アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者   作:ヒロ@美穂担当P

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首都高最速VS天才!!
この出来事は様々な出来事に繋がる。


STAGE8 憧れと理想、現実

「FDを見た?」

「うん。蓮君のFDそっくりだけどちょっぴり違うの」

「腕はそれなりって感じ。でもやっぱり『本物』って感じではないね」

「一緒に走ってる車がいるからわかるけど」

「一緒に?」

「そう。銀色のエボⅩ」

「エボⅩ……」

「知ってるの?」

「多分。この間D-LINEの86のテストの時に一般車がサーキットに入ってきて」

「え、何それ」

「すごく速かったですね……。車もだけどドライバーも」

「蓮君がこう言うとは……」

美世は蓮がこう言う程のエボⅩのドライバーが気になっていた。

「今日も出てみる?」

「ええ」

2人は営業に出ていく。

 

 

 

 

「だーーーっ!調整めんどくせー!!」

「うるせぇ!」

大声で不満をぶちまけて怒られているのは夢斗だ。

ジムカーナに参加するメンバーの為に部のクルマのセッティングをしていたが。

ちまちまとした作業がキライな夢斗は不満タラタラ。

「くっそー、心が削られるっ!」

「元々セッティングってこういう事だろうが!」

浩一が夢斗にキレる。

「つか、お前フツーは俺らがまずできない事を『簡単』って言うくせに俺らでも出来る事をめんどいって言うなっ!」

「え〜」

「まあまあ、夢斗は1回走ってきたらどうだ?」

友也が夢斗をなだめる。

「うっす」

夢斗はそう言うとエボⅩに乗り込み、練習場所の広場……ではなく校外に出る。

「ちょっ」

「まーたサボりか」

浩一はもういつもの事と諦めてる。遠くなっていくエボのリアを眺める友也。

「……自由だなー(諦め)」

 

 

 

 

 

 

 

「……暇」

エボに乗って学校を(勝手に)出てきた夢斗だったがやる事がない。

「……バチもねえし」

太鼓の達人やろうと思ったらマイバチを持ってきてなかった。

何か食べたいワケでもないし、買い物する気もない。

目的もなくただ歩いていた。

気がつくとスクランブル交差点に着いた。

「……ここでか」

夢斗は去年のクリスマスにあった事件のニュースを思い出していた。

「こんなトコで大胆な事やったんだな」

2011年12月25日。クリスマスに起きた事件。

ある男が復讐の為にアイドル達が乗ったバスを占拠して恨みを持つ男を殺そうとした事件。

にわかには信じ難い話だが本当にあった事だ。

「……そんな事考えたくねえな」

夢斗は交差点に向かって歩いていく。

 

「あれ?夢斗くーん!」

夢斗が声のした方に振り向くと夕美がいた。

「お、夕美じゃん。どーした」

「仕事終わりだったんだ!夢斗君は?」

「……暇で抜け出してきた」

「サボりはダメだよ……」

「あっそうだ、ドライブ行こうぜ(唐突)」

この後、夕美を連れてエボでドライブに行くのだった。

 

 

 

 

 

「ったく、戻ってこなかったですね」

「技術はあるが……それを疑うレベルの気分屋だしな……」

結局、夢斗が戻らないまま部活は終わった。

浩一はFDに乗り、首都高へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

浩一のRX-7はC1エリアを走っていた。

テクニカルコースのC1は技術を磨くのにもってこい。

とにかく上まで気持ちよく回るエンジンが奏でるロータリーサウンドに酔いながら走らせる。

浩一は前に見慣れた車を見る。

「にゃろー、やっぱりいた」

銀色のエボⅩだ。

「俺はどこまでやれるか……」

浩一はエボⅩをパッシング。

 

「眩しいだろが……浩一」

車内で文句を言う夢斗。

「ヤるか……うっし、飛ばす」

バトルモードに入った夢斗の目が鋭くなる。普段のおちゃらけた様子が一瞬で消えた。

「夢斗君……待って」

ただし、夕美を乗せたままだが。夢斗はドライブと称して首都高に来ていたのだ。

「えー!?なんて言ったー!?」

聞こえてないフリをしてエボⅩを加速させる。

「待ってええええ!」

 

 

