未来掴むミライダー   作:ガンダムラザーニャ

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花びらと思いつきの知略

「…どういうことだ?」

 

「そのままの意味です。

いざ…!」

 

そう言って、ななかは俺に刀を振ろうとする。

 

「うおっ!?

危ねぇ!」

 

俺は間一髪で避けて距離を取って、腰元と瓢箪を取り出す。

 

「…よくわからないけど、そっちがその気なら!

変身!!」

 

『誰じゃ?俺じゃ?忍者!シノビ 見参!!』

 

シノビに変身し、刀を取って間合いを取る。

 

こいつ、一体何が目的なんだ?

 

そう言えばかことななかは同盟を結んでるって言ってたから、仲間同士だというのはわかる。

 

でも、だからって何でこんなことになってるんだ?

 

…くそっ、全然わからねぇ!

 

とにかく今わかることは、こいつに背を向けたら終わりだってことだ。

 

こっちはまだシノビの使い方をマスターしてないってのに、よくもまぁ斬りかかるやつだ。

 

しかも向こうは何かこっちの出方を完全に見てるような目だ。

 

どうする?

 

俺は魔女とかウワサをいろはたちと一緒に戦ったことはあるけど、魔法少女相手に戦ったことがないからな…。

 

…?

 

そうだ、その手があったか!

 

そうと決まればこれで!

 

俺はあることを思い付いてすぐさまななかに向かって走る。

 

そしてななかも俺を迎え撃とうとしてるのか、抜いた刀を収め構えている。

 

あれは確か、居合だな。

 

だったら…!

 

「ふんっ!!」

 

「せいっ!」

 

俺が投げた数本のクナイを、一瞬の速さで刀を抜いて弾く。

 

そして俺は肉薄するように小刀で切りかかる。

 

「はぁ!!」

 

「…っ!」

 

俺の小刀とななかの刀が弾きあう。

 

何度も火花が散って、何度も金属音が聞えた。

 

だが流石に分が悪くなったのか、先ほどの鞘からもう一つ刀を抜く。

 

「散りなさい!!」

 

「うお!?」

 

俺は間一髪で避けて間合いを取って印を結ぶ。

 

「忍法 分身の術!」

 

『ブンシン忍法!!』

 

俺は分身してななかを囲いながら走る。

 

「くっ、分身、ですか…」

 

「悪いが、これで終わらせる!」

 

『忍法キリステ!!』

 

俺は分身を使って小刀をななかに向けて振るう。

 

しかし、ななかは落ち着いた様子で動じていない。

 

むしろ、何かをするかのように集中してるようだった。

 

「…白椿!」

 

瞬間、二つの刃が花びらが舞うかのように一閃し、俺を分身ごと切り裂いた。

 

ように見えた。

 

それを証明するように、俺も消えた。

 

「…!?」

 

分身もろとも俺が消えたことに流石に驚いたのか、少し忙しなく周りを見る。

 

するとキンッと、音が鳴り、ななかは思わず身構えながら振り返る。

 

「え…?」

 

ななかが見たのは地面に突き刺さったクナイとそれに寄り添うように倒れた一本のクナイ。

 

しかし、振り返った時がななかのミスだった。

 

「どこ見てるんだ?

俺はここだぞ?」

 

「しまっ!?」

 

ななかは慌てて振り返るが、それと同時に俺はななかを突き飛ばして仰向けになってしまう。

 

それに追い打ちをかけるようにクナイで、ななかの服の袖とスカートの足の間の部分に投げつける形で地面に縛り付けて身動きを取れなくさせる。

 

「…っ!」

 

「ここまでだ」

 

そう言って身動きの取れないななかに小刀を向ける。

 

ななかは少し悔しそうになっていたがすぐに頭を冷やして落ち着かせる。

 

「…参りました」

 

「…そうか。

じゃあクナイ取るからじっとしてろよ?」

 

ななかが降参したことを確認した俺は、地面に縫い付けていたクナイを抜き取って自由にさせる。

 

実は俺がやったのは、予め分身の術でななかを翻弄してる間に、影の中に入って身を潜めていた。

 

そして動揺してる隙を突いて地面に突き刺さってたクナイに向かってクナイを投げつけてぶつけさせた。

 

「まさか、私をここまで追い込むとは。

かこさんと一緒だったとは言え、魔女を倒したのその実力は頷けますね」

 

「全部思いつきだけどな。

じゃなきゃお前にすら勝てねぇよ。

それで、何でさっき手合わせしてきたんだ?」

 

「それは、あなたの実力を試したかったからです。

魔女を戦える実力、しかも魔法少女でもないのにその力、とても不思議に思いましてね。

改めて聞きますが、あなたは一体何者ですか?

見かけない顔ですが、何のためにこの街に?」

 

「えぇ…?」

 

何者って言われてもな…。

 

俺自体は普通の奴だとは思ってるけど、いやこの力を使ってる時点でもう普通じゃないか…。

 

でもこの力については本当にどう説明すべきか迷う。

 

…しょうがない、だったら正直に話せるところは話して、できないところはできないと言うか…。

 

「俺は、俺自身はただの人間だよ、少なくとも、そう思ってる。

けど、少なくとも、この力については俺も説明ができないし、信じてもらえないかもしれないから言うつもりはない。

でも、この街に来たのは幼馴染の妹を探すため、それだけだ」

 

「幼馴染みの妹さん、ですか?」

 

「あぁ、一応この街の交番でも確認したぞ?

けど迷子の連絡が来てなくてな。

それで、この街で何か魔女と似た奴がいるから、それに関係してるんじゃないかって、それでこの街の魔法少女と、その幼馴染みと一緒にこの街のウワサを探してるんだ。

今回は二手に別れた結果がこれなんだよ」

 

「…つまり、あなたは本当に人探しのためにこの街に来たと?

それでその一環でかこさんに接触したと、そう言うのですか?」

 

「あぁ。

元々この街の知識が欲しかったからな。

最初にかこのいた本屋に行ったんだよ」

 

「…」

 

ななかは何か考えるように目を閉じる。

 

「…なるほど、そういう事情ですか。

それならば是非、私たちと協力してもらっても良いですか?」

 

「え?」

 

「そのウワサとやらは私も存じませんが、私たちもまた、ある魔女を追ってます。

もしかしたら、そのウワサかその魔女に巻き込まれてる可能性も」

 

「良いのか?

俺は魔法少女じゃねぇし、むしろ男だ。

それに俺自身この力が使いこなせてないし、日によってどれに変身するのか変わるし。

それこそ次の日も同じかはたまた別のに変身できるのか、だ。

おまけにそれぞれで勝手も違う。

それでも良いのか?」

 

「構いません。

その時はその時です。

それに、先ほどのことであなたがむやみに人を傷付ける人ではないと理解しましたので」

 

「そうかよ。

そういうなら、俺も協力する。

なるべく足を引っ張らない程度には頑張るさ。

そっちも、ウワサについて調べるのに協力してくれるか?」

 

「えぇ、そうさせてもらいます。

では、かこさんをあまり待たせては行けませんでしたね。

行きましょう」

 

「あぁ」

 

そう言って俺たちはかこの店に行って、ウワサや都市伝説、この街の地図を買って調べた。

 

こうして、俺はななかたちと協力することになったのであった。

 

 


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