アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者   作:ヒロ@美穂担当P

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始めに言っておきますがこの物語はフィクションです。
フィクションです(大事な事なのでry)
そのため実名の人物が出てきても、実際の人物には関係ありません。
何故実名の人物を出した!ゆ゙る゙ざん゙!!(南光太郎)という方はブラウザバック推奨。



蓮と夢斗が魅せる!
2人が見る者全員を興奮の渦に巻き込む!!


STAGE13 2人の峠最速、疾走

6月上旬。

湾岸での事故から1ヶ月近くが経とうとしていた。

そんな中、346プロに1件の仕事が舞い込んで来た。

「ライブ……ですか」

蓮は聞き返す。

「そう。しかもモータースポーツの開会式での特別ゲストとしてオファーが来ているんだ」

今西部長が答える。

「確か……D1グランプリって言ったな」

「D1グランプリ!?」

蓮はビックリ。

「エキシビションマッチって言っていたな。誰が出るかはまだ決まってないけど」

蓮はD1グランプリはDVDでよく見ていた。また、小さい頃に一度福島県にあるエビスサーキットで行われた際に行った事がある。

蓮にとってドリフトは自分のドラテクに深く結びついているのだ。

「ちなみにだが……君にもオファーがある。ドライバーとしてね」

「僕が!?」

今西部長が言った事に思わず倒れそうになる蓮。憧れていた所で走れるならぜひやりたい所。

「やります。ずっと夢でした」

こうして蓮はなんとD1グランプリのゲストとして出走する事に。

 

 

 

場所は変わってT大学。

自動車部の部室にはトロフィーが飾られており、記念写真もある。

夢斗は浩一に呼ばれて職員室に向かっていた。浩一が言うには友也に夢斗を呼んでほしいと言われたそうだ。

「トモさん俺に何かあるったって俺はそんな事ねーからな……。サボりくらいしか思い当たる節がねえ」

職員室に入る夢斗。

「失礼しゃーっす」

夢斗を迎えたのは友也。

「おお、夢斗。ちょうどよかった」

「トモさん何か用事っすか?サボりで怒られるのヤなんすけど」

「サボりは確かに言ってやりたいトコだが今回はそんな事じゃないぞ。それよりも大きなニュースだ」

「へ?」

「とにかくついてこい」

友也に連れられて校長室へ。

 

 

「校長室初めて入った……」

「実を言うと俺も初めてだ」

「マジすか」

「ああ。ここに入る事が普通にしてたらありえないからな」

友也はバカやったらここで怒られると遠回しに言っている。

2人が待っていると校長が見慣れない男を連れてきた。

「こんちはーっす」

「どうも」

「やあ、長谷川君。彼は?」

「彼は星名夢斗です。この間の大会で個人順位1位になったんです。彼に今日そちらが用があるんでしょう?」

「ああ、その通り」

「誰すか?」

「え、お前オプションとか見ない?」

「見た事ないっス」

「あれだけ上手いのにそういうのは全く興味ないんだな……」

「そこまで詳しく言われても俺はわかんねーし。俺は感覚派なんで(笑)」

「とにかく……この人は鈴木学さんだ。D1の解説をしている人だ」

「D1か……」

夢斗もD1という名前だけは知っている。

「D1にいるようなヒトがなんで俺に?」

鈴木学が口を開く。

「君のあのドリフトをもっとたくさんの人に見てもらいたくてね。D1ならたくさん人が来る。君の技術を見せるいい機会だ」

「へー……。つまり俺に走ってくれと」

「そういう事さ。ハチロクでね」

「あ、この間いたんすね……ムリっす」

「何故っ!?」

「ハチロクヤってますし」

大会の際、夢斗の限界を無視した走りによりエンジンのバルブなどが壊れていたのである。

「あ、でも俺の車ならあるッスよ」

「車?」

「エボⅩですよ」

「エボⅩ……。エボでD1参加してる選手はいたが……」

「FR化してないっスよ」

「つまり4駆のままなのか!」

「そーっすよ」

「実はラリースト目指してる?」

「いや全然。むしろ首都高走りたいし」

「首都高ランナーか……。オプションのコーナーに首都高を走る読者がいた(笑)」

「あー!湾岸の○葉くんかー!」

友也が言う。

「ま、ともかく君に出てもらいたい!どうだ!?」

「全然いいですよ。こういう事やってみたかったし」

「話は決まりだな!」

「星名君と言ったな」

「校長?」

「やってこい。君の才能はもっとたくさんの人の目に止まるように生かせ」

「ちなみにどれくらいできる?」

学が聞く。

「エボのコトすか。エボを知り尽くしてるので」

「わーお……」

「何なら乗ってみます?」

「是非!(震え声)」

 


