よろしければ、そちらもお願いします。
俺たちは女の子と戦って、近くの公園のベンチで寝かせていた。
ちなみにももこと一緒にいた赤い髪の子は秋野かえで、いろはに化けてたのが水波レナという。
「…で、これってどういう状況なんだ?」
「そのことなんだけどさ…」
「…」
当事者であるかえでがもじもじとしててだんまりしているのだ。
「それがね、かえでちゃんとレナちゃんが喧嘩して、それでレナちゃんが逃げ出そうとして、慌てて止めに入ったの」
「いろはちゃん!
あまりそういうこと言わないでよ!
これは、私とレナちゃんの問題だもん!」
「そうは言ってもな、かえで。
お前ら毎回喧嘩してるんだから、こっちの身にもなってくれよ…」
「そ、それはわかってるんだけど…」
喧嘩、ね。
…おい、まさかだと思うけどよ。
「なぁ、かえでって言ったか?
お前とレナ、もしかして喧嘩の時に絶交って言葉を、使った?」
「えっ、うん、言ったよ」
「…そうか」
俺は思わず頭を抱えそうになった。
さっきやちよから聞いたウワサのことで敏感になってるだけで、本当にただの噂話だと思いたかった。
でも何だろう、この嫌な予感は?
「…掴も気になるの?
さっきやちよさんに言われたこと」
「あぁ」
「うん?
二人ともやちよさんに何か言われたのか?」
「ももこさん、それが…」
いろはがおずおずと話した。
俺は名前までやちよから聞いていなかったが、そのウワサの名前は、『絶交ルールのウワサ』というものだった。
「そんなの、ただの噂話だよ。
あの人、変な噂を調べては騒いでるだけだって!」
「…そうなのか?」
俺はあいつが嘘をついてるって感じではなかったから、そんな風には思わないけどなぁ。
「まぁ、そういうことだったらいいんだけどな。
…じゃあ、俺はレナの様子でも見てくるわ。
そもそも、事情知らなかったからって気絶させたの俺だしな」
「う、うん…」
まぁ、俺も事情も知らなかったのはそうだけど、俺自身さっきのクイズの技とでもいうのか、あの電撃の盾のことさっぱりわかってねぇからな。
とりあえず、俺は近くの自販機でジュースを買ってから向かうことにした。
「う、うぅ、ここは…?」
「よぉ、気が付いたか?」
「その声、アンタひょっとさっきの!?」
レナが頭を押さえながら体を起こし、俺の声を聴いた途端に身構える。
そりゃあ、さっき電気浴びせて気失わせたやつが目の前にいるとなると、そうなるよな。
「俺は未来掴だ。
さっきは悪かったな。
ほれ、さっき自販機で買ってきたジュースだ、やるよ」
「あ、ありがとう…」
先ほどのこともあって弱っているからか、警戒しながらも受け取って飲む。
「それで、アンタ何者よ?」
「ん?」
「だって、魔法少女と張り合うなんて、中々のもんよ!
それにさっきのあの姿と言い、電気と言い」
「…そうだな。
少なくとも、俺にはわからないんだよ」
「は?
何よそれ!」
「信じてもらえないかもしれないけど、俺はここ数日前に、気が付いたらここにいたんだ。
その時に、このネックレスとかひょうたんとかスパナとかあったんだよ」
そう言って俺は手元の三つのアイテムを見せる。
「ふぅん」
「それで、お前確かレナって言われてたよな?
俺が言うのもなんだけど、何があったんだ?
何か喧嘩して絶交とか言ったらしいけど」
「そ、そうよ…」
こいつ、さっきまでの威勢どこ行った?
明らか素直じゃねえか。
いや、そこは別に良いんだよ。
問題はかえでと何が起こったのかってことなんだからさ。
「だってかえでが悪いのよ!?
あの子がどんくさかったから、レナがこんな思いしてるんだから!」
「だからそれで、具体的に何があったのかって聞きたいんだよ。
ももこだって心配してるんだから、ちゃんと、な?」
「ふん!
悪いけど、そこまでは教える気はないんだけど!
そもそも、さっき素直に話したのは、アンタからまたビリビリ喰らわされるのがいやだったから答えただけなの!」
「どんだけ電気トラウマになってんだよお前」
「レナちゃん!」
「なっ、かえで!」
「…?」
俺たちの前に、先ほどいろはたちと話をしていたかえでがやって来た。
しかもかえでの後ろで二人が見守ってる。
「…何よ、もう絶交したんだから、関わらないでよ。
あんたもさっき、そう言ったんだから」
「それでも、さっきのはレナちゃんが悪いんだよ!
でもね…」
「何よ?」
「絶交したからって、もう一度レナちゃんとももこちゃんと一緒に戦いたいの!
これからも会えないなんて、私嫌だもん…」
「アンタがそうでも、レナはもう嫌なの、うんざりなの!
かえではいつまで経ってもどんくさいし、謝るつもりもないんだから」
「だったら、もう良いよ」
「そう、わかってくれたならさっさと…」
「そんなに言うなら、私がレナちゃんに謝るもん!」
「…!」
おいおいマジか!
