アイドルマスターシャイニーカラーズ 銀色の革命者 作:ヒロ@美穂担当P
美世のGT-Rは迅帝に迫る本物のモンスターとなる!!
「くぅ……いったぁ」
やっと止まったR34GT-R。フロント部分は半壊、リアウイングも失った他、損傷した部分多数。
「エンジンは無事か……」
なんとか自走可能な事を確認し首都高を降りた。
家に着いた後破損した箇所を応急修理。
とはいえバンパーやリアウイングは替えがないためウイングレス、半壊したフロントバンパーはガムテープで落ちないようにするなど本来の姿とは程遠い。
表面が切れた右フロントタイヤを含めた全てのタイヤを交換。
明日も仕事なので美世は作業を中断して眠りにつく。
翌日。
蓮はいつものように346プロへ出勤。だが今日は蓮のいつも通りはなかった。
アイドル達が駐車場に集まっている。
(……なんだろう?)
駐車場に入り、アイドル達の視線の先を見ると……
「えっ、一体何が!?」
昨日までとは全く違う姿の紅いGT-Rがそこにはあった。
「美世さーん!!何があったんですか!?」
美世の元に駆け寄る蓮。美世は暗い表情で答える。
「箱崎でやっちゃった……」
その瞬間蓮は全てを察した。
「……怪我は」
「あたしは平気。でも……」
出ない言葉の先は言うまでもなくGT-Rの事。
その日美世は事情を常務達に話す事となった。
その結果、美世は2週間雑用をする事となった。
だが武内Pが言うには美世の処分は極めて異例だとか。
普通だったら無期限謹慎などもおかしくないらしい。
にも関わらず、美世がこれだけで済んだのはアイドルフェスタへの参加も控えておりそしてレーサーとしてのキャリアの事もあるのだろう。
翌日、美世は横浜にいた。
破損したGT-Rの修復のためにFUJIRacingにGT-Rを持っていった。美世はRをローダーで持っていった事を述べておく。
藤巻にGT-Rを見てもらった後。
「こりゃハデにやったねえ」
「……あたしの不注意でこんな事になってしまって、Rに申し訳なくて」
「岩崎さんとの勝負が迫っているのに……このまま走れないのが辛くって」
岩崎とのバトルの日は11月上旬。残りはあと約2週間。それまでにこのGT-Rを修復しなければならない。
「……本気で岩崎を目指す覚悟はあるか」
「はい。あたしがこうやってGT-Rに乗る理由を作ってくれた人だから。だからこそあの人を追うんです」
「あの蒼いGT-Rはあたしや蓮君、みんなを繋いだクルマだから」
覚悟を決めた美世。表情はレースの前のように引き締まっている。
「……ならばコレを持っていくんだ。GT-Rは原田さんに応えるさ」
倉庫の奥から藤巻が持ってきたダンボール箱。その中身は……
「C-WESTのフロントバンパーに……Abflugのリアバンパー!?」
「それにこのGTウイング……岩崎さんのGT-Rと同じ」
R34用のエアロパーツだ。しかも未使用品。
「これは岩崎のGT-Rのスペアパーツだ。予備にとあいつに頼まれてね。本来はあいつのモノだ。だが岩崎は『いい』と言うだろうさ。あいつは原田さんとのバトルを望むなら……こんな事に文句を言わないさ」
「それに……お礼だろうさ」
「どういう意味ですか?」
「時代の流れの中で静かに消えていく自分を覚えていてくれた……原田さんが今こうやって岩崎の事を意識しているのが嬉しいんだろう」
「俺としてもあいつに負けたのは悔しいさ。だから俺が手を入れたGT-Rで
「原田さん、GT-Rのチューンをするぞ」
「はい!」
かつて首都高最速と呼ばれた男によるGT-Rチューン。「パープルメテオ」によってGT-Rは仕上がる事になる。
家に帰った後、美世は蓮に電話。
藤巻から貰ったエアロ類の塗装を蓮にやってもらい、FUJIRacingに持っていく。
すると蓮も……
「僕にもチューンさせてください!RBは僕もやった事あるので」
「えっ、なにそれ初耳」
「高校にRB系のエンジンがあって……ヒマを見つけていじってたんです」
「小日向君か。原田さんの助けになるかい」