 

自動車部の練習広場。

夢斗の銀色のエボが止まっている。前には夢斗と安全のためにヘルメットを被った学が。

「全開で頼む」

「大丈夫すか?足が震えてますケド」

「平気だ」

「……ならいいっすけど」

2人はエボに乗る。

学は浩一に4点式シートベルトをキツく締められる。

「こーでもしないとマジで体が持たないので」

「お、おう」

「準備出来ました?」

「ああ。頼む」

「ラジャー」

夢斗のエボⅩがゆっくりと走り出す。

 

 

 

「これが最初のコーナーか……」

「行きますよー」

「えっ」

その瞬間、エボⅩはほぼ真横を向いた。

「ぎゃああああああっ」

学が悲鳴を上げる。

「……しまった」

夢斗は呟く。だがそれは学には聞こえない。

真横を向いたエボは一瞬だが強い抵抗を受ける。それに合わせてヨコ向いてたエボが勝手にまっすぐに戻ろうとする。

「クソっ」

夢斗はサイドを引いて誤魔化す。

なんとかスライドに持っていき、アクセル全開。カウンターを当てない全開4輪ドリフト。

「助けてくれええええっ」

立ち上がった直後に振りっ返し。強烈なヨコGが学を襲う。

「うぎゃああああああっ!」

4B11の高いエンジン音が広場に響き渡った。

 

 

 

戻ってきたエボⅩから降りてきた学は真っ青な顔していた。

「はあーっ、やべえよ!なんつートルクだよ!あんな角度になっても踏みとどまれるのがすげーよ!」

さすがは様々な選手のハイパワー車の横に乗ってドリフト体験した男。夢斗のエボの特徴を言っていく。

「でもアレ本調子じゃないっすよ。寧ろ不調」

「はっ!?」

「いつものセッティングだったからダウンフォースが強すぎるんすよ」

最初の進入で抵抗を受けたのはその為。首都高を300kmというスピードで走るエボⅩの武器が自作パーツによる高ダウンフォース。しかし、それがあまりにも強いために横を向ける際に影響を及ぼしたのだ。

「と言っても外すのめんどいんですよねー。フロア」

「フロアってアンダーフロアか。ヤベーな」

学は落ち着きを取り戻した後、夢斗に告げる。

「君の実力はわかった。今月末にD1エキシビションマッチがあるから。そこで思い切り走れる」

「なーるー」

学はオデッセイに乗って学校を去る。

 

 


 

 

後日。

蓮はRGOにいた。ボディが完全に修復され、ガッちゃん特製ワンオフエアロを纏った白いFC3Sが今、トライアンドエラーを繰り返して完成した13Bを載せられようとしていた。

13Bは調整の末、ブースト圧を2kgに設定。

ブースト2kgで500馬力、これにNOSも加えると40馬力上昇する。

リカコの手でエンジンを搭載されるFC3S。最後の仕上げが終わったFC3Sは復活する。

「じゃ……早速やってみる?」

とりあえず形になったFC。後は実走での結果を見て調整を繰り返す。

蓮が車内のシートに体を預ける。右手でキーを回してエンジンを始動させる。

クランキング後、甲高いロータリーサウンドを轟かせる。

何回かアクセルを煽ってみる。タコメーターの針は遅延なく追従する。レスポンス重視のセッティングは非常に高い効果を発揮していた。

「シフトアップは8200回転!いい!?」

リカコからの説明を受け、蓮が乗るFCは発進する。

「クラッチが重い……」

やはり低回転でのトルクが絶望的にない。結構踏まないとトルクが発生しない。

蓮も同じロータリーエンジンを載せるFD3Sに乗っている。大体乗り方は同じだ。

そうはわかっていてもこのFCと自分のFDの大きな違いに困惑していたのである。

ある程度街中を流してFCに慣れた後は本命の首都高だ。

 

