アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者   作:ヒロ@美穂担当P

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今回の話は外伝「小さい日向の少年と少女」の内容が関わります。
そのため読んでからこの話を読むことを推奨します。




故郷山形で蓮は何を思う。
始まりの地で明かされる2人の約束の意味は。


創りあげていく物編
STAGE26 「(約束)」は破られない


8月下旬。

夢斗達は友也達の送別会を終えた後だった。部の全員で首都高を走った最初で最後の機会であった。

最後の最後まで夢斗に振り回された友也達。

3年への引き継ぎを経て友也達は引退した。

 

 

 

その後夢斗達は様々な競技に参加する事に。

夢斗の活躍でラリーの大会で部は地方戦優勝。本戦出場のために夢斗達は近畿地方へ向かった。

 

 

 

 

 

 

場所は変わって山形県。

蓮の故郷だ。今日はテレビ番組の収録のためにやってきていた。

ここは新庄市。今日は新庄市の名物の食レポや新庄東山焼の制作体験をする事になっている。

「新庄市だけじゃなく山形ってラーメン屋さんが多いですよね」

美穂が言う。美穂は山形に来るのは初めてだった。

「というより麺系料理の店が多いんだよね」

蓮が説明する。

「りんごを広めなきゃ……」

「あかりちゃーん、もう少しで収録始まるからねー」

「はーい!」

新人アイドル達もだんだんアイドルの仕事に慣れてきたようだ。

 

 

「こちらが新庄市名物のとりもつラーメンです!」

番組の司会の女性が解説する。

「もつって合うんですか?」

美穂が聞く。

「もつがすごい美味しいんご」

「ラーメンは美味しいでしょ!そうでしょプロデューサー!」

あかりが元気いっぱいに蓮の方を見る。なお現在収録中だ。

「う、うん……。すごい嬉しそうだね、あかりちゃん」

「だって久しぶりに山形に帰ってこれたもん!そしてラーメンが食べられるし!」

「あはは……。僕も帰ってくるのは1年ぶりだし」

 

 

 

 

ラーメンを食べた後は東山焼の制作体験。

「うう……上手く形にならない……」

「我が友よ……禁忌に触れるな……」

神崎蘭子だ。

「なんて言ったんご!?」

「ああ、大丈夫!見ないから!!……たぶん」

「分かってるんご!?」

蓮は蘭子の言葉を理解できる。蓮曰く「美穂ちゃんといたからわかる」……らしい。

蘭子と美穂は熊本県出身。蓮は山形なので関係はないはずなのだが、幼い頃から美穂といる事が多かったのがあるのかもしれない。

ちなみに先程の言葉の意味は「プロデューサー、内緒です」という意味だ。東山焼がどんな形になったのかは彼女のみが知る。

 

 

「灼熱の業火が……我が身を焦がす(日焼けしちゃう)」

「暑いね……」

「みんなごめんね、あと少しで終わるからもうちょっとだけ待ってね」

8月も終わりに近いとはいえこの猛暑だ。

蓮が関係者と打ち合わせ中。この後5分後に打ち合わせが終わり宿泊先の宿へ向かう事に。

蓮がFDに乗ろうとした時にスタッフが声をかけた。

「小日向さん、久しぶりの故郷(ふるさと)を楽しんだらいかがですか?」

スタッフ達の計らいで蓮は実家へ向かう事にした。

「あのっ!」

「美穂ちゃん?」

「私も行っていいですか!?」

「うん、いいよ。母さん達も美穂ちゃんに会いたいだろうし」

こうして蓮と美穂は蓮の実家へ向かう。当然美穂は蓮の家に行くのは初めて。

 

 

 

「ただいまー!」

「おかえり、蓮。1年ぶりかしら?」

「だね。すごく懐かしい感じがする(笑)」

「お、お邪魔します……」

「あら美穂ちゃん!?ちょっとお父さん!!」

蓮の母が慌てて茶の間にいる父を呼んでくる。

「……なんかごめんね」

「私は大丈夫です」

 

 

 

 

美穂を交えての蓮と両親の会話。

「美穂ちゃん大きくなったね〜」

「アイドルの仕事大変じゃない?」

「大変な時もあるけど……蓮さんと一緒だから大丈夫ですっ」

「蓮がヘンな事言ったら怒ってもいいからね」

「いやいや言わないから……」

「蓮さんは誰よりも大変なはずなのに……私は弱音を吐く蓮さんを見たことがないんです」

「僕がへばったらみんなが心配しちゃうからね……。みんなに迷惑をかけてしまうし」

アイドル達の前では例え年下のアイドルにも優しく接する蓮。だが、美穂はそんな蓮の「自然体」を幼い頃から見てきた。

今、美穂が見ている蓮は「プロデューサー」という立場から解放されて「小日向蓮」という一般人として過ごしている姿だ。

 

