俺といろははかえでを拐ったやつらを探していた。
しかし、いろはが魔力を探知できなくなって、見失ってしまった。
「ごめん、見失っちゃった…」
「…気にするなよ。
この辺りで見失ったなら、まだ近くにいるはずなんだから」
俺たちがいるのは、建設廃棄された工事現場だった。
この辺りでかえでを見失った。
「掴くん、いろはちゃん!
レナここに来てない!?」
「ももこさん!
ここには来てないですけど…」
「そっか…、ここにも来てないのか。
あいつ、どこに行っちゃったんだ…」
俺たちの元に駆けつけたももこは、レナがここに来てないことを知ると頭を抱える。
この様子だと見失ったのだろう。
「かえでも連れ去られるし、レナもどこか行っちゃうし、リーダー失格だ!」
「ももこさん…」
「…」
俺はそれを黙って聞いていた。
聞いてると、ももこは二人と一緒にチームを組んで魔女を倒してたって話だからな。
さっきのかえでとの接し方とか見てると、二人のことがどうしても放っておけないみたいだし。
というか、お節介焼きというか、面倒見が良いというか、リーダー以前に人として二人のことを大事に見てるって感じなんだよな…。
「…なぁももこ」
「…?」
「俺、お前らがどんな経緯で仲良くなったとか知らないけど、少なくともそうやって心配してる時点で、二人はお前の元から離れたってわけじゃないと思うんだ」
「掴くん、それってどういう…」
「かえでについてはあれは仕方なかったというか、お前でも助けれてなかったし、俺たちでも無理だった。
けど、完全に助からないってわけじゃない。
だから、まぁ…その、なんだ。
あまり一人で抱えるなよ、そんなんだと、いつか自分で自分を壊しかねないから」
「掴くん…」
それに、何もできなかった俺にも非があるしな。
…?
ももこの後ろから誰かが…。
…あぁ、そういうことか。
「それに、後ろを見ろよ。
追ってたやつが、向こうから来たみたいだぞ?」
「え?」
俺が後ろに指を指して、ももこたちが振り返るとレナが走ってきた。
「はぁはぁ…!
やっぱりここにいた!」
「レナちゃん!?
どこに行ってたの?」
「レナ、追っかけても見失うし、今更何しに来たんだよ!」
「かえでを助けられないかって、確認しに行ってたのよ!
その目処が立ったからここに来たのよ!」
「レナちゃん、もしかしてやちよさん?」
「ば、バカ!
ももこの前だから濁したのに…!」
「…いや信じるよ」
ももこは眉をひそめながらもため息をつく。
「ほ、本当でしょうね!?」
「レナが何の理由もなしに飛び出したわけでもなくて安心したから。
それで、どうするんだ?」
「そんなの、決まってるじゃない…。
レナも、覚悟を決めたし」
「お前、まさかだと思うけど…」
「多分、かえでちゃんと同じ状況を作るんじゃ…」
レナは工事現場に向き、息を吸って、大声をあげる。
「かえでーーーーー!!!
今までのこと、全部ぜーんぶ謝るから出てきて!!
無理矢理コンビニ使い走りさせてごめん!
レナの大好きがフルーツタルトがなくて、代わりにレナの好きな物を買ってきてくれたのに怒って投げつけてごめん!
服を汚してごめん!
お金返さなくてごめん!
そのお金も、本当はペットの餌代なのにごめん!
そのペットのこと、キモイって言って思ってごめん!
レナ爬虫類が苦手だから、かえでのペットのことキモイって思っててごめん!」
「…お前、ひどいやつだな」
「ももこさん、流石にこれって…」
「私もかえでと同じ立場でそれされたら流石に凹むよ…」
謝るのは良いんだけどさ、どんだけかえでにそんなことやってるんだよ。
恨みでもあるのか?
「アンタは、レナの下僕なんだから、早く帰ってきなさいよぉ…!
ちゃんと面と向かって謝るから…!」
「レナちゃん…」
「レナ、お前…」
言い方はかなりひどいけど、かえでのことを思って謝ってるのはわかる。
普通に下僕とか言ってるけど、レナもレナで単純に不器用なだけで、本当は友達思いなんだな…。
実際、涙目になりながら謝ってるし。
そんなことを考えてた途端、先ほどの結界が出現した。
「…来た!」
「本当に謝ったら出てきちゃった…」
「でも、この結界が出てきたってことは…」
「間違いない、奴らが来るぞ!」
案の定、かえでを攫ったやつらが出てきて迫ってくる。
しかも今度はレナを捕まえようとしている。
「…かえでを、返しなさいよコノヤロー!!」
「レナっ、一人で突っ込むなよ!」
「掴、私たちも行こう!」
「あぁ、変身!」
『ファッション!パッション!クエスチョン!クイズ!!』
レナに続くように俺たちも変身して奴らをぶちのめしていく。
レナとももこが槍や剣でやつらを突き刺し凪ぎ払い、いろはが矢で射抜いていき、俺は問題を出しては電撃を浴びせる。
だが、俺はこのクイズのことで、気になっているのがあった。
バイザーから見える数字、変身した後でも続いていた。
相手が正解してないからさっきの3の数字のままだが、これが何を意味しているのかが分からなかった。
「あ、レナちゃん」
『っ!?』
そんなことを考えてる時に、攫われたはずのかえでが現れた。
「かえで、アンタ無事だったの?」
「良かった無事で!