 

ヒュイイイイイイイッッ

横羽線上り→湾岸線東行きというルートで走るFC。

荒れた路面にコントロールを持っていかれる事もない。

蓮がわざわざ千葉県まで赴き、RE雨宮でサスペンションを特注で製作してもらった甲斐があった。しなやかに動く足はドライバーに路面状況を正確に伝える。

FC3SはこのFCが戦うステージとして設定された湾岸線に入る。

合流した後、つばさ橋からフルスロットル。

スピードメーターが300kmを指す。

「すごい……。高木さんが言っていた通り……矢のように真っ直ぐに進むっ」

高い安定感を発揮するボディ。コントロール不能という不安を一切感じさせない。

まだ昼というのもあって一般車が多い。一般車を避ける為に減速、落ちたブーストが再び立ち上がるまでが速い。タイムラグを感じない最高のセッティングだ。

「……美世さんと夢斗君!」

後ろに紅いR34と銀色のエボⅩが見える。

 

 

「完成したんだね……」

「おおっ、すっげえ」

そのまま超高速バトルに入る3台。

パワーで有利な美世のR34が前に出る。続いて蓮、夢斗。

排気量が最も高い美世のR34はエボⅩとFCを引き離しにかかる。1.3LクラスのFCと2Lのエボ。元々2.6Lあり、さらにチューンされて2.8LになったRB26には勝ち目が薄い。

しかし。FCは状況次第でR34を凌駕する非常に高レベルの運動性を持つ。

特注の足とワンオフエアロが生み出す安定感を持った動きはR34のアテーサE-TSを凌駕する程の旋回性能だ。

「嘘っ!?」

美世のR34にコーナーで詰めるFC。夢斗のエボⅩはFCのラインを綺麗にトレースしていく。

「ついていける……」

夢斗のエボはFCの旋回速度を上回る速度でコーナーを抜ける。

 

 

「うっ!」

蓮は一瞬だが流れたリアを抑える。夢斗のエボⅩのあの安定感に満ちた走りをバックミラー越しに見る。

「……!」

一般車がいない3車線。3台はフルスロットル。

「行けえーーーー!」

美世のR34はNOSを噴射。

「離れるっ」

夢斗のエボは全開。にも関わらずR34に引き離される。

「前にーーー」

蓮のFCはロータリーペリの真価を発揮する高回転域に入る。

自分のFDとはまた違った感じ。クロスポート加工を施したFDの13Bと違い、FCの13Bは純粋に高回転だけを狙ったエンジン特性。回してパワーを出す、それはロータリーに限らずどんなエンジンもそうだ。

だが、この13Bはそれを強く感じられる。自分がエンジンを回していると感じさせる。

「!1台だけ」

3台の前には一般車が。真ん中の車線しか空いていない。全開で通れるのは1台だけ。

3台は一歩も引かずに走り抜けようとする。

「ダメか……」

夢斗はFCとR34に離された。そもそものパワーの差を考慮するとよく粘った方だ。

FCとR34が一般車に近づいていく。残り1kmほどで一般車に追突する。絶対に前に出るという事だけ考えてアクセルを踏み抜く。

「コレでやれるか……」

蓮はステアリングに取り付けられたスイッチに親指を伸ばす。

スイッチが押された瞬間、NOSボンベからガスがガソリンと共にハウジング内に噴射される。

それぞれのシリンダー(ハウジング)内に噴射され、燃焼状態を均一にできる。これがダイレクトポートショットと呼ばれる方式である。

パワーの上限が非常に高いうえ、エンジンコンディションを管理しやすいので、競技用途では100%この方式が採用されている。

本来なら低回転域の補助のために使うが、短時間ならという賭けに出たのだ。

NOSを使用したFCは加速。R34の前に出ようとする。NOSを使っているR34よりも速いスピードでFCは前に出る。

「……空気抵抗かっ!」

美世はFCの加速に驚きながらFCが前に出れた理由を分析する。

FCはフロント部分が低い。それはR34も同じだがFCは特長でもあるリトラクタブルライトを廃している。その分、空気抵抗の軽減に繋がったのだ。

そして、軽さだ。美世のR34も軽量化を行い、ノーマル1500kg台から約1300kgにまで軽量化している。だがFCはノーマルで1300kg台。徹底的に軽量化されたFCはなんと1100kgを切っている。