バトルモードに入ったエボⅩを追いかけ始める浩一のFD。

「コイツ本当バトルになったら人が変わるもんな」

浩一も4月最初からはかなり腕を上げた。しかし、やはり夢斗は別格。夢斗のエボは国産スポーツカーで1、2を争うコーナリングマシンであるFD3Sを上回るコーナリング性能を見せる。

「FDより速く曲がれるのがまず反則だろ」

浩一のFDも大改装が行われて首都高を攻めるクルマに生まれ変わった。300kmオーバーというスピードで走る上で欠かせないダウンフォースを発生させるGTウイングも装着。

だが、エボⅩが発生させているダウンフォースはFD3Sが発生させるダウンフォースを遥かに上回っているのである。

「フラットフロアって反則だろ……」

しかし、浩一は気合いで限界を上げていく。

「踏んでいけーーーっ」

夢斗のエボがブレーキングする。だが浩一はコンマ2秒遅れてブレーキングを開始。コーナーからの脱出速度はエボⅩが有利かと思われたが、車重の差から浩一のFDが僅かに早く立ち上がる。FDはエボの前に出た。

「どうだっ!」

浩一が初めて夢斗の前を走った瞬間である。

 

 

 

 

汐留S字に差し掛かる2台。

すると2台の車が見えた。紅いR34と黄色いFDだ。

「えっ!?」

「あー。『待ってた』って感じだな」

「プロデューサー!?」

「は?」

「プロデューサーの車なの!」

 

 

 

「ホントだ、そっくり。……エボⅩ」

蓮はFDの後ろに見えるエボⅩを見ていた。

「その腕はどうなのかな!?」

美世は戦闘態勢に入る。

美世のR34はいつでも飛び出せる体制。しかし、蓮のFDは様子を見ている。

「……」

蓮はFDを先行させる。

「蓮君!?」

美世は蓮が先に行かせた事を不思議に思っていた。FDの後にエボⅩが続く。

蓮は右に並ぶエボⅩを見る。しかし。

「夕美ちゃん!?」

蓮は夢斗のエボⅩに乗っていた夕美に驚愕。しかも夕美がこちらに気づいたのもあり、蓮はエボⅩのドライバーが夕美を誘拐したと誤解してしまう。

「待って!!」

蓮はアクセルを踏み込み、エボⅩを追いかけ始めた。美世はいきなり加速した蓮のFDに驚いた。

「何があったの!?」

美世も慌ててRを加速させる。

 

 

 

 

「!?」

夢斗は突然追いかけてきた後ろのFDから凄まじいプレッシャーを感じた。

浩一のFDを追い抜き、FDから逃げる。

「なっ!?速っ!」

浩一のFDをぶち抜いていくもう1台の黄色いFD3S。

「今のは……まさか!?」

 

 


 

 

遡ること一ヶ月前。4月15日。

浩一は夕美と話してた所、彼女のプロデューサーの正体を知りたいと思った。

「去年来たばかりの新人だったの。前のプロデューサーが事故で亡くなったから代わりに」

「今はレーサーとして活躍してるの」

プロデューサーであり、レーサーでもある夕美のプロデューサーは一体。

「レーサー!?誰、マジで」

「名前はーーー」

 

 

「小日向蓮」

 

 

 

 

浩一は雷に撃たれたような衝撃が走った。

小日向蓮は自分が憧れている存在。

去年の12月25日にあった首都高最速を争うバトルで見事勝ち、「首都高最速」の称号を手にした存在。

浩一もその噂だけなら聞いていた。でも、詳しくわからない。何者なんだと。

だが、蓮はプロレーサーになった。スーパー耐久に参加するのだと聞いた。そして、彼が所属するチーム「D-LINE」の監督は数々のレースに参加した「ミスターGT」こと片桐マサキ。

新興チームの監督がレジェンドドライバー、そしてマシンをドライブするのは自身の憧れである蓮。これだけのあまりにも豪華とも言えるチームの名前を知らないハズがない浩一。

でも、なぜプロデューサーなのか……?