 


 

 

夜。蓮のスマホが鳴り響く。

「はい小日向です。……はい」

「……わかりました。はい、伝えておきます」

電話が終わった蓮が戻ってきた。

「何の用だったんですか?」

「帰り道の道路が土砂崩れで通行止めになったって。東京方面に帰る手段がないんだ」

「土砂崩れ……」

「迂回路もないし……。みんな明日まで帰れない」

「蘭子ちゃん達は大丈夫だって言ってた。明日以降合流してなんとか帰る形かな……」

 

 

 

「どっちにしても何もできないし……」

「そうだ、蔵王まで行ってきて大丈夫かな」

両親に聞く蓮。

「構わないぞ」

「行くのはいいけど美穂ちゃんに何かあったら許さないわよ」

「わかってる。ケガさせるワケにいかないからね」

蓮のFDに美穂も乗り込み、FDは蔵王山へ向かった。

ちなみに美穂のFCは家の隣の倉庫に置かれてる。

 

 

 

「蓮さん……道が『見える』んですか?」

蓮のFDは蔵王山を猛スピードで駆け上がっていく。アクセルを全く緩めない蓮を見て美穂は聞いた。

「わかるよ。何ならアスファルトのシミもわかる」

「……えーっと、蓮さんはここをどのくらい走ったんですか」

「この車を買ってから大体半年くらい」

 

 

 

 

蓮は高校最後の年にFDを購入。クラス全員で蔵王を攻めた。

蓮は自身が長所とする記憶力の高さを生かして蔵王という(コース)を覚えた。雨の降る日も雪の降る日も走り続けた。

完璧な走りで勝利を重ねた蓮はやがてクラス最速になった。

蓮に畏怖を込めて付けられた異名が「公道の流星」だった。

しかし蓮は最終的にある事が原因で精神(ココロ)が壊れてしまった。

それ以来蓮は蔵王を走らなくなり、346プロに就職するのに合わせて蓮は東京へ旅だった。

そのため蓮はおよそ1年ぶりにこの蔵王を走っている。

 

 

 

 

 

帰り道。FDはヘッドライトが照らす道に沿って蔵王を下っていた。

「……」

「……」

2人は口を開かず、FDが進む道だけを見ていた。

聞こえるのは13B(エンジン)が吠える音、タービンが過給する音、タイヤのスキール音、風に揺れる葉っぱの音。

自然が奏でる音以外にする音はFDが発する音だけだ。

 

 

 

「蓮さん、後ろっ」

FDの後ろにM3(E46)が。煽ってきている。

「追い越すなら早くしてほしいな……」

しかし一向に追い抜く気配がない。

 

 

「古臭い国産車は突っつき回したくなるぜ!」

「ヤっちゃいましょうよ!ねえ!!」

金持ちの走り屋気取りの男達。BMWという外国のメーカーの車で国産車を馬鹿にしている。

 

 

 

 

「飽きた。さっさと消えちまえ」

M3がFDを追い抜く。

その時M3がFDを抜く際にFDに幅寄せしてきた。

「蓮さんっ!!」

運転席側に寄ってきたM3。

蓮はブレーキを踏み、ステアリングを切ってM3を躱した。

「……そういうことか」

蓮の声が普段の調子とは違う。

「美穂ちゃん、少しだけ我慢してね」

「すぐに終わらせるから……!」

蓮が静かにキレた。

 

 

 

 

「さっきのヤツが来た!?速いっ」

男達は後ろからロケットのような勢いで迫る黄色い車をバックミラーで見る。

カーブ1つ曲がると一気に近づかれる。しかもさっきまではそれほどスピードを出していなかったためわからなかったが後ろに迫る車は相当なチューンが行われている。360馬力あるM3を軽く上回るパワーだ。

このM3が相手にならないと悟った男達。

 

 

「振り切った……?」

バックミラーに眩しく入っていた光が消えた。

安堵した男達。

シャァァァアアアアアアッ

「うわあああっ!?」

「なんだっ!?」

そこには黄色いFD()が。消えた光が再び視界に入ったと認識した時には「いた」。

「まさか……ヘッドライト消してたのか!?」

「嘘だ、こんな事ありえない!!」

 

