瓦礫によって散乱する町中で俺は歩いていた。
町の中では既に生きてる存在はいないと思える程に残酷な光景が広がっており、俺自身も既に身体はボロボロになっていた。
それでも、見つけ出さなければならない、俺が守らなくてはならない少女を。
「どこにっ、いるんだっ!!」
身体の奥から声を引きずり出すように叫ぶが、その声に応える物はおらず、ただ見えるのは瓦礫の山になった町とそれを嘲笑うように浮かぶ何かだった。
この町が、このような光景にさせた元凶だと分かっていながら、俺は何もする事ができず、ただ絶望するしかなかった。
そして、ふと何か音が聞こえ、振り向くと、そこには手が落ちていた。
その手に握られていたのは、死んだ妹の形見だと言って、いつも大事に握っていた物であり、その手の持ち主だと思われる身体の方へと向く。
「あっ…あぁっ!!」
そこにあったのは町にある瓦礫だった。
だが、その瓦礫の下から流れているのは血だった。
俺の近くまで流れてきている血の正体を知るのと同時に俺は頭に手を掴みながら、現実を受け入れられなかった。
「そんな事っ、ないだろぉっ!!」
悲痛な叫びと共に俺は空に向かって叫ぶのと同時に、空は桃色の光によって覆われる。
同時に俺の頭の中には知らない光景が広がっていた。
紫色の忍者のような人物が、周りで襲い掛かる黒い忍者と戦う光景。
クエスチョンマークが特徴的な戦士が、目の前にいる怪物に向けて電撃を放つ光景を。
黄色の機械が、子供達に襲い掛かる者達と戦っている光景を。
そんな見た事のない光景が俺の頭の中に全て入り込むと同時に目の前は真っ暗になる。
しばらくして、俺の意識は再び覚醒するように目を開くと、周りは見た事のない街並みが広がっている。
「…ここは、見滝原じゃない?」
何が起きているのか分からず、ゆっくりと俺は周りを見渡すが、知らない光景がそこにはあった。
ふと、何か違和感を感じ、服を見てみると、見覚えのないヒョウタンが腰にあり、なぜかスパナが腰にささっており、胸にはクエスチョンマークのペンダントがあった。
「なんだ、これは?」
見覚えのない物に俺は困惑していると、俺の目の前で誰かが通り過ぎるのを感じ、周りを見る。
駅から少し離れた場所にいたのはピンク色の肩まで伸びている少女がおり、その少女は俺の知る幼馴染だった。
「いろは?」
なぜ、目の前で死んだと思った幼馴染がここに?
そんな疑問を思い浮かべるよりも、無事だったのを確認する為に走り出すが
「いない!!」
確かに先程までいたはずの道にはいろはの姿はなく、目の前には行き止まりしかなかった。
何が起きているのか、分からず困惑したが、それよりも、俺は走り出していた。
ここがどこかなんて関係ない。
なんで俺がここにいるかなんて関係ない!!
今は守らなきゃいけない幼馴染が生きているのを確認しなくちゃいけない。
その思いだけで俺は走っていた。
「あの後ろ姿は」
今度は見失わない内に目の前で走っているいろはの姿を見つけると共に追い付くように走る。
すると、今度は目の前の光景は歪み始め、気が付くと周りは砂漠のような景色に変わっていた。
「一体なんなんだ、ここはっ!?」
3度目となる不可思議な現象に、俺は既に追い付かなくなっていた。
だが、やっと見つける事のできたいろはは目の前に迫っていた化け物によって、殺されそうになっていた。
「いろはっ!!」
俺はすぐに助けようとしたが、俺の声に気づいたのか、他の怪物達も俺に襲い掛かってきた。
怪物の攻撃に耐えきれず、俺は吹き飛ばされてしまい、地面へと叩きつけられてしまう。
そんな俺を狙うように、周りにいた怪物は少しずつ近づいていた。
「せっかく見つけたのにっ、諦められるかっ!!」
そう叫ぶと、まるでそれに応えるように、俺の腰にあったヒョウタンが強烈な光を放っていた。
気になり、手を取ると、ヒョウタンの蓋が外れ、そこから紫色の煙が俺の腰へと伸びると、腰には銀色のベルトが、手元には紫色の手裏剣があった。