「やられた……っ」

美世は失速。一般車の間を白いFCが抜けていく。

 

 

 

「すごい……。この車を美穂ちゃんは操れるかな……」

まだまだ改善点は多いが、完成直後1発目のバトルでこれだけのパフォーマンスを発揮したFCの完成度は確かな物。

蓮は首都高を降りた。

 

 


 

 

そして迎えたD1グランプリエキシビションマッチ。しかも今回はテレビ○京とのコラボ。

「さあー始まりました!D1エキシビションマッチ!今日はスペシャルゲストを迎えてのエキシビションマッチです!」

大勢の観客がスタンドにいるお台場特設コース。

コース外のそれぞれのチームのブースにもたくさんの人がいる。写真撮影や選手にサインを書いてもらったりなど、D1開幕前から人が押し寄せる。

 

 

「はえー、ホントすごいな。ザ・ドリ車って感じだ」

そう呟く夢斗の首元にパスポートがぶら下がっている。「関係者」とあるそれは夢斗が今日走るという事を表している。

「ん?」

夢斗はブースにいたイメージガールとは違う女性を見つける。

「あれ?アイドルだよな……」

名前が出てこないが、夕美と同じ事務所のアイドルだ。アイドルが誰かと話している。

「プロデューサーのレーシングスーツかっこいい!」

「ありがとうございます」

「小日向さんじゃん!」

「夢斗君!?」

「小日向さん走るの!?」

「うん。まさか夢斗君も?」

「そうっすよ」

「ゲストとして走るんだ。夢斗君も走るなんて知らなかった……」

「俺も小日向さんがここにいるなんて思わなかったっス。アイドルが何故ここに?」

「開会式のライブに出るんだって」

「はー……」

直後、学の声が。

「この後、346プロダクションのアイドル達によるスペシャルライブが行われます!」

「時間か……。用意して!」

「「「OK!」」」

Triad Primus(トライアドプリムス)の3人がコース内の特設ステージに向かう。

「こうやって見るとプロデューサーなんだなって」

夢斗が思ったことを言う。

「まあね……。みんな一人一人個性がある。そうやってたくさんのアイドルと接するとね、例えば僕の発言が受け入れられる子がいればそうでない子も当然いる。でもそれは間違いじゃない。むしろ正解なんだ。僕がやってほしい事を嫌々やるのはその子も辛いし、何より言った僕自身が1番辛い。嫌なら『嫌だ』って言ってもいい。僕が強制するワケじゃない。僕は皆の考え方を大切にしたいから」

「考え方を大切に……」

夢斗は蓮の言葉に「クる」物を感じた。

「さ、僕達も準備しようか!」

「了解っス!」

2人はそれぞれの愛機に向かう。

 

 

「まず最初にTriad Primusの渋谷凛、北条加蓮、神谷奈緒による『Trinity Field』スペシャルバージョンです!」

今日のために曲の雰囲気を若干変更。曲のイメージを大きく変えず、しかし疾走感溢れるユーロビート調にアレンジしたスペシャルバージョンだ。

「みんなー!!私達の歌を聴いてーーーっ!」

曲が流れ出す。すると選手達のマシンが3人の周りをドリフトする。

「憧れた夢の階段をあの日からがむしゃら登ってきた」

「でも何か胸の奥底で」

「『違う』と疼く」

3人の歌声が曲に合わせて盛り上がっていく。

「互いの魅力(ちから)

「信じることや」

「ぶつかることで」

「「「磨き合えるよ」」」

3人のテンションが最高潮になり、サビに入った。

「「「迸る光螺旋を描いて行き、空を貫くほどにスパークした」」」

「「「失くせない!仲間(ライバル)絆とこの友情は!」」」

「過去も」

現在(いま)も」

未来(あす)も此処に或る」

「「「重なり合うTrinity Field」」」

 

 

