アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者 作:ヒロ@美穂担当P
765プロからアイドル登場!
夢斗はとんでもない車に会うはめに!?
8月が終わるのが目前のある日。
夢斗は夕方の渋谷の街を歩いていると……。
「なにしてんのこの人」
美人の女性が街頭にもたれかかって寝ていた。
「うーん……」
典型的な酔っ払いである。
「ったく、なんでこうなんの」
夢斗はその女性をおぶって移動していた。おかげで周りからの視線がすごい。しかしその視線は「おかしな物」を見る視線ではなく「疑惑」が詰まった視線だ。
「酒くせえし。つーか胸でかくね?」
なんだかんだこういう人を放っておけない夢斗。ただし最後のはいらなかった。
「……んぅ」
どうやら起きたらしい。
「って誰!?」
「いてててっ、何すんだよ!?」
起きた女性に叩かれる夢斗。
「キミ、私をどうするつもり!?」
「アンタが路上で寝てるからせめてもうちょいマシなトコで寝れるように移動してたんだよ!!」
「……あっ」
酔いつぶれて寝た事を思い出したらしい女性は落ち着きを取り戻した。
「なにやってんの私……」
「とりあえず酒臭いっすよ、ハナ曲がりそうなアルコール臭」
初対面の人にも容赦ない夢斗。
「ごめんね、そもそも私が悪かったのにあんな言い方しちゃって」
「別にいいんすけどね。おねーさん何してたの?」
「仕事で失敗したからヤケ酒」
「……んで寝てたと」
「はい……」
「ま、イイけど……。大人って酒で全部ヤな事忘れられるからラクですよねー」
「そうもいかない事はあるけどね……」
「んで、おねーさんどうするのさ?」
「765プロシアターに連れてってくれる?」
「あー……いいっすけど。もしかしておねーさんアイドル?」
「うん、百瀬莉緒っていうの」
「莉緒ねー、シアターってどこあんの?」
「もしかして私の呼び方?イイわね!シアターはね……」
夢斗は百瀬莉緒をシアターまで送るはめになった。
「これがキミの車?」
「そっす」
駐車場に止めてあったエボⅩ。
「綺麗な銀色ね」
「そうっすか?」
「話のように綺麗な銀色だなって」
「どういう事すか?」
「私達の先輩……私達より年下だけど先輩のアイドルがね、綺麗な銀色の車を見たって」
「キミかどうかはわからないけど……」
「たぶん違う」
「そうだ、キミって言うのもアレだしキミの名前って何?」
「星名夢斗」
「夢斗君か……。夢斗君、お願いね」
「りょーかい」
莉緒がエボに乗ろうとするが……。
「あだっ!?」
「ロールバーには気をつけて……遅かった」
ルーフに沿って張り巡らされていたロールバーで頭をぶつける莉緒。
「ぐうぅぅ……」
「莉緒ねーって実は結構ドジるカンジ?」
「そんな〜!!」
事実である。
「なんか普通の車じゃないよね……」
「そりゃそーっすよ」
「夢斗君っていくつ?」
「19歳っすよ」
「私の5つ下なの!?若いっ」
「俺大学生っすよ。……そーいやアイドルって言ってたけど346プロとかと関係あるんすか?」
「あるわね……去年のクリスマスは合同でライブしたし」
「……そうっすか」
夢斗の心の傷が関係するため詳細は触れないでおく。
なんだかんだあってライブシアターに到着。
「早かったっしょ?」
「うん!夢斗君運転上手いわね〜」
「競技やってる身なんで」
夢斗は莉緒を降ろす時に1台のある車を見つける。
「あれ……この間の」
蒼い
「莉緒ねー、あの車誰乗ってんの?」
「ああ、あれはね「面妖な!!」
莉緒が話してるのを遮って聞こえた声。
「莉緒、この者は何者なのです!?」
「貴音ちゃん待って!私送ってもらったのよ!」
「……もしかしてその車のドライバーっしょ」
「……ぜっとの事ですか?」
「ゼット……Z!?あれZなのか!?」
夢斗は80年代以前の車には疎い。夢斗のイメージのZは2000年代に入ってから生まれたZ33型からのイメージしかない。
そのため70年代以前の初代フェアレディZことS30型を知らないのだ。
「咲耶がZに……!?」
「この車を知ってるのですか?」
「俺は関係ないけど知り合いがな」
「……!思い出しました。貴方は前にこのぜっとと戦った!」
「ああ。振り切られたけどな」
貴音と夢斗からはオーラが出ている。莉緒はなんの事かわからずポカンとしている。
