アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者 作:ヒロ@美穂担当P
彼を変えるのは「仲間」。
STAGE0、1の内容が少し絡みます。
見ておくといいかも。
夢斗が悪魔のZとバトルしてから数日後。
注文してた咲耶のエボⅨのパーツが届いていた。そのため咲耶を呼び、エボⅨの修理を行っていた。
「これで直っただろ」
「ありがとう、夢斗」
「つーか咲耶の言う『悪魔』ってヤツに会ったかも」
「本当かい?」
「蒼い車だった。バケモンみたいな加速してた」
「……その通りだな」
翌日。
今日は部活動の日。……のはずだが。
「夢斗がまた来てねえ」
浩一は言う。夢斗が勝手に休むのはいつもの事。のはずだが。
「ああ、夢斗なら実家に戻るって言ってた」
友也が言う。
「実家?あいつの実家って確か……」
「栃木だ」
「なぜこのタイミングに……」
場所は変わって栃木県宇都宮市内某所。
夢斗は共同墓地にいた。星名家の墓の前で手を合わせる夢斗。
「……」
やがて夢斗は墓地を後にした。
お盆はまだ先だ。
しかし夢斗はここに来る理由があった。お盆のシーズンになると友也達の引退を前にするため忙しくなって来れなくなるからだ。その前にここに来ておきたかった。
「ただいまー」
「おかえり夢斗!」
夢斗を迎えたのは夢斗の母親だった。
夢斗は父が離婚した後、母親が女手1つで育てていたのだ。
「学校はどう?」
「楽しいよ。ま、部活はサボる事多いけど」
「もーアンタは本当に気分次第で物事を決めるんだから……」
「コレは一生直んないな」
親子にとって久しぶりの会話。
「ばあちゃん元気か?」
「ばあちゃんは元気よ。夢斗が帰ってきたらお小遣い渡して欲しいって言ってたわ」
そう言って1万円札を取り出す母。
「サンキューばあちゃん!」
「直接会ってお礼言えたらいいけど……。ばあちゃん家は遠いからね……。あたしが後で言っておくわ」
祖父母とは別居しているのである。
「ちょっと出てくる。今日の夜にはここ出ないといけないし」
「そう……。ちゃんと皆に会ってきなさいよ」
「わかってるって」
夢斗はエボⅩで家を出て地元の友人の元へ向かう。
「おっ、星名!!」
「よお、変わんねえじゃん」
「……そう言う星名も」
友人からの視線は歓迎の気持ちなんてない。
夢斗は幼い頃から周りに距離を置かれていた。
天才故に周りの気持ちがわからず、そして周りは夢斗の考え方を理解できなかった。
自分をわかってくれたのは家族だけだった。
一通り友人と会った夢斗。
会った友人全員夢斗を見る目は同じだった。
「差別」をする目だった。
その日の夜。
家を出て東京に戻る前に自分の部屋の整理をしていた。
ベッドの隣に置いてある棚の最上段にある写真立て。
写真立ての中の写真には幼い頃の夢斗ともう1人の家族が。
「悪い、また行かないといけないんだ」
その人物に申し訳なさそうに言う夢斗。その人物はもうこの世にはいない。
母に別れを告げ夢斗が寄ったのはいろは坂。
半年前に自身が最速になった所だ。
「なあ、バトルしないか」
夢斗に声をかける男。
「ああ……いつかのMR2……」
半年前に夢斗に敗れ、いろは坂最速の名を奪われた男だ。
彼はMR2を降りてNSX(NA1)に乗り換えていた。
「いいけど……」
夢斗の銀色のエボがいろは坂を降りていく。
後ろからは赤いNSXが迫る。
「上手くなったな……」
半年前に夢斗曰く「つまらない走り」をしていた男は格段に走りのレベルが上がっていた。
2台の実力は拮抗しているように見えた。
だが、実際は一方的。
「本当にコイツの上手さって何なんだ!!」
ヘアピンコーナー1つ抜けると目でわからないような僅かな差が生まれている。それがもう何回も繰り返されている。
本当に少しずつだが離れていっているーーー。
ブローオフバルブが抜ける音がいろは坂に響き渡る。
結果は夢斗が勝利。またしても負けたMR2の男。
「お前は……何なんだ!?」
「さぁ……。俺が知りたい」
「ふざけんなぁ!」
「悪いけど後はもう喋るな……」
「……!?」
MR2の男は夢斗の目が地獄を見たような目になっている事に気がついた。
心無しか夢斗が感情的になっているようにも見えた。
MR2の男が立ち去った後。
どうしようもない気持ちのやり場。
「ああああああああああああああぁぁぁっ!!」
何故自分を理解しようとしない。何故弾く。
夢斗の悲しみが闇の中に消えていく。それが良いものになって返ってくる事はない。
「なんでだあああああああっ!!」
夢斗の叫びがいろは坂に吸い込まれていく。
味方がいない。
そんな中でずっと生きていた夢斗。彼の悲しみは深い……。
翌日。
夢斗が住むマンションに向かう少女が1人。