 

「すごい……!」

美穂は蓮のそのテクニックに驚きを隠せない。

蓮がヘッドライトを消し、再びヘッドライトを点灯させた時には前に出ていた。

ヘッドライトを消したまま100km以上のスピードで走行したのだ。

蓮の驚異的な記憶力の高さが為せる技術である。

M3の前に出た蓮のFDは一瞬で消えた。M3がコーナーを曲がった時にはテールランプの光が残像のように線となって見えるだけ。

やがて完全に振り切られたM3は甲高いスキール音を聞いた。FDがアクセル全開のドリフトを決めている事は想像に難しくなかった。

「バケモノかアイツ……」

 

 

 

 

 

 

「ごめん、大丈夫?」

冷静さを取り戻した蓮。

「ちょっとだけ怖かったけど蓮さんの運転だから大丈夫です」

「こうやって上手くなったんですか?」

「そうだね。その時の自分がいなきゃ僕は346プロにいないし」

 

 


 

 

家に帰ってきた2人。

そのまま2人は母親に蓮の部屋に押し込まれる。部屋がないため蓮の部屋を2人で使ってくれと。

 

 

「蓮さんの部屋……」

蓮が最後に自分の部屋を見たのが約1年前。昔から部屋には色んな物が綺麗に纏められて置かれてる。車のプラモデル、ドリフト天国など車関係の雑誌、高校時代の教科書など。

「母さんが掃除してくれたのかな……」

部屋の物はホコリを被ってない。本棚の本は発売された順に並べられている。

「あ……」

美穂が蓮の勉強机の上にあるモノを見つける。

「私と……蓮さん」

勉強机に立てられていた写真立ての中に入っていた写真は幼い頃の2人が写っていた。

「中学生になってこの机を買ってもらった時にこの部屋を掃除してたらね、母さんがどこかから見つけてきた写真なんだ」

写真には「1999/07/01」とあった。この時蓮は7歳、美穂は5歳である。

「美穂ちゃんはこの時からあまり変わってないんじゃないかな?」

「そんな事ないですよ。むしろ蓮さんが変わってないんだと思います」

こう言ってるが、実際2人ともあまり変わってない。

もちろん成長して変わった所はある。心も体も大人に近づいていた。

蓮は今年20歳になり、大人になった。美穂は今年で19歳になる。

しかし、幼い頃から変わってない2人の共通点。「(約束)」だ。

 

 

 

当時高校受験を控えていた中学生の美穂と当時高校2年生の蓮が結んだ「(約束)」。

アイドルになり、ステージに立つ美穂を蓮が見届けるというモノだった。

結果的に美穂はアイドルに、そして蓮はプロデューサーになった。

そして蓮は約束を守った。蓮はもう一つ夢を作る。「アイドル達みんなの力になりたい」と。

幼少期に憧れてたプロレーサーにもなった蓮。

美穂は憧れのアイドルになり、自分を変えてくれたアイドルという姿で今度は自分が周りを変える。

 

 

夢という未来は2人の約束のカタチ。1人では見えなくても2人なら見える。

 

 

 

 

「あの時は運命かな……って思った。アイドルを目指した美穂ちゃんと僕が会えるなんて思ってなかった。しかもアイドルに最も近いプロデューサーっていう立場になって。昔は離れ離れだったけど今は違うから」

幼なじみの美穂(少女)が本当にアイドルになり、(こちら)も新人とはいえプロデューサーになった事は美穂(あちら)も驚いただろう。

 

 

 

「そろそろ寝ない?」

「ですね」

部屋を出ようとした蓮。しかし。

「蓮さん?」

美穂に呼び止められる。

「僕はちょっと用事があるから(大嘘)」

「寝るって言ったのは蓮さんですよ?」

「そうだけど……」

「蓮さん……一緒に寝てください」

「……いろいろとまずいから待って。美穂ちゃんがここで寝た方がいい。僕はFDの中で寝てくるから」

「車の中だと寝れないと思いますっ」

「僕は大丈夫だから」

「うー……」

蓮が部屋を出ようと動こうとした途端美穂が蓮にくっついてきた。

「こうすれば!」

「ちょっ!?」

「蓮さんが行くなら私もついていきますから」

「……わかった」

美穂をFDで寝かせるワケにいかず、美穂の願いを聞く蓮。

 

 

 

 

 

