アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者   作:ヒロ@美穂担当P

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今回、蓮の動きがメイン。
プロドライバーになった蓮の心境は。
そして蓮と夢斗、激突!!


STAGE7 プロとして、夢を掴んだ者として

蓮は今日は346プロにはいない。

今日はD-LINEの86のテストの為、鈴鹿サーキットにいたのだった。

 

「すみません、もう少しリアのブレーキ弱く出来ませんか?」

「リアですか……」

「もう少し弱い方が僕はやりやすくて……」

「わかりました、やってみますね」

メカニック達に86の調整をしてもらってる蓮。

蓮は白いレーシングスーツを着ている。事務所で着る見慣れたあの黒いスーツではない。

 

「どうだい。86の調子は」

蓮に声をかける男性。

D-LINEの監督である片桐マサキだ。

自身は現役時代にスーパーGTの前身にあたる全日本GT選手権に参戦しており、カストロールTOM'Sスープラを駆り1997年にシリーズチャンピオンを獲得した過去を持つ。

その後、最前線を退いたが監督としてスーパーGTにも関わった。

現在はスーパー耐久に活躍の場を移している。

新チームの発足の為にドライバーを募集、そこに蓮が入ったというわけだ。

「いいですね、すごく。86はフットワークがいいから、勝負に出る時にすごい心強いです」

「君の一発の速さはすごいさ。それは誰もが認める。けどね、やっぱり総合的な速さが重要なんだ。新人ってのもあると思うけど……。とにかく君の今年の目標は総合的な速さを確実に付ける事だ。一発が速いっていうドライバーはたくさんいる。どんな状況でも速いのがベストさ」

「はいっ」

蓮は調整が終わった86に乗り込み、再びテスト走行に出た……。

 

 

「もう少し、足が硬い方がいいな……」

蓮は調整された86の動きに合わせる為に走り方を変えていた。

86のブレーキのセッティングを変え、さっきよりはブレーキングした感じが合う。

しかしヘアピンコーナーでの立ち上がりの際、足の柔らかさから来るロールが気になっていた。高速域ではそれは現れない。

「……!」

ホームストレート前のシケインでそれが顕著だ。蓮が得意とするコーナリング勝負ではこれじゃ使い物にならない。

蓮はもう2週走り、再びピットイン。

またセッティングを変えて走っていた。

 

 

 

 

「これがサーキットかー!」

「ここが鈴鹿サーキット……。すごい」

「サーキット初めてか。ま、無理もないか」

夢斗達は鈴鹿サーキットに来ていた。

部員達は自分の愛車で国際サーキットを走る事を楽しみにしていた。ちなみにこれは部活の行事の一つだ。

サーキットを回るだけでも楽しい。普段テレビ中継で映らないような所を見るだけでもワクワクする。

夢斗は浩一と行動していた。サーキットを見て歩こうと。

「夢斗歩くの早い!!」

「俺はフツーに歩いてる」

夢斗の速さについていけない浩一。夢斗は目をキラキラさせていた。

「……!!」

「おい、夢斗!」

突然夢斗が走り出し、どこかに向かう。浩一はいきなり走り出した夢斗を追う。

 

 

 

 

グランドスタンドに夢斗はいた。

浩一がやっとの思いで夢斗に追いついて文句を言おうとするが……。

「……」

無言で何かを見る夢斗の気迫に押されて文句が引っ込んでしまった浩一。夢斗のこんな目を初めて見た。

「夢斗……?」

浩一が夢斗に声をかけた瞬間。

バァアアアアアッ……

1台の86が目の前を駆け抜けていく。

「うっわ、速ええ!!」

浩一は興奮するが、夢斗の目は変わらない。

「夢斗?」

「……めちゃくちゃ上手い」

「!?」

浩一は驚愕した。あの夢斗がこう言うのは友人になってから初めてだ。

「ちょっと追いかける!」

「は!?」

夢斗はそう言うと同時にエボⅩの元へ走る。

駐車場に置いていたエボⅩに乗り込み、コースインしてしまったのだ。

 

「夢斗がコースイン!?」

浩一からの連絡を聞いた友也は驚いていた。本来コースインはできない。何故なら、今は「D-LINE」の貸し切りだったから。

夢斗を追いかけようにもコースに入れない。かと言って電話に素直に出るやつでもない夢斗。

夢斗が戻ってくるのを待つしかない。

 

 

 

 

「待って!ウチの車じゃないのが入ってる!」

「!?」

「どういう事だ!?」

D-LINEは混乱していた。貸し切りでサーキットを使ってたはずなのに、一般車が入っていると言うのだ。

「……まあ、待て」

マサキがチームクルーをなだめる。

「入ったヤツ……面白そうだぞ。小日向君の刺激になるといいな」

 

