あれからしばらく経って、俺は自分の変身する力について違和感を覚えた。
一応、シノビとクイズ、キカイに変身できるのだが、1日にこの中の内、一つしか変身できないのだ。
しかも俺の意思では決められないが、俺が変身しようと思えばランダムでアイテムが光るため、日によってアタリハズレがある、という感じだ。
何でこんなことになっているのかは俺には知らないが、恐らくは俺が神浜で気を失ったことが原因かもしれない。
一応いろはにも説明している。
そして俺といろはは再び神浜に足を運んだ。
ういちゃんを見つけるために。
それで、ういちゃんと親しかった灯花ちゃんとねむちゃんが入院していた神浜の病院に尋ねた。
しかし、二人の病室を訪ねてもいなくて、医者や看護婦に尋ねてもプライバシーの保護のためか教えてもらえなかった。
それから二手に分かれて探したが、いろはの行方が分からなくなり、近くの公園のベンチに腰かけていた。
「はぁ、冗談だろ?」
あいつ、こういうところも変わんねぇもんなぁ…。
機械音痴な上に方向音痴で、スマホのマップなんてまともに見れた試しもない。
くそっ、やっぱり二手に分かれて病院内を探し回るんじゃなかった!
「…はぁ」
俺はしばらく自分のアホさ加減に頭を掻きむしったところで頭を冷やした。
「…そう言えばあの二人、いっつも喧嘩してたよなぁ」
俺は灯花ちゃんとねむちゃんのことを思い出す。
天文学に詳しい灯花ちゃんと、天才的な小説家のねむちゃん。
あの二人は仲は良い物のことあるごとに喧嘩していた。
それでよくういちゃんが仲裁に入ってたっけ。
「あの二人、よく喧嘩しては絶交って言ってたもんなぁ…」
「ねぇあなた、絶交って言ったかしら?」
「あ?」
振り返るとそこにはやちよがいた。
「そう警戒しないで。
あなたたちは魔女を倒したのだから、追い出すつもりはないわ。
でも、この街に来たからには、絶交なんて言葉、口にしないほうが良いわよ?」
「…それは何でだ?」
俺がそう聞くと、やちよは懐からファイルを出した。
「このファイルは、神浜におけるうわさが載ってるの。
それでこの中には、それに関するうわさが書いてあるの」
そう言って俺にそのウワサの内容を聞かせた。
簡単に言うと、一度絶交してしまえば、そこからずっと仲直りとかもしてはいけないということだ。
仲直りしようとすると、怪物が現れて、そいつを連れ去ってしまうという恐ろしいウワサだった。
「…でも、ウワサなんだろ?
何でそんなこと俺に…」
「実際にそのウワサが出てきて、もう何人もの行方不明者が出ているのよ。
だから、あなたにも警告してるのよ。
さっき環さんのも会ってあなたと同じこと言ってたしね」
ウワサが現実に?
しかもそれで何人もの行方不明者が出てるなんて、冗談だろ?
でも、こいつの言ってること、何かうそってわけじゃなかったしなぁ。
「…そういうこと、か。
そう言えばさっき、いろはに会ったって言ってたけど、やちよはどこで会ったんだ?」
「この公園よ。
別れてから時間はそんなに経ってないと思うから、早いところ行ってみたらどうかしら?
そう言えば、あなたたち、何で別行動してるの?
あの子探してたわよ?」
「マジか!?
というか逸れたんだよ!
じゃあな!」
俺はそう言って、すぐにいろはを探した。
俺はしばらく公園内を走って、ある光景が目に入った。
「いろはが二人!?
ど、どういうことだ!?」
しかもよく見たらももこと初めて見る女の子がいるし、この状況どうすんだ!?
それに、今日俺はどれに変身すれば…!
ネックレスが光ってる!
「今日はこれか、変身!」
『ファッション!パッション!クエスチョン!クイズ!』
俺はネックレスでクイズに変身して、二人を見る。
「えっ、その姿は…!」
「クイズ!?」
二人のいろはが動揺している。
さてどうしたものか、二人ともいろはだからな。
…それなら、いろはにしかわからない問題で炙り出すしかない!
「…救えよ世界、答えよ正解。
問題!
いろはの得意料理は薄味である。
〇か×か?」
「ちょ、何を言って!?」
「え、えーと、薄味だから、〇かな?
元々、ういのために作ってたことあったから」
「正解は、〇だ」
「ぎゃあああああああああ!?」
俺の出した問題に答えられなかったもう一人のいろはに電撃を浴びて、そのダメージのせいか別の女の子の姿になった。
いや、戻ったとでもいうべきか。
「ちっ、よくもやってくれたわね…!」
女の子は怒って槍を構えて攻撃を仕掛ける。
俺は刃先が当たらないように柄を掴んで耐える。
「お前、よくもいろはに化けやがったな!」
「あいつが邪魔するからよ!
ろくに事情も知らない癖して!」
「事情!?
なんだよそりゃ!」
「あんたには関係ないでしょ!」
「くっ!」
女の子は俺を押しのけて、槍の刃先の周りに水を纏って、それを斬撃として飛ばしてきた。
「うおっ!?」
俺は回避すると、俺が先ほどいた場所の地面が抉れていた。
「ふんっ、ろくに人の事情を知らないからこうなるのよ」
「ちっ!」
ちくしょう、どうすればいい?
相手は水を使ってくるし、俺は問題を出す形でしか電気が出せない。
いや、まだ俺自体が使いこなせてないから、これしかないだろうけど。
「とどめ!」
俺が動けないと思ったのか、女の子は槍に先ほどよりも多い水を纏わせて、俺を薙ぎ払おうと突っ走ってきた。
「掴、避けてっ!!」
「…!」
避けれない、もう距離が短いから。
俺は、負けるのか?
前に、いろはを守るって、誓ったのに?
…ふざけるなよ。
そんな簡単に負けて、誓いを破るってのか?
ふざけるな、状況じゃねぇ!!
こんなところで負けて、いろはを守れるかよ!!
「うおりゃああああああああ!!!!!!」
俺は叫び声をあげて、咄嗟に手を突き出した。
その時だった。
「がっ!?
あ、あぁああ…!」
手から電気でできた盾が出現して、それに水を纏った槍を伝って、女の子に流れ込み、気を失ったのだ。
俺は女の子が倒れたこともそうだが、俺は自分の手を見た。
盾はすぐに消えたが、それでも手に盾を持った感触が残ってる。
「今のは…?
まさか、クイズの?」
「掴!」
「掴くん、何なの今の!?」
「…わからない。
けど、状況教えてくれるか?
流石に戦ったとはいえ、よくわかってないから」
「う、うん」
俺たちは女の子を連れて、安全な場所で話を聞くことにした。