クレヨンしんちゃん:トルネードコール・スパイダーマン   作:じゃすてぃすり~ぐ

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今回はちとリアル云々が忙しく実際難産でした・・・。
いろいろと拙い部分がありますが、温かい目でお願いシマス!

8月24日、少々本文の内容について変更しました。


『スパイディ・ミート・ニンジャスレイヤー #3』

「ニンジャ・・・スレイヤー」

 

 初めて聞く名前にスパイダーマンは静かに呟き、目の前のただならぬアトモスフィアを放つ赤黒いニンジャを見る。スパイダーマンとなってこれまで、様々なニンジャと対峙してきたが、これほどの並々ならぬアトモスフィアを放つニンジャは初めてであった。

 

(それに・・・彼とは初めて会った筈なのに、どこかで会ったようなデジャブを感じる・・・ナンデ?)

 

 ニンジャスレイヤーを見ていると湧き上がる得体のしれないデジャブに、スパイダーマンは訝しんだ。だが、考えているヒマはない。

 

「ハイクを詠め、アーソン=サン。カイシャクしてやる」

「あ、アイエエエエ・・・」

 

 ニンジャスレイヤーがジュー・ジツの構えを取って、アーソン=サンをスレイしようとしていたのだ。アブナイ!

 どんな悪党ニンジャでも、殺さずマッポに突き出すことを信条としているスパイダーマンはニンジャスレイヤーを呼び止める。

 

「あー、ちょっとマッテ。ニンジャスレイヤー=サンだっけ?殺しちゃダメだよ」

「・・・邪魔をするな、スパイダーマン=サン。ソウカイヤのニンジャは全て殺す」

 

 スパイダーマンの制止の声に、ニンジャスレイヤーは瞳だけをこちらに向けてそう返した。鋭いカタナめいた鋭い眼光、モータルならばしめやかに失禁してしまいそうなそれを受けてもなお飄々とした様子でスパイダーマンは返す。

 

「確かに、ソウカイヤの連中は極悪非道だ。女子供だろうと、容赦なく殺す。

 ・・・だけど、だからと言ってそいつらも殺す・・・と言うのはやりすぎなんじゃない?」

「当然の報い、インガオホーだ」

「彼らだって、元は人間・・・モータルだ。キチンと法で裁かれなきゃならないんだ」

「ソウカイヤのニンジャ共に法など無意味だ。だから私が殺す。邪魔立てするのなら、オヌシも殺すぞ?」

 

 オスモウめいた議論の中、ニンジャスレイヤーはギロリとスパイダーマンを睨む。その眼に殺意以外の光をスパイダーマンは見た。

 それは、憎悪の光だ。ニンジャが憎くてたまらない、殺したくてたまらない。ニンジャ殺すべし。そんな光だ。

 

(一体、何があったらこんな眼をするようになるんだ・・・?)

 

 彼の過去に何があったのか・・・?スパイダーマンはニンジャスレイヤーの眼光を見てそう思う。

 だが、突如頭上からライトを照らされ思考の海から引き剥がされざるを得なくなる。

 

『安い安い、実際安い』

 

 その合成音声の方へ眼を向けると、こちらを照らす飛行船があった。

 

『この飛行船は、広告目的であり怪しくは無い。安心です』

 

 欺瞞的な言葉を撒き散らすバイオマグロめいた飛行船だ。その名はマグロツェッペリン。ネオサイタマの上空をパトロール目的で飛んでいる飛行船である。

 

「ハハハハハ!救援が来たぞ、これで貴様等もオシマイだ!」

 

 先ほどまでの弱気な姿勢から一転。アーソンは勝ち誇った笑みを浮かべ、スパイダーマンとニンジャスレイヤーにそう言った。そんなアーソンに、ニンジャスレイヤーは鋭い眼光を向けながら返した。

 

「ならば、その救援もオヌシの元に送ってやろう。イヤーッ!」

「オット!だから、殺しちゃダメだって」

 

 アーソンの首目掛けて放たれたチョップを、割って入るように受け止める。

 

「ヌゥ!ジャマをするな!イヤーッ!」

「殺しちゃダメって言ってるじゃん!イヤーッ!」

 

 再び放たれたチョップを受け止める。

 

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」

 

 チョップしては受け止め、チョップしては受け止め。の応酬が続く。その時、ミネルバから通信が入る。

 

『スパイダーマン=サン!』

 

―KA-BOOOOM!!!

