クレヨンしんちゃん:トルネードコール・スパイダーマン   作:じゃすてぃすり~ぐ

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ドーモ、じゃすてぃすり~ぐです。

私事ですが、『スパイダーマン:ファーフロムホーム』見てきました。ストーリーやアクションが面白く、スゴクイイですよ。オススメです!
さて、本格的に物語が始まるトルネードコール・スパイダーマン。今の所はまだ、導入部分だけですがドーゾ。


『スパイディ・ミート・ニンジャスレイヤー』#1

「ウォーフォー!」

 

 サラリマン達がお昼ご飯を楽しむヒルメシ・アワーのカスカベ・シティ。そこで雄叫びを上げながらスパイダー・イトで摩天楼を駆ける人影がいた。ご存知、カスカベ・シティの親愛なる隣人スパイダーマンだ!

 今日は学校が休みなので、特に用事もないこの日は、一日をフルに活用してスパイダーマンとしての活動を行っていた。

 ターザンめいてスイングしながら、街をパトロールするスパイダーマン。

 

「ドケッコラーッ!」

「アイエエエエ!?」

「ん?スパイダー感覚に反応あり、行ってみるかな?」

 

 その時、怒号と悲鳴をスパイダー感覚、もといニンジャ聴覚が捉えた。聞こえた方向へと向かうと、そこには駐輪所にて自転車のチェーンを強引に破壊しそれに乗って、周囲の事を考えず爆走する男の姿。アブナイ!

 早い話が自転車ドロボウだ。そんなドロボウの前に、我らが親愛なる隣人が躍り出る。

 

「ドーモ、親愛なる隣人スパイダーマンです」

「ワッザ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

 

 突然現れたニンジャのヒーローに、驚いて止まるドロボウ。

 

「ちょっとこれ持っててくれないかな」

「エ?」

 

 あらかじめ建物に貼り付けていたスパイダー・イトの端を呆気にとられるドロボウの服に貼り付けた。

 

「アリガト」

「アイエエエエエエエエ!?」

 

 そして、手を離すと同時にドロボウは釣り上げられたマグロめいて飛び上がり、宙吊りの状態にされてしまった。インガオホー。

 

「コレは誰の自転車ですかー?」

 

 弾みで手放された自転車を受け止めると、スパイダーマンは道行く人に問いかけた。だが、誰も自分の自転車だと名乗り出る人は居ない。

 仕方がないので、駐輪所へと赴き紙と筆を借りると『これは貴方の自転車ですか? 親愛なる隣人スパイダーマンより』とショドーし、自転車に貼り付けると元あった場所に置き、立ち去った。

 勿論、破壊されたチェーンはボーちゃん特製の修理ツールで元通りである。ワザマエ!

 

「おや?」

 

 パトロールの最中、スパイダーマンが見かけたのは重い荷物を抱えた老婆の姿。その状態で階段を上ろうとしており誰の眼から見てもアブナイのは確定的に明らかだ。

 

「やぁドーモ、親愛なる隣人スパイダーマンです」

「アイエエエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」

 

 そこに、隣に降り立ってアイサツをかわすスパイダーマン。突然の事で、老婆はNRSを発症。腰を抜かして、荷物を取り落としそうになる。

 

「オットット、危ない。大丈夫、危害は加えないよ。オラは悪いニンジャじゃないからね」

「ア、アイエエ・・・そうなんですか?」

 

 咄嗟に老婆を抱き起こし、取り落としそうになった荷物をキャッチするスパイダーマン。おっかなびっくりしながら問いかける老婆に、スパイダーマンは頷く。

 

「見たところこの階段を上ろうとしてたみたいだけど、こんな重たい荷物持ったままじゃ危ないよ。オラが助けてあげる」

「エッ!?いいんですか?ニンジャなのに」

「いいんだよ。『ニンジャはゴッドに非ず、獣に非ず。ニンジャはモータルの親愛なる隣人である』ってのが、オラのモットーだからね。このまま、目的の場所まで一緒に行くよ」

「ア、アイエエエエエ・・・アリガトゴザイマス」

 

 そんな訳で、背中に老婆を背負い両手に荷物を持って目的の場所へと向かったのであった。

 

―その後・・・。

 

「フゥー・・・疲れた。こんな疲れた時にはスシに限るよね」

 

 老婆を目的の場所へと送り届けた後、建物の屋上にて、アグラをかきながら老婆にお礼として貰ったスシを食べるスパイダーマン。スシを食べながら、町を行き交う人々の様子を見る。

 特に変わった様子はない。スパイダーマンとして活動を始めてから、少しずつではあるがカスカベ・シティの治安は良くなってきている。・・・だけれどあくまでカスカベ・シティだけだ。

 犯罪組織『ソウカイヤ』、奴らがこのネオサイタマを牛耳っている限りこの町の・・・いいや、ネオサイタマの真の平和を取り戻す事は出来ない。だが、ソウカイヤには強力なニンジャ達がごまんとおり一筋縄ではいかない。それを、スパイダーマンはマルノウチ・スゴイタカイビルでの一件で思い知った。スパイダーマンのニューロンに、救えなかった人々とそれらを手にかけたオブシディアンのニンジャ装束を纏ったニンジャ。そして、動かなくなった母親に縋り泣く少年の姿が浮かんだ。

 

(・・・ソウカイヤは手強い、マトモに正面からぶつかっても勝ち目は実際0だ。だから、収入源を潰して弱体化を狙うのがイイんだけど・・・中々連中は尻尾を出さないしなぁ)

 