曲終了後、盛大な拍手が送られた。

Triad Primusの3人がステージを降りた後にステージに立ったのはLiPPSの5人。

「にゃはー!ゴムの匂いがするー!」

「タイヤね。志希、落ち着いて」

志希を落ち着かせた奏は観客に問う。

「みんなは……こういう勝負事って好き?」

「私は勝負事には結構強いのよね。今日の事だって、優勝を目指して競い合うんでしょ?」

「私達の歌は恋の勝負を表してるーーー」

 

流れ出したのは「Tulip」。こちらもユーロビート調にアレンジがされている。

5人は最後まで熱唱したのだった。

 

 

アイドル達が歌い終わった後。いよいよ夢斗と蓮の出番だ。

「まずは今年デビューしたばかりのプロレーサーから。彼はスーパー耐久に参加しています。彼は普段アイドル達をプロデュースするプロデューサーでもあり、またある時はレーサーと2つの顔を持っています!」

「その名は小日向蓮!夢を追いかける青年がこの場でどんな走りを見せてくれるのかっ!」

「愛機FD3Sがスタート地点にスタンバイしております!」

蓮はアクセルを煽る。早く走りたいというようにFDが咆哮を上げた。

スタートランプが点灯。その瞬間蓮のFD3Sは飛び出していく。

「さースタートしました!黄色いFDが飛び出して行く!!」

ロータリーサウンドを轟かせFDが姿を表す。

大きなフェイントモーションでリアを振り出し、FDが飛び込んできた。

「豪快にリアを振り出してきたっ!白煙モクモクだー!」

白煙を出しながら1コーナーに進入したFD。角度があり、インパクトも強い理想のドリフトだ。

蓮にとってはこれが久しぶりのドリフトだ。あの日のバトルを最後に蓮はドリフトをしていなかった。いや、できる状況ではなかった。

そのため蓮にとっては1年ぶりのドリフトになるのだ。しかしその腕は衰えてない。

昔よりずっとパワーがあるFD3Sを昔と変わらず扱えている。

蓮のFDはノーミスで走り切った。

 

 

 

 

「すごい!峠上がりとは聞いておりましたが、これは圧巻です!」

「峠上がり?」

夢斗は聞こえた事に思わずオウム返し。

「なるほど……。るんって来た!」

夢斗はやる気満々。自分と同じく蓮も峠上がりという事がわかって対抗心と言うかなんて言うのか。とにかく夢斗は気合いが入った。

 

 

 

 

「さあ、次は期待の新星です!彼は普段は学生。しかし一旦車に乗ると誰もが真似できない技術を見せつける天才ドリフターに大変身する!」

「先月行われた全関東学生ジムカーナ選手権初参加にして個人順位1位。その速さでチームを団体優勝に導いた凄腕!」

「その名は星名夢斗!愛機ランエボがスタート地点に着いた!」

スタートを待つ銀色のエボ。今日のためにアンダーフロアを外し、空気抵抗でドリフトの妨げにならないようにしてきた。

「今、スタートしました!」

エボⅩが飛び出す。4駆特有のスタートダッシュ。

「さあー見えてきたランエボ!どんなドリフトを見せてくれるのかっ!?」

高いエンジン音を響かせてエボⅩが1コーナーに突っ込んでいく。

 

エボⅩはやや大胆なフェイントモーションからサイドブレーキで最初の動きを作る。

「なんて角度だーーーっ!完全に真横を向いているっ!角度が戻っていないーーーっ!」

4駆車は横を向いた状態でアクセルオンをするとFR車と違い、細かい修正ができない。全てのタイヤを使うためカウンターを当てられないのだ。カウンターを当てるとその方向にあっさり吹っ飛んでしまう。また、FR車のようにアクセルを抜いてコントロールしようとするとアンダーステアになり、かえって挙動が乱れてしまう。一度振り出したらもうミスが許されないのだ。

そのために4駆ドリは難易度がFR車のドリフトとはケタ違い。

 

だが、4駆ならではの点もある。まずコーナリングスピード。4駆でのドリフトがまずできたとしても根本的に「速い」ドリフトになりにくい。そこから「速い」ドリフトにしていくのが4駆ドリの完成度のレベルの物差しと考えていいだろう。