 

 

「小日向蓮……!?」

「知ってるの?」

「あの人は俺達にとって超絶有名人なんだ!」

「どういう事?」

「蓮さんはーーーいや、何でもない。相葉ちゃん、今の俺の言ったことを忘れて欲しい」

「津上君……?」

 

 

 

 

 

相葉ちゃんが知らないならいい。俺達の知ってる彼は「反社会的」な意味で有名人なんだ。

公道300kmというありえないコトをやって有名になる。もちろん犯罪者だって自覚している。

彼がプロデューサーだとしてもこの事は本当のことなんだ。

俺は小日向蓮さんに憧れてFDを買った。黄色いFDを。

下手くそだけど、俺は彼をいつか見たいと思っていた……。

 

 


 

「嘘だろ……!?本当に小日向蓮さんだと言うのか!?」

自分の望みが叶った。けど、なぜ夢斗を追うんだ……?

追いかけてるとはいえ、バトルとは言いにくい感じだ。

 

 

「くっそ、速っ!」

夢斗は離れないFDに対しフラストレーションが溜まっていた。

「コーナリング速度は勝ってるのに……なんで離れないんだよっ!」

蓮のFD3Sは夢斗のエボⅩに近づいていく。夢斗はさらにアクセルを踏む。

「やめて夢斗君!危ないっ」

「静かにしてくれ夕美っ!」

夢斗に夕美の声が届かない。絶望的な状況への抵抗だった。

 

 

「なんか、危ない……」

美世はゆっくりと、だが確実にバランスを崩していくエボⅩに危機感を感じていた。

 

 

 

4台は新環状へ。

9号深川線。中速コーナーが現れる。

エボⅩの方が速いはずなのに蓮のFDが確実に近づく。

「ーーーっ!!」

夢斗は破錠寸前。いつ終わるかわからない。それでも踏まないと追いつかれる。

「!!」

蓮は回避行動。

エボⅩがコーナーへの侵入スピードをミスし、体制が崩れた。

 

「っは!しまったーーーーーっ」

夢斗はバランスを崩してスピンしそうになるエボⅩに気づき、冷静さを取り戻す。だが、気づいた時にはもうスピンが始まっていた。

エボⅩは呆気なくスピン。立て直せない。

「クッソーーーっ」

木の葉のようにくるくる回るエボ。

「夕美ちゃん!」

蓮はスピンするエボを見る事しか出来ない。

(無事でいてっ!)

 

 

何回も回ったエボⅩはようやくスピンが止まった。奇跡的にどこもぶつけてない。

美世達も合流する。

一方エボの車内は。

「……ダメだった」

「え?」

夕美は夢斗の方を向く。これだけ危ない事をした夢斗に怒りをぶつけようとしたのだが。

夢斗のそのテンションの低さにびっくり。そのテンションの低さの前に怒りがどっかに行き、夢斗への心配の強さが勝った。

「俺は……下手くそだ」

「……」

「上手すぎるだろ……」

 

 

 

 

 

最寄りのパーキングエリアに揃う4台。

「美世さん、プロデューサー!」

「夕美ちゃん、大丈夫ですか?」

「私は平気だけど……」

「とりあえず……君」

美世が浩一の方を向く。

「君は蓮君のニセモノ?」

「美世さん!!……ごめんね」

蓮が浩一に謝る。

「こちらこそすみませんでした……」

「え?」

「俺、蓮さんのマネで目立ってて……本人に申し訳ないって思ってたのに、やめられなかったんです」

「クルマに乗る以上、似てる事だってあるよ。気にしなくていいんだ」

「蓮さんはそう言っても心の俺が許さないんです……。すみませんでした。俺、FDの色変えます」

「いいんだ!無理に変えなくても!」

「これは俺の問題なんです」

 

 

 

 

 

「えっと、君は……」

「……星名夢斗」

夢斗は相変わらずテンション激低。

「すごかったよ。僕も本気で行かないと追いつけなかった」

「あの時見てて思った。絶対に速いって」

「あの時?」

「うん。鈴鹿サーキットで走ってたでしょ」

「鈴鹿……。まさか!」

「うん。あの時の86のドライバーさ」

「……そりゃ速いわけだわー」

「あの時は全然敵わなかったけど……」

「いや、FDから出てるオーラがヤバいっすもん」

「……またいつか走らないかい?」

「もちろんOKッスよ。今度こそ勝ちますから」

 

 

 

 

「星名夢斗君……。彼は絶対に伸びていく。その実力が一気に伸びる事があれば首都高はもちろん、あらゆるステージで負けない」

「おっ?ライバルできたの?」

「ライバルって感じではないですね……でも」

「首都高を走る『仲間』は間違いないです」

 

 

 