「もちろん!アイドルの皆さんを助けるのが僕の役目ですから!」
こうして蓮と藤巻によって美世のGT-Rの心臓部RB26はチューンされていく。
その後も着々とGT-Rはチューンが行われ、その姿は迅帝を模した姿となった。
迅帝が蒼いGT-Rなら美世は紅いGT-R。色以外迅帝そっくりの姿になった。
1週間後、美世のGT-Rは完成した。
藤巻と蓮によってチューンが施されたRB26はブースト1.4kgで650馬力を叩き出す。
これにNOSを加えて720馬力を発生する。
本物の
深夜の湾岸線。
暴力的なエンジン音を轟かせるのは蒼いGT-R。岩崎だ。
(アクセルを床まで踏み抜きたくなる衝動)
美世が組んだRB26は踏む気にさせる「なにか」があり、岩崎は言葉に表せないソレを感じながらR34を加速させる。
「……!!」
岩崎は鳥肌が立つようなプレッシャーを感じて先を見る。
その先に見えた車はもう一つの「伝説」だった。
岩崎はその車をパス。蒼い2台の車が並ぶ。
(……悪魔のZ)
Zのドライバーも気づいたようで目が合った。
時代を駆け抜けた伝説のマシン。伝説のマシン達は出逢った。
本物だけが持つ特別なオーラを纏う蒼いマシンは言葉を交わさなくても走りでお互いを知る。
11月、美世と岩崎のバトル前日。
蓮と美穂は内藤自動車工場にいた。工場の表には黄色いFDではなく白いFCがあった。
蓮のFDは車検のため現在蓮の手元にない。
「内藤さん」
「わかってる。美世だろう」
蓮の言いたい事がわかってる内藤。
「あいつを見届けてくれ。自分を形作った『憧れ』に挑むあいつを」
「もちろん。美世さんはそのために頑張ってましたから」
「あと……これをお前達に使って欲しい」
内藤が持ってきたダンボール箱。中身はIパターンのシーケンシャルミッションだ。
「これは……」
「かつて迅帝を追うためにと用意したモンだ。だが、コイツが俺の手元に来る頃にはヤツは首都高を降りた」
「俺が置いてきた情熱のカケラだ。それを今現役で走るお前達に託す」
シーケンシャルミッションを託された蓮。美穂のFCにシーケンシャルミッションを載せるべく作業を始めた。
そして決戦当日。
346プロでいつものように仕事をしている蓮の元に常務が。
「もし何かがあったら原田を止めろ。最悪解雇でも構わん」
常務の口から出た言葉。
「……はい」
蓮はただ返すしかなかった。
(すみません……僕は止めません。原田さんが今まで積み上げてきたモノを壊すなんて僕にはできませんから)
(それに……僕だって見てみたい。「伝説」の走りを)
常務の命令に反する蓮。自分だって1人の走り屋だ。「迅帝」の走りを見てみたい気持ち。
そして美世にとって非常に大きな意味を持つ相手。
アイドル達の味方として動く蓮は上の立場である常務の命令が許せなかった。
例え逆らってでもこれだけはやると蓮は決めていた。
PM7:00。
仕事が終わった蓮は一度家に戻り、風呂に入ったり夕食を食べるなど一通りの準備を終わらせた後、美穂に電話。
20分後に迎えに来るそうだ。
PM7:40。
ここは内藤自動車工場。
蓮と同じように風呂などを済ませた美世は愛機R34の最終チェックをしていた。
「空気圧問題なし……」
「オイルも大丈夫!」
生まれ変わったR34は美世の熱意が注がれたように紅く輝いていた。
その隣には迅帝をずっと追いかけてきた赤いFC3Sが。内藤は美世の作業を静かに見守る。
「……終わったか」
「うん。いつでも行ける」
「んじゃ、ボチボチ行ってみるか」
美世と内藤はそれぞれ愛機に乗り込む。
キュルルルルルルッグゥォッオオオオーッ
紅いR34と赤いFCの
自分自身に気合いを入れていくかのように美世は何回かアクセルを煽る。
エンジンは吠え、跳ね上がる
美世のR34を先頭に出発。美世のR34に続いて内藤の赤いFCが走り出す。
10分程走ってローソンに到着。待っていたのは白いFC。
「美世さん!」
蓮だ。そして美穂も一緒だ。
「あたしの全部を出し切る!この日を待ち望んでいたから!!」