WRCに出場するような選手のドリフトは角度が大きくかつ速くコーナーを抜けていく。観客から見れば見てる人を沸かすテクニックだ。しかし選手にとっては「速く走る」為のテク。

ラリーでも最近はドリフトよりグリップで走った方が速いとする意見もある。しかし、グリップ走行で曲がるよりもドリフトでコーナーを曲がっていく方が速い事もあるため一概にどちらが速いとは言い切れない。ドリフトならグリップ走行よりも格段に小回りできるためタイムを短縮できるからだ。

そのような事もあり、ドリフトとグリップにはそれぞれの長所がある事を心に留めておいてほしい。

 

 

夢斗のエボⅩはウォールスレスレに接近。

「うわっ、近い!!当たりそうだーっ!」

ウォールギリギリを攻め、綺麗に抜けていく。

「なんてギリギリのドリフトだっ」

「エボであんなドリフトできるのか」

観客から驚きの声が広がる。FR車でないエボⅩであんなに上手いドリフトをしている。しかもソレをやっているのはハタチになってない青年。あれ程の凄腕ドライバーを見た事がないだろう。

ハイトーンのエキゾーストノートがかき消されるほどのエンジン音がお台場を包む。

 

 

 

「いやーっ、本当にすごいっ!実は私、彼のドリフトを一度体験してるんですよ」

「踏み方がまるで違うんです。4駆ドリ特有の『踏んで曲げる』がはっきりとわかるって言うか。とりあえず言える事はあの振り回し方は耐えれません……(苦笑)」

「さて、次は2人による追走です!」

 

 

 

蓮と夢斗は準備完了。

黄色いFD3S(RX-7)と銀色のCZ4A(エボⅩ)がスタート地点に見える。

「この2人の追走は予測不能!!どんな追走を見せてくれるのかっ!!」

一本目は夢斗のエボⅩが先行で後追いは蓮のFD。

スタート地点に並ぶ2台を見るアイドル達。

蓮を知っている様子の夢斗(青年)が乗るエボ(クルマ)に視線が集まっている。

「さあスタートしました!」

2台が全開で発進。

「ランエボが先行そしてFDが追うっ」

「さあどう来るかぁぁぁぁーーっ!来たーーーっ!!」

「FDがっ、FDがエボⅩに接近するーっ!危ない危ないってー!!」

蓮のFDがエボの運転席側のドアにぶつかりそうな程接近。カンペキにサイドロックオン。

「プロデューサーすごっ!」

アイドル達の視線は白煙を出しながら銀色のエボに詰め寄る黄色いFDに釘付けになっている。(プロデューサー)のものすごい高等技術に魅せられていた。

「振り返してっ、やはりビタビタだーっ!」

最後までエボから離れず、食いついた蓮のFD。

 

 

「追走ってこーいう感じか……!るんって来たっ!」

夢斗は追いかけられてる時に蓮の走り方を見たのだが、その時見えた動きだけで自分の「追走」のやり方を組み立てたのだ。

2台は再びスタート地点へ。今度はFDが先行、後追いがエボⅩだ。

「今度は先行FD後追いエボⅩっ、さあどう来るーっ」

 

 

蓮はFDを振り出す。同時にエボⅩが大きく動いて自分と全く同じ動きをするのを見た。

その瞬間だった。(自分)以上のスピードで滑り出し、突っ込んでくるエボⅩが横に見えたのは。

「速いーーーーーっ!!同時振りから一気に差を詰めたーーーっ!」

学がハイテンションで今起こった事を話す。

夢斗のエボⅩは同時振りから蓮のFDがイン側を向くよりも早くFDに近づいたのだ。

「おおおおおおおっ」

「すげーっ!!」

観客達の興奮が最高潮になる。

「う……わ……っ」

モニターを見ていたアイドル達も今起こった事に衝撃を受けていた。

「プロデューサーの車に当たるっ」

「すごいわね……」

お台場(ここ)にいる全員が夢斗のやった事に衝撃を受ける。

一本目の蓮の走りのようにミス1つない走りで夢斗は後追いを終えた。

 

 

「2人の素晴らしい走りに皆さん拍手をどうぞ!」

会場中から上がる拍手。

夢斗と蓮が見せた走りは大勢の印象に残っただろう。

 