 

「一般車がいる?」

「はい。恐らく、ホームストレートに着く前に合流します」

蓮は無線から入った情報に首を傾げていた。だが、その一般車に退去命令が出ていない。どういう事なのか。

蓮がスプーンカーブを立ち上がる。その時一瞬だが、バックミラーに車が映った。

「……!!」

西ストレート。アクセル全開で走る86。ここでコース中の最高速を記録する。スプーンカーブで見えた車が近づいてくる。

「速いーーー」

蓮の86の後方にまで近づいたその車。

もうはっきりとシルエットが見えた。銀色のエボⅩだ。

86は130Rに飛び込んでいく。それにエボⅩも続く。

シケインでは蓮の技術で差を付ける。だが、最終コーナーホームストレートに向けて加速していく右コーナーでの速度はエボⅩが勝っていた。

そのままサイドバイサイドになる86とエボⅩ。ホームストレートを1歩も退かずに駆ける。

全長800mのホームストレートを抜け、1コーナーに差し掛かる。スピードが乗ったまま、100Rの1コーナーを通過、減速し60Rの2コーナーを回る。

エボⅩが有利なのは目に見えて明らかだった。

S字コーナー。86はエボⅩに負けていた。空力面での大きすぎる性能差が出ていた。

3つ目の左コーナーで2台が再び並ぶ。蓮はエボⅩのドライバーを見る。

「……若い」

自分とほとんど変わらないであろう青年がエボⅩに乗っていた。エボⅩは速度を上げ、86を引き離した。

蓮はアクセルを抜く。

 

 

 

「あれが……プロの選手ってやつか……」

夢斗はエボのコックピットの中で呟いた。

この間見たあのFDから出ていたオーラを持っていた。顔はわからなかったが、いつか素顔を見てやりたいと思った。

 

 

 

この後、コースを出た夢斗は滅茶苦茶怒られた。

 

 

 

夢斗達が去った後。

「エボⅩの彼……上手い」

蓮はこう告げた。

「どうだい。彼は君の刺激になったかい」

「ええ!負けられないです!」

蓮はあの技術を持つ青年に興味を持ち始めた。

 

 

 

 

 

5月。

346プロに新人アイドル達が入ってきた。

武内Pが言うには346プロに新人アイドルが加入するのは1年振りだという。

1年前に加入した新人アイドルこそ美世だ。

全7人の新人アイドル達を迎えるべく蓮は応接室に向かった。

 

 

「Pサマ!こんにちはクズだよっ!」

「待って待って!どうしたの!?」

「学校続かなかったしこれでアイドル向いてなかったら本気でやむよ!?頼むよPサマ!ぼくを救って!その力でアイドルにして!!」

「とりあえず落ち着こう!?やむって何!?」

「りあむちゃんをなんとかしてね蓮君」

「ちひろさん!?」

 

「どーも。砂塚あきらデス。ファッションとSNSが好きな普通の女子高生」

「よろしくお願いします、あきらちゃん」

 

 

「山形県出身、辻野あかりって言います!よろしくお願いします!」

「山形……?同じだ」

「え?」

「僕と住んでる所が同じなんだ」

「んご〜っ!?」

「山形のりんごを広めていきましょう!!」

「え……っと」

 

 

「私、黒埼ちとせ。よろしくね」

「ちとせさん、よろしくお願いします」

「ねえ……私、長くないと思うの。だから、今が楽しければいい。多分アイドルとしても、ハードなお仕事はできないでしょ?」

「……?」

 

 

「私は白雪千夜。私が唯一持ってるものの名前です」

「千夜ちゃん、よろしくね」

「お嬢様の戯れに付き合い、事務所にやって来て舞台に上げられて。……滑稽だと思っただけだ」

「千夜ちゃん……?」

「お前はどうなんだ。私のような者をプロデュースと称して面倒を見なければならないのですから」

「そんな事ない!みんな大切なんだ!ひとりひとりが輝く為にみんないる!」

「ごめんねプロデューサーさん。千夜ちゃんはちょっと口下手なの。でも……本当は優秀でいい子なの。それに笑顔は世界一可愛いんだから」

「……あなたが可能性を引き出して。千夜ちゃんを私の僕ちゃんじゃなくしてあげて。あの子を、あの子らしくしてあげてほしいの」

「どういう意味なの?」

「あの子は……大切な物を全部失ってるから」

「え……」

「冗談だよ!プロデューサーさん」

 

ちとせはこう言ったが全く冗談とは思えない発言。

ちとせの「長くない」、「大切な物を全部失ってる」は本当だと蓮は感じた。しかし、深く踏み込む訳にはいかない。踏み込んで彼女達を傷つけるかもしれない。

それは避けないといけない。だが、彼女達を支えられるよう頑張らないといけないと蓮は思った。

 

