アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者 作:ヒロ@美穂担当P
そして答えは人それぞれ。
目指す物のために本気になる者達の答えは。
9月下旬。
夢斗は学校帰りに寄る所がある。
明日の朝飯のパンを買うために商店街のパン屋へ向かう。
「いらっしゃいませー!」
「うっす。来たぜ……おっ」
「あ、夢斗さん!」
パン屋には先客が。アイドルの島村卯月だ。
蓮とよく会うのもあって夢斗はアイドルにもよく顔を合わせる。なので夢斗の存在を知る346プロのアイドルも多い。
「夢斗さんも買いに?」
「おう。俺ここの常連だし」
「割と最近じゃない?」
「俺は10回以上来たら常連だと判断される、って思ってるぜ沙綾」
「ほぼ毎日チョココロネを買いに来る人がいるよ」
「あっそれじゃあ俺負けじゃねえか!?」
「あははは……」
店の手伝いをする少女「山吹沙綾」と卯月とダべる夢斗。
沙綾は
「夢斗って悩みなさそうだよね」
沙綾が言う。
「そうか?割とある」
「夢斗さんは悩まなそうな感じです」
「卯月……。俺だって悩むわ。例えば晩メシとかで悩むぜ」
「割と普通の悩みですね」
「でも俺も人に言えないような悩みも持ってる。沙綾は弟とか妹いるじゃん」
「俺はそういうの『なくなっちまった』からさ」
「……わり、変な事言っちまったな」
「そう悩む事は別に悪いことじゃないと思うよ」
「そっか」
「さてと、買うか……。沙綾おすすめのパンはっ!?」
「私のおすすめはグラタンパン!」
「フライパンじゃねコレ」
「うん。フライパン」
「『パンはパンでも食べられないパン』っていうなぞなぞを形にしたパンだよ」
「
「ありがとう!お会計は……」
この後滅茶苦茶パンを買った。
卯月と歩く夢斗。
「夢斗さんって不思議ですよね」
「いつもの事じゃね」
「そうじゃなくて……。周りの人と分け隔てなく接する事ができるなって」
「初対面なのに気さくに話せるのが羨ましくて」
「そういう礼儀とかが俺はないだけだな(笑)」
「でも……いいな」
「気をつけて帰れよ」
「はい!夢斗さんも」
2人は別れて歩く。
「……悩みか」
翌日。
期末試験前なので帰りが早かった夢斗はある人物を見つける。
「遥?」
「星名さん?どうしてここに」
「俺は帰り道。遥は?」
「私は果穂さんを探しに。学校はもう終わってるはずなんですが……」
「なんで?」
「今日は二学期が始まる日だからお昼に終わるって聞いてたんです」
「俺も探す。暇してたし」
「助かります!」
夢斗は遥と共に果穂を探す事になった。
「いねえ……。どこだ」
かれこれ20分近く探してるが見つからない。
「あとは……公園か」
いつも夢斗が日課をしてる場所の公園をまだ見てない。
「行くか」
夢斗が公園に向かうと何か言い争ってる声が聞こえてきた。光の声だ。
「違う!!みんなに勇気を与えるのがあたしの目指すヒーローだ!!」
「遊びなんじゃねえの?」
「あたしは本気だっ!」
「わー怖い(棒)」
「ふざけるなっ!!」
喧嘩してるらしい。止めに入ろうとする夢斗だが……。
「そんなのが夢ってどうなんだよ?」
「そんなのって言うな!」
「仮面ライダーの見すぎだろ。中学生の見るもんじゃない」
「「「はははははは!!」」」
「ーーーーーーーー!!」
光のヒーローについての考え方を笑ってるらしい。複数人の笑いが公園に響く。
夢斗は光の後ろに果穂を見つけた。
「果穂……」
「果穂さん!」
遥が現れる。
「プロデューサーさん!」
「果穂さんと光さんに何をしてるんですか!?」
