クレヨンしんちゃん:トルネードコール・スパイダーマン 作:じゃすてぃすり~ぐ
本当なら先週の日曜日に投稿するはずでしたが、リアルが色々忙しく今日投稿する事になりました。
待たせてしまってすいません。
色々と詰め込みすぎ、無理矢理感がありますが温かい目でお願いシマス。
それではドーゾ!
「ここが、私のドージョーだ」
ガリアの弟子となり、連れて来られたのは古びた建物。オバケとかが出てきそうな雰囲気である。コワイ!
「ガリア=サンのドージョー・・・凄くボロいですな」
「率直な感想をドーモ。・・・泣いていいかい?」
信之介の率直な意見に、ガリアは滝めいた涙を流すも気を取り直す。
「さて、早速だが修行に取り掛かるぞ皆。今日の修行は座学だ」
「えーっと、お尻に入れる奴?」
「それは『座薬』だろ。ガリア=サンが言ってるのは座学、つまり勉強だよ」
ガリアの言葉に反応した信之介に風間のツッコミ・ジツが冴える。
「ウム、犯罪者を追い詰めるには様々な知識が実際必要だからな。
かっこよく人を助け、犯罪者を倒すのだけじゃあない、パルプ・フィクションの探偵めいて犯人を突き止め、第二、第三の犯罪を事前に阻止するのも『親愛なる隣人』のお仕事さ。
その為には様々な知識を頭の中に入れなければならないぞ」
そう言って、ガリアが持って来たのは凄まじいまでの大量の本の山。スゴイ・オオイ!
「こ、これ全部を読むんですか!?」
「犯罪学に心理学、科学、物理学そして歴史・・・これを全部覚えるんだ」
「ア、アイエエエ・・・ニューロンが沸騰しそうだよ・・・」
フジ・マウンテンめいてそびえ立つ本にマサオは弱気だ。そんなマサオに追い討ちをかけるようにガリアは告げる。なんたる無慈悲。だが、コレも弟子の為を思ってのアイノムチである。
「それとただ覚えるだけじゃない。本に書いてある事は実験をし、実践してもらう。
心理学や科学は実際に試してみないと身にならないからな。
心理学を学び、相手の心理を読んでウソのサインを見つけ出せ。最新の科学捜査に必要な知識は理解しろ」
「本格的ですなぁ・・・。でも、頑張らなきゃ」
覚えるだけではなく実践もしなければならない。実際難しいが、これもヒーローになる為に必要な事だ。
そう思った信之介は、内心で自分を鼓舞する。
「うむ、その意気だ!」
こうして、ガリアによるカスカベ防衛隊の修行が始まった。
「甘いぞ、信之介=サン!イヤーッ!」
「グワーッ!?」
無論、座学だけでなく戦い方も叩き込まれた。ニンジャである為、実際強く毎度の如くカスカベ防衛隊の面々は叩きのめされた。
信之介ですら、歯が立たない。後ろ回し蹴りを顎に喰らいコマめいて回転しながら倒れ伏す。
「つ、強いなぁ・・・、見た目はおじいさんなのに」
「そりゃあ、鍛えているからな。トシヨリだと思って甘く見てはイカンぞ。相対する敵が見た目どおりだと侮ってはいけない。それが、敗北に繋がるのだ」
ふらつく頭を抑えながら言う信之介に、ガリアはニカっと笑いながら答えた。
「そう言えばガリア=サンのカラテって、どの型とも違うよね?我流か何か?」
ふと、信之介は気になった事をガリアに聞いた。
「まぁ、我流は我流だがただ闇雲にこの自己流のカラテを編み出した訳じゃないぞ。世界各地を回って古代ローマ・カラテやイアイドや、チャドー、ジュー・ジツ、アイキドー・・・色んな武道を極めた。
それだけじゃない、狩猟や追跡・・・それに医術も学んだ。それらを一つに纏めたのがこの『スパイダー・カラテ』と言う訳さ」
「ハエ~・・・スゴイ」
ガリアの話を聞き、信之介は率直にそんな感想を述べた。
その道のりは長く険しいものだっただろう。だが、それを乗り越え、あらゆるカラテ、武道を一つに纏め自分のカラテスタイル『スパイダー・カラテ』を立ち上げたのである。ゴウランガ!