「だから!!あたしは悔いのない走りをする!」
美世は力強く語った。
集合場所である辰巳PAへ向かう3台。紅いR34GT-R、そして白と赤のFC3S。
PM8:40、約束の時間20分前。
辰巳PAにはたくさんの車が止まっていた。週末というのもあり車が多い。
ただ、止まっている車は休憩のために来た人の車ではない。走り屋達の車だ。
「『迅帝』ってどんな車だ?」
「ばっか、そんなのも知らないで来たのかよ。R34だよ。『壱撃離脱』ってある目立つ車だ」
「『壱・撃・離・脱』だ二度と間違えるなデコ助」
賑わうパーキングエリア内。首都高の伝説と呼ばれた走り屋「迅帝」が復活してバトルするという噂が走り屋達の間で流れ、走り屋達が迅帝を一目見ようと集まってきたのだ。
「アイツは……誰とやるんだ?」
「さあね。でもいきなり戻ってきたくらいだからよっぽどすごい奴なんでしょ」
「昔からアイツは俺らと関わろうとしなかったからな。アイツが何しようが知る術が無かったし」
かつて迅帝の実力に最も近い走り屋として敬意と畏怖を込めて呼ばれたチーム「
迅帝と同じく、メンバー達はある時を境に次々と首都高を降りた。
しかし、迅帝が戻ってくると聞き真相を確かめるべく戻ってきたのだ。
「相変わらず……変わらないな。お前」
「歳は取ったわよ?」
「言わなかっただけだ」
年齢トークで臨戦態勢になってるのは「12時過ぎのシンデレラ」こと林原美津江と「夢見の生霊」こと君嶋陽平。
かつてのJGTCに参戦していた
「まだか……」
漆黒の
かつて迅帝に破れ、走りの腕を上げるべく渡米。アメリカでのストリートレースで頂点に上り詰めた後、日本に帰国するが首都高には
迅帝はもう居なかった。
それもあり彼は迅帝にいつかリベンジをと考えていた。
そして迅帝は戻ってきた。これを受けて動きだした時、何者かが迅帝にバトルを挑むと聞いた。
迅帝を離れていた首都高に再び戻らせるような出来事があったと確信した。迅帝を首都高に復帰させた走り屋を見ようとやってきたのだ。
「来たぞーーーっ」
その瞬間、賑わっていたパーキングエリア内が嘘のように静かになる。
現れた蒼いスカイラインGT-R。そのボディを包むオーラは口先だけは達者なトーシロ達を黙らす威圧感となる。
「おいおい、本当に来た」
「マジかよ」
十三鬼将のメンバー達ですら本当に迅帝が来るとは思ってないメンバーがほとんどだったため、目の前に見える迅帝のR34に驚きを隠せない。
「本当に……現れた」
「よう……久しぶりだな。迅帝」
林原も君嶋も驚いていた。だがその驚きの表情にはどこか嬉しさも見えた。
「なんだあのR32は?」
迅帝のR34に続いて姿を見せる紫色のR32GT-R。
「『パープルメテオ』……」
「どういう風の吹き回しなんだ?パープルメテオまで来るなんて」
「連絡はあったのか?」
「もう少しで着くと」
藤巻と話す岩崎。その光景はかつての師弟関係その物だった。
2人、いや、この場の全員が待つ。
ゴッォアアアアアアアアアア
「来たか……」
「そうだな……。お前の全部を出し切れ。それが彼女への礼儀だ」
「もちろん。彼女がいなければ……俺は走ろうと思ってないだろうし」
「憧れというモノを背負って俺は生きてたんだ」
自分という一人が彼女の憧れになった。「自分」だから彼女はここまで来たのだから。
ヴォゥアアアアアアアアアア
真紅のR34が現れた。続いて赤いFC、最後に白いFC。
3台とも「本物」であることが伝わる。迅帝に挑むのは誰かと3台に注目する一同。
紅いR34が蒼いR34の隣に来た。降りてきたドライバーは……
「原田さん、待っていたよ」
「あたしも……この日を待ってました」
「あれって……原田美世?」
「レーシングドライバーの原田美世だよな」
「アイドルもやってるよ」
「ウソォ!?」
迅帝に挑む人物がまさかの人物である事が判明し驚くギャラリー達。
「嘘でしょ?」
林原が否定しようとする。しかし。
「本当だ」
「『追撃のテイルガンナー』……」