「ああっ、莉緒!」
赤羽根Pがシアターから飛び出してきた。
「どこ行ってたんだ!?」
「あっ!プロデューサーくん!」
赤羽根Pに問い詰められる莉緒。
「あの子!あの子に送ってもらったの!」
「君は……あの時の」
「お久しぶりっす、赤羽根さん」
「すまない、莉緒が迷惑かけただろう」
「へーきっすよ。それよりあの車って一体何なんすか?」
「あれか……」
「……こわっ」
赤羽根Pから悪魔のZについて一通り聞き終わった夢斗は開口一番この一言。
「そんな車に小日向さんは挑んだってか……。俺とんでもない人と知り合ってたんだな」
「貴音はもう走ってないハズだ」
「そういえばZと戦ったってどういう事なの夢斗君?」
莉緒が突然会話に入ってきた。
「いや、あの車と戦ったんすよ。その通りに。あっさり振り切られたけど」
「……貴音?」
赤羽根Pから目をそらす貴音。次の瞬間貴音は猛ダッシュでシアターから出ていった。
「はえー……」
「……小日向君の言う通りだったな」
「じゃ、行きますんで」
「ああ、気をつけて」
夢斗のエボⅩはシアターを後にした。この後莉緒は馬場このみに怒られることになった。
翌日。
「アイドルが乗ってる……」
芝浦PAで夢斗と話していた咲耶は夢斗の伝えた事に驚いていた。
「俺あの車がZってわからなかったぜ」
「そうだ夢斗、今度私のエボをチューンしてほしいんだ」
「すげー突然ですね……。ま、イイけど」
「もう今のままではZにも夢斗にも勝てない」
「……なる」
湾岸を軽く流してた2台のエボの前に蒼い車が見えた。
「……!!」
貴音のZだ。
再びPAに入るエボ2台とZ。
「貴女がZのドライバー……」
「ええ。私は四条貴音」
「私は白瀬咲耶。283プロのアイドル」
「アイドル……。アイドルがこうやって走ってるのは……何故でしょうね。駄目だとわかってるのに」
「本当だね。でも目的があるから走るのはそちらも同じじゃないかい?」
「勿論です。この車で私が走る意味を見つけるために」
「私の走る目的は……その車の前を走るためさ」
咲耶は戦闘態勢に入っていた。
「ぜっとの前を……」
「あれ、俺空気?」
「貴方は昨日の……。名前は」
「星名夢斗」
「星名夢斗……。私は貴方と手合わせしてみたい」
「小日向蓮や原田美世のような何かを持つ貴方は一体何者ですか」
「さあ?周りからは変人とか言われるただのてぇんさぁいだ」
「天才……」
「ま、俺はそれが本当に『Z』か知りたいんだ。呪われたとか、神様とかは俺は知らない。車である以上、普通の車だと思う」
「言ってる意味がわからないですが……。とにかく私はぜっとを信じてますよ」
「咲耶、俺のエボに乗れ」
「ああ」
「あの車が本当に呪われてんのか……俺はよくわからん。けど咲耶は俺よりあの車を見てるんだろ」
「だから咲耶があの車が本当にヤバい車か見極めてほしい」
貴音のZと夢斗と咲耶が乗るエボⅩが発進。
本線に合流した途端にZはどんどんスピードを上げていく。
「あれが……40年前の車なのかって思うぜ。エボが加速競争で置いていかれるってやべー」
参考に述べておくと貴音のZは現在600馬力程。それに対し夢斗のエボⅩは560馬力。NOSを加えて580馬力となる。これだけ見るとパワーの差は少ないように見える。
しかし悪魔のZは600馬力、トルク80kg。
基本設計が古いL型エンジンを載せているとは思えないモンスターマシンなのだ。
ここでL型について軽く触れておく。
日本製乗用車にSOHCが導入され始めた時期に開発された、
現在はL型といえば直列6気筒エンジンという認識だ。
競合メーカーでクロスフロー型シリンダーヘッドを持つエンジンが続々と開発された1970年代以降も、日産はあえてカウンターフロー型を踏襲し生産し続けた。
頑丈な鋳鉄製ブロックベース構造、チェーンによるカムシャフト駆動など耐久性を重視したことから、その構造ゆえに本来は高回転向けでなく決して軽快なエンジンとは言い難い。スポーツ走行に向いていないのだ。
反面扱いやすい、堅牢、長寿命といった長所を持っていた。
また、鋳鉄製のブロックを持つことでエンジンの耐久性は高い。
ボアアップ(内径拡大)などが容易に行える。そのため排気量アップを狙ってチューンするのがL型チューンの鉄板。
L型はチューニングベースとしても優秀だったのである。