「スゴイも何も、これからお前も私の『スパイダー・カラテ』を継承するんだ。さぁ、続きだぞ信之介=サン!」
「ハイ!」
そしてある時には、ガリアがヒーロー活動で使用しているガジェットの説明を受ける事もあった。
「へぇ~・・・、あの時糸が出たのはそういう仕組みだったのか。凄いなこの『ウェブシューター』は」
「武器を絡め取ったり敵の動きを封じるだけではないぞ、建物とかに貼り付ける事で移動する事も出来る。『隣人』としての活動に欠かせないガジェットさ」
今、信之介達が説明を受けているのは、『ウェブシューター』。前回、マーダートオリマとのイクサにおいて、スリケンを絡めとり投げ返したあの糸を発射した装置である。
しかも、ガリアが自分で組み立て作ったハンドメイドなのだ。スゴイ!
「本格的に私のサポートをする際に、必要だろうと思って君達の分も作っている最中だ」
「エッ!?これと同じものを!?」
驚きながら問いかけるマサオに、「まだ途中だがな」と苦笑交じりでガリアは答えた。
「出来上がった時に、いつでもウェブで町に繰り出せるようにコレを学んでおかないとな」
そう言って、ガリアが取り出したのは『物理学』、『微分・積分』の本だった。何故、この本を?カスカベ防衛隊の面々は訝しんだ。
「ナンデ?と思っているな。ではここで問題だ。『長さが40メートル、角度が45度の振り子があります。振り子が一番下にある時の落差は?』」
「11.72メートルですけど、ナンデ?」
答えたのは風間だ。
「君がその振り子そのものだとしたら?」
ガリアの言葉に、頭にクエスチョンマークを浮かべながら首をかしげる。ふと、ここで閃いたのがボーちゃんだ。
「つまり、町中をスイングしながらそう言った計算をしてるって事」
「そう言う事さ。かっこよくスイングしたいなら、こう言うことも学んでおかないとな」
そんな感じで、信之介達は厳しくも優しいセンセイの元で修行に明け暮れていた。
「へぇ、最近カスカベ防衛隊の皆さんの様子がおかしいと思ったら、こんな所にいたんですのね」
途中ガリアに弟子入りしている事が、あいにバレたり、
「こんなマッポーの世の中で、世のため人の為に戦っているニンジャがいるなんてなぁ・・・。よし、決めた!我が『スオトメ・エンタープライズ』はガリア=サン!アンタの活動の全面サポートをするよ!」
彼女の父親がガリアの活動に胸を打たれ、彼の活動の全面サポートを行ったりと色々あった。
そんな中で、カスカベ防衛隊の面々・・・特に、信之介はそのワザマエをメキメキと上げて行く。
それから半年後・・・、スオトメ・エンタープライズにより、新たに作られた地下の秘密基地。そこのトレーニングスペースで、イクサが行われていた。
「行くぞ、信之介=サン!イヤーッ!」
「その程度、イヤーッ!」
ガリアのセイケン・ツキを信之介はマワシ・ウケでいなす。
「今度はこっちの番だゾ!イヤーッ!」
「イヤーッ!」
返す刀で信之介はカラテ・チョップで反撃!ガリアは受け流す。
「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「ヌゥーッ!?」
チョップ、拳、蹴りの応酬。永遠に続くかと思われたが、信之介のマワシ・ゲリがガリアのガードを打ち崩す。
「今だっ!イヤァァァァーッ!!!」
「グワーッ!?」
好機!とばかりに放たれた信之介のトビゲリ・キックがガリアを大きく吹き飛ばした。ワザマエ!