「こんな歳でヒーローになりたいって言うの?幼稚園児かって」
「果穂さんはヒーローのようになりたいって頑張ってます!努力してる人を笑うなんて!!」
「大体……何やってるんですか!」
「小宮をいじってたら南条が来たんだよ。夢を笑うなってさ」
「果穂……。果穂は悪くない」
「光ちゃん……」
「それもヒーローってか?はっはっは!!」
「……はーん。大体わかった」
夢斗が動く。
「変身!!」
「
「!?」
腰にベルトを付けた夢斗が光達の前に現れる。
「おばあちゃんが言っていた……(大嘘)。子供の願い事は未来の現実……。それを夢と笑うのはもはや人ではないってな!!」
「だから笑うなよ……!!何もわかってないクセに人の夢を笑うんじゃねえよ!!」
「なんだお前!?」
「星名さん!?なにやって……!」
「星の名を持ち、夢を
「なんか変人が来た!!」
「夢斗!?」
「夢斗さん!!」
仮面ライダーカブトの主人公「天道総司」のような名乗りと
「お前らは……なんで笑う?」
「ヒーローなんて幼稚園児が目指すような物じゃん!」
「ほー……。つまり俺は幼稚園児と」
「まー、俺は変人だし」
「変人!!変人!!」
「うるせーな」
「お前も南条達の仲間だろ」
「ん?仲間って誰が言った?俺は光達とは日課をやる仲間だ」
「仲間じゃん!?話通じねえ!!」
「通じねえのはテメーらだ」
夢斗の口調が変わる。
「光と果穂はさ、みんなが笑顔でいれるように頑張ってる。それくらいはわかるだろ?わかれよ(脅迫)」
「脅してませんか?」
遥が軽くツッコミを入れるが夢斗は続ける。
「俺にはな、夢がない!」
「でも、守ってる物はある。それもたくさんな」
「俺がどんだけバカをやってもそれを認めるヤツがいなきゃ俺がバカとも知られない。アイドルもそうだ。レッスンをすげー頑張ってもファンがいなきゃ注目すらされねえ」
「光達がそうしてる様子を想像できんのか?」
「できねえ。仮面ライダーとかでやるような特訓(笑)をしてそう」
「あのな、仮面ライダーの特訓はなんでやってるかわかるか?」
「悪役に負けた、だからもっと強くなってリベンジする。お前らはそんなくらいにしか思ってないだろう」
「でもよ、その時に主人公が色んな事に気づいてるって知ってるか?」
「自分の弱さはもちろん、周りの人間の思いとか自分の目的を見つめ直したりとかさ」
「目的を持って生きるのがエラいっては言わないけどその目的を笑うのはどうなのって俺は言いたいんだわ」
「仮面ライダーが子供の目指すこと?それ言っちまったら19歳大学生の俺は大人の皮被ったガキじゃん」
「痛い大人(正論)」
「うん、痛いな(納得)」
「ちょっと!?」
遥が呆れる。
「まあ俺よりも歳上で今でもライダーに憧れるヒトはいるだろ。さすがに仮面ライダーにはなれないってはわかってるだろうが」
「なれなくても目指すことはできるだろ?」
「じゃあ誰か守る時も自分の体を張れんのか!?」
木製バットを持ってきた少年。
「汚いですよ!!」
遥が批判するが何の効果もない。
「守って……見せろっ!!」
光にバットが振り下ろされる……。
「……はっ?」
少年の持ってたバットが吹っ飛んだ。
「……!?」
光も目をぱちくりさせてる。光の前に夢斗が立っていた。
「こんな
夢斗がキックでバットを吹っ飛ばしたのだ。
「光。とっとと果穂連れて逃げろ」
「ああ!!」
光と果穂が公園から逃げる。
「待ちやがれ……っ!?」
威勢よく声を出した少年が凍りつく。夢斗が迫る。
夢斗のその目は少年に迫る危険を表した目。
逃げようにも足が動かない。夢斗の気迫に圧倒されて動けないのだ。