 

 それと同時に、スパイダーマンとニンジャスレイヤーのいる位置が爆発!マグロツェッペリンから放たれたアンタイ・ニンジャ砲弾によるものである。

 二人の安否は・・・?

 

『マグロツェッペリンからロックオンを受けています。・・・と言いたかったんですが遅かったですね』

「そう言うのは、もうちょっと早めに言ってよね」

 

 無事だ!爆炎の中から、無傷のスパイダーマンとニンジャスレイヤーが飛び出してくる。

 

「ナ、ナンデ私までェェェェェェェェェッ!!!」

 

 ついでに、ギャグコミックマンガめいて真っ黒こげなアーソンも。スパイダーマンは咄嗟に、アーソンを掴むと器用にスパイダー・イトを使いアクロバティックに港から退散する。

 ニンジャスレイヤーもまた、ニンジャ脚力を持って港から退散。

 草木も眠るウシミツアワー、幻想的なネオサイタマの夜景でスパイダーマンとニンジャスレイヤー・・・2人のニンジャとマグロツェッペリンの追いかけっこが始まる。

 

『これはただのデモンストレーションであり、怪しくはない。安心です』

 

 欺瞞的なマイコ音声と共に、マグロツェッペリンは砲弾を、ミサイルをスパイダーマンやニンジャスレイヤー目掛けて発射する。

 

「そーゆーの全然説得力ないんだけど!?上空ならまだしもこんなものが往来とかに当たったらどうする訳!?」

 

 それを巧みにかわしながら、スパイダーマンは愚痴をこぼす。彼に捕まっているアーソンはと言うと・・・、

 

「アイエエエエエエ!?ヤメテー!ヤメテー!タスケテー!」

 

 再び、ヘタレ始めしめやかに失禁しながら泣き叫んでいた。

 

「アーソン=サン掴んだ状態だとやりづらいな・・・。どっかに、マッポの人がいたらいいけど・・・お?」

 

 スウィングしながら、街の往来を見る。・・・そこに、警邏中のマッポを発見。

 

「マッポのおにいさーん」

「ン?」

「これ、よろしく!」

「アイエエエエエエエエエエエエ!!?」

 

 マッポに声をかけると、そのままアーソンを思いっきりぶん投げた。

 

「ワワッ!?何だ何だ!?」

 

―TWIP!

 

「アバーッ!?」

「アイエエエ!?ニンジャ!?」

 

 驚くマッポに当たる前に、スパイダー・イトを発射。蜘蛛の巣めいて広がり、アーソンをキャッチ。キッチリと、アーソンの頭に『このもの、違法薬物メン・タイの密売人』とショドーされた紙を貼り付けるのも忘れない。ワザマエ!

 アーソンをマッポに突き出し、身軽になったスパイダーマンはビルのてっぺんへ上りマグロツェッペリンと向き直った。ニンジャスレイヤーも同様である。

 すると・・・おお見よ!マグロツェペリンの頭部辺りから人がグライダーめいた何かに乗って現れたではないか!

 実際世紀末めいたアーマーに目元を覆ったドミノマスクをつけた男であった。勿論、ただの人間ではない。ニンジャだ!コメディアンである。

 

「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。それとにっくきスパイダーマン=サン、コメディアンです」

「ドーモ、コメディアン=サン。ニンジャスレイヤーです」

「ドーモ、コメディアン=サン。スパイダーマンです。なーんだ、救援って言うもんだから誰かと思えばエドガーじゃないか。また叩きのめされに来たの?」

「本名で言うのはヤメロー!本当に貴様はむかつく奴だな!」

 

 コメディアンに、肩をすくめながらスパイダーマンは言う。そんなスパイダーマンに、地団駄を踏みながらコメディアンは反論した。

 コメディアンもまた、フィスク同様スパイダーマンにコテンパンに叩きのめされているのである。それ以来、スパイダーマンを敵視しており、事あるたびにスパイダーマンの前に立ちはだかっているのだ。

 ・・・まぁ、その都度負けては命からがら逃げ帰っているが・・・。

 ちなみに、実際どうでもいい情報であるがエドガーとはコメディアンの本名で、フルネームは『エドガー・ブレイク』である。

 

「だが、貴様との腐れ縁もこれまでよ!