「おお!しんちゃんが、ガリア=サンから一本取った!」
「スゴーイ!」
仲間達の歓声を聞きつつも、倒れ伏すガリアから目を離さず、信之介はザンシンを取る。暫くすると、ガリアはムクリと起き上がり、ムゥ・・・。と唸りながら信之介に言った。
「腕を上げたな、信之介=サン。2回に1回は私から一本を取れるようになるとはな」
「いやぁ、それほどでも。ガリアおじさんのインストラクションのお陰だゾ」
ガリアの称賛の声に、信之介はザンシンを解き照れくさそうに笑って返した。この半年間で、彼らの特に信之介とガリアの絆は深まり今ではガリアの事を『ガリアおじさん』と呼ぶ仲にまで発展したのだ。
「これほどのワザマエならば、ハナミ儀式をしても問題ないだろう」
ハナミ儀式とは、リアル・ニンジャになる為の必要な儀式でありセンセイとなるニンジャと共に行う事で、メンキョを授かりその肉体にニンジャソウルが発生。ニンジャとなる事が出来るのである。
「・・・って事は」
「ああ、晴れて君はニンジャになれる」
「オメデト!しんちゃん」
「オメデト」
「皆、アリガト。ニンジャネームと、コスチュームはどんな感じになるかな~?」
「コラコラ、まだメンキョを授かってないのに気が早いぞ」
カスカベ防衛隊からの祝福を受け、すっかりニンジャになった気でいる信之介を諌めるようにガリアは苦笑する。
「まぁ、とりあえず今追っている事件が解決したら知り合いのドージョーへ行こう。そこでハナミ儀式だ」
「うん!ヤクソクだゾ、男同士のオヤクソク!」
笑いあいながら拳を重ねる信之介とガリア。だが、・・・おお、ブッダよ!ザンコクな事にこのヤクソクは果たされる事はなかったのだ。
―それから何日か経って・・・。
学業とブカツが終わり、皆が帰路へと急ぐユウグレ・アワー。その中には信之介ら、カスカベ防衛隊の面々もいた。
「アー、まだ事件解決しないのかなぁ・・・ガリアおじさん。早く、ハナミ儀式をしてニンジャになりたいゾ・・・」
「愚痴を言ってもしょうがないよ、結構長引くって言ってたし」
待ち遠しそうに言う信之介に、風間がそう返した。
「そうだよなぁ・・・」
ため息をつく信之介。その時だ!
―KABOOOOOM!!!
「アイエエエエエエ!!?」
「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」
「ニゲロー!!」
「こんな所にいられるか!俺は逃げるぞ!」
爆音と共に、人々の悲鳴と怒号が響き渡る。何事か?と逃げ惑う人々を掻き分けながら、カスカベ防衛隊の面々が進むと、そこには・・・。
「!?ガリアおじさん!」
満身創痍のガリアが、ローブを纏った謎のニンジャと対峙している所を目撃した。あのニンジャは一体・・・!?それに、あのガリアおじさんにコレほどまでのダメージを与えるなんて・・・。
信之介は目の前の光景が信じられないでいた。
「ヌ・・・ウウウ・・・」
「フフフ、ここまでだなガリア=サン。我が『アイアン・十字』に楯突いた事をアノヨで後悔するがいい」
立つ事もやっとであるガリアに、止めを刺さんと右手の指先にカラテの光を収束させる謎のニンジャ。
「ヤ、ヤメロー!!!」
「「「しんちゃん!?」」」
「信之介!?」
それを見た信之介は、居ても立っても居られなくなり仲間達が止める間もなく、一目散にガリアに向かって駆け出していった。
―ZAP!
そして、無情にも指先からカラテ・レーザーが放たれ・・・、
「ア、アバッ・・・!?」
「し、信之介=サン!?」
ガリアを庇った信之介の心臓を撃ち抜いた。口から大量に血を吐き倒れ伏す信之介。だが、ただで転ぶ信之介ではなかった。
「グワッ!?何だこれは!?」
蜘蛛の巣まみれでもがく謎のニンジャ。コレは一体!?
あのカラテ・レーザーが放たれる瞬間、信之介もボーちゃんが護身用にと開発したガジェット『ウェブ・グレネード』を投げていたのである。何と言う肉を切らせて骨を断つワザマエか!?ゴウランガ!