 あの時の一件を思い出し、ウーム・・・と唸るスパイダーマン。その時、チロチロチロン♪と彼の持っているスマートIRC端末が鳴った。電話着信だ。

 取り出してみると、画面には『ななこおねいさん』と表示されてある。

 

「ななこおねいさんから・・・、一体何だろう?ドーモ、信之介です」

『ドーモ、しんちゃん。ななこです』

 

 端末から、幼稚園時代の初恋の女性であった『ななこおねいさん』こと『大原 ななこ』の声が聞こえてきた。

 かつて恋をした女性の声に少しはドギマギしつつも、スパイダーマンはななこに問いかけた。

 

「急にどうしたの?電話をかけるなんて、珍しいね」

『急にも何も、今日「F.E.A.S.T」に来るって約束じゃない。『あの子』も貴方と会うの楽しみにしてたわよ』

「エッ、今日だったっけ?・・・エート・・・」

 

 ななこの言葉に、懐からスケジュール手帳を取出し見てみる。

 確かに今日の日付に『F.E.A.S.Tに顔を出す』と書かれてあった。アチャー・・・、と自分のウカツさに頭を抱えるスパイダーマン。

 ちなみにF.E.A.S.Tとは、事故や事件など何らかの理由で身寄りが無くなったり、住む場所を無くしてしまった子供達を保護する施設であり、彼女はそこで働いているのだ。

 

「こってり忘れてた・・・確かに今日だったよ、ゴメン。今から超特急で行くから」

『ダイジョブよ、しんちゃん。その心がけは嬉しいけど、カラダニキヲツケテネ』

「うん、気をつけるよ。それじゃオタッシャデー」

『オタッシャデー』

 

 ななことの電話が切れると同時に、スパイダーマンは立ち上がるとF.E.A.S.Tのある方角へ向けてウェブ移動を開始した。実際スピード速めな。

 ついでに、何か厄介事が起こりませんように。と内心でブッダにお祈りするのも忘れない。・・・だが、

 

「タイヘンダー!車が暴走してるぞ!」

「アイエエエエエエ!?」

「・・・ブッダム、こんな忙しい時に」

 

 ナムアミダブツ!お祈りしているそばから、早速事件発生だ。ため息をつき、ブッダに軽い呪詛を呟く。

 

「でもまぁ、皆をお助けするのが親愛なる隣人スパイダーマンの仕事だし、行かないと。・・・後でななこおねいさんには謝っておかないとな」

 

 そう呟きながら、スパイダーマンは事件現場へと向かったのだった。

 

 

【クレヨンしんちゃん】

 

 

【トルネードコール・スパイダーマン】

 

 

「アイエエエエエ!?ブレーキを踏んでも止まらない、ナンデ!?アイエエエエエ!?」

 

 街中を暴走する車の中でその車を運転していたタモトはパニックに陥っていた。きっかけは、単なるウッカリミスであった。ブレーキと間違えてアクセルを思いっきり踏んでしまったのである。ウカツ!

 そのお陰で車は所々にぶつかり大暴走。ブレーキを踏もうにもぶつかった弾みなのか分からないがブレーキが効かないのだ!それがタモトのパニックを更に煽る。

 

「タスケテー!誰かタスケテー!」

 

 にっちもさっちも行かなくなり、タモトはあらん限りの声で助けを呼ぶ。その叫びが、ブッダに届いたのだろう。様子を見ていた町の人々が叫ぶ!

 

「見ろ!彼が来たぞ!」

「来た!スパイディ来た!これで一安心だ!」

 

 『彼』が来た事を!

 

「ドーモお待たせ、親愛なる隣人スパイダーマンです!オラが来たからにはもう大丈夫だゾ!」

 

 我らが親愛なる隣人のエントリーだ!

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!!」

 

 スパイダーマンはフロントに乗っかると、ウェブ・シューターからスパイダー・イトを大量に吐き出し建物や地面、ありとあらゆる所に貼り付ける。

 

「ヌゥーッ・・・!」

 

 そして、それを束ね足でしっかりとフロント部分に足をつけながら踏ん張る!先へ進もうとする車と踏み留めようとするスパイダーマン!メキリ、と車体に足がめり込む辺りそのパワは実際凄まじい。果たして結果は・・・。

 

―プシュ~・・・。

 

 スパイダーマンに軍配が上がった!オーバーヒートを起こしたのだろう煙を上げ、動きを止める車。フゥ。と一息つき、スパイダーマンは車から降りる。そして、巻き起こる大喝采。

 

「ウオー!」

「サスガスパイディだぜーッ!」

「ヤッター!」

「た・・・助かった。ヨカッタ・・・」

 

 車から降り、助かった事に安堵の息を吐くタモト。そんな彼にスパイダーマンは近づく。

 

「怪我はない?車壊しちゃったけど・・・」

「アッハイ、ダイジョブです。命あってのモノダネですしね。助けてくれてアリガトゴザイマス」

 

 車か命、どっちが大事なのか聞かれれば迷わず命と答えるだろう。高かった車が壊れたのは少し辛いが、タモトは自分を助ける為に身体を張ってくれたスパイダーマンに文句は言えなかった。

 タモトの言葉に、礼なんかいいさ。とスパイダーマンは答える。

 

「っと、ちょっと急いでるからオラはこれで。じゃ、ソウイウコトデー」

 

―TWIP!

 

 そう言って、スパイダーマンはスパイダー・イトを出しその場を去っていった。果たしてスパイダーマンはF.E.A.S.Tに間に合うのか?急げ!スパイダーマン、急げ!

 

 

【スパイディ・ミート・ニンジャスレイヤー #2に続く】




ネオサイタマの死神やソウカイヤの皆さんとのエンカウントは次回からになるかもです。

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