 

 

この後はエキシビションマッチがスタート。プロドライバー達の単走、追走が繰り広げられた。

見学している夢斗の元に蓮が来た。

「お疲れ様、夢斗君」

「そちらこそ、お疲れ様っす」

「夢斗君……1つ頼んでもいいかな?」

「俺ができる範囲でならなんでもイイっすよ」

「作ってもらいたいんだ、FCのアンダーフロアとディフューザーを」

「はい?」

「美穂ちゃんのFCに足りない物は空力面……。夢斗君のエボに付いているような物を作ってほしいんだ」

「夢斗君の相手になる車に手を貸してほしいって、僕もおかしいと思ってる。でも、これは夢斗君に頼みたい」

「だから……お願い」

夢斗は少し考えて答えた。

「イイっすよ。むしろ速くなった車が相手になるって俺は燃えるし。何より小日向さんの頼みですし」

「いいのかい?」

「もちろん」

「ありがとう、夢斗君……!FCなんだけど明後日夢斗君の所に持っていく。明日FCを使う用事があってね……」

「了解っス」

 

 

 

 

 

 

大勢の前で大活躍を見せた夢斗と蓮。

そして、ひとまず形になったFC。

自分を倒すかもしれないクルマに力を貸す事になった夢斗。

FCの完成は目前に迫る。




FCが形になる。完成が近づく。
夢斗と蓮はドリフトで魅せた。
そして夢斗は蓮にFCのパーツ制作を依頼される……。
自分を倒す事になるかもしれないFCの制作に関わる事になった夢斗は!?


ネタ解説です。
・鈴木学登場
「D1グランプリ」でお馴染みの鈴木学氏が登場。実際の学氏とここでの出来事は関係ありません。
かつてレーサーとして活躍し、いろんな事をやった後にマナブ・スズキ・レボリューション(MSR)を立ち上げました。車体に貼るバイナルグラフィック専門会社です。
そしてD1でのMCをやっているのは周知の事実。
ちなみに本人はドリフトができません。
愛車オデッセイは実際に過去に乗っていた車です。
・D1グランプリ
大会正式名称「全日本プロドリフト選手権」。通称「D1グランプリ」。
単に速さを競う一般的なモータースポーツとは異なり、ドリフト走行における迫力や芸術性をポイント化し競い合います。
詳しく説明するとダルいのでYouT○beで見て(宣伝)
スーパーGTに参戦している谷口信輝選手などが参戦しています。
・ライブ
Triad PrimusとLiPPSがライブしましたが、これは2008年に行われたお台場戦でm.o.v.e.のライブが元ネタ。
その時は頭文字Dエクストリームステージの主題歌を披露してました。
・D1への4駆車参加
熊久保信重選手がインプレッサやエボⅩ、エボⅨをFR化して参加していました。また、手塚強選手がBNR32スカイラインGT-RをFR化+34顔にした通称「B324R」で参加していました。
しかし、4駆のままで参加した選手は国内ではなし。例外的に世界的に有名なラリーストであるケン・ブロック氏がフォード・フィエスタでD1に参加した事があります。



書きたい事たっぷりと書けた(満足)
自分としてはドリフトが好き。でもグリップもいいね。
つまり決められない(優柔不断)
ちなみにどうでもいいのですが、私はD1は小さい頃に2005年のスポーツランドSUGOで行われた際に行きました。その時に野村謙さんと写真を撮ってもらいました。
また、手塚強選手は私の父が個人的な知り合いでサインを書いて頂いたりもしました。


今回ユーロビートバージョンで登場した2曲がYouTubeにあったのでリンクを置いておきます。作者さんのアレンジがとてもいいので他の曲もぜひ聞いてみてください!

・Trinity Field
https://m.youtube.com/watch?v=i_F5CWTqkNg&list=PLzFD68EPmSMKk7ivoIFphDZQGHUBg-H_V&index=29&t=0s


・Tulip
https://m.youtube.com/watch?v=LswR6tt1R7Y&list=PLzFD68EPmSMKk7ivoIFphDZQGHUBg-H_V&index=2&t=0s


FCが走り出す。
夢斗と蓮がドリフトで魅せた。
FCの完成は目前に迫る!!
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