いくら仲直りしたいからって、自分から謝るのか!?
「はぁ!?
ちょっ、アンタ何言ってんのよ!
アンタが悪いわけじゃないのに!」
「私が謝るんだから、私の勝手だよ!」
「謝るなんてバカなマネはやめなさい!
レナは謝罪も何もいらないんだから!」
何だこの異様な拒絶は?
…そう言えばさっきやちよが言ってたあの噂か?
「レナ、お前ひょっとして、絶交のウワサをガチで信じてたから、そんなに怯えてんのか?」
「っ!?
そ、そうよ、悪い!?
この歳でガキみたいなウワサ信じて!?」
「心配するなって、19歳の女子大学生だって信じてたから」
でも何だろう、この嫌な予感は。
俺の思い違いだったら良いけど。
「とにかく、私から謝るから!
ごめんね、レナちゃん!」
「ば、バカぁーーーーーーーっ!!
怪物に拐われたらどうするのよ!?」
「めちゃくちゃ信じてるじゃねぇか」
涙目になりながらそんなこと言うなんて、お可愛い奴め。
まぁ、俺も半分信じてたりして。
「でもほら、私が謝っても何にも起きないよ?
だから、これからも一緒に…」
その瞬間だった、まるで俺の予感が当たるかのように、周りの景色がおかしくなった。
というか、前にいろはたちと一緒に戦った時の結界と似たやつだけど、何か別の物で覆われてる感じだった。
その異変に気付いたいろはとももこも出てくる。
「こ、これって!?」
「何なの!?
魔女の結界!?」
「いや、何か違う。
似てるけど、どこかが違う」
「じゃあ、あれは使い魔じゃないの?」
かえでが指を指した方向に俺たちは向くと、そこには鍵穴の付いた四角い奴らがいた。
瞬間、やつらがよってたかってかえでを捕まえる。
「きゃっ、やめて、引っ張らないで!」
「「かえで!」」
「かえでちゃん!」
「かえで…!
くっ、やるしかねぇ、変身!」
『ファッション!パッション!クエスチョン!クイズ!!』
俺たちなそれぞれで変身して、やつらからかえでを引き離そうとする。
だが、攻撃しようにも一匹がかえでを盾にしてるため、うまく攻撃できず、周りを囲われてしまう。
「ぐっ、あいつ、かえでを盾にして…!」
「うっ、うまく離れられないよぉ!」
そうしてる間に奴らの一匹が俺に攻撃を仕掛けてくる。
「こうなったら…ぐぁ!?」
俺はさっきのことを思い出して手を突き出すが、電気の盾が出ず、やつの体当たりを喰らってしまう。
「掴!」
「どうなってるんだ?
さっきは出てきたのに…!」
俺は思わず自分の手を見るが、出る気配もなかった。
だが、そうしてる間に奴らは俺たちからかえでを引き離し、その間に大量に押し寄せてくる。
「やだぁ、離して!」
「かえでを、返せぇ!!」
「かえでちゃん!」
「かえで、待ってろ!
今助けに行くから!」
「ちっ、こいつら邪魔だ!」
俺たちはかえでを解放しようとするも、奴らが押し寄せてくるため中々近づけない。
「こうなったら!
問題!
俺たち四人の目的はかえでを助けることである。
〇か×か?」
「は!?
そんなの決まってるでしょ!?」
「うん、答えは決まってるよ!」
「言わなくてもわかることだろ!」
俺がここにいるやつらに向けて問題を出して、いろはたちは答えるまでもないと言いつつも、同時に答えた。
『答えは、〇!』
「そうだ、正解は、〇だ」
その言葉と同時に、迫り込んできたやつらは電撃を浴びて、消滅した。
だが、すでにかえではいなくなってしまった。
「消えた!
そんな…」
「絶交して後悔して仲直りしようとしたら怖いバケモノに連れていかれてしまう…。
あっ、そうだ!」
「おい、レナ!」
「レナちゃんどこに行くの!?」
「…!」
レナは何か思いついたようにどこかへと走っていき、ももこはレナを追いかける。
「あぁ、どうしよう…!」
「どうするもこうするも、何か手掛かりがあればかえでを探せるけどな。
いろは、レナはももこに任せて、かえでは俺たちで探そう。
何か手はあるか?」
「え!?
う、うん。
かえでちゃんの魔力を頼れば何とか…」
いろははソウルジェムに意識を向けることで魔力を探す。
「見つかったか?」
「うん、まだそう遠くは行ってないみたい。
掴、追いかけよう!」
「あぁ!」
俺たちは一度変身を解除して、かえでを探すことにした。
だが俺は、かえでを探すこともそうだが、先ほどのクイズのことで気になることがあった。
さっきいろはたちに問題を出して答え合わせして奴らに電撃を浴びせた時、バイザーの裏の隅に、『3』という数字が出てきた。
これはさっきの電気の盾と何か関係があるのか?
それにこの3って数字、確かいろはたちは3人で、正解だったからそれでこの数字が出てきたのか?
そう考えながら俺はいろはと一緒にかえでを探すことにした。