実際、排気量2.8リッタークラスのL28を排気量3134ccに拡大、これをツインターボ化したのが悪魔のZに乗る「L28改3.1Lツインターボ」と呼ばれるモノだ。
L28と出ているが実は日本では当初お宝級の存在だったのだ。
当時は海外に輸出されたZがL28を搭載するに留まったのみ。国内のZには搭載されなかったのだ。
そのためこの悪魔のZが生まれる背景はかなり複雑な物。
悪魔のZを作り上げた「北見淳」は長い時間を経てL28を載せたZを入手した。
彼はあらゆる物を犠牲にして狂ったようにZに入れ込んでいった。
しかし完成したZはまるで操れる者がいなかった。ある者は帰らぬ人になり、またある者は長い闘病生活を送ることになった。
やがてある男の元にたどり着いたZ。
当初こそ、彼を拒絶するように事故を繰り返した。
ある時に廃車になってもおかしくない程の大クラッシュを経験。
しかし彼はZを蘇らせた。蘇ったZは彼を認めたようだった。
そして彼が駆るZは伝説となった……。
しかしそれは長く続かなかった。
パートナーを変えたZはやがてある少女の元に渡る。
彼女こそ今のZのパートナーである四条貴音だ。
「上手い……。あの時感じた物は確かな物でしたか」
貴音は夢斗の走りに感嘆していた。
確実に進化している彼の走りは必ずこのZを脅かす物になるとわかる。
「彼は……。目指す物はあるのでしょうか」
「……逃げられたらキツイな」
夢斗は苦しい状況に頭を抱える。
最高速のノビは明らかにあちらが上。以前のように振り切られるのがオチだ。
「……来る」
咲耶が言ったその瞬間だった。
Zがモードが切り替わったかのように加速したのは。
「や……ばっ」
Zが離れていく。
夢斗達の目の前から一気に消えていこうとする。
「あかーん!!」
夢斗が思わず叫ぶ。
「これだ……。私はずっとこの加速に負けていたっ」
咲耶は離れていくZのテールランプを見て言う。
「やはり悪魔なんだろうか」
夢斗は漏らす。
「だね。あれに勝つのは……どうしたらいい」
「……あっ!!」
夢斗がいきなり叫ぶ。
「勝利の法則は決まったっ!」
「はい?」
「いや言った通り。咲耶のエボのチューン案だ」
自信マンマンに言う夢斗。こうなった夢斗は止まらない。
「絶対るんってするエボになるぜ」
一方貴音の方は……。
「星名夢斗は素晴らしい技術を持ってた。しかし……私を倒すのは彼じゃない」
「白瀬咲耶……。貴女はぜっとを超える」
来るべき戦いを予見するのだった。
やがて訪れる戦いに備え、咲耶のエボⅨは改修が行われる事に。
生まれ変わるエボⅨは悪魔に迫れるか。
悪魔のZとそのドライバー貴音に出会った夢斗。
咲耶の狙う相手と走った夢斗は咲耶のエボをチューンするアイデアをひらめく。
ネタ解説です。
・「あれZなのか!?」
夢斗は1980年以前の車をほぼ知りません。
元々夢斗は車にほぼ興味がなかったため……という設定ですが、この辺りは後の話で書こうかなと思ってます。
・貴音の動き
前作「疾走のR」後も走り続けていた貴音。ただ以前のように走る事は少なくなっていました。余談ですが貴音がシアターを出るシーンは「ぷちます」版の貴音が参考になってます。ぷちますを見てたので脳内再生しながら書いてました。
・Zの誕生背景
「湾岸ミッドナイト」本編内ではL28が当時日本国内で入手困難だったと語られてますが、実際は1975年生まれの2代目ローレルや5代目グロリアにはL28が搭載されてます。あれ……?
他にも北見がZを初めて目撃した際の描写に矛盾点があります。
ツッコミ所が多いですがなんやかんやでZを作り上げた北見さんすごい(小並感)
・「勝利の法則は決まった」
仮面ライダーファンならわかるかもしれないネタ。
これは「仮面ライダービルド」(2017年)の主人公「桐生戦兎」の決めゼリフ。
夢斗とは「天才」など共通点があります。
他にも今回のタイトルにある「ベストマッチ」も関係。やはり関係あるじゃないか……。
何故夢斗が数年後のライダーのセリフを話したかは永遠の謎……。
生誕50周年を迎えるフェアレディZ。
日産というメーカーが総力を挙げてレストア企画を考えるなど大切に残された名機は世界中の人々に愛される……。
いいですよね……。
次回、迅帝のRの秘密が明らかに!!
そして咲耶のエボⅨは進化する!!