しい顎鬚の初老の男であった。ガリアはその顔に笑みを浮かべ告げる。

 

「弟子にする前に君達の名前を聞こう」

「野原 信之介です!」

「佐藤 マサオです!」

「風間 トオルです!」

「石橋 ボーです」

「桜田 ネネです」

「宜しい、これより君達は私、ガリアの弟子だ!よろしくな皆!」

 

 各々の名前を聞き、ガリアは満足げに頷くとそう告げた。

 

 これが、信之介達とガリアの出会いである。

 

 

『ボーン・イン・ザ・スパイディ』 #3に続く・・・




後半あたりが、少し適当になってしまった感が否めない・・・(汗)
このエピソードは次回ぐらいで終わりそうですね。如何にして信之介がスパイダーマンとなるのか?ガリアはどうやって信之介を救ったのか?
次回にて明らかになると思います。お楽しみに!
それでは~。

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