さ、早くここから出よう!」
「レナちゃんにももこちゃん…」
何だろうこの雰囲気、さっきと明らかに違う。
「…あのねももこちゃん、私はこれからレナちゃんと一緒に絶交階段さんの掃除をするから、帰るなら一人で帰ってくれるかな?」
「はっ!?」
「かえで?
ちょ、何言ってんのよ!?
アンタはレナたちと一緒に帰るのよ!」
「ごめんねレナちゃん、私は帰れないの。
これからずうっと、絶交階段さんのお掃除をするから」
かえでの後ろから何かが出現する。
階段と鐘でできたような怪物だった。
「おいおい、これがここの魔女だってのか!?」
「いや、魔女にしては何かが違います!
多分、かえでちゃんもあれにやられて…!」
「レナ、今すぐかえでから離れろ!」
「えっ、ぐぁ!?」
戸惑った途端にかえでがレナの腹を殴って、あの階段のところへと引き摺る。
「えへへレナちゃん、これからは一緒に絶交階段さんの掃除しようね~」
「かえ、で…!」
「レナ!!」
このままだとまずい!
かえではレナを怪物の前に連れてくると怪物が鐘を鳴らし、レナはそれに苦しみ出した。
「ぐっ、れ、レナはっ、あなたの、下僕…」
「レナちゃんが!」
「レナっ!
くっ、こいつら、邪魔だ!」
まずい、あの鐘の音でレナが洗脳されそうになってる!
かえでは何か操られてるし、レナもやられたらこっちが不利になる!
「掴、避けて!!」
「えっ!?」
いろはに言われて振り返ると、奴らが俺に向けて攻撃しようとした。
攻撃するにして躱すにしても間に合わない、ましてや問題を出すことも。
だがその刹那、奴らは複数の槍に突き刺さり消滅した。
その槍の形に見覚えがあった。
「やっぱりこうなっていたのね…」
「…!
お前は!」
「やちよさん!」
「やちよさん…!」
「ウワサを破ると現実になってかえでを拐われたって聞いたからきたけど、やっぱりだったのね…」
駆けつけたやちよはあの怪物を見てそう言った。
一応は心当たりがあるようだった。
「けど、ウワサが現実にって、あんなのたまたま魔女の性質と被ってただけじゃないか!」
「いいえ、あれは魔女じゃないわ!
紛れもなく、現実なのよ…!」
「えっ!?
じゃ、じゃあやちよさん!
ウワサに詳しいなら、あれの倒し方とか知ってるのか!」
「…いいえ、私だって初めて見る現象だからそこまでは知らないわ。
私が知ってるのは、あくまでウワサの存在だけ。
それとも、あなたはかつてのように金魚の糞みたいに着いてくるのかしら、甘えん坊のももこ?」
「なっ!?」
「おいおい、今は喧嘩することじゃないだろ!?
やちよも、前に何があったか知らないけど煽るな!」
「そうですよやちよさん、ももこさん!
倒し方がわからないなら、せめて一緒に戦ってください!」
「…それもそうね。
確かに、私でも知り合いの魔法少女がやられて平気でいられるはずがないもの!」
「わかってるよ!
私も、やちよさんと喧嘩するためにここにいるんじゃないんだから!」
俺といろはの説得でどうにか抑え込む二人。
この二人、過去に何かあったのか?
何というか、やちよが無理に煽ってる感じがするというか、似合ってないキャラを演じてる感があるというか…。
…とにかくだ!
今は洗脳されてる二人を何とかしないと…!
…そうか、これなら!
「させるか!!」
「「ぎゃつ!?」」
俺はバイザーの数字を意識して腕を振るうと、電撃でできた鞭が出現し、二人を縛り付ける。
そして二人は電撃で縛り付けられてるため、痺れながら気を失った。
バイザーの数字をよく見ると2に減っていた。
そうか、これは問題の正解数で、その分いろんな形で電気を出せるって感じか!
さっきの盾も今の鞭も、これから来てるんだ!
「レナ、かえで!」
「気を失わせた!