「い、今だ・・・ガリアおじさん・・・ヤレー!」
「信之介=サン・・・。ウオオオオオオオオッ、イヤァァァァーッ!!!」
信之介の叫びに頷きながら、裂帛の気合と共に、謎のニンジャに向けてポン・パンチを放つ。
「グワァァァーッ!!?ヤ!ラ!レ!タァァァーッ!!!?」
ポン・パンチは謎のニンジャの顔面に直撃!全身全霊の一撃を受け、血をまき散らしながら廃棄予定であったビルに直撃。そしてそのまま崩れ落ちるビルと共に運命を共にした。
「グゥーッ・・・」
全身全霊の一撃を放ったガリアもまたザンシンを取る間もなく、ガクリと膝をつく。
「し、しんちゃん!ガリア=サン!ど、どうしよう・・・」
片や満身創痍、片や瀕死であるガリアと信之介を見てうろたえるマサオ。
「と、兎に角基地に運ばないと!」
「ダメだ・・・、信之介=サンは心臓を撃ちぬかれている・・・。このままでは信之介=サンが死んでしまう」
風間の言葉に、ガリアは息も絶え絶えにそう言った。実際、信之介は胸の辺りからドクドクと血があふれ出している。このままだとオタッシャ確実だろう。
「でも、このままだとどの道しんちゃんが・・・!」
「ダイジョブだ。信之介=サンを助ける方法が一つだけある」
ネネの心配する声に、ガリアはそう言った。それを行えば、信之介は助かる!そう思った風間は、実際藁にもすがる思いで、問いかけた。
「あるんですか!?」
「ああ、コレを使う」
風間の問いに、ガリアはそう言ってワキザシ・ダガーを懐から取り出し、続ける。
「ハラキリ・リチュアルを行い、私のニンジャソウルを信之介=サンに移す。それしか・・・方法はない」
「そ、ソンナ!?」
ニンジャソウルを移す。それはつまり、ガリアは死んでしまうということだ。どちらかが死にどちらかが生きる・・・、そんな残酷な方法に風間は絶句した。
「ほかに方法はないんですか!?」
「無い。・・・それにどの道、私は長く生きられん。・・・グゥ」
涙ながらのマサオの問いに、ガリアはそう答えると苦しそうに傷を抑えた。抑えた手からおびただしいほどの血が溢れる。ナムアミダブツ!その傷は致命傷だ。
「このままでは、両方ともオタッシャ重点だ。だが、私だけが犠牲となれば信之介=サンは生きる事が出来る。・・・身勝手だと思うがすまんな、本当にすまん」
「「が、ガリア=サン・・・」」
「そんな・・・」
「ウッウッ・・・やだよぉ、死なないでよガリア=サン」
あまりにも残酷な決断に、ある者は無力さに打ちひしがれ、涙を流すカスカベ防衛隊。それを見て、ガリアは罪悪感に苛まれる。
だが、彼を・・・野原 信之介を生かさねばならぬ!これから先、キンカク・テンプルの頂へと上りマッポーの世となったこの世界を救うであろう『希望』、それを
そう自分に言い聞かせ、ガリアはワキザシ・ダガーを握った。
「サヨナラだ・・・、先に逝く私を許してくれ皆。モハヤコレマデー!」
カスカベ防衛隊の面々に、短く別れの言葉を言った後、ガリアはワキザシ・ダガーを己の腹に思いっきり突き刺した。
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ここは何処なのだろうか?
あたり一面が真っ白なこの空間で、信之介はボンヤリとそう考えていた。
オラは確か、あの謎のニンジャの攻撃からガリアおじさんを庇って・・・。
「ここってひょっとして死後の世界・・・つまりアノヨって奴?」
「いいや、違うここは君のコトダマ空間だ。信之介=サン」
聞きなれた声に振り向くと、そこにはガリアが立っていた。
「ガリアおじさん!?どうしてここに!?」
「ハラキリ・リチュアルを行い、ニンジャソウルとなって君に乗り移ったんだ」
「な、ナンデそんな事を!」
「死に掛けている弟子を助けぬセンセイが何処にいる?」
悲痛な叫びをあげる信之介に、ガリアは優しく微笑みながら答えた。
「他に方法が無かったんだ。こうしなければ、どの道私も君も今頃サンズ・リバーを渡ってただろうからな」
「ナンデガリアおじさんも?」
「あのニンジャとの戦いで致命傷を負っていた」
「ソンナ・・・それじゃあ何の為にオラは・・・」
肩を落とし絶望する信之介に、そう悲観するな。とガリアは答えた。
「あの時、君が私を庇ってウェブグレネードをヤツに投げてくれたお陰で勝機を見出せた。私は君の勇気に敬意を表したい」
「おじさん・・・」
「だからこそ、君に託したいと思う。私の、この『大いなる力』をね」
「大いなる・・・力」
ごくり、と信之介は唾を飲み込んだ。
「だが、覚えておいて欲しい。この力は、ニンジャの力だ。大きな力であると同時に、それ相応に大きな責任を伴う。想像も絶するような大きな責任が・・・、それでもこの力を受け継ぎニンジャとなるか?」
ガリアの問いに、信之介は目を閉じた。それと同時に、かつて助けられなかった人達がニューロンの中に浮かぶ。・・・答えはもう決まっている。
目を開け、信之介は答えた。
「オラは、この力を皆の為に使いたい。だから、おじさん・・・オラをニンジャにしてくれ!」
「信之介=サン、君の覚悟・・・確かに受け取った。これより、私のニンジャパワを君に渡そう!」
そう言って、ガリアは信之介に手を差し出した。信之介もその手をガシッと掴む。
―キャバァーン!