「これって!?」
目が覚める前に見た奇妙な光景に出てきた謎の忍者が身に着けていた物だ。
何が起きているか、分からないが、今はこれに頼るしかない。
「変身」
頭の中で、なぜか映し出された人の動きを真似るように、俺は手元にある手裏剣を腰に巻き付いているベルトに入れる。
『誰じゃ?俺じゃ?忍者! シノビ、見参!』
すると、ベルトから音が鳴ると同時に、俺の後ろに巨大な蝦蟇が現れ、蝦蟇から出てきたエネルギーが浴びる事によって、俺の姿は変わる。
記憶の中にあった姿と酷似しており、身体を見てみると紫色を基本とした忍装束に首元には足元まで伸びているマフラーが伸びていた。
「っ!!」
姿が変わった驚きよりも、俺の足は走り出し、いろはに襲い掛かろうとしていた何かを蹴り上げた。
「えっ?」
突然の衝撃に驚いたいろはは一瞬こちらを見つめるが、それを気にせず、こちらに迫りつつある何かを次々と吹き飛ばしていく。
「あなたは一体」
「・・・俺はシノビ。
仮面ライダーシノビ」
いろはに尋ねられた時、とっさに俺は仮面ライダーシノビと名乗った。
これが、何を意味をしているのか分からないが、今はそれよりもいろはを守らないと。
「シノビ?」
疑問に思うように声を出したが、その間にも迫りつつある何かを蹴り飛ばしていきながら、ふと腰にベルトとは別の物がある事に気づき、手を伸ばして振り上げる。
すると、こちらに迫っていた何かは真っ二つで切り裂かれる。
「嘘っ、使い魔を一瞬で真っ二つに」
「使い魔?」
何を意味をしてるのか、分からないが、目の前に迫っている脅威を全て排除する為に手に持っている刀を使って、いろはに迫っている使い魔と戦っていく。
「終わりだ」
『フィニッシュ忍法!』
その声と共に既に残り少なくなっている使い魔に向かって走り出し、回し蹴りを行っていく。
すると足から出てくる紫色のエネルギーと共に全ての使い魔達を吹き飛ばしていき、同時に爆散していく。
「あっと言う間に使い魔達を。
あのっ、あなたはっ…」
「っ!!」
こちらに質問をしようとしたが、突然いろはが倒れてしまい、俺は急いでいろはの元へと駆け寄り、受け止める。
様子を見ると、いろはは何か疲労困憊のようで顔色も悪かった。
「どうなっているんだっ!?」
俺は慌てていろはを抱き上げて、どうすれば良いのか困っている時に後ろから何か殺気のような物を感じると共に、いろはを抱きかかえたまま後ろへと下がる。
「…っ!!」
「その子を降ろしなさい」
目の前にいるのは腰まで伸びている青い女がいた。
「断る、お前がいろはを狙っている可能性がある。
さっきの使い魔とかと同じように」
「…あなた、まさか魔法少女を知らないの?」
「なんだ、それは?」
本当に疑問に思い、俺は言うと目の前の女性はすぐに腰から何かを取り出して、こちらに投げる。
何かの武器かと思い、構えるが、手に取ると武器ではなく、何か小さい欠片のような物だが
「その子の胸にそれを押し付けなさい。
そうすれば、回復するわ」
「そんな事を信じられるか」
「早くしなさい、でないと、死ぬわよ」
「・・・」
完全に信用した訳ではないが、何もしないよりはマシだと思い、俺はそのままいろはの胸に押し付ける。
すると、先程まで苦しそうな表情から代わり、安静した様子だ。
「よかったぁ」
「これで少しは信用してもらったかしら。
それで聞きたいけど、あなたは一体何者、魔法少女には見えないし、魔女でもなさそうね」
「・・・俺は未来掴。
仮面ライダーだと思う」
「仮面ライダー?
聞いた事ないわね」
「俺も初めて知った。
この力もさっきまで必死で、何が分からない内に何時の間にか」
「嘘はついてなさそうね。
分かったわ、その子を安全な所に連れて行った後に話すわよ」
「・・・分かった」
俺はそのまま仮面ライダーとしての姿を解き、目の前の女性に従うように歩き出す。