これで思う存分倒せるはずだ!」
今は洗脳されてた二人を気絶させたわけだし、これなら!
「でも問題は、どうやって致命傷を与えるか、よ」
「それなら、私たち4人で連携して戦いませんか?」
「なるほどね、ウワサの性質を逆に利用するのね。
信頼、繋がり、友情、絆、そんな感じかしらね」
あぁ、そういうこともありか。
要はここにいるやつらであいつをぶちのめす。
けど、その理屈は…。
「つながりはあっても、アタシとやちよさんの絆は…」
「あら、私はももこに対して普通のつもりよ?」
「だったらさっきみたいに煽るなよ…」
「…やちよさんで普通なら、アタシも普通だよ」
「私と掴は幼いころからの幼馴染だから、絆は強いはずなんだけど…。
それなら、共通点はどうですか?」
「共通点?」
…なるほどな、つまりいろはが言いたいのは、こういうことだな。
「…唐突だがここで問題!
俺たちの目的はこのウワサを倒して、レナとかえでを助けること!
〇か×か?」
「へ?」
「なっ!?」
「本当に唐突ね…。
けど、そんなの見ればわかるわ!」
『答えは〇!』
「…正解だ。
これで互いの共通点は一致した。
いろは、これならあいつを倒せるんじゃないのか?」
「うん、ありがとう掴!」
「どういたしまして、と。
さて…」
俺たちは怪物に体を向け、俺はバイザーの数字が5になっていることを確認した。
これで目的は一致したけど、問題はまだある。
この数の使い魔たちだ。
いくら俺たち4人でもこれだけの数を捌くのは難しい。
恐らくやちよもそうだろうな。
どんだけ倒しても次から次へと湧いてきやがる…!
くそっ、どうすればいい!
…?
これは!
ベルトが光りだして、何かが俺の手元に収まった。
よく見ると、俺が今使ってるクイズのアイテムに似たやつだった。
違いがあるとすれば、模様がパズルのピースのように散りばめられてるってことだった。
「掴、それって!」
「なんだかよくわからねぇけど、俺があいつらを何とかするから、お前たちであいつを戦ってくれ!」
「わかった、掴も気を付けてね!」
「…無茶はしてはダメよ?」
「やばくなったら、二人を連れてこの場から離れてくれ!」
「わかった!」
俺は三人が行ったことを確認してから奴らに目を向け、手に持っていたアイテムを今はめ込んでるやつと入れ替える形でベルトに挿し込んだ。
『ファッション!パッション!クエスチョン!クイズ!チクタクパズル!!』
すると俺の姿も若干変わり体の至る所にパズルのピースがあって、胸もパズルのピースになっていた。
それに姿が変わったせいか、バイザーの数字もなくなっていた。
「チクタクパズル?
とにかくやってみるしかない!」
奴らに向けて手を翳すと、奴らの周りに結界が現れて動きを阻まれすし詰め状態になる。
しかも結界の一部に、指や手で動かすタイプの画面がついたモニターがあって、ピースがバラバラになったパズルが映し出され、短いけど制限時間が付いていた。
つまりは、制限時間内にパズルを完成させないと出られない感じだろうか。
だが奴らはパズルに目もくれず俺に向かおうとするが結界にせいで出ることはできず、何匹かすでに潰れてる状態だ。
そして制限時間が切れた途端、結界が内側から爆発し、奴らが消えた。
「うぉ!?
これがチクタクパズルの力だってのか?」
なんとなくわかってきたやり方で俺は増えてきたやつらを結界に閉じ込めて、しまいにはあの怪物にも結界を張った。
「このバリアは…!?」
「そいつらは今結界で閉じ込めてある!
すぐに爆発するけどな!」
「へっ、きゃっ!?」
いろはたちは少し狼狽えながら結界の爆発に耐え、やつらは再び消し飛び、怪物もどこかボロボロでフラフラの状態だった。
「よし、これでとどめだ!」
『ファイナルクイズフラッシュ!!』
俺は先ほどの姿に戻ったあとで、アイテムを引っこ抜くとクエスチョンマークがビックリマークに変わり、もう一度ベルトに差し込み、足にバイザーに溜まってた数字分の電撃を足に集中する。
「行けぇぇぇぇぇぇ!!
クエスチョンキック!!」
「ストラーダ・フトゥーロ!!」
「アブソリュート・レイン!!」
「エッジオブユニヴァース!!」
俺がジャンプした途端にいくつもの○×のパネルが現れてそこを潜り抜けるように、俺は電撃を帯びた足をキックし、三人は続くように必殺技をかまして、怪物に目掛けて直撃する。
電撃やら炎やら複数の槍や光の雨が合わさる形で直撃したため、怪物は為すすべもないまま爆散し、結界がなくなったのであった。