内藤が林原に事実だと伝える。
「どういう事なの?彼女は一体……」
「走り屋だ。アイドルでレーサーで……そしてアイツを追いかけるために走っていた」
「アイツは俺の工場で働いてんだよ」
「……何年か前に従業員が入ったって言ってたわね。変人のあんたがやる工場で働く人がいるのってそん時は思ってたけど彼女が……」
「そうだ。今から6年前にアイツは地元石川から上京してきた。当時工場に住み込みで働いてな。あいつに車のイロハを教えたのは俺だ。あとな、俺は変人じゃないからな」
「変人でしょ。ロリコンの車バカ」
「ああそうだな(棒)」
「あと……あの2人は?」
白いFCの前に立つ2人の青年と少女。少女はともかく、青年の方はこういう車に興味がなさそうな大人しげな感じ。
「プロデューサーとアイドルだ。ただし、プロデューサーは普通じゃないが。美世と同じくレーサーをやってる」
「レーサー……!?」
「美世はスーパーGTのGT500クラスでモチュールのドライバーとして活動してる。岩崎とはそこからライバルだ」
「プロデューサーの彼はスーパー耐久に参戦したばかりの新人だ。……まだまだ伸びるさ」
「『首都高最速』である彼は美世と二人三脚で歩んでいる」
「首都高最速!?どういう事……はっ!!」
「そうだ。去年のクリスマスの日にあったバトルの勝者だ」
「『公道の流星』……今日彼は美世達を見守るためにやってきた」
「小日向蓮……。んもー、可愛いカオしてる」
「さあ、始めようか」
「はい」
見つめ合う美世と岩崎からは対を表すような紅と蒼のオーラが見えた。
お互いのRに乗り込む2人。
(悔いのない走りをしよう、R)
美世はエンジンを始動させた。
(やるからには……やる。それが俺なりの礼儀)
岩崎はふと外を見る。するとパーキングエリアに異質な車が入ってきた。
「悪魔のZ!?」
「なぜこのタイミングで……」
首都高の伝説である迅帝と同じ存在である車。
「悪魔のZ」と呼ばれるS30のフェアレディZだ。
ミッドナイトブルーのボディからは妖しさが漏れていた。
Zから降りてきて紅いR34へ直行する貴音。
「原田美世……」
「貴音ちゃん!」
「貴女の走る理由をここで果たしてくださいまし。私がぜっとで走る意味を見つけれたように」
「もちろん!だからあたしは止まらない!」
直後に蒼いR34へ向かう貴音。
「Zのドライバーは君だったのか」
「ぜっとの『ぱーとなー』であるべく走るだけ……」
「パートナー……か。原田さんはたくさんの人に助けられてるなあ」
「俺も……」
そう言い残して岩崎のR34は発進。続いて紅いR34。
最後に白いFCが夜の
(行こうか!)
岩崎のRは猛加速していく。
それに合わせて速度を上げていく美世のR。
伝説との戦いが始まった。頂点に立つ存在に挑む美世。
彼女を突き動かす存在はあの日のように駆け抜けていく……。
生まれ変わった美世のGT-R。しかし変わったのは中身だけではなく……?
長い夜が始まろうとしていた。
ネタ解説です。今回首都高バトルネタ多数。
・美世の新たなR34
生まれ変わった美世のR34は岩崎のR34の色違いっていう感じです。性能面ではマインズのR34を参考にしています。
・十三鬼将登場
「首都高バトル」の他に「街道バトル」シリーズなど元気のレースゲームでの名物的存在。林原や藤巻は加入後という扱い。
ここで登場した君嶋のNSXは「峠の伝説」に登場したものとします。
・久永一登場
「首都高バトル
「首都高バトルⅩ」での出来事が微妙に違う方向に進んだら……という感じになった結果、として登場させました。
先日東京モーターショーに行ってきました。初めてビッグサイトに来たのもあってだいたい迷子でした。そこで川畑選手の180やRE雨宮のFDを見ました。生で見るD1マシンはやっぱりかっこいい(小並感)
いよいよ「銀色の革命者」も大詰めに近づいてます。
まず最初に美世と岩崎のバトル。実質「疾走のR」の本当の最終回かも。
次回、伝説の車が美世に牙を剥く!!
「革命前夜編」完