逃げれなかった少年は夢斗に掴まれる。
「なぁ……。とっととやめればよかったのに」
少年を掴む夢斗の手の力は凄まじく、振り解けない。
「つまんねーな、ホント」
夢斗が手を離して少年を解放する。解放されて尻もちを着く少年。
「ふざけんなあああっ」
バットを再び手に取り、夢斗を背後から殴ろうと迫った。
「危ないっ」
遥が夢斗に呼びかける。
「いい加減にしろ馬鹿野郎がっ!!」
ベルトのスイッチを1、2、3と順に押してカブトゼクターのホーンを動かす。元の位置にホーンが戻ると「
音声が聞こえた途端夢斗が振り向きざまに回し蹴りを放った。
少年が持っていた木製バットが真っ二つに折れるほどのキック。
持っていた武器を失い、唖然とする少年。
少年に先程の操作を再び行いながら迫る夢斗。
「大人がこんな事を子供にすんのか!?」
「別にいいじゃん。テメーが俺を警察に突き出しても俺はなんともねえ」
完全に恐慌状態に陥る少年。
「……終わりだ」
「ライダーキック」と音声が鳴り夢斗が右足を振り抜く……。
「……なんてな。嘘だ。さすがにそんな事しねえから」
「……!?」
少年の目前には夢斗の右足が止まっていた。
「そんな事したら俺はおまわりさんのお世話なるじゃん。そんなのヤダよ」
「でもな……」
「?」
「もしもまたこんな事があるようなら……」
「今度こそこの右足で頭をぶっ飛ばすからな?」
そう言った夢斗の顔自体は笑顔だったが目がバケモノのような目になっていた。
夢斗からは凄まじい圧力が出ており、本気でやると本能でわかった。
「俺はふざけはするが嘘はつかねえ。それが俺」
少年が周りを見回すと仲間達がいなくなっていた。夢斗のその迫力に恐怖し逃げたらしい。
やっと立ち上がった少年はすぐさま逃げ出す。もうこれに懲りてこのような事はしないだろう。
「あの……」
「ん?どした遥」
「何故そこまで夢を大切にしようと思うんですか?わかるんですけどやりすぎな気がして……」
夢斗の行動は明らかに過剰なレベル。近所の人が見ていたりしたら通報されかねない。何せ夢斗は木製とはいえバットをキックで折る、中学生を蹴ろうとしたなどやってる事は普通に犯罪者のソレ。
「ばーか、フリだ。あの時俺の右足が当たってたらそれこそ俺はおまわりさんのお世話になるじゃねえか」
「つーか右足軽く痛え」
そりゃバットを折る程の力で蹴っているのだから足も痛いだろう。
「遥はさ、夢ってなんだと思う」
「夢は……私が目指す目標。ゴールラインみたいな物」
「そうやって夢って何かわかってるのはいいんだ。夢を形にできずヘニョヘニョなヤツが夢をはっきりと持ってるヤツを笑うのが許せなくてな」
「夢を目指せるのがありがたいって思わないのかねえ」
「……」
遥は知らないが夢斗の過去には悲しい事件が関係している。
だから夢斗は人一倍夢を笑うヤツに容赦ない。
「星名さんの夢って一体?」
「まだはっきりとしてねえ。けど、俺がやれる事を生かせる事をしたいなって」
「星名さんには『走り』があるじゃないですか」
「『走り』……。そうか」
夢斗は何かを思いついたようだ。
「そういえば……星名さんって何かやってたんですか?あのキックは普通ではないです。私は自衛隊格闘術を何回か見て自分も少しはできますけど……。星名さんのやった動きはあまりにも洗練されていて……」
「光達も言ってただろ?ヒーローを目指すには努力だろ」
夢斗は幼少期からの仮面ライダーごっこで自身を鍛えていたのだ。それ故に格闘術も優れてる。さすがに軍人などには歯が立たないだろうが自衛程度なら十分通用するレベル。
「でもさ、あんな風に暴力は振るわないだろ。アイドルは」