するとどうだろうか!握った手が輝きだしたではないか!?それと同時に、信之介に力が漲る。
「ッ!?おじさん、身体が!」
ガリアの体が透けていく。まるで、信之介に力が吸い取られるかのように。
「君のソウルと私のソウルが溶け合っているのだ。光が収まる時、私は完全にお前の中に溶ける」
「ッ・・・!」
ガリアの言葉に、彼の肉体は本当に死んでしまったのだ。という事を改めて思い知り歯を食いしばる信之介。ソーマトー・リコールめいてニューロンに浮かぶのは厳しくも楽しかった修行の日々。
もっといろんな事を教えて欲しかった。共に笑いあいたかった。そして何よりも、ハナミ儀式を終えてニンジャとなった時、その姿を見て欲しかった。悲しみを堪え、信之介は言葉を紡ぐ。
「おじさん・・・、オラ強くなるよ。強くなって、ガリアおじさんみたいな皆を守るニンジャのヒーローになる」
「そうか・・・、君ならなれるさ。・・・私よりも、ずっとアメイジングなヒーローに・・・」
信之介の言葉に、ガリアは優しく微笑むとしめやかに消滅していった。
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―その後の事は語るまでもないだろう。
意識を取り戻した信之介はカスカベ防衛隊の皆と共に、ガリアの遺体を見晴らしのいいこのはずれの丘へと埋めた。生前、ガリアがよく来ていた丘だった。
そして、ガリアの跡を継ぎ『親愛なる隣人、スパイダーマン』としてカスカベ・シティの平和を守る為の戦いに身を投じる事になったのである。
そして、3年後の現在。
「この3年間、色々あったよ。町の皆を襲うニンジャやヨタモノとの戦いもあれば、火事や災害のレスキュー・・・後、迷子のペット探しとかもね」
ガリアの墓前で信之介は、淡々と語りかける。その顔は、親に語りかける子供のように微笑んでいた。
「これからも、オラは『親愛なる隣人、スパイダーマン』として戦い続けていくよ。
・・・そして、次に来る時はカスカベ・シティを『報告する事なんか何もない。今日も町は平和だった』って報告できるようなそんな町にする。・・・だから、見ていてくれおじさん」
そう言って、踵を返しカスカベ防衛隊の仲間達と共に丘から去っていった。
【クレヨンしんちゃん】
【トルネードコール・スパイダーマン】
草木も眠るウシミツ・アワーのカスカベ・シティをスパイダーマンは駆けていた。
マッポのIRC無線を傍受し、刑務所から脱獄した通り魔殺人鬼が現在逃走中だという事を聞き、その行方を追っているのだ。
「捉えた、画像を送るゾ」
ふと、スパイダーマンのニンジャ眼力が闇夜をかける何者かを捕らえた。すぐさま、スーツのカメラ機能でその何者かを写真に収め、基地にいるであろうカスカベ防衛隊の面々に送る。
『画像、見たよ。まさか、脱獄した通り魔殺人鬼がマーダートオリマだったなんてね・・・』
「うん、オラも驚いてる。どこかで見たよなって思ったけど・・・」
何たる偶然か!脱獄した通り魔殺人鬼が、あの日初めて出会ったニンジャ『マーダートオリマ』だったのだ。
『誓いを新たにした始めての相手が、まさかのあの日のニンジャって・・・因縁としか思えないわよねぇ』
「確かに、違いないね。・・・っと、拙いな」
ネネの言葉に苦笑しつつスパイダーマンは、マーダートオリマの進路方向にモータルの親子が歩いてきているのを見た。このままでは親子がアブナイ!