「お布団あったかい……」

「う、うん……」

布団の中には蓮と美穂が。美穂(のお願い)に負けてこうなった。

そもそも布団が小さいのもあり2人は密着。ほとんど身動きが取れない。

「蓮さんってあったかいですよね。優しくて……」

「……そうかな?」

「だって私達アイドルをちゃんと見ているじゃないですか。誰一人置いていかないし、もし置いていかれたら蓮さんは絶対に助けに来るから」

 

 

幼少期から優しい性格だった蓮。

ケンカもキライ。しかし大切な人やモノを傷つけられたら立ち向かう。

蓮のその姿を見てきた美穂は蓮という存在が心強い存在になった。

 

 

 

「だから、あの日も私達を庇って……」

去年のクリスマスの日。765、346、876といった3つのプロダクション合同ライブの日に蓮への復讐を狙う男がアイドル達ごと蓮を殺そうとした。

蓮はその身を呈してアイドル達を守った。蓮は銃撃され、失血により意識不明の重体に陥った。

しかし蓮は奇跡的に生還。アイドル達は誰一人として怪我人を出す事はなかった。

 

「違うよ美穂ちゃん」

「え?」

「庇ったんじゃない。あれは僕がやらなきゃいけなかった事だよ」

「だってみんなを守るのが僕の役目だから」

どこまで行っても蓮はまず他人を考える。自己犠牲というレベルをはるかに超えている。

 

 

「そう言って……蓮さんが私達の前からいなくなってしまいそうで怖かったです。美世さんも言ってたけど苦しい時も全部抱え込んでそれでも弱音を吐かないのが……蓮さんが無理をしてるって思うようになって」

「蓮さんは人に頼られる事は多いけど自分が誰かを頼るって事をあまりしないから……」

実際蓮が誰かを頼る事は少ない。

「頼る事が僕は苦手なんだよね。いつも頼られる立場だから逆に自分が誰かを頼るってなると慣れてないんだ」

 

蓮は346プロの大半のアイドル達より年上。シンデレラプロジェクト第1期生の最年長であった新田美波と現在同い年(20歳)。しかしそれ以外のアイドルより年上。346プロ最年少アイドルである市原仁奈や龍崎薫(現在10歳)とは10歳も年が離れてる。

一応美世が蓮より年上なので美世を頼る事もできる。しかしアイドルである美世に負担をかけたくないという蓮の思いからそんな事はない。

 

 

「それでも蓮さんはもっと私達に悩みを言ってもいいんです!私達はいつも蓮さんに悩みを言ってるのに蓮さんだけ……何も言わないって不公平な気がして」

「ありがとう、美穂ちゃん」

そう言った蓮は肩の力が抜けたようだった。

 

 

「……」

気がついたら蓮は眠っていた。

「私、蓮さんに助けられてばっかりですね。でも、嬉しいです」

恥ずかしくて本人の前では言いづらい感謝の言葉。

 

 


 

 

いつからだったんだろう。

私のこの気持ちはいつからあるんだろう。

泣いたりしてた私をいつも助けてくれた。年上なんだけど同い年見たいな接し方。私の目線に合わせて話してくれた。

ヒーローみたいな人だと。

男の子は「悪い人をやっつける」のがヒーローだと言うと思う。

でも私は「困ってる人を助ける」のがヒーローの姿じゃないのかなって思った。

そういえば昔いじめっ子にいじめられた時に蓮さんに助けてもらったな……。その時のこと蓮さんは覚えてないと思う。けど私は覚えてます。

自分が傷ついても、私を守ってくれた。

 

 

 

 

そんな蓮さんの姿を見て私は決めた。

アイドルになると。小さい頃から私を支えてくれた蓮さんみたいに……っていうのとはちょっと違うけど。憧れの人と過ごした日々の中で私は思った。

蓮さんに変えて貰った自分。今度は自分が誰かを変えたい。

 

 

いざアイドルになったら大変だった。

初めてのお仕事はトークショー。あがり症の私は苦手な事。

結局本番では緊張しちゃってトークショーを上手く進められなかった。

なんだかんだでトークショーの依頼がまた私に来た。「照れてる美穂()が可愛かった」かららしくって。

でも私はこれじゃダメだと思った。そんなんじゃ蓮さんに見せられないって。

私は仲間達といろんな事にチャレンジした。

 

 

 

 

そして去年。

「蓮さーん!いた!本当に蓮さんだ!」

346プロに入社した蓮さんを見た時嬉しかった。なんでかは今でもわからない。

 