 今回は、貴様を確実にオタッシャさせる為の秘密兵器を持ってきたのだからなァ!ここが貴様の墓場となるのだ!さぁ、行け『マシーンベム』暴君竜よ!」

 

―BOM!

 

「GYAOOOOOOOOOOOOOON!!!」

 

 マグロツェッペリンから、何かが射出されスパイダーマンとニンジャスレイヤーの目の前に降り立った。キカイめいたボディに身を包んだ二足歩行のトカゲだ。コワイ!

 

「ドーモ、スパイダーマン=サンにニンジャスレイヤー=サン。マシーンベム暴君竜です」

「ドーモ、暴君竜=サン。スパイダーマンです」

「ドーモ、暴君竜=サン。ニンジャスレイヤーです」

 

 そのトカゲ、暴君竜はペコリとオジギをしてスパイダーマン達に挨拶。なんとしっかりしたレイギサホーか、スゴイ!

 

「何なのこれ?こんなヘンテコロボトカゲが秘密兵器?」

「そう言ってられるのも今の内だ、この暴君竜はとある組織の技術によって作られたヤバイ級のモンスター兵器『マシーンベム』なのだ!

 それだけじゃあない、上空には対ニンジャ用に改善したマグロツェッペリン。そしてこの俺様もいる!貴様に勝ち目は全くないのだァ!ハーッハッハッハッハッハ!」

 

 スパイダーマンの言葉に、そう言ってコメディアンは高らかに笑う。

 

「言いたい事はそれだけか?」

「・・・何?」

 

 そんなコメディアンに、一言物申す者が。ニンジャスレイヤーだ。

 

「オヌシのつまらぬ三流プレゼンなどはっきり言ってどうでもいい」

「な、ななな何ィィィ!?」

「偉そうにここがスパイダーマン=サンの墓場だとか何だ言っているが、オヌシのようなサンシタには無理だ。

 よく見たら、お前の指に幾つものケジメ痕が残っている。・・・どうせ、このニンジャにお情けで生かしてもらったんだろう?」

 

 ニンジャスレイヤーの容赦ないバトウ・ジツに、顔をユデダコめいて真っ赤にするコメディアン。

 さりげなくコメディアンの両手の指にあるケジメ痕を見た時に、チラリとスパイダーマンを見た。

 

「だが、それもここで終わる。何故ならば私がオヌシをカラテし殺すからだ」

「な、何を~~~!減らず口を叩きおって!見逃してやろうと思ったが気が変わった!貴様も纏めて討ち取って査定の足しにしてくれるわ!」

 

 ニンジャスレイヤーの言葉に、怒りが有頂天となったコメディアン。地団駄を踏みながら、ニンジャスレイヤーを睨む。

 

「何か、とんだチームアップになっちゃったね。どう言う風の吹き回しだい?」

「状況判断だ。オヌシはソウカイヤと敵対している、ならばオヌシと共にこの状況を打破した方が実際いい」

 

 肩を竦めながら、問いかけるスパイダーマンにニンジャスレイヤーはそう答えた。

 

「まぁ、確かにね。・・・だけど、一つ約束して欲しい。極力殺すな。・・・と言っても無理だろうなぁ・・・」

「当たり前だろう、オヌシに何を言われようとニンジャは全て殺す。何なら、オヌシを先に殺してもいいぞ?」

「デスヨネー。それは勘弁だから、オラは何も言わないよ」

 

 ニンジャスレイヤーの返答に、肩を竦めるとコメディアン・・・そして暴君竜に向き直る、そして二人同時に各々の構えを取った。

 草木も眠るウシミツアワー、ネオサイタマの摩天楼でイクサが始まろうとしていた。

 

【スパイディ・ミート・ニンジャスレイヤー #4に続く】




ニンジャスレイヤー=サンを上手く動かせてるか不安でござる(汗)Web版や漫画版忍殺を読みながら書いてはいるんですが・・・心配だ・・・。
さて今回、満を辞して東映版スパイダーマンに出てきたマシーンベムが登場!勿論、マシーンベムだけでなく彼らも登場させる予定ですのでお楽しみに!
それでは~。

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