(夢を目指せるのがありがたい……)
夢斗の夢への考え方。
自分は夢をただ目標としか考えてなかった。そんな事を言ったら夢斗に「夢ってのはそんな単純な物じゃねえんだよ」と言われるだろう。
それほど夢斗の言葉には強い説得力がある。夢を何かと問いかけられるようだ。
「つーか前から思ってたけどさー。星名さんって呼ばなくていいんだぜ?夢斗でいい。呼び捨てでもいいわ」
「堅苦しいの俺はキライでさ。別に同い年だからいいじゃん」
ある意味誰に対しても「フラット」な夢斗。
夢斗が敬語を使う相手はいない。例え相手が蓮でも。少しは話し方が変わるがタメ口残りの話し方だ。
「じゃあ……夢斗」
「いいな。そんな感じ」
そして他人と交わっていける。最もこれは最近になってからできるようになった事だが。
翌日、果穂の話ではいじめっ子はもうちょっかいを出さなくなったらしい。寧ろ果穂か光を見ると逃げるんだとか。よほど夢斗が怖かったのだろう。
だが自分を笑っていた少年の事も光は許した。
「わかってくれたらそれでいい」と言っていたそうだ。
「よし……」
ここは内藤自動車工場。
蒼いR34GT-Rが
美世の手で仕上げられたR34は全盛期の姿を取り戻していた。
「後はもうちょっと調整したら完成かな……」
そう言い終わった直後美世の意識はブラックアウト。美世は睡魔に負けた……。
「ったく、無茶しやがって」
内藤が美世を事務室へ運ぶ。
「……本当に形にするとはな」
自身の宿敵でもある迅帝のR34を美世はたった1人で仕上げた。
「超えて見せろ。お前はやれるさ」
内藤はそう言い残して仕事へ戻る。
本物の伝説が動き出そうとする。
その車はある1人の首都高ランナーの憧れでもあり、そして夢を決定づけた。
首都高から姿を消しても、彼女はその車への憧れを強く持ち、自身も同じ車に乗った。
その車は蒼い。そして彼女が乗る車は対になるような真紅。
「待ってて……ください」
美世の寝言だ。彼女は夢の中でも迅帝の事を見ているらしい。
同時刻。
悪魔のZを走らせていた貴音はふと何かを感じて反対車線に目を向ける。
反対車線に見えたのは黒いランサーエボリューション。咲耶だ。
そのままZとエボⅨはスライド。
「進化している……」
エボⅨから迸るオーラ。それは本物の領域に達したオーラ。
「前を走るさ。絶対に」
咲耶は超えるべき相手に打倒宣言をする。
進化したエボⅨがZと戦う日もそう遠くはない。
動き出す伝説とそれを狙う者達。
迫る「その時」。革命のような出来事が夢斗達に迫る。
迫る決戦。
首都高ランナー達は走り続ける。
ネタ解説です。
・島村卯月と山吹沙綾
これは2人の中の人の「大橋彩香」さん繋がりで。
・「フライパンじゃねコレ」
これは「ガルパ」内の4コマ「もっと!ガルパライフ」内のネタ。食べられるフライパン……いいな。
・「おばあちゃんが言っていた……」
「仮面ライダーカブト」の主人公「天道総司」の祖母が言っていた言葉を天道が話すいわゆる「天道語録」。なお、夢斗の祖母は生きてます。他にも仮面ライダーネタあり。
・「自分も少しはできますけど……」
遥の両親は自衛隊に所属。この辺りは外伝「空を目指した少女と地上に煌めく六連星」を読んで貰えればと。
「銀色の革命者」を書き始めてもう少しで半年になるんだなと気がついた。投稿ペース遅いなーと思いながら。
次回から物語がクライマックスに向かい始めます。
次回、美世が仕上げたR34が岩崎の手に返る。
美世が仕上げたRに岩崎はどんな感想を残すのか?
そして夢斗はあるアイドルに過去の自分を見て……?
「創りあげていく物編」完