 

「美穂ちゃん」

「なんですか?」

「『約束』守るから。これからよろしくね」

「……こちらこそよろしくお願いします」

私と蓮さんは同じ目標に向かって歩いた。

 

 

 

やがて『約束』は守られた。

怪我した体で私がステージに立つ姿を見届けた蓮さん。

しかし346プロの中で流れてたウワサが怖くて蓮さんと話せなかった。

「蓮は346を辞める」どこからか出回ったウワサ。根拠はどこにもないはずだった。

けど私は根拠があると思ってた。『約束』を果たしたから346(ここ)を去るのではないかと。

でも蓮さんは346に残った。

「346プロは『家』みたいな存在」と蓮さんは言ったそうです。美世さん情報。

だからアイドルにまるで家族のように接するのかもしれない。

 

 

 

 

小さい時からとても近い距離で接していた私達。

今は一定の距離がある。私がそういう距離を自分で決めて作ってしまったのかもしれない。

それでもこの気持ちは初めて抱いた時からずっと変わっていない……。

 

 


 

 

「あら〜」

翌朝、向き合って寝ている2人の姿を母に撮られた。

さらに2人が蘭子やあかり達と合流する際に以前の事(女子寮での事)を聞かれて2人は返答に困った。

その時美穂が口をすべらせて蓮の家で2人で寝た事を言ってしまい、事務所内で2人への視線が痛いモノになったのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここは内藤自動車工場。

「……ふー」

美世だ。美世が整備してるのは客の車ではない。

あの日岩崎から預かったBNR34だ。

R34は一通りパーツを外されている。まずはチェックからだ。

「……歪んでる」

美世はBピラー周りに歪みを見つけた。

藤巻が言うにはなんと最大で1200馬力出ていたというこのR34。

それだけの超高パワーによる負荷がボディにこうして現れている。

「あたしのR、馬力(パワー)普通に負けてるし」

美世のRはNOSも使いギリギリ700馬力に届かない。500馬力以上の差があるのだ。

 

 

「こうやって見るとすげぇモンだな」

「健さん」

美世が振り向くと内藤が立っていた。

昔からこのRを見てきた内藤。だがじっくりとこの車を見るのは初めて。

「ボディ歪んでるな」

「でしょ?」

「どうするつもりだ?」

「高木さんのとこに預けようかなと。あたしボディは専門外だし」

「何なら俺がやってもいいぞ?」

「高木さんで」

美世はRのボディ修復を頼もうとしていた。高木ならこのRをより強靭に蘇らせる事もできるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

思い出の地山形。

そこで蓮と美穂は「約束」を再確認する。

そして美世は岩崎のRの修復を始める……。




2人の約束。
それはこれからも続く。




ネタ解説です。今回山形ネタ多いです。
・新庄市の名物
劇中でもあるようにラーメンや東山焼が有名。特にラーメンは山形県を代表するようなモノ。ラーメン以外にもそばなどが多く「麺系料理の店が多いんだよね」という蓮の発言そのままなんです。
・蘭子の言葉
「闇に飲まれよ」など独特な言葉が特徴的な神崎蘭子。アニメ版シンデレラガールズでは赤城みりあがシンデレラプロジェクトの中で唯一?その意味を理解できていました。武内Pはノートのメモと照らし合わせて意味を推測してました。慣れれば理解できる……らしいですが。
蓮は熊本育ちの蘭子と同郷の美穂と接するため蘭子の言葉が理解できた……のかも。
・写真の日付
幼き頃の蓮と美穂の写真の日付の「1999年」は関係ないですが「7月1日」は速水奏の誕生日なのです。
・「以前の事」
これはSTAGE15の出来事。気になった方は読んでみてください。




ちょくちょく以前の話を出したがるクセをどうにかしないと(無理)
まーたラブコメみたいな話になった……。




ちなみに趣味でやってるグランツーリスモSPORTでエボGr3のリバリーを今回登場した神崎蘭子仕様にしました。この話書いてる時に神崎「蘭」子と「ランエボ」を合わせて「蘭エボ」って考えたのがきっかけなんて言えない。
タグは「imas」「anime」「346」で登録してます。使用はご自由にどうぞ。
リバリー名「神崎蘭子 ランサーFE 346レーシングSPL」

【挿絵表示】







次回、夢斗は悪魔のパートナーに会う事に!?
モンスターマシンが夢斗に牙を剥く!

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