『うん、こちらでも確認した!行って来い、僕達の親愛なる隣人!』
「ああ!行って来る!」
―TWIP!
風間からの声援を受け、スパイダーマンは手首からスパイダー・イトを出し、ターザンめいて移動を開始した。
「ア、アイエエエエ・・・ニンジャ・・・ニンジャナンデ!?」
「フフフ・・・運が悪かったなぁ、夜中に出歩いたばかりにニンジャに出くわすなんてなぁ」
一方その頃、路地裏ではその親子が案の定、マーダートオリマとエンカウントしていた。メンポの奥で舌なめずりしながら親子にナイフを見せ付ける。
「恨むなら、こんな夜中に出歩いた自分達を恨むんだな。さぁ、喚け!」
「わ、喚くもんか!」
マーダートオリマの言葉に震えながらも力強く反論する子供。その眼は死んではいない。
「ホー、俺が怖くないのかボーヤ」
「お前なんか、怖くない!直にヒーローが来るぞ!ヒーローが来て、お前はコテンパンにやられるんだ!」
子供の言葉に、マーダートオリマは嘲り笑う。
「バカか!?こんなマッポーの世にヒーローなんかいるわけねぇだろ!」
「ところがどっこい!居るんだな、ここに!」
「・・・え?」
突如聞こえた、親子のものでも自身の声でもない声にマーダートオリマは声のした方を見やった。
その時だ!
「イヤーッ!」
「グワーッ!?」
視界いっぱいに広がったのは赤。次の瞬間、顔面に強い衝撃を受け、マーダートオリマは吹っ飛ばされた。鋭いケリ・キックを顔面にモロに喰らったのだ!
そのマーダートオリマにケリを放った人物をその親子は知っていた。カスカベ・シティに現れる神出鬼没のニンジャのヒーローを。
「「「スパイダーマン!」」」
「ドーモ、親愛なる隣人スパイダーマンです。もう大丈夫、助けに来たよ。後はオラに任せて逃げるんだ」
「アッハイ」
「あ、アリガトゴザイマス・・・」
腰を抜かしていた子供の両親を立たせ、逃げるように促す。おっかなびっくり立ち上がりながら子供の両親はスパイダーマンにお礼を述べた。
その時、ムクリとマーダートオリマが起き上がる。
「ド、ドーモ、スパイダーマン=サン。マーダートオリマです。いきなり俺の楽しみを邪魔しやがって・・・何なんだよテメェは!?」
苛立たしげにアイサツをしながら、喚き散らすマーダートオリマにスパイダーマンは静かに継げた。
「オラが誰かって?オラは、この町の親愛なる隣人・・・そしてお前たち悪党にとっての地獄からの使者さ」
そう言って静かに告げながら腰を深く落とし、片手を地につけもう片方を上げるスパイダー・カラテの構えを取った。そんなスパイダーマンに子供は声援を送る。
「そんな奴、やっつけちゃえ!イケー!スパイダーマン=サン!!!」
―OK、もう一度説明するゾ。
オラの名前は『野原 信之介』、ニンジャ『ガリア』からニンジャソウルを受け継ぎクモのニンジャとなったこの世界でたった一人の、スパイダーマンだ。
スパイダーマンとなって早3年。カスカベ・シティを救ったり、色んな陰謀に巻き込まれたりと色々あった。
これからも、オラはスパイダーマンとしてこの町を守っていこうと思う。
だって、それがガリアおじさんから『大いなる力』を託されたオラの『大いなる責任』なのだから。
【ボーン・イン・ザ・スパイディ】終わり
コレにてしんちゃんスパイディのオリジン話は終了です。
スパイダーマン誕生まで書き上げちゃおうと思い、気がつけば9000文字オーバーに・・・アイエエエ。
でもまぁ、これから本格的に物語が動いていきます。勿論、フジキド=サンなどの忍殺本編のキャラも出す予定です!
では、次回もお楽しみに。
オタッシャデー!