 

「凪はアイドルになります。Pに声をかけられたら、アイドルになる運命から逃れられないとか、そうでもないとか。でも、はーちゃんもアイドルするなら、それはそれでエモいな」

「……武内さんかな?とにかく、よろしくね」

 

「久川颯、今日からお世話になります!よろしくお願いします!」

「よろしくね、颯ちゃん」

 

 

 

こうして新人アイドル達と顔を合わせた蓮。

個性が強い彼女達を蓮はプロデュースする事になる。

 

 

 

 


 

 

蓮と顔を合わせた後に女子寮に来た久川姉妹。2人はあるアイドルに出会う。

「えっと2人は……」

「うわーっ!小日向美穂ちゃん!ほ、本物だー!かわいいー!!」

「あはは、ありがとう。初めまして、小日向美穂です」

美穂だ。美穂は先程終わったロケから帰ってきた所だった。

「双子……なのかな?」

「あっ、そうです!双子!久川颯です!こっちは凪!よろしくお願いしますっ」

「アイドル……想像してたよりも普通の人ですね」

「まあ、女子寮(ここ)で生活してる時は普通に過ごしてるんだ」

美穂は2人に女子寮を初めとした施設の案内をしていた。

ある程度話した所で美穂は休憩を入れる。休憩してる2人に自身の身の上話をする。

「美穂ちゃんはアイドルになるために地元熊本からやってきたと」

「うん。アイドルになるってのもあるけど、もうひとつ理由があるの」

「もうひとつ?」

「うん、蓮さんとの約束があったから」

「蓮ってあの小日向って言うプロデューサーですか?」

「そう。私と蓮さんはそれぞれのお母さんが同級生で仲が良かったの」

「それもあって蓮さんとは小さい頃から関係があるの」

「へー……」

「高校受験の前に蓮さんと約束したの。『アイドルになったら私がステージに立っている姿を見届けてくれますか?』って」

「おお……」

「蓮さんは約束を守るために346プロ(ここ)に来たの」

「蓮さんは高校にいた時に何かあったらしくて、一時期蓮さんは廃人化してたらしくって」

「廃人化……?」

「いろいろあって蓮さんは立ち直ってここに来たの。でも最初に望んでた夢を一旦諦めてたって」

「諦めてた?」

「蓮さんは最初プロレーサーになりたいって言ってたんだ。でも、私との約束を守るためにそれを封印してたって」

「今はプロデューサーをやりつつレーサーとして頑張ってるんだ」

「ひゃー、すごい大変そう……」

「実際大変だって。でも、蓮さんは自分の夢に挑戦出来てるのが嬉しいって言ってたんだ」

「……すごい人ですね」

「私、憧れてるの。蓮さんみたいになれたらなって」

美穂は自分の心境を2人に零す。

「あっ、ごめんね。私が勝手に話しちゃって」

「私は全然大丈夫です!美穂ちゃん……じゃなかった、美穂さんのアイドルになった理由を聞けてよかったです!」

「凪も……とてもワクワクしてます」

「そっか……。2人共いいかな?」

「はいっ!」

「オッケーです」

 

 

美穂は2人を連れて事務所を回った……。

 

 

 

 

2人の案内を終わって2人を見送った後。

「蓮さんみたいに……。なりたい……」

蓮が遠くに行ってしまう。だんだん蓮から離れていく自分。

自分も蓮を追いかけたい……。

 

 

 

「お願い……。遠くに行かないで……」

彼女の願いは虚しく虚空に消えた。




蓮と夢斗、初めての出会い。
サーキットの結果は夢斗が勝ったものの、首都高ではどうなるのか!?

ネタ解説です。ネタ今回あまりないけど……
・D-LINE監督「片桐マサキ」
「D-LINE」の監督として登場した彼は、かつてスーパーGTにも関わってた過去を持ってます。
モデルは「ミスターGT」という異名を持つ「脇阪寿一」選手です。様々なレースで活躍し、普段は軽妙なトークと明るいキャラクターが目立つ人です。
・新人アイドル達
久川姉妹の会話は2人が初登場したイベント「O-Ku-Ri-Mo-No Sunday!」が元。ちとせ、千夜もイベントで「Fascinate」が登場した時のコミュが元になってます。




蓮と夢斗のサーキットでの初バトル。
そして346プロに来た新人アイドル達。新人アイドルに関わる事になった蓮。
そして……蓮への思いを持つ美穂。
様々な出来事が1つに繋がる……。




次回、蓮と夢斗が首都高でバトル!!
現「首都高最速」の蓮は夢斗とどう戦う!?
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