彼女は夢斗の部屋の前に来た。インターホンを鳴らして少し待つと寝癖だらけの
「あ……れ?夕美じゃん」
「おはよう、夢斗君」
相葉夕美だ。何故こんな早朝から来たのか。
そんな夢斗の考えを先回りするように言う。
「津上君が連れてきてくれって。夢斗君は私の言う事なら聞くからってね」
「あー……」
「とりあえず支度して、大学行こう?」
「夕美ってさ、世話焼きって言われてない?」
「言われるかもっ!」
支度を済ませて2人で朝ごはんを食べた後大学へ。
「夏休みまであとちょっとだな……」
「だねー。夢斗君は何か予定あるの?」
「俺達はトモさん達の引退に合わせてなんかやるんだと」
「そうなんだ。私はロケとかが毎日あって大変だよ……」
「忙しそうだなホント。小日向さんも忙しいだろうし」
「プロデューサーは私達アイドルに合わせていろいろな所に行くから私達よりも大変だよ?」
「加えてレースか……。よく体壊さないな」
「体壊すギリギリには何回もなってるって言ってた」
「あの人ならなりかねないな……」
やがて大学へ着いた。
2人揃って歩いてるため周囲からの視線が……。
「夕美さーん、離れてくれー」
「ダメ、夢斗君逃げるでしょ?」
「否定はしないけどさ」
結局教室まで離れなかった夕美。浩一には驚かれたが。
「何で相葉ちゃんと歩いてんだコラァ」と言われたが夢斗の気にすることではなかった。
放課後。
夢斗達は来月に控えた友也達の引退に合わせてやる事を考えていた。
そのために友也達がいない時を見計らっての会議。
「ケーキとか買って食うとかどうよ?」
「えー、友也さんそんなイメージないぜ。むしろソレ聖真さんのイメージだ」
「あー、わかる」
「みんなでメシ食うのは決まりって感じだけどナ」
「えー?走ろうぜ皆で」
夢斗だ。
「チームって言う割にそういう事してねーもん」
「あ……」
他の部員達も気づいたようだ。
「昔の暴走族みたいに軍団で走るとかどうよ?」
「いいなソレ」
「それならいいかもな」
「聖真さんが喜びそう」
聖真は街道レーサーといったルックの車が好き。暴走族のようなファッションも好みとの事。
「いつやるよ?じゃあ」
「極力交通量少ないタイミングに出来たらなー」
部員達が盛り上がる。話し合いは進んだ。
結果、8月の中旬に決行する事が決定した。
「夢斗ー。昨日実家行ったんだろ」
浩一が声をかけた。
「ああ、母さん元気そうだった」
「……お前、別の用事だろ。帰った理由」
「……そうだな」
夢斗の目は正気を保っていない。
「何があったかは俺は聞かない。でもな、お前はもっと他人を頼れ。何もかも1人で抱えるな」
「お前は気づいてないだろうけどな、お前は皆を動かす原動力だ。お前が迷ったら皆も止まる」
「だから迷うな。いつもズバって決めるお前でいろ」
「……だな」
浩一の言葉を聞いた夢斗。
先程までの正気を失っていた瞳には光が戻っていた。
その日の夜。
夢斗はエボⅩで湾岸線を走っていた。
セダン車のエボⅩは湾岸線を筆頭に超高速ステージが不向きな車だ。
それでもオーバー300kmに持っていく。当然技術を要する。
首都高でのスピードを考慮し、空力面を強化したエボ。
しかしそれは新環状線や八重洲では非常に強力な武器になるが、湾岸では足枷になる。
それを自身の技術で補うために走り込んでいるのだ。
「レーンチェンジっ!」
250kmを超えたあたりから追従性が落ちる。いつ吹っ飛ぶかわからなくなるギリギリのライン。
猛スピードで左右に舞うエボⅩ。一般車を避けていくと……。
「GT-R?」
ベイサイドブルーの
そのGT-Rからは蒼いオーラが出ていた。
「……何でこんなヤバい車と会うのよ?小日向さんとかこの間の蒼い車とかさ」
「エボⅩ……?腕はイイみたいだが」
後ろの銀色のエボⅩは抜くかどうか迷ってるようだ。
「ヤる気はないか……」
男は後ろのエボⅩをもういちど見た後、速度を上げて離れた。
夢斗は故郷栃木に戻った。
しかし友人達の視線は昔から続く「差別」の込められた視線だった。
理解されない悲しみ。
東京で浩一や夕美といった人に関わり、夢斗は理解されている……。
そして……。夢斗にはもう1つの大きな悲しみがあった。それは友人達の視線の中でも唯一夢斗が理解してもらえる存在だった。
「理解されない」という悲しみ。
誰からもわかってもらえなかった夢斗。東京での友人達は夢斗を理解する。
そして夢斗にあるもうひとつの悲しみ。
それは友人達に理解されない中での夢斗の唯一の味方と言える存在だった。それを失った夢斗は考え方すら変わってしまう程の大きな心の傷跡が残ってしまった……。
今回真面目な話なのでネタはありません。
最近暑い日が続きますが皆さんは大丈夫ですか?
私はまいりそうです。
次回、夢斗のエボⅩパワーアップ!!