蓮達と別れた後。

浩一と別れ、夕美を乗せて家に向かう夢斗のエボ。

「あの人が夕美のプロデューサーか。いや、スゲーな」

「……夢斗君」

「なんだ?」

「私と約束して」

「?何を」

「『絶対に無事で帰ってきて私と会う』って」

「なんで?」

「プロデューサーもだけど……いつか突然私達の前からいなくなってしまいそうで怖いの……。だから」

「無事に帰ってきて。それだけ守ってほしい」

「……わかってる。夕美と会わなきゃ俺はヒマだもん」

「それに夕美みたいに俺を待ってる人はいる。浩一とかトモさんとか……。1人だけもう待てなくなった人はいるけどさ……」

「俺は絶対に死なねえ。これが俺が夕美に守る約束だ」

「もし、破ったら……どーしよ」

「決めてから言おう!?……あ、でも死んじゃったらどうしようもないんだ……」

「ともかく俺は死なない。死なずに夕美をイジる為に必ず会いに来る」

「ちょっとー!!イジらないでよー!」

「はっは、わりー(笑)」

 

 

 

 

数日後。

約束通り浩一のFDは黄色(コンペティションイエローマイカ)から色が塗り替えられ青色(イノセントブルー)になった。

そして夢斗もある目的を作る……。

 

 

 

 

 

「首都高最速」の蓮と出会った夢斗。

蓮との首都高バトルは完敗。

しかし、夢斗は蓮とのバトルで自分の目的が固まる。

夢斗達は首都高を「生き抜く」首都高ランナーになっていた。




首都高最速の男に完敗した夢斗。
しかし、その事がきっかけで夢斗はある目的が生まれた。
夢斗は蓮を目標として見てるのかそれとも。


ネタ解説です。
・浩一のFD
美世にそっくりと言われてますが、実際結構そっくり。まあ、それが元で今回の出来事があったワケですが。
ちなみにモデルになった車両は「RE雨宮」が製作した「雨宮μ過給圧上昇7」がモデルです。ユーザーが簡単に作れる仕様でのタイムアタックマシン。チューンは最小限に止められており、ワイドボディ化はせずエアロも簡素な物で軽量化も殆ど行われていません。
エンジン本体も補機の強化と、ブーストアップしただけのライトチューンに止められていますがSタイヤで筑波59秒台を叩き出しています。
なお、湾岸では再現度が低いです。頭文字Dではある程度再現可能です(それでも限界があるけど)
浩一のFDは前期(チューニング前及びチューニング後)と後期バージョンがあります。


浩一のFDを再現するのに必要な物(湾岸ver)
なお、それぞれあるので分けて紹介。

前期(チューニング前)仕様
・サンバーストイエローか追加カラーのイエローのFD
・YOKOHAMA ADVANRacing RG
チューニング前はこれだけ。

前期(チューニング後)仕様
・チューニング前仕様の構成に加えてエアロセットE
・GTウイングA
これでOK。

後期仕様
カラーリングをイノセントブルーマイカにして前期(チューニング後)仕様の物を揃える。

湾岸では完全再現無理です。



頭文字Dでの再現に必要な物
前期(チューニング前)ver
・コンペティションイエローマイカのFD(1型)
・YOKOHAMA ADVANRacing RG

前期(チューニング後)ver
・前期の組み合わせ
・KNIGHTSPORTS製サイドスカートTYPEⅠ
・C-WEST製リアハーフバンパー
・RE雨宮製ADMIRRORTYPEⅠ
・C-WEST製GTWINGALUMINIUM II
・RE雨宮製ADHOOD9(CARBON)
・TRUST製パワーエクストリームTi-Rマフラー
これで大体似る。ただし、フロントバンパーのみ再現不可

後期verは
・前期(チューニング後)verの組み合わせ
・イノセントブルーマイカ
これでOK。

ただし両ゲーム共に後期仕様は完全再現不可。
理由は浩一のFDは「イノセントブルー」です。「イノセントブルーマイカ」ではないのです。他にフロントバンパーなどの再現ができないこともありやはり「あくまで似てる」という認識でお願いします。




首都高最速の男は夢斗の前に大きな壁として立ち塞がる。
夢斗は完敗したが、首都高最速の蓮に認められる技量を持っていた。
このバトルが夢斗に「目的」を見つけさせる。


次回は日常回。
それぞれの日